ここ2週間くらいで、面白そうなコンサートはないかな~、と思って探していた時に、気になったものの一つ。いい席が残ってないなーと思って、いろいろなサイトをみていると、一つありました。サイトによって残っているチケットが少々異なることがあるので、いろいろ見てみるものですね。
私にとってバッハの鍵盤楽器の曲は、どちらかと言うとシュールな音楽という印象で聴いていました。たぶん、グールドの演奏を聴いてからそうなったかもしれません。ゴルトベルク変奏曲は、以前に小林道夫さんのチェンバロのコンサートを聴いたことがありますが、ピアノでのコンサートは初めてです。菊池さんのコンサートは、2013年に、シューマンの交響的練習曲を聴いたことがありましたが、ずいぶん久しぶりです。
菊池洋子さんのサイトをみていると、ゴルトベルク変奏曲を、ライフワークとされたようで、毎年ゴルドベルク変奏曲を弾いていかれるとのことです。きっとその年まで積み重ねてこられたゴルトベルク変奏曲が聴かれると思います。たいへん興味深く思いました。
以下、インタビュー記事
オフィシャルサイトです。
◆プログラム
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
演奏:菊池洋子(p)
2024年7月24日 サントリーホール ブルーローズ
さて、演奏会が始まります。うまくチケットが取れたおかげで、5列目のピアノの正面。なかなかいいです!小ホールはほぼ満員ではないですかね…。
さて、アリアがはじまりました。アリアはけっこう演奏の印象や方向を決定づける感じがするので、聴きどころです。いつも聴いているCDと言えば、グールドやピーター・ゼルキンというところですが、それらとは違いました。グールドのあのシュールな濃厚さは、他に類のないものという感じですが、今日のアリアはそれらとは異なるもの。シュールとか軽やかといった表情を表に出すよりは、むしろ古典的というか、いやロマン派的かもしれません。むしろ、グールドやゼルキンが変わっていて、こちらの方がスタンダードなんでしょうね。
第一変奏に入っていきます。このペースと雰囲気が、ここからのこの曲の大部分の通常運転モード。印象としては、強靭でかつ流れるように感じました。変奏ごとに表情を変えながら、快調に変奏が続いていきますが、とても集中度が高くて、こちらは息もつけない感じですし、聴けば聴くほど大変な曲だと思いました。そんな曲の音が一点の乱れもなく紡がれていく感じです。そして、演奏が進むにつれて、バッハという直接的な表情が抑制的に感じる音楽の中で、すごくロマンティックな演奏ではないかと思い始めました。
終盤に入って盛り上がって行きながら、熱気のある圧巻の演奏が続きます。第25変奏はじっくりとロマンティックに歌われました。そして、圧巻の迫力の第29変奏が、とても強靭な演奏でした。そして、そのまま最後の第30変奏へ繋がり華々しく閉められました。最後のアリアで現実に戻ってきますが、それはすでに最初のアリアを聴いた時とは違う、新たな世界への大いなる充実感に満ちたものでした。
強靭でロマンティックな演奏という印象でしたが、この長い曲をこれだけパワフルかつ流麗に引き切ることはとても大変なことだと思います。10年前に聴いた時の印象とは全く異なりました。正直言うと、私も少々バッハの印象が変わりました😆。
キャリアとしては、モーツァルトの大家であり、日本の音大出身ではないところなど、内田光子さんと印象がダブります。これからどんな演奏を聴かせてくれるのか、とても楽しみです。ずっと毎年バッハは聴かれますね。いずれ、ゴルトベルクで大ホールを満員にすることを楽しみにしています👍