【テレビ放映】プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」ウィーン国立歌劇場 (2023) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【演目内容】

  歌劇「トゥーランドット」(プッチーニ作曲)

  演出:クラウス・グート
出演

  トゥーランドット:アスミク・グリゴリアン
  カラフ:ヨナス・カウフマン
  皇帝:イェルク・シュナイダー
  リュー:クリスティーナ・ムヒタリヤン
  ティムール:ダン・パウル・ドゥミトレスク

  大官:アッティラ・モクス

  トゥーランドットの侍女:アンティゴニー・ハルキア 、ルシーラ・グレイアム

  ピン:マルティン・ヘスラー

  パン:ノルベルト・エルンスト

  ポン:尼子広志
  合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
  管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
  指揮:マルコ・アルミリアート
収録…2023年12月7・8・13日

   ウィーン国立歌劇場

 

【感想】

BSでトゥーランドットを放映していました。プッチーニといえば、今年が没後100年のアニバーサリー・イヤーですし、トゥーランドットはプッチーニの逝去によってリューの死のところまで書かれたところで未完となり、アルファーノによって補筆完成されました。ということなので、ほぼほぼ100年前の作品ですね。

初演にあたったトスカニーニは、補筆部分を大幅にカットしたため、以後そのカット版で演奏されてきましたが、アルファーノ補筆の全曲版も近年上演されるようになり、この公演も補筆版での上演となっています。

 

今回のグートによる演出は、近代的で無国籍な雰囲気のもの。曲は西欧における異国趣味的作品で、中国が舞台となるだけに、京劇風の華美な演出などが伝統的なものとは思いますが、この演出はスッキリしていて親近感が持て、シュールでコミカルでもあり、大変見やすい演出だと思います。とはいっても、セリフははっきりと中国が舞台というベースで書かれているので、現代的な衣装と重ね合わせると、妙に今の中国がちらついて来るのも事実。周辺異民族との攻防を繰り返してきた中国の現在の姿もダブって見えてきました。

展開的には、リューの死からあとの繋ぎがポイントかと思いました。リューの死が重いので、そのあとの二人の駆け引きにどう違和感なく繋がるかは、演出や演技のポイントのように感じました。そのあたりは、ちょっと違和感がありつつも、こんなもんかなぁ…という感じですが、全体の演出とのバランスなんでしょうね。

アスミク・グリゴリアンと、ヨナス・カウフマンの二人は歌も演技も素晴らしいものでした。迫力のある声量と細かく気を配った演技に圧倒されます。カウフマンの「誰も寝てはならぬ」も素晴らしかったです。あとは、クリスティーナ・ムヒタリヤンの歌と迫真の演技も大変良かったと思います。

演出面では、セリフはありませんが、トゥーランドットの仮面を被った4人の侍女が印象的でした。この仮面は見る角度によっていろいろな表情が感じられるような気がして、興味深かったです。あと、4人の侍女がご先祖様の四肢の骨をトゥーランドットにあてがう場面。面白かった。「この宮殿の中で」のあたりだったかな…。

オーケストラの方は、それほど目立つ感じはありませんでしたが、そつのないものだったという感じだと思います。

 

2024/07/23:2024/07/22のNHKプレミアムシアター放映分よりの録画鑑賞

 

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