鳥巣清典の時事コラム1611「社交ダンスを始めて、初めて音が聴こえつづけたのでした」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1611「社交ダンスを始めて、初めて音が聴こえつづけたのでした」

 私にとっての”記念すべき”出来事が起こりました。
 先月、今月とレッスンは「ワルツ」。
 ナチュラルスピンターン~リバースターン~ウイスク~シャッセナチュラルターン~ヘジテ―ション~レフトホイスク~コントラチェック~シャッセナチュラルターン~バックホイスク~シャッセ。このあたりまで、踊り始めてからヘッドホーンで音楽を聴いているかのように、耳元でーーより正確にはヘッドホーンで聴くように頭の上あたりでーー部屋隅のラジカセから流れているワルツ曲が聴こえつづけたのでした。
 音楽とリズムと踊りに一体感があり、あれほどまでに気持ちの良い浮遊感を味わった事はありませんでした。1度だけだったのは、以外は足型のミスとか夾雑物に気を取られた事で要は集中力が削がれたのでしょう。
 
 


 続いて、クイックオープンリバース~ハイホバー~セイムフットランジ~ネックチェンジ~バックホイスク~シャッセナチュラルターン~スピンターン~ダブルロック~スローオーバースエイ~PP辺りまで足型は何とか・・。
  とはいってもこの辺り、例えば<オーバースエイ>では、
「左足を沈めておいてからーー下から持ち上げるように」
  とK先生の指導。単に横に移動する動きが全体的に目立ったのでしょう。
  膝の屈伸を使うこの下から上への動き。今回は他にも、
「スプーン―ー下から掬うように・・」
 個人的に後を追い、水分補給に向かうK先生に教えを請うた時もそのような助言。私にとって「スプーン」というステップを見るのは初めてだったので印象に残りました。「見る」のと「やる」のは全く違う難しさがあるのは、いつもの事なのですが・・。

 忘れてならないのは、
「ハイホバー~セイムフットランジに移行する時も、男性は単に横へ移動するのではなく、ヒザを曲げて下から上斜めへと動く」
 
スローオーバースエイも以前K先生に質問して言われたことがあります。
「ヘソは女性に向かい。視線は女性の頭の上~向こう側を見る」


 とにかく毎回、新しく教わることばかり。私が先輩たちに「
レフトホイスク~コントラチェック~シャッセナチュラルターン」の辺りの動きについてアドバイスを受けていたら、ピアノ調律師のТ氏が登場。
「ワルツはスイング。レフトホイスクの後も、ぐーんと下から上へ。軽くては駄目。ぐーんと!そして123。コントラチェックは、1234ー5の5で前へ構えてPPの6。(スロー&スローの)123、123なら簡単。ただし、ここまで来るには大変だけどね」
 とくにレフトホイスク後のスイングを強調したダイナミックさにはびっくり。もちろん、コントラチェックの話には、ただただ聞き入るばかりでした。


 レッスンの後、K先輩と喫茶店へ。
「ピアノの先生とペアを組んだことがある。ピアノを弾いてたから、音感が鋭い。”リズムが違うわよ!”ーー私のリズムが少しでも違っていると、たとえパーティーの最中ホールの真ん中でも踊りを止めて立ち止まるんだからね。あれには、まいった」などと昔話に花を咲かせてくれました。
 「パーティでワルツなどをリードする時には、少しだけリズムを遅くしてあげるんです」と教えてくれたH副会長の話も刺激になっています。リッスン、リッスンーー。
 K先輩は私の「ワルツの音が聴こえ続けた」という話には、
「私より時期的には早いよ」
 おそらく初体験で稚気になっている私を喜ばせてくれたのでしょう。
「とにかく良かったじゃないか。これから他のルンバやチャチャチャでも曲が聴こえてくるようになると思うよ」
「さあ、どうでしょうか。速いテンポのラテンは苦手なようです。とにかく、ワルツは好きなんです。スローも好きになるかもしれません。”好きこそ物の上手なれ”と言いますが、だから音楽が聴こえてきたのかも・・」
「だけど、タンゴも面白いよ」
「ほんと、人それぞれなんですね。全日本でも優勝したようなプロの講演を
YouTubeで見たんです。その人は”ある時期、この世の中からタンゴが失くなればいい!と呪ったこともある”と言っていました」
「とにかく社交ダンスは、楽しいよ。楽しまなくちゃ。いろんなものを覚えなくちゃいけないから大変なのだけど、80歳を過ぎてもおかげで呆けてる
ヒマがないよ」
 最後は、大笑い。

 という具合に社交ダンスは、大人のーーというよりシルバーのーーおもちゃかもしれません。このおもちゃ売り場にはお客の好奇心や追求心に応じて、単なる玩具から、緻密で高級な物までいろいろ取り揃えてあります。