絶対に受けたい授業「国家財政破綻」02
緊急出版した拙著「絶対受けたい授業『国家財政破綻』」(青志社刊)は、総理官邸に献本しました。
ただし、菅首相の経済ブレーンで、内閣府参与を務める小野善康・大阪大学教授とは、国難に対しての危機認識が私とは異なるようです。
小野教授は、ロイターのインタビューで次のように説明します。
「(菅首相が唱える)第三の道は、人に働いてもらうことが目的。
たとえば介護士の待遇をよくして雇用を増やせば、若い福祉職員の所得が上がり、デフレも緩和され消費も増えて税収も上がる。
そのために資金が必要なら、増税しても構わない。
消費税は来年からすぐにでも上げたほうがいい。(現在5%程度の失業率を)3%に下げるまで人を雇えるお金が必要増税分は借金返済に充てるのではなく、雇用創出とその所得支払いにまわすべき。
税収の使途は、福祉目的税のように限定しないほうがいい」私がこの中でいちばん危惧を覚えるのは「必要増税分は借金返済に充てるのではなく」という箇所です。
財政破綻危機を目の前にして、そんな余裕があるはずがありません。
経済評論家の長谷川慶太郎氏は、こう述べます。
「次年度、平成23年度予算の基になる所得税は、大幅な減収が見込まれています。
そういう状況では、消費税増税分を雇用に回す余裕なんてありません。
民主党のマニフェスト分を撤回し、消費税増税分で、国債発行を0、いえ0以下にすることが必要です。
そもそも小野教授の唱える経済理論には、そうなればいい、というだけで、おっしゃるような経済メカニズムが起こり得る訳がありません。
空想そのもので、できるわけがない。菅首相が信じてやれば、国家財政破綻の道をまっしぐらです」
さらに長谷川氏は、こう主張します。
「政府資産を売り払い、国会議員、公務員の数は、半減させなければなりません。
徹底した規制緩和を行い、小さな政府を目指すしか、この国を救う方法はありません」
鳩山内閣の普天間問題の処理と同じ迷走を菅内閣が財政政策で行えば、長谷川氏が言うように、国民は地獄の壱町目壱番地へと道連れです。
菅首相が、最大の敵のGDP(国内総生産)比債務残高の圧縮に全精力を注ぐように、国民が声を挙げていかなければなりません。
(weeklyちくごタイムズ 平成22年7月3日付 第347号に掲載)
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絶対に受けたい授業「国家財政破綻」01
国民にとってどういう経済・財政政策がいちばん良いのか、今ほどそれが求められている時代はありません。
そういう意味では、この本は私にとって、シリーズ第一弾ともいうべきものになります。
最初のテーマは、日本は「国家財政破綻」からいかに逃れるか、です。
正月明けから、財務省、与野党の国会議員、経済評論家、銀行、証券会社などに取材を続けてきました。
国家破綻危機の時期については、渡辺喜美『みんなの党』代表から「このデフレでは2年後」と聞かされ、もう少し先かと考えていた私自身とても驚いてしまいました。
経済評論家の長谷川慶太郎氏に至っては「甘い。今年8月から始まる予算編成で起こる可能性もある」と警鐘を鳴らされたのです。
与党・民主党の円より子議員は、「あと5、6年で国内で国債の消化ができなくなる」。
五十嵐文彦・衆議院議員は「今のような積み立て方式の予算編成では、数年以内に予算が組めなくなる」。
国家財政破綻は10年、15年など先ではなく、遅くても5、6年以内にも起こり得る喫緊の大問題であるとの認識で一致していました。
国家の財政が破綻するということは、国が市中からお金を借りられなくなることで、公務員の給料は払えなくなり、公共サービスがとどこおる可能性もありえます。
日本銀行が(日銀法を変えなくてはいけませんが)国債を引き受ければ、市中にお金がバラまかれるのと同じ事になり、超インフレが起きるかもしれません。
長谷川氏は、「とくに地方が悲惨になる」とも指摘しています。
菅首相も、「ギリシャに端を発したユーロ圏の混乱に見られるように、公的債務の増加を放置し、国債市場における信頼が失われれば、財政破綻に陥る怖れがあります」と所信表明演説で述べました。
政府と国民が現状認識を一致させ、財政規律を確立していかなければなりません。
「絶対に受けたい授業『国家財政破綻』」(青志社刊1500円+税)をご一読ください。
九州地方では、6月29日頃には、書店に置かれると思います。
(weeklyちくごタイムズ 平成22年6月26日付 第346号に掲載)
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