五十嵐元財務副大臣インタビュー①「現時点での日本の借金総額は1300兆円余りになります」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー①「現時点での日本の借金総額は1300兆円余りになります」

 五十嵐文彦・元財務副大臣をさる4月都内某所で3時間に及ぶロングインタビュー。日本の国家財政問題について語って頂きました。
 テーマは「今、何が起きているのか? これから何が起きようとしているのか?」ーー。

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衝撃的だった与謝野氏の「あと100兆円しかないんだよ」

五十嵐
 今日はコーヒーで。
鳥巣
 先生は確か紅茶がお好きでしたよね。いまだに覚えています。2010年、民主党参議院議員で財務副大臣だった先生のお部屋に行った時に、あの美味な紅茶を頂いた。一口飲んで「おいしいなぁ!」と思ったものです。その感激はいまだに残っている(笑)。
五十嵐
 そうなんです。本当は紅茶が好きなんです。
鳥巣
 さて早速なんですが、今日お伺いしたいのはーー今、何が起こっているのか? という事です。国民のみなさんも知りたいだろうし、僕自身も知りたい。
 でも、その本題に入る前に、ちょっと遡らせて頂きたい。先生と初めてお会いして取材をさせて頂いたときーーつまり2010年くらいなんですけどーーあの当時、取材を重ねていた僕が特に衝撃的だったのは与謝野馨さんのインタビュー。
五十嵐
 はい。

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鳥巣
 財務大臣もやられた経験もある与謝野馨さん。そのときに僕に「実は、あと100兆円しかないんだよ」と言われたんです。今になってみれば分かるんですけど。その当時は額が兆単位もあって、あまりピンと来なくてですね(苦笑)。それで「みんな心配してくれてるんだ」という話で。ああ・・日本の財政問題は思っていた以上に切迫してるんだなという感じはありました。

(国民の金融資産-住宅ローン等借金)-国の公的債務

鳥巣
 その少し前に、民主党の円より子先生をインタビューをしました。当時与党民主党から五十嵐先生と円議員、みんなの党から渡辺喜美議員、民間からエコノミストの髙橋洋一氏、長谷川慶太郎氏、堀江貴文氏、そして財務省主計局などのインタビューをまとめた本の中に一緒に登場して頂きました。自民党総裁谷垣氏には結果的には時間切れで出て貰えなかった。
 本のタイトルは、「絶体に受けたい授業『国家財政破綻』」。

絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

 さらに本を出した後に引き続き、財務省主計局、自民党の林芳正議員、公明党の西田まこと議員などに取材を重ねていきブログにアップし始めた。5年目になります。




 で円先生の場合は「あと300兆円」という言い方をされてたんですよ。円さんと与謝野さんおふたりの計算方法は、たぶん・・。
五十嵐
 違うんですよね。はい・・。
鳥巣
 おそらく与謝野さんの方は、国債と地方債は入れて・・。
五十嵐
 もちろん、地方債は入れますよね。
鳥巣
 あと財投債が入ったり。
五十嵐
 基本的に言うと、与謝野さんが「あと100兆円」と言ったのは、個人の金融資産。
鳥巣
 当時、日本国民の金融資産が1477兆円くらいだったですよね。
五十嵐
 与謝野さんが言ったのは、それと日本の全体の公的債務との差が、あと100兆しかないという事だと思いますね。たぶん・・。


国の総借金額は現在1000兆余ではなく1300兆円余


鳥巣
 となると、公的債務をいくらと計算しているのでしょうか。
五十嵐
 国債そのものは今900兆円弱ですけども、その他に地方の債務がある。日本は地方政府の債務も保障していますから、それを足す訳です。それに短期証券とその他の債務もありますから。それを足すと・・もうそれこそ現時点で1300兆円くらいあるんじゃないですかね。
鳥巣
 ははぁ。


この5年で個人金融資産が264兆円も増えて救済された


五十嵐
 それで個人の金融資産はいま1700兆円近くになっていると思いますけども。かなり差は少ない。
鳥巣
 2015年の末で1721兆円になっています。

【鳥巣注】
日銀が2016年6月17日に発表した資金循環統計によると、個人(家計部門)が保有する金融資産の残高は2015年度末時点で、前年度末比0・6%減の1706兆円となり、7年ぶりのマイナスとなった。


五十嵐
 (2010年当時と比べると)その後、とにかく劇的な増え方をしている。
鳥巣
 財務省に行った時も聞いたんですよ。先生にインタビューをしてから今日までの5年ほどの間に264兆円増えているんです。僕が思ったのは、海外から還流させたものじゃないかとずっと思ってたので聞いたんです。それに対して財務省の答え方は「直接カウントの中には入っていないけれども、原資として金融資産の方に回っているのはあり得るでしょう」と。
 よく新聞などで「300兆円の内部留保」という言い方をされますけども・・。
五十嵐
 ”内部留保”というのは、企業の方ですから。個人の金融資産には入らない。

金融資産には住宅ローン等の借金が300兆円余含まれる


五十嵐
 もっとも、「金融資産」といっても、「生命保険」なんかも入ってるんですよね。だから、それは機関投資家である生保会社が国債を買ったりしている訳ですから。
 そういう意味では、そんなに余裕があるという訳ではないですね。
鳥巣
 日本人個人の金融資産がもし1500兆円くらいだったらば、もう越えているはずなんです。(1500兆円-国の借金1300兆円-国民の住宅ローン等の借金=?)。ただ、国民の借金の住宅ローン等には「300~400兆円」という幅はありますが・・。現在は1700兆円に増えて、(1700兆円-国の借金1300兆円-国民の住宅ローン等の借金=?)とりあえず延命できている。
 引き算がマイナスになるという事は、つまりは国民の預金等を活用して国債を買っている国内の機関投資機関の資金源が枯渇することを意味する。

【機関投資家】
 顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称。一般に機関投資家と呼ばれるグループをいくつか挙げると、「投資顧問会社」、「生命保険会社」、「損害保険会社」、「信託銀行」、「投資信託会社」、「年金基金」などが主なものである。

五十嵐
 かなり余裕のないところに来ているのは確かだと思いますね。最近、そういうことを、あまり出さなくなってきた。

財務省も下手するとどこで国債金利が跳ね上がるかを警戒


鳥巣
 財務省に行って、いちばん変わったのは、やはり”情報管理”。厳しくなりましたね。
五十嵐
 下手すると、どこで国債(金利)が跳ね上がるか分からないからですよ、それは(苦笑)。
鳥巣
 前はーー民主党政権下で五十嵐先生が財務副大臣をされていた頃はーー電話で取材して「あとでチェックして下さい」。それもブログに載せたあとにチェックして下さいみたいな。信頼もあって、割と融通がきいたんです。今は事前に必ず広報課に取材を申し込み、担当課の許可を得て、取材をしたあとも原稿チェックが義務付けられています。


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PS
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