絶対に受けたい授業「国家財政破綻」 -8ページ目

五十嵐文彦インタビュー④「消費税は最終的には15%まで上がると思います」

 五十嵐文彦・元財務副大臣インタビュー。
ーー今、何が起きているのか? これから何が起きようとしているのか?--④


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消費税は最終的には15%まで上がると思います。

鳥巣
 みなさんが今、どういう感覚で流れをみているのか。個々違うのかもしれませんが。段々生活が苦しくなってるな。いろんなモノが上がってきているな。と肌で感じてらっしゃると思うんですね。
 次に消費税の問題が出てきます。財務省主計局は「上がるということに一応決まっております」と。
五十嵐
 それは上がるでしょう。時期はともかく。最終的には、15%まで上がると思います。
鳥巣
 その「15%」というのは3党合意ですか?
五十嵐
 いや、3党合意にはなってないですよ。
鳥巣
 僕は、ある野党幹部の方からパーティの席で「15%までは決まっている」と言われた。
五十嵐
 「日本人は、15%超は耐えられないだろう」と。


「行くところまで行く」は「行かざるを得ない」という意味


鳥巣
 それで思い出すんですが。先生にインタビューをした時に、「国民負担率」の数字が出た事があります。

【国民負担率】
租税負担率と社会保障負担率との合計。

 当時民主党政権下でしたが「55%」という数字をおっしゃった。主計局で「え? それは誰からお聞きになったのですか」と聞かれたので「五十嵐財務副大臣から」と答えた。すると「財務省としては、50%を天井と考えている」と。
五十嵐
 いや、「55」というのは第2臨調の時に「どのへんまで国民は耐えられるか、上限とするか」という議論があって、その時に55%という数字が出ているんです。
鳥巣
 財務省は「50%」と。ただ、五十嵐先生から「55%」という数字が出た時に、今後医療費とかの伸びを考えた時にーーこれくらいまで上がるだろうから、これを何とかしようと考えた時にはこれくらいのおカネが必要だなと。
五十嵐
 ま、そういう事ですよね。
鳥巣
 財務省も当時、「とにかく、行くところまで行きます」と。いま顧みると、そういう事も含むんだなと思いますね。
五十嵐
 ま、行くところまで行くーーというのは、「行かざるを得ない」という事ですよね。

モラルハザードを起こさないで政治と経済運営ができるか

鳥巣
 ここはあえて先生にお聞きします。行間に微妙なニュアンスが感じられますが、どういう意味が含まれてますか?
五十嵐
 いや・・要するにモラルハザードを起こさずに政治と経済の運営が出来るかという事ですよね。もともとは赤字公債を出さないというのが1つの歯止めだった。それが取れて、そしたらダダ漏れに。ちょうど1998年ーー久しぶりに国債40兆円を割ったと言ったりしていますがーーその頃には国債は20兆円以下。それがパッと40兆円になるのは速い訳ですよ。
 それがモラルハザードなんですよ。歯止めが1度破られると、トントントンと行っちゃう。
鳥巣
 ええ。
五十嵐
 今のひとつの歯止めは「P・B」ーーP・Bがバランス取れないという事は残高が増え続けるという事ですから。それを国際公約路線をどっかで放棄せざるを得ないというのは、そうするともう「いいや」という話になっちゃう訳です。
鳥巣
 はい。
五十嵐
 ですから財政至上主義という事ではなくて、モラルハザードをどこで起こさないように歯止めをかけるかということが基本的には大事なんだろうと思います。


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PS
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五十嵐元財務副大臣インタビュー③「これ以上の借金は将来の人が根こそぎ税金で払うことに」

 五十嵐文彦元財務副大臣インタビュー
 ーー今、何が起きているのか? これから何が起ころうとしているか?ーー③


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これ以上の借金は将来の人が根こそぎ税金で払うことに


鳥巣
 ここまでにも「債権が発行できなくなる可能性がある」というお話がありました。日本はーー平成28年度予算案でいうとーー一般会計96兆円余りの中でも34兆円余りの赤字国債を出して充当している。「発行できなくなる」というのは、どういう状態なのでしょうか。
五十嵐
 将来の税金を担保として日本の国債を買って貰う。しかし国内にもーー先ほどから鳥巣さんがおっしゃっておられる水野和夫説ーー国内にも買う余裕がなくなってくる。海外も、先ほどの(金融収縮のような)状況だと、買ってくれる所がなくなる。発行しても消化できない。
鳥巣
 買ってくれる人がいなくなる。
五十嵐
 そういう状況になる。将来の税金を担保にするといっても、今までが(国の借金が)大き過ぎる量ですから、これ以上だとまさにモラルハザードそのものになる。将来の人が、給料根こそぎ税金で払わなければ返せないような額になってしまう。人口も減ってくるんですから・・。
鳥巣
 客観的な状況としては、本当に八方ふさがり。いつも、この話をすると段々暗くなってくる(苦笑)。その中で政府、財務省等々がやってることをどういうふうに評価したらいいのか。「正しいんですよ」「この道しかないんですよ」、あるいは・・等々あると思うのですが、先生はどう評価されますか?
五十嵐
 政府は税収が上がって少し余裕が出来た訳ですよ。それを3兆円規模の補正予算を組んで使っちゃった訳です。その3兆円を優先的に借金減らしにーー将来の人のための税金減らしにーー僕は使うべきだったと思う。
 それから選挙のためもあって、バラマキをしている。
鳥巣
 3万円ずつらしいですね。
五十嵐
 それから軽減税率の導入も決めちゃいましたし・・。

軽減税率は効果薄の誰も評価しない本当におバカな政策


鳥巣
 先生は、軽減税率については、どういうお考えですか?
五十嵐
 軽減税率は、本当におバカな政策。世界中の誰も評価しない政策。日本人は「ヨーロッパは入っているじゃないか」と言う。ヨーロッパは、軽減税率をなくそうとしている。軽減税率は仕方なく、前からの流れで入れたけど効果が薄い、極めて薄いと。入れるんだったら、軽減税率ではなくて給付付き税額控除。というのが世界的な流れなんですよね。
鳥巣
 アメリカ、イギリス、カナダなどで現に行われているそうですね。

五十嵐
 日本人は給付付き税額控除が理解できないものだから「軽減税率、軽減税率」と言っている。公明党さんが言っているものだから引っ張られている訳ですが、公明党さんだって自分たちの支持層への公約がなければ本当は効果が薄いという事は分かっている。
鳥巣
 分かっている・・ほう。
五十嵐
 だと思いますよ。軽減税率は逆にものすごいマイナスがある。まず政治家が軽減税率を恣意的
に選べる。軽減税率をインボイスなしでやると大混乱が起きる。

【インボイス】

 
適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けているが、「インボイス」の様式まで特定されているものではない。(財務省資料)


日本のような細かい国では訴訟が乱発されかねない



五十嵐
 それから日本みたいな国では訴訟が乱発されかねない。
鳥巣
 なぜですか?
五十嵐
 イギリスでは服でも子供服でも同じものが適当にーー最終的な物の値段が値段なんだ、税金も含めてーーという考え方が皆に行き渡っているのであんまり気にしない。「どうして、これが10%で、こっちが0%なんだ?」と店員に食ってかかる人がいないんですよ。
 でも、日本中で起きますよ、それは。
鳥巣
 かえって日本で起こりやすい?
五十嵐
 起こりやすい。日本人は、すごい細かいからです。
鳥巣
 訴訟の可能性については一見、逆かと思いました。
五十嵐
 よその国は、消費税も含めて物の値段だと思っている。ところが日本人は、みんな積み上げだと思っている。ものすごい錯覚ですよね。最終的な物の値段って決まっていませんから。最終的な価格決定権を持っているのはスーパーマーケットですが、最終価格をいくらで売ろうと、思った値段で仕入れる訳ですから。別に積み上げて積み上げてーー輸送費はいくらで、人件費はいくらで・・それで値段はこうなりますとはなっていない訳ですから。
 それと「どうしてうちの商品がこっちに判断されたんだ」という事で多分訴訟が起きてくる。枝番がすごく分かれますから・・。

対して推進派の公明党は「痛税感を和らげるため」ーー


鳥巣
 逆に公明党さんの方は、軽減税率導入の理由として「痛税感を和らげるために」ーーという言い方をされている。
五十嵐
 そうなんです。
鳥巣
 でも、どっちを選ぶのかという選択の問題以上に問題があるということですか。
五十嵐
 目に見えないコストがあるということが日本人には分からない。例えば、インボイスを入れる。日本みたいに小さな商店が多いところでインボイスを入れたらどれくらい手間がかかるか。人件費コストの方が高い。レジを変えなくてはいけない。タイムサービスもしにくい。小さい所は閉店近くになったら安くするーーそれが今度は出来ますか? 管理してやらなくてはいけない訳ですから。そうすると、すごく手間がかかります。今までは父ちゃん母ちゃんでやれてたのが計算が出来なくなって、会計事務所に全部見て貰わなくてはいけない。そういうコストが高くなってくると思います。

国民は所得税を下げて消費税を上げて貰った方が良い


五十嵐
 インボイスなしでは、軽減税率は無理です。インボイスの問題は、すごいコストがかかると思う。大根だって1本200円から390円まで簡単に倍に動くんですから。それを固定的に元の値段を考えて、生鮮食料品が5%で他の物が8%で助かったといっても意味がない。魚にしたってイチゴにしたって果物、野菜にしたって、お店ごとに期日ごとに倍くらい動く訳ですから、そこで「3%得した、得した」って観念的に思うだけで実際的には全然意味がない。そのことのために相当なコストがかかって税収入が減って経済が危なくなる。
 基本的に大企業は、儲けを寄せればいいだけの話。高価格帯に価格を高くして、中低価格帯の商品については儲けを少なくすればいいだけの話。意味がないんですよ、その3%、5%というのは。最終価格がどうなるかだけを消費者は気にすればいい。買うだけの価値があるかどうかーー税金も含めて全ての価格ーーそれが本来の消費者だと思うんです。日本では逆にそうではないように、
税の5%、8%が最終価格といかにもリンクするかのように煽っている。
 まやかしてるんですよ。国民はほんとうは所得税を下げて消費税を上げて貰った方がいいはず。特に低所得者対策ということであれば。
 

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五十嵐元財務副大臣インタビュー②「いちばん危ないのは利払費が20兆円を超える平成35年」

 五十嵐文彦・元財務副大臣インタビュー。
ーー今、何が起きているのか? これから何が起ころうとしているのか?--②

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いちばん危ないのは利払費が20兆円を超える平成35年

五十嵐
 これが、いちばん新しい財政の資料なんですけども。いちばん危ないなと思っているのは、平成35年からーー今年もう平成28年ですから、あと7年しかないんですがーー利払費が20兆円を超えるんですよね。公債残高が1000兆円を超える。ここは、かなり衝撃的なアレになるんじゃないですかね。

【鳥巣注】
 財務省発表の資料によると「平成28年度末公債残高は約838兆円」となっています。もっとも前回の五十嵐氏の発言にあるように、いろんな借金を合計すると「現在で1300兆円余」という事ですから、7年後の平成35年にはさらに加算されることになります。


五十嵐
 年間の予算って、もうそんなに伸ばせないはずなんです。100兆円の財政規模で利払費だけで20兆円というのは、相当きつい事になるだろうと思います。
 ですから今問題なのは、2020年のプライマリーバランス均衡ができるかどうか。

【プライマリー・バランス=P・B】
 国債費関連を除いた基礎的財政収支のこと。国債の利払いと償還費を除いた歳出(一般歳出)と、国債発行収入(税収など)についての財政収支。

【プライマリー収支】
 財政収支から純利払費を除いたもの。貿易収支にサービス収支と経常移転収支を加えた値。


 
 それがなし崩し的に国際公約を破る形で行ってしまう可能性が今の自民党政権にありますから。そうなると一気に国債が跳ね上がる、暴落すると、利率が上がると、この計算では間に合わなくなってくる。

麻生財務相の財政演説は財政再建への不安を暗示


鳥巣
 今、先生はさらっとおっしゃいましたけど。私は今年2月の財務省主計局の取材では念を押して「2020年のプライマリー・バランスの黒字化というのは国際公約ですか?」と聞きました。「コミットしました」という事は明言しました。
五十嵐
 プライマリー・バランスの黒字化、赤字からの脱却というのは、いろんな所で公約化しているはずです。なのに今年の財政演説がすごく簡単なんです。去年の、1年前の麻生財務大臣の財政演説は、数年ぶりに国債費が40兆円台を割って38兆円台になったと胸を張ってる。二兎を追えているんだという実績を誇示する演説をした。今年の通常国会の財政演説は触れていないーーすごく簡単なんです。財政問題にほとんど触れていない。それは政府の財政再建に対する不安というのを暗示していると思いますけどね。

水野和夫氏が明らかにした「財政破綻をしない理由」

鳥巣
 ”財政破綻”というのを簡単に言っちゃいますと。1つは国の借金が、国民の金融資産を上回る時というのが、いつなのか? 
 もう1つはーー実は去年水野和夫さんが、お出しになった本で明らかにされてしまったんですけど。要するに国家のキャッシュフロー。「なぜ今、財政破綻しないのか、からくりはこうなんだ」と、簡単に1ページでまとめられて発表されたんですね。

 
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 それによりますと、まずフローの資金繰りに関して言えば、現在の金融機関はマネー・ストックとしてある800兆円の預金ーー多くは年金ーーが年3%、約24兆円ずつ増えている。さらに企業は、1年間の資金余剰が23・3兆円。この家計部門と企業部門を合せた資金余剰の48兆円により、毎年40兆円発行される国債が消化できているのだと。
 このように明らかにされた。ただし、日銀の試算では、2017年には預金の増加が終わると予測されていて、そうなると外国人に国債を買ってもらわなければならなくなる。
五十嵐
 金融資産と負債の差がなくなったからといって、直ちにパニック、破綻が来るという訳ではないですよね。ただ1つの指標として世界から注目を浴びる可能性がある。だけど、それよりも僕はむしろ懸念をするのは、金融経済が大きくなり過ぎている中にあってイギリスが脱EUに動き始めている。イギリスは今でも金融のセンターで、アメリカがシティに追随しています。そのイギリスが中国への傾斜を深めている。明らかに中国に接近している。
 その中国経済がバブルが終わって、人口ボーナスが終わって、そして経済の数字を力によって整えてきたのが整えきれなくなった。つまり、リーマンショックのような中国ショックが起きる可能性がある。その時に中国のマーケットに頼っている姿が高まっているものですから、中国ショックが今まで以上に大きくなる可能性がある。
 日本そのものは、中国に進出していた企業が戻ってきたりしているのですが、金融的には非常に危ない状況が近づいている。中国ショックが起きた時に金融収縮が世界的な規模で起きる可能性がある。その時は、日本が非常に苦しい。まさに金融に余裕がない。国債比率が高いという事で危ない場面に遭遇するリスクが非常に高くなっている。
 その事の方が数字を積み上げた金融の差云々よりもリスク的には大きいんじゃないかと私は考えます。

いちばん怖いのは「通貨安・債券安・株安」のトリプル安

鳥巣
 そういう事が仮に起こったとします。起こった時は、日本にどういう事が起こりますか?
五十嵐
 金融収縮が起きた時はーー今までは不美人競争で比較的日本円、日本国債が安全資産だという事で実は買われていた。だけど本格的な金融収縮が起きた時には、例えばアラブのおカネも「日本国債も危ないのでは」と引き上げられる。ヨーロッパも、ギリシアを未だに抱えて負担になっているので、比較的安全な日本国債を買っていた。でも、それどころじゃないやと言って、日本国債も手放すという状態になりやすい。
 その時には、日本国債も暴落が起きて、利率が高くなって、とてもじゃないけど計算した10数兆円や20兆円の公債費では間に合わなくなってくる。そうすると日本の場合は、たちまちのうちにーー福祉や年金、医療費等をすぐに減らす訳にはいきませんからーーそうすると借金がまた増える、あるいは借金が出来なくなる可能性がある。
 これは、ある意味で「株安・債券安」の同時発生。今までは株が下がると日本国債が買われるという形でバランスが取れていたのが、両方とも安くなるという事が起きると今度は手がつけられなくなる。その時は何が起きるかというと、物価の高騰が起きると思います。貧しい人たちは暮らしていけなくなる。
鳥巣
 僕が何故このテーマをやっているかといえば、そこがいちばん怖いから。
五十嵐
 いちばん怖いのは、「3安」ですよ。要するに「通貨安・債券安・株安」。この3安が同時に来た時には、経済理論的には手の打ちようがない。


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五十嵐元財務副大臣インタビュー①「現時点での日本の借金総額は1300兆円余りになります」

 五十嵐文彦・元財務副大臣をさる4月都内某所で3時間に及ぶロングインタビュー。日本の国家財政問題について語って頂きました。
 テーマは「今、何が起きているのか? これから何が起きようとしているのか?」ーー。

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衝撃的だった与謝野氏の「あと100兆円しかないんだよ」

五十嵐
 今日はコーヒーで。
鳥巣
 先生は確か紅茶がお好きでしたよね。いまだに覚えています。2010年、民主党参議院議員で財務副大臣だった先生のお部屋に行った時に、あの美味な紅茶を頂いた。一口飲んで「おいしいなぁ!」と思ったものです。その感激はいまだに残っている(笑)。
五十嵐
 そうなんです。本当は紅茶が好きなんです。
鳥巣
 さて早速なんですが、今日お伺いしたいのはーー今、何が起こっているのか? という事です。国民のみなさんも知りたいだろうし、僕自身も知りたい。
 でも、その本題に入る前に、ちょっと遡らせて頂きたい。先生と初めてお会いして取材をさせて頂いたときーーつまり2010年くらいなんですけどーーあの当時、取材を重ねていた僕が特に衝撃的だったのは与謝野馨さんのインタビュー。
五十嵐
 はい。

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鳥巣
 財務大臣もやられた経験もある与謝野馨さん。そのときに僕に「実は、あと100兆円しかないんだよ」と言われたんです。今になってみれば分かるんですけど。その当時は額が兆単位もあって、あまりピンと来なくてですね(苦笑)。それで「みんな心配してくれてるんだ」という話で。ああ・・日本の財政問題は思っていた以上に切迫してるんだなという感じはありました。

(国民の金融資産-住宅ローン等借金)-国の公的債務

鳥巣
 その少し前に、民主党の円より子先生をインタビューをしました。当時与党民主党から五十嵐先生と円議員、みんなの党から渡辺喜美議員、民間からエコノミストの髙橋洋一氏、長谷川慶太郎氏、堀江貴文氏、そして財務省主計局などのインタビューをまとめた本の中に一緒に登場して頂きました。自民党総裁谷垣氏には結果的には時間切れで出て貰えなかった。
 本のタイトルは、「絶体に受けたい授業『国家財政破綻』」。

絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

 さらに本を出した後に引き続き、財務省主計局、自民党の林芳正議員、公明党の西田まこと議員などに取材を重ねていきブログにアップし始めた。5年目になります。




 で円先生の場合は「あと300兆円」という言い方をされてたんですよ。円さんと与謝野さんおふたりの計算方法は、たぶん・・。
五十嵐
 違うんですよね。はい・・。
鳥巣
 おそらく与謝野さんの方は、国債と地方債は入れて・・。
五十嵐
 もちろん、地方債は入れますよね。
鳥巣
 あと財投債が入ったり。
五十嵐
 基本的に言うと、与謝野さんが「あと100兆円」と言ったのは、個人の金融資産。
鳥巣
 当時、日本国民の金融資産が1477兆円くらいだったですよね。
五十嵐
 与謝野さんが言ったのは、それと日本の全体の公的債務との差が、あと100兆しかないという事だと思いますね。たぶん・・。


国の総借金額は現在1000兆余ではなく1300兆円余


鳥巣
 となると、公的債務をいくらと計算しているのでしょうか。
五十嵐
 国債そのものは今900兆円弱ですけども、その他に地方の債務がある。日本は地方政府の債務も保障していますから、それを足す訳です。それに短期証券とその他の債務もありますから。それを足すと・・もうそれこそ現時点で1300兆円くらいあるんじゃないですかね。
鳥巣
 ははぁ。


この5年で個人金融資産が264兆円も増えて救済された


五十嵐
 それで個人の金融資産はいま1700兆円近くになっていると思いますけども。かなり差は少ない。
鳥巣
 2015年の末で1721兆円になっています。

【鳥巣注】
日銀が2016年6月17日に発表した資金循環統計によると、個人(家計部門)が保有する金融資産の残高は2015年度末時点で、前年度末比0・6%減の1706兆円となり、7年ぶりのマイナスとなった。


五十嵐
 (2010年当時と比べると)その後、とにかく劇的な増え方をしている。
鳥巣
 財務省に行った時も聞いたんですよ。先生にインタビューをしてから今日までの5年ほどの間に264兆円増えているんです。僕が思ったのは、海外から還流させたものじゃないかとずっと思ってたので聞いたんです。それに対して財務省の答え方は「直接カウントの中には入っていないけれども、原資として金融資産の方に回っているのはあり得るでしょう」と。
 よく新聞などで「300兆円の内部留保」という言い方をされますけども・・。
五十嵐
 ”内部留保”というのは、企業の方ですから。個人の金融資産には入らない。

金融資産には住宅ローン等の借金が300兆円余含まれる


五十嵐
 もっとも、「金融資産」といっても、「生命保険」なんかも入ってるんですよね。だから、それは機関投資家である生保会社が国債を買ったりしている訳ですから。
 そういう意味では、そんなに余裕があるという訳ではないですね。
鳥巣
 日本人個人の金融資産がもし1500兆円くらいだったらば、もう越えているはずなんです。(1500兆円-国の借金1300兆円-国民の住宅ローン等の借金=?)。ただ、国民の借金の住宅ローン等には「300~400兆円」という幅はありますが・・。現在は1700兆円に増えて、(1700兆円-国の借金1300兆円-国民の住宅ローン等の借金=?)とりあえず延命できている。
 引き算がマイナスになるという事は、つまりは国民の預金等を活用して国債を買っている国内の機関投資機関の資金源が枯渇することを意味する。

【機関投資家】
 顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称。一般に機関投資家と呼ばれるグループをいくつか挙げると、「投資顧問会社」、「生命保険会社」、「損害保険会社」、「信託銀行」、「投資信託会社」、「年金基金」などが主なものである。

五十嵐
 かなり余裕のないところに来ているのは確かだと思いますね。最近、そういうことを、あまり出さなくなってきた。

財務省も下手するとどこで国債金利が跳ね上がるかを警戒


鳥巣
 財務省に行って、いちばん変わったのは、やはり”情報管理”。厳しくなりましたね。
五十嵐
 下手すると、どこで国債(金利)が跳ね上がるか分からないからですよ、それは(苦笑)。
鳥巣
 前はーー民主党政権下で五十嵐先生が財務副大臣をされていた頃はーー電話で取材して「あとでチェックして下さい」。それもブログに載せたあとにチェックして下さいみたいな。信頼もあって、割と融通がきいたんです。今は事前に必ず広報課に取材を申し込み、担当課の許可を得て、取材をしたあとも原稿チェックが義務付けられています。


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五十嵐元財務副大臣インタビュー「必ず少子高齢化も財政危機も経済低迷も乗り越えられるでしょう」

 
 五十嵐文彦・元財務副大臣にロングインタビューをしました。

 
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 五十嵐氏、そして私は現在60歳代。それぞれ20歳代の子どもがいます。
 国家財政の問題は幅広い年齢層と関わるのですが、とくに若者世代にとっては、かけがえのない「未来」。

  私は五十嵐氏のインタビューをした後、原稿をまとめながら、公表することに逡巡するところもありました。「若者にとって、あまりにも過酷な未来ではないのか?」という思いからです。その旨を五十嵐氏に伝え、公表する意義も問いました。
 五十嵐氏は、以下のメールを送ってこられました。そこには若者へのメッセージが託されていたのですが、「日本の若者の未来」を信じようとする意志が込められていました。

<日本人は「小さい政府」「改革」「民営化」「グローバル化」といった言葉のイメージだけに情動的に反応し、マスコミに簡単に誘導され、判断を誤りがちです。世界経済がカジノ経済化し格差や不平等が拡大している中で、日本の立ち位置を見極め、大きな目標を立てて戦略的に立ち向かう主体的な若者世代を育てなければなりません。カギは地域文化とモラルを重視した社会関係資本の構築ではないかと思っています。若者たちが正しいものの見方を身に着け、自信と希望を取り戻せば、少子高齢化も財政危機も経済低迷も乗り越えられるでしょう。


 私も、日本の若者を信じようと思い、インタビュー全15回を公表する事にしました。未来を語る1歩にならんことを祈ってーー。

                           2016年6月6日






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鳥巣清典の時事コラム1612「世界経済を理由に増税先送りの説明には無理がある(熊谷氏)」

『ウェークアップ! ぷらす』(日テレ系)。タイトルは「新しい判断 消費増税再延期を決定 与野党論客と徹底討論」。




「アベノミクスの果実を社会保障の財源に充てます」

辛抱
 消費税増税は先送りーーこの判断はどうなんだ? 
司会
 安倍総理は「参議院選挙で真意を問うと語っていました。不足する社会保障財源には、アベノミクスの果実を当てるとしました。果たしてそこに果実はあるのでしょうか? 疑問を考えます。
「アベノミクスの果実の活用も含め、財源を確保して優先して実施していく、その果実も使って可能な限り社会保障を充実させてまいります」(安倍総理)
 消費増税先送りと引き換えに社会保障の財源として安倍総理が口にした「アベノミクスの果実」。果たしてそんなものが実際にあるのだろうか。
「現在、有効求人倍率は24年ぶりの高い水準となってます。中小企業の倒産も政権交代前から3割減少しています」(安倍総理)

「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期」


ーー通常国会閉幕後に開かれた会見で安倍総理がまず強調したのがアベノミクスの成果。その後、中国など新興国の経済に陰りが見えるなどと世界経済の現状に言及。そのリスクに備える必要があるとして消費増税の再延期を表明した。
「リスクには備えなければならない。今そこにあるリスクを正しく認識し危機に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだと考えます。内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきである」(安倍総理)

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ーーここで疑問が、安倍総理の言うように日本の経済が好調なら今増税すべきなのでは? このタイミングを逃すと一体いつ上げるのか? 今回の消費税増税の再延期は根拠に乏しいという指摘も。

<世界経済を理由に増税先送りの説明には無理がある>


「主に新興国のデーターを主として集めてきた。世界経済はそこまで弱い状況ではないので、この世界経済を理由に増税を先送りするというのは、なかなか説明としては難しいという印象です。本音ベースでは国内経済、とくに消費のところが弱いという事があって、ここをかなり懸念をして増税をした」
熊谷 亮丸・大和総研チーフエコノミスト



ーーそもそも消費増税は4年前、当時政権の座にあった民主党と野党の自民党・公明党の3党合意で決まった。
これにより消費税率は2014年4月に8%に。2015年10月には10%に段階的に引き上げられる予定だったがーー「再び延期する事はない。ここで皆さんに、はっきりとそう断言致します。必ずやその経済状況をつくり出す事が出来る」(安倍総理)
ーー一昨年安倍総理は10%への税率引き上げを先送りし、その判断の是非を国民に問うとして衆議院を解散。総選挙で与党が大勝を収めた。その後もリーマン・ショック級や大震災級の事態が起きない限り消費税を引き上げると明言していたはずの安倍総理。


「新しい判断について参議院選挙で国民の真意を問う」


 これまでとの説明との食い違いについてーー「現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していない。それが事実であります。熊本地震を大震災級だとして再延期の理由にするつもりももちろんありません。今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる新しい判断であります。新しい判断について国政選挙であるこの参議院選挙を通して国民の真意を問いたいと思います」(安倍総理)
ーー衆議院を解散せず、参議院選挙で国民の真意を問うとした安倍総理。しかし与党内からは、こんな声も。「増税を延期されるのであれば、前し回の選挙との整合性で国民の信を問うべきである」(稲田政調会長)。

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「伸ばすというのであれば、もう1回選挙をして信を問わないと筋が通らない」(麻生財務相)
ーー増税派の麻生財務相は最後まで衆参W選挙を求めていたが、月曜日安倍総理と会談し最終的に総理の考えを容認した。「結果が大事、私の気持なんか関係ありませんよ。出来レース? そうあなたが思っても、ちっとも構いませんよ」(麻生財務相ー記者会見で)

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「おいしい話だけでは駄目だと思います」(小泉進次郎議員)


ーー安倍総理の決断に対し、こんなに異論が広がるのは税収の穴埋めの見通しが示されないまま増税先送りが先行して実施される事への懸念が背景にある。「消費税を延期をする。だけど決まっている社会保障の充実は予定通りやりますというのは、そんなおいしい話だけでは駄目ですよね。どこに財源があるのか?」(小泉進次郎・自民議員)

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ーー消費税率を8%から10%に引き上げる事で5・8兆円程度増えると見込まれていた税収。それを子育て支援や低所得者支援などの社会保障の充実や財政赤字の削減に使うはずだった。安倍総理は増税先送りのツケをどう払っていくつもりなのか。
「引き上げた場合と同じ事を全て行う事は出来ないということはご理解を頂きたい」(安倍総理)
ーー全ての社会保障は行えないとしつつ、子育て世代の支援などは約束通り進めるという安倍総理。その財源についてはーー「アベノミクスを一段と加速する事によって税収を一段と増やしていきたい。そしてその果実も使って可能な限り社会保障を充実させてまいります。いずれにせよ優先順位をつけながら今後の予算編成の中で努力をしていく考えであります」(安倍総理)
ーー社会保障の財源は、アベノミクスの果実でと語り、結局具体的な財源を語る事はなかった。アベノミクスの果実とは、一体何なのか?

<アベノミクス景気は一過性の可能性がある(熊谷氏)>


 以下、前出・熊谷氏が解説。
「アベノミクスで景気が良くなってくると、それによって例えば所得税とか法人税とか言われるような直接税の税収がかなり増えてくる。ただ問題は、景気が良くなるのがいつまでも続くかと言われると一過性である可能性がある訳ですから。今税収が上がったからといって、それに頼ってしまうと将来的には社会保障費が拡大していくなかで、日本の財政は非常に厳しいものになる可能性がある」
(中略)


<P・B黒字化が不可能だと金利が跳ね上がる可能性も>


ーープライマリー・バランスの黒字化。財政再建への影響。これがどう私たちに直撃するのでしょうか。現在、国の収入と支出のバランスですが、支出の方が多い状況です。今年度だけで赤字は16・6兆円。そこで政府は、国際公約として2020年度には収入と支出のバランスをプラス・マイナス0、あるいは黒字化にするという事を言って来たのですが、もし黒字化できなければ国際公約が守られない訳です。日本の国債の信用度も落ちてしまう。そうなってくると、私たちの生活に直撃する事があります。
「国民にとっては、おカネを借りる金利が非常に大きく上がってしまう。もしくは銀行が貸し渋りをやる可能性がある。国民はおカネが借りられなくなって非常に厳しい生活になってくる。同時に株などが暴落すれば、その時は日本の企業の経営が非常に厳しくなって、企業収益も減って国民の給料は減る。このまま財政赤字を放置しているといずれは市場から非常に大きなしっぺ返しを食う可能性があります」

 
 

鳥巣清典の時事コラム1611「社交ダンスを始めて、初めて音が聴こえつづけたのでした」

 私にとっての”記念すべき”出来事が起こりました。
 先月、今月とレッスンは「ワルツ」。
 ナチュラルスピンターン~リバースターン~ウイスク~シャッセナチュラルターン~ヘジテ―ション~レフトホイスク~コントラチェック~シャッセナチュラルターン~バックホイスク~シャッセ。このあたりまで、踊り始めてからヘッドホーンで音楽を聴いているかのように、耳元でーーより正確にはヘッドホーンで聴くように頭の上あたりでーー部屋隅のラジカセから流れているワルツ曲が聴こえつづけたのでした。
 音楽とリズムと踊りに一体感があり、あれほどまでに気持ちの良い浮遊感を味わった事はありませんでした。1度だけだったのは、以外は足型のミスとか夾雑物に気を取られた事で要は集中力が削がれたのでしょう。
 
 


 続いて、クイックオープンリバース~ハイホバー~セイムフットランジ~ネックチェンジ~バックホイスク~シャッセナチュラルターン~スピンターン~ダブルロック~スローオーバースエイ~PP辺りまで足型は何とか・・。
  とはいってもこの辺り、例えば<オーバースエイ>では、
「左足を沈めておいてからーー下から持ち上げるように」
  とK先生の指導。単に横に移動する動きが全体的に目立ったのでしょう。
  膝の屈伸を使うこの下から上への動き。今回は他にも、
「スプーン―ー下から掬うように・・」
 個人的に後を追い、水分補給に向かうK先生に教えを請うた時もそのような助言。私にとって「スプーン」というステップを見るのは初めてだったので印象に残りました。「見る」のと「やる」のは全く違う難しさがあるのは、いつもの事なのですが・・。

 忘れてならないのは、
「ハイホバー~セイムフットランジに移行する時も、男性は単に横へ移動するのではなく、ヒザを曲げて下から上斜めへと動く」
 
スローオーバースエイも以前K先生に質問して言われたことがあります。
「ヘソは女性に向かい。視線は女性の頭の上~向こう側を見る」


 とにかく毎回、新しく教わることばかり。私が先輩たちに「
レフトホイスク~コントラチェック~シャッセナチュラルターン」の辺りの動きについてアドバイスを受けていたら、ピアノ調律師のТ氏が登場。
「ワルツはスイング。レフトホイスクの後も、ぐーんと下から上へ。軽くては駄目。ぐーんと!そして123。コントラチェックは、1234ー5の5で前へ構えてPPの6。(スロー&スローの)123、123なら簡単。ただし、ここまで来るには大変だけどね」
 とくにレフトホイスク後のスイングを強調したダイナミックさにはびっくり。もちろん、コントラチェックの話には、ただただ聞き入るばかりでした。


 レッスンの後、K先輩と喫茶店へ。
「ピアノの先生とペアを組んだことがある。ピアノを弾いてたから、音感が鋭い。”リズムが違うわよ!”ーー私のリズムが少しでも違っていると、たとえパーティーの最中ホールの真ん中でも踊りを止めて立ち止まるんだからね。あれには、まいった」などと昔話に花を咲かせてくれました。
 「パーティでワルツなどをリードする時には、少しだけリズムを遅くしてあげるんです」と教えてくれたH副会長の話も刺激になっています。リッスン、リッスンーー。
 K先輩は私の「ワルツの音が聴こえ続けた」という話には、
「私より時期的には早いよ」
 おそらく初体験で稚気になっている私を喜ばせてくれたのでしょう。
「とにかく良かったじゃないか。これから他のルンバやチャチャチャでも曲が聴こえてくるようになると思うよ」
「さあ、どうでしょうか。速いテンポのラテンは苦手なようです。とにかく、ワルツは好きなんです。スローも好きになるかもしれません。”好きこそ物の上手なれ”と言いますが、だから音楽が聴こえてきたのかも・・」
「だけど、タンゴも面白いよ」
「ほんと、人それぞれなんですね。全日本でも優勝したようなプロの講演を
YouTubeで見たんです。その人は”ある時期、この世の中からタンゴが失くなればいい!と呪ったこともある”と言っていました」
「とにかく社交ダンスは、楽しいよ。楽しまなくちゃ。いろんなものを覚えなくちゃいけないから大変なのだけど、80歳を過ぎてもおかげで呆けてる
ヒマがないよ」
 最後は、大笑い。

 という具合に社交ダンスは、大人のーーというよりシルバーのーーおもちゃかもしれません。このおもちゃ売り場にはお客の好奇心や追求心に応じて、単なる玩具から、緻密で高級な物までいろいろ取り揃えてあります。

鳥巣清典の時事コラム1610「政府 “一億総活躍社会”工程表や骨太の方針など決定」

政府 “一億総活躍社会”工程表や骨太の方針など決定

NHK



政府は2日の閣議で、保育士や介護職員の処遇改善などを盛り込んだ、一億総活躍社会の実現に向けた工程表のほか、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」など、今後の政策の方向性などを示す5つの文書を決定しました。

政府は、安倍総理大臣が掲げる「GDP=国内総生産600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の達成に向け、2日の閣議で、一億総活躍社会の実現に向けた工程表「ニッポン一億総活躍プラン」、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」、新たな成長戦略、規制改革実施計画、それに「まち・ひと・しごと創生基本方針」の5つの文書を決定しました。
このうち、「ニッポン一億総活躍プラン」には、保育士の処遇を来年度から新たに2%相当、月額6000円程度改善することや、介護職員の処遇を来年度から月額平均1万円相当改することが盛り込まれています。
さらに、現在4割の正社員と非正規労働者の平均賃金の格差を2割程度に縮小することを目指すとしています。
そのうえで、これらの政策を通じて、「成長と分配の好循環」を構築し、一億総活躍社会を実現するとしており、その財源には、税収の増加分や歳出改革の成果、失業給付の減額分などを「アベノミクスの成果」として活用するとしています。

「ニッポン一億総活躍プラン」とは

政府は2日の閣議で、同一労働同一賃金の実現に向けて、正社員と非正規労働者の平均賃金の格差を2割程度に縮小することを目指す方針や、保育士や介護職員の処遇を改善することなど盛り込んだ、一億総活躍社会の実現に向けた工程表を決定しました。
決定された工程表・「ニッポン一億総活躍プラン」によりますと、同一労働同一賃金の実現に向けて、労働契約法など3法の一括改正などを検討し、現在4割の正社員と非正規労働者の平均賃金の格差を2割程度に縮小することや、
労使合意があれば上限なく時間外労働が認められる36協定の在り方を再検討し、週に49時間以上働く人の割合を1割程度に減らすことを目指すとしています。
また、「希望出生率1.8」の実現に向けた子育て支援策として、保育士は来年度から新たに2%相当(月額6000円程度)、処遇を改善することに加え、経験を積んだ保育士については、すべての産業の女性労働者の平均賃金との月額4万円程度の賃金差を解消するなどとしています。
さらに、「介護離職ゼロ」に向けて、介護職員の処遇を来年度から月額平均1万円相当、改善することなどを盛り込んでいます。
一方、返済の必要のない給付型奨学金については、政府与党内に慎重論があることも踏まえて、創設に向けて検討を進めるとするにとどめています。

「骨太の方針」とは

政府は2日の閣議で、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」を決定し、来年4月の消費税率の引き上げを2年半再延期する一方、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するとした財政健全化目標を堅持するなどとしています。
閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」では、安倍総理大臣の1日の記者会見を踏まえて、来年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを、2019年・平成31年10月まで2年半再延期することが明記されました。
また、
国と地方を合わせた基礎的財政収支=プライマリーバランスを2020年度・平成32年度までに黒字化するとした財政健全化目標を堅持するとしています。
一方、去年の「骨太の方針」にあった、2018年度に基礎的財政収支の赤字をGDP=国内総生産と比べて1%程度に縮小するとした中間目標は盛り込まれませんでした。
このほか、同一労働同一賃金の実現、保育士や介護職員の処遇改善、それに個人消費を喚起するための賃上げの実現など、一億総活躍社会の実現に向けた政策を通じて「成長と分配の好循環」を構築するとしています。
また、これらの政策を実行するための財源について、税収の増加分や歳出改革の成果、失業給付の減額分などを「アベノミクスの成果」と位置づけ、活用するとしています。
政府はこの「骨太の方針」に基づいて、来年度・平成29年度予算案の編成に当たることにしています。

「新たな成長戦略」とは

政府は2日の閣議で、GDP=国内総生産600兆円の実現に向けて、3年以内に小型の無人機=ドローンによる荷物配送の実現を目指すことや、2020年度から小学校でプログラミング教育を必修化することなどを盛り込んだ、新たな成長戦略を決定しました。
それによりますと、AI=人工知能を駆使した新たな成長市場を創出する「第4次産業革命」を実現するため、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに自動車の高速道路での自動運転を、3年以内に小型の無人機=ドローンを使った荷物配送の実現を目指すとしています。
さらに、ロボットやドローンを災害現場での捜索や救助などに活用するため、技術開発を積極的に進めていくことが盛り込まれています。
また、技術革新を支える人材を生み出すため、2020年度から小学校で、2021年度から中学校で、プログラミング教育を必修化することや、高度な技術を持った外国人への永住権の付与を迅速化することなども打ち出しています。
さらに、「第4次産業革命官民会議」を設置し、予算や人材を配分する重点分野の決定などを行うとしています。

「規制改革実施計画」とは

政府は2日の閣議で、いわゆる民泊を普及させるため、現在は営業が認められていない住居専用地域でも民泊を行えるようにする新法を今年度中に国会に提出することなどを盛り込んだ規制改革実施計画を決めました。
計画には、規制改革会議が先月提出した答申を受けて、政府が今後取り組む80の規制緩和策や制度の見直しの方針が盛り込まれています。
具体的には、いわゆる民泊の普及を図るため、家主が同居するか施設に管理者を置けば届け出によって営業を認めることや、現在は営業が認められていない住居専用地域でも営業できるようにすることなどを盛り込んだ新法を今年度中に国会に提出するとしています。
また、牛乳などの原料となる生乳の流通を農協の連合会などがほぼ独占している今の制度について、酪農家の所得向上を図るため、ことし秋までに制度の是非を含めた抜本的改革を検討するとしています。
このほか、外国人旅行者が過去最高となっていることを受けて、国家資格である通訳案内士に限られている有料での外国語による旅行案内業務を、通訳案内士以外もできるようにすることなども盛り込んでいます。

「まち・ひと・しごと創生基本方針」とは

政府は2日の閣議で、地方創生に向けて、全体の4割を超える市町村で全国平均の2倍以上の速度で人口が減少していくという試算を示したうえで、地域の特性に応じた政策を整備して支援するなどとした、新たな基本方針を決定しました。
それによりますと、国立社会保障・人口問題研究所の地域別の将来推計人口を基に分析した結果、全体の4割を超える705の市町村では、平成52年までの30年間に、全国平均の2倍以上の速度で人口が減少していくという試算を示しています。
そのうえで、地方創生に向けて、地域のしごと作りや地方経済の生産性の向上、それに国の機関の地方への移転などに、引き続き取り組むとともに、地域の特性に応じた戦略を強化し、これに対応する政策メニューを整備するとしています。
また、「地方創生は国による全国一律の取り組みではなく、地域ごとに異なる資源を、地方みずからが生かす取り組みだ」として、国は情報、人材、財政の「地方創生版3本の矢」で伴走的な支援を続けるとしています。



鳥巣清典の時事コラム1609「首相 会見で消費税率引き上げ2年半再延期を表明」

首相 会見で消費税率引き上げ2年半再延期を表明

安倍総理大臣は、国会の会期末に合わせて総理大臣官邸で記者会見し、「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げを、2019年、平成31年10月まで、2年半再延期する考えを表明しました。また、みずからの判断について国民の信を問うため、夏の参議院選挙では、自民・公明両党で改選となる121議席の過半数の61議席の獲得を目指す考えを示しました。

この中で、安倍総理大臣は「新興国や途上国の経済が落ち込んで、世界経済が大きなリスクに直面しており、こうした認識を伊勢志摩サミットで世界のリーダーたちと共有した。熊本地震の影響も含め、日本経済にとって新たな下振れリスクとなっており、最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがある」と述べました。そして「世界経済は想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。リーマンショックのときに匹敵するレベルで、原油などの商品価格が下落し、さらに投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついている」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なるが、危機に陥ることを回避するため、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げを再延期する考えを表明しました。
そして、再延期する期間について「2020年度の財政健全化目標は堅持する。そのためギリギリのタイミングである2019年10月には消費税率を引き上げることとし、30か月延期することとする。その際に軽減税率を導入する」と述べました。
さらに「アベノミクス『三本の矢』をもう一度力いっぱい放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋講じる考えだ」と述べ、経済対策を盛り込んだ今年度の補正予算案を編成する考えを示しました。
また、消費税率の引き上げを前提とした社会保障の充実策を赤字国債によって行うことはできないとする一方、保育士や介護職員の処遇改善など「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込まれた施策は優先的に実施していく考えを示しました。そして、アベノミクスを加速することで税収を増やし、その成果を生かしながら、消費税率の引き上げを待たず、優先順位をつけて社会保障を充実させていく方針を示しました。
一方、「1年半前、衆議院を解散するにあたって、私は消費税率の10%への引き上げについて『再び延期することはない』とはっきりと断言した。今回の『再延期する』という私の判断は、これまでの約束とは異なる『新しい判断』であり、『公約違反ではないか』との批判があることも真摯(しんし)に受け止めている」と述べました。
そのうえで「『新しい判断』について、この参議院選挙を通して国民の信を問いたい。国民の信を問う以上、目指すのは連立与党で改選議席の過半数の獲得だ。アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのかがが、参議院選挙の最大の争点だ」と述べ、参議院選挙では、自民・公明両党で改選となる121議席の過半数の61議席の獲得を目指す考えを示しました。

引き上げ再延期 東京都内では

消費税率10%への引き上げを再延期することについて、東京都内で聞きました。
このうち、42歳の男性は「東京で働いているかぎりは経済は悪いとは思わないが、地方からはよくないという声を聞く。もし消費税率を引き上げると、消費が低迷してしまい、経済が鈍化すると思うので、現状から考えると延期は妥当だと思う」と話していました。
25歳の男性は「前回、消費税率が8%に上がった時影響が大きかった。また払う分が増えるので、金銭的にも余裕がないなかで上がるのは反対だ」と話していました。
一方で、25歳の女性は「消費税率が上がらないのはうれしいが、上がらなかったら、この先の税収がどうなるか心配です。これから先、私たちの世代が年金もらえるかわからないなかで、上げると決めたのであれば、上げたほうがいいと思う」と話していました。
58歳の女性は「選挙対策で先送りをしているだけのような気がする。将来のために上げるなら、上げておいたほうがいい。一方で、税金を上げた分はどこにいっているか分からないので、きちんと福祉に使ってほしい」と話していました。
47歳の男性は「消費税率を上げるなら、早く上げて、国家財政を立て直してほしい。無駄遣いはだめだが、保育所など、やらなければいけないところに財源を回すべきだと思う」と話していました。

被災地 熊本では

熊本地震の避難所の1つ、益城町の総合体育館で話を聞きました。
60代の男性は「消費税率が引き上げられずによかった。地震で被害を受けて、いろいろな物を買う必要があるので、税率が引き上げられると負担が大きくなる」と話していました。
60代の女性は「今後新しい生活が始まると、お茶碗1つ、お箸1つから買わないといけないので、税率が引き上げられると負担が大きくなる。延期はいいことだと思う」と話していました。

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消費増税再延期 国民が納得する説明を
西日本新聞

18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで、皆さんにはっきりと、そう断言します-。

 消費税率の10%引き上げの1年半延期を表明した2014年11月、安倍晋三首相は記者会見でこう語った。そして、その判断の是非を問うとして衆院を解散し、12月の衆院選で与党は圧勝した。

 それから約1年半。来年4月に実施されるはずだった10%への増税を今度は19年10月まで2年半先送りする方針を首相が決めた。あの「断言」は一体何だったのか。

 ▼アベノミクスの限界

 首相は前回の延期に際して、17年4月の増税を確実に実施するため、自らの名を冠した経済政策「アベノミクス」によって、「必ずや、その経済状況をつくりだす」と国民に約束した。

 では、アベノミクスの現状はどうか。大胆な金融緩和の恩恵は、大都市や大手企業には及んでいるのだろうが、地方や多くの国民は無縁のままだ。富が滴り落ちるように地方や中小企業も潤す「トリクルダウン」理論は、いまや絵空事との指摘さえある。

 厳しい経済状況にあえぐ国民には増税再延期を歓迎する声が強い。共同通信の世論調査によると、再延期への賛成は70・9%に及ぶ。景気の回復は遅れ、今は増税の時期ではない-多くの人がそんな実感を持っているからだろう。

 ましてや熊本地震の被災地は増税どころではない。そうした国民の生活実感に正面から向き合った判断だとすれば、再延期もやむを得ないかもしれない。

 であるなら、アベノミクスの失速と限界を首相は率直に認め、経済政策の見直しに取り組まねばならない。同じ調査では64・1%が「アベノミクスでは景気がよくなるとは思わない」と答えた。これもまた、国民の実感である。

 ▼ご都合主義の理由では

 ところが、アベノミクスの失速と前回の「公約」を守れなかったことを認めたくない首相は、事もあろうに、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の場で、唐突に「世界経済はリーマン・ショック前に似た危機に陥る大きなリスクに直面している」と言い出した。

 だから、G7はあらゆる政策を総動員する必要があり、消費税増税も再延期する-という論法である。首相としては「リーマン・ショックか大震災級の重大な事態が発生しない限り、予定通り税率を引き上げる」と繰り返した国会答弁との整合性に苦慮したのだろうが、ご都合主義ではないか。

 サミットでもドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相らが「今は危機とは言えない」などと反論した。国内外の経済専門家からも疑問が噴出している。

 取って付けたような再延期の理由では説得力を欠く。

 ▼財政再建の道筋は

 首相は「国民に直接説明したい」として、きょう再延期について記者会見する。ならば、首相には国民が納得できるように明快に説明してもらわねばならない。

 少子高齢化と財政難が同時進行する中で、消費税増税による増収分は全て社会保障の充実と安定化に充てることになっている。

 10%引き上げ時には充実策に1兆5千億円程度を回す予定だが、前回の延期でも低所得高齢者の介護保険料軽減が先送りになった。その結果、保険料が払えず資産が差し押さえられる高齢者が1万人を超える事態になっている。社会保障財源をどうするつもりか。

 首相は増税再延期でも、政策経費を借金に頼らない基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標の20年度実現は堅持するという。

 名目国内総生産(GDP)が3%以上の高い成長で、予定通り消費税を増税してもプライマリーバランスは黒字化できないという内閣府の試算もある。国の借金が1千兆円を超す中で、財政再建の道筋をどう描くのか。首相が新「三本の矢」の目標に掲げる1億総活躍社会の財源はどこにあるのか。

 再延期の幅を2年半としたのはなぜか。18年12月の自民党総裁任期満了をにらみ、次期衆院選や19年夏の参院選を念頭に置いたとすれば、党利党略との批判は避けられまい。首相に問いただしたいことは山ほどある。


=2016/06/01付 西日本新聞朝刊=

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消費税率引き上げ再延期 影響はどこに?



来年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げを、2019年(平成31年)10月まで2年半再延期することで、社会保障費の財源確保や、財政健全化目標の達成への影響が懸念されています。

政府は、予定どおり消費税率を8%から10%に引き上げた場合、軽減税率の影響を除いて、今よりも年間5.6兆円程度税収が増えると見込んでいます。この使いみちはすでに決められており、このうちのおよそ3分の2は高齢化によって膨らみ続け、赤字国債で補っている医療や年金などの社会保障費の財源に充て、残りの3分の1は社会保障の充実などに充てることになっています。このため、引き上げの再延期で、社会保障費の財源不足が続くことになるほか、所得の低い高齢者や障害者に対する年額6万円の福祉的給付や、基礎年金の受給資格が得られる期間を25年から10年に短縮するなどの社会保障の充実策の財源確保が難しくなります。

また政府は、一億総活躍社会の実現に向けた工程表「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込む保育士や介護職員の処遇改善に必要な財源には、「アベノミクスの成果」として税収の増加分や歳出改革の成果などを活用するため、再延期の影響はないとしています。しかし、これらの新たな施策も、必要な恒久財源をどのように確保するのかは明確になっておらず、今後の調整に委ねられていて、影響が出ることも予想されます。

一方、政府は財政健全化目標として、国と地方を合わせた基礎的財政収支=プライマリーバランスの2020年度(平成32年度)までの黒字化を掲げており、中間目標として、再来年度(平成30年度)には赤字をGDP=国内総生産と比べて1%程度まで縮小するとしています。これについて、ことし1月の内閣府の試算では、中長期的に実質2%以上、名目3%以上の高い経済成長を達成し、消費税率を予定どおり来年4月に10%に引き上げた場合でも、再来年度は9.2兆円程度、GDPと比べて1.7%程度の赤字となり、2020年度には6.5兆円程度の赤字が生じるとしています。
引き上げ延期によって、目標の達成がこれまで以上に険しくなることから、日本の財政に対する国際市場の信認が低下し、比較的な安全な資産と見られている円や日本国債の急落、ひいては長期金利、マイホームローンなど国民生活に直結する金利の上昇を招くのではないかという懸念も出ています。

鳥巣清典の時事コラム1608「消費増税再延期 首相があすにも正式表明へ」

消費増税再延期 首相があすにも正式表明へ


自民党の谷垣幹事長は、党の役員連絡会で、来年4月の消費税率の引き上げを2019年・平成31年10月まで2年半、再延期することについて、来月1日にも安倍総理大臣が正式に表明する見通しを示したうえで、党内の速やかな意見集約に向けて協力を要請しました。

この中で、谷垣幹事長は、来年4月の消費税率の引き上げについて、安倍総理大臣から、G7伊勢志摩サミットでの議論なども踏まえ、2019年10月まで2年半再延期する方針が示されたことを報告しました。
そして、谷垣氏は、今の国会の会期末の来月1日にも、安倍総理大臣が記者会見して、正式に表明する見通しを示しました。
そのうえで、谷垣氏は、「党が一致結束して、参議院選挙に臨む態勢を作ることが必要だ」と述べ、党内の速やかな意見集約に向けて協力を要請しました。一方、高村副総裁は、民進党など野党4党が、安倍内閣に対する不信任決議案を提出することについて、「不信任決議案は粛々と否決して、参議院選挙に勝てる態勢を早急に作っていきたい」と述べ、速やかに衆議院本会議で否決する方針を確認しました。

首相「与党で調整している」

安倍総理大臣は閣議の後の閣僚懇談会で、G7伊勢志摩サミットやアメリカのオバマ大統領の広島訪問について説明するとともに、来年4月の消費税率の引き上げを2019年・平成31年10月まで2年半、再延期することについて、「今、与党で調整していただいている」と述べ、与党内の調整を急ぐ考えを示しました。


麻生氏「個人消費伸ばすため増税再延期も選択肢」

来年4月の消費税率の引き上げを安倍総理大臣が2019年(平成31年)10月まで2年半、再延期する考えを示していることについて、麻生副総理兼財務大臣は閣議のあとの会見で「個人消費を伸ばすために再延期が1つの選択肢ということに反論しない」などと述べ容認する考えを示しました。

この中で麻生副総理兼財務大臣は来年4月の消費税率の引き上げを再延期することについて、「政府・与党内で調整されており、安倍総理大臣が最終的に判断する」としたうえで「日本経済でいちばんの問題はGDP=国内総生産の6割を占める個人消費が伸びていないことだ。個人消費を堅調に伸ばすために消費税の再延期が1つの選択肢だということは反論しない」と述べ、再延期を容認する考えを示しました。
そのうえで麻生副総理は「財政再建を諦めているわけではない。基礎的財政収支=プライマリーバランスについても最大限努力する姿勢に変わりはない」と述べ、今の財政健全化目標を踏まえ財政の立て直しに取り組む考えを示しました。

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PS

 
友人の経営者が「麻生太郎の話をYouTube で見ると面白いよ」と勧めてくれました。著書は何冊か読んでいたのですが、映像はありませんでした。たしかに面白くて、2時間ちかく見続けました。

「麻生太郎」の画像検索結果

 最後に三橋貴明氏との”元気対談”を見て、友人が何故視聴を勧めてくれたかが分かるような気がしたものです。
 私はその夜に電話を入れました。「面白かった。同じ福岡だし好きだよ。ただ、ポイントがある。麻生氏が言っている。『アベノミクスに反対する勢力は、”経済成長は出来ない”という前提に立っている』ーーと。そこがポイント。俺も日本人として”日本はまだやれる。成長できる”と思いたい。思いたいけれど、アベノミクスをやっても実質成長率は0%。そこにカンフル剤を打って何とか奮い立たせようとしている」
 すると、電話口の友人が言いました。
「そうなんだよ。東京は人口が1300万人もいる
東京、神奈川、千葉、埼玉の東京圏の人口は、5年前と比較して50万人も増加。3613万人となり、総人口の4分の1以上を占めているというからビジネスも出来る。地方はどんどん人口が減っていく。少子化高齢化の影響は続いていく。商売が成り立たない。疲弊していくばかり・・」

 私は添えました。
「麻生さんがこうも言っているーー『先を読めないと駄目』。現実は国内になかなか投資をしようとはしない。多くの経営者が同じような考えを持っているのじゃないか?」
 電話を切ってから虚しさも過ったのでした。

 私の祖父は地方の政治家でしたがーー麻生氏を見た後は特にーー私のDNAにはその素質は希薄のようです。