絶対に受けたい授業「国家財政破綻」 -10ページ目

鳥巣清典の時事コラム1598「パナマ文書 20万社超える法人や個人名を公表」

 

パナマ文書 20万社超える法人や個人名を公表





 世界各国の首脳や富裕層の隠れた資産運用を明らかにした「パナマ文書」の問題で、各国の記者でつくる団体は日本時間の10日朝、文書に記載されていた20万社を超える法人や関わりがあるとされる個人の名前を公表しました。中には日本人とみられる名前もあり、専門家は租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの利用の実態を明らかにする情報だと指摘しています。

 ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合は、日本時間の10日午前3時すぎ、パナマ文書に記載されていた法人や個人の名前をホームページで公表しました。
 パナマ文書は中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内部情報で、今回の公表で、この法律事務所が去年までにタックスヘイブンとされる21の国や地域に設立したおよそ21万4000社の法人の情報が閲覧できるようになりました。
 ICIJは「秘密の法人とその背後にいる人々に関する史上最大の公表だ」としていて、中には日本にある企業や個人が設立に関わっているとされる法人の名前や、日本人とみられる関係者の名前も含まれています。
 パナマ文書は、先月はじめに初めて報道されて以来、各国の首脳やその関係者の隠れた資産運用の実態を次々と明らかにしていて、市民から厳しい批判を受けたアイスランドの首相やスペインの産業相が辞任に追い込まれています。
 
批判の背景には、経済の低迷などを理由に各国で市民の税の負担が増えていることがあるとされ、富裕層だけが税金から逃れることができる現状に疑問を投げかけるきっかけとなっています。
 税に詳しい青山学院大学の三木義一学長は、タックスヘイブンの利用の実態を明らかにする情報だと指摘したうえで「税金をそれなりに負担できる人たちが逃げてしまう。そういう社会でいいのかが問われていると思う」と話しています。

パナマ文書とは

ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合によりますと、パナマ文書は中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した、膨大な内部情報です。
この法律事務所が1977年から去年までのおよそ40年間で扱った会計書類や契約書などが含まれていて、データの量としては2.6テラバイトに上るとされています。この法律事務所は顧客にとって最も税金がかからない租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国や地域を選び、そこに法人などを設立するのを手助けしていたということで、文書の中には、タックスヘイブンとされる21の国や地域に設立されたおよそ21万4000社の法人と、200以上の国や地域の個人の名前がありました。
ICIJは、これらの法人や個人による資産の運用に違法性があるかについては一部を除いて、詳しく言及しておらず、文書の中に名前が記載されていても直ちに違法だとはいえないとしています。
しかし、タックスヘイブンに設けた法人を使えば隠れた資産運用ができ、代理人を立てて、法人の所有者の名前も隠すことができることから、不正な行為が行われている可能性があると指摘しています。
ICIJは、アメリカがテロや麻薬取引などに関わる犯罪組織との関連が疑われるとしてブラックリストに指定した少なくとも33の人物や団体の名前が含まれていたとしています。
また、各国の首脳やその親族との関わりも指摘していて、習近平国家主席の姉の夫をはじめ、中国共産党で序列5位の劉雲山政治局常務委員の親族、それに序列7位の張高麗副首相の親族が、それぞれイギリス領バージン諸島の法人の株主になっていたとしています。
ICIJによる各国の首脳や富裕層の隠れた資産運用を明らかにした一連の報道で、アイスランドの首相やスペインの産業相が辞任に追い込まれていて、各国の政治にも影響が出ています。また、ICIJは政治家やその親族だけでなく、富裕層がタックスヘイブンを利用して納める税金の額を低く抑えているのは大きな問題で、税金を正しく納めている市民を欺く行為だと批判しています。

専門家「みんなの目で監視が必要」

税に詳しい青山学院大学の三木義一学長は、公表された法人や個人の名前について「文書の中に名前が出てきたからといって、すぐに犯罪を行っていることを意味するわけではない」と述べ、租税回避地、いわゆるタックスヘイブンに法人を設立すること自体は、ただちに違法とは言えないと強調しました。
そのうえで、納める税金を低く抑えるためだけに設立された法人も少なくないのではないかと指摘し「税金を減らすためだけにこういう行動をやっているとすれば、税金をそれなりに負担できる人たちが負担せずに逃げていることになる。文書を通して私たちは、そういう社会でいいのですかと問われているのだと思う」と述べています。
そして、今回の公表について、タックスヘイブンの利用の実態を明らかにする情報だとしたうえで「公表されたことでタックスヘイブンの利用を規制する動きにつながるかどうかは、ひとえに市民の対応にかかっていると思う。特定の人たちがタックスヘイブンを利用して、きちんと納税していないのであれば、市民がそれを見てどうあるべきか議論し、それが起きないような社会的な雰囲気を作っていく必要がある。みんなの目で監視していくということが民主主義社会をきちんと成熟化させていくためには必要なことだと思う」と述べ、市民がこの問題に関心を持ち続けることが重要だとしています。
パナマ文書を巡っては、OECD=経済協力開発機構や世界銀行など4つの国際機関が課税逃れへの対応を強化するため、発展途上国での税制の整備などを連携して支援していく姿勢を示しているほか、ヨーロッパの金融監督当局などが捜査を始めていて、実態の解明に向けた動きが世界各地で広がっています。

中国でパナマ文書の問題伝える放送が中断

中国本土では、NHKが海外向けのテレビ放送「ワールドプレミアム」で、日本時間の10日午前7時すぎ、世界各国の首脳や富裕層の隠れた資産運用を明らかにした「パナマ文書」の問題について、中国共産党の新旧の最高指導部の親族が、いわゆるタックスヘイブンに法人を設立していたことが明らかになっていることなどを伝えた際、画面が真っ黒になり映像や音声が中断されました。また、中国当局がこの問題について厳しい情報統制をしいていることを伝えた際にも放送が中断されました。
中国当局が国内の報道だけでなく、海外メディアの報道についても神経をとがらせているものとみられます。

***********

PS
 毎日新聞は、以下のように報じています。

狭まる指導者・富裕層への課税包囲網

 中米パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」が、各国の首脳や著名人による租税回避地(タックスヘイブン)での不透明な資金取引を暴く調査報道につながり、世界を揺るがしている。アイスランド首相が辞任する事態に発展したほか、欧米各国の規制当局が、資金移動に関与した金融機関などに対する一斉調査に乗り出した。世界の指導者や富裕層にとって課税逃れや蓄財の「安全地帯」だったタックスヘイブン。その一端が明るみに出たことで、世界の課税包囲網が狭まることになりそうだ。

     パナマ文書は、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書。この事務所は1986年、ドイツ出身のユルゲン・モサック氏とパナマ出身のラモン・フォンセカ氏がそれぞれ経営していた法律事務所を統合してできたもので、米・英など世界三十数カ所に事務所を持つ。顧客の依頼により英領バージン諸島などタックスヘイブンに多数の企業を設立しており、世界4位の規模とされる。

     文書には、過去約40年間の金融取引が記され、計140人の政治家や公務員の名前が含まれていた。各国首脳をめぐっては英国のキャメロン首相の亡父やロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平国家主席や最高指導部の親族、アルゼンチンのマクリ大統領らが記され、民間人ではサッカーのメッシ選手、俳優のジャッキー・チェン氏らの名前が挙がっている。

     アイスランドのグンロイグソン首相は、タックスヘイブンに設立した会社を通じて自国の大手銀行の債券に投資していたとされ、国民の大規模なデモを受けて4月7日に辞任した。キャメロン首相はタックスヘイブンにある亡父のファンドに投資して利益を上げていたとされ、これまで課税逃れを厳しく追及してきただけに窮地に追い込まれている。習氏は政府幹部らの腐敗を厳しく取り締まってきただけにかなり神経質になり、国内の報道規制を強化して対応しているようだ。

     日本人では、租税回避地に法人を設立したとして約400人分の名前があったとされるが、政治家やその親族らは含まれていないという。

     発端は、ドイツの全国紙「南ドイツ新聞」で調査報道を担当するバスチアン・オベルマイヤー記者への情報提供。「私は『ジョン・ドウ』。データに興味はないか。犯罪を公にしたい」。1年以上前、英語で「名無し」を意味する匿名の人物からチャットによるメッセージを受け取ったという。

     暗号化されて送られてきたデータ量は最終的に2・6テラバイトに上る。メールだけで480万通以上、PDFなどの画像ファイルも300万点以上あるとされ、21万4000社の企業名が記されていたという。2010年に内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した米外交公電は1・7ギガバイト(テラはギガの1000倍)だから、その約1500倍に及ぶ。文書の件数でみると、ウィキリークスの公電25万件に対して1150万件あり、仮に1件をコピー用紙1枚とすると、積み重ねれば約1000メートルにも達する。このため「史上最大のリーク」といわれる。

     南ドイツ新聞の調査報道班は5人しかいないため、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と共同でデータを分析することにした。ICIJは97年、元米CBSテレビプロデューサーのチャールズ・ルイス氏が設立。ワシントンに拠点を置き、現在は世界約65カ国の記者約190人が加盟している。犯罪や汚職などが国境を超えるケースが増えている一方で、メディア単体で調査報道を担う余裕がなくなっているという現状を打開するため、各国記者のネットワーク化を目指しており、いわば「国境を超えた新たな調査報道」だ。

     76カ国の100を超えるメディアから記者約370人が参加した今回の調査報道を受けて、経済協力開発機構(OECD)は4月13日にパリの本部で開いた緊急会合で、情報共有の強化で一致した。また各国首脳や富裕層、大企業による国際的な課税逃れへの批判の高まりを受けて、各国の税務当局や金融監督当局は、タックスヘイブンへの規制強化策を発表している。

     特に欧州では、アイルランドやルクセンブルクが行き過ぎた税制優遇を提供し、米グーグルやスターバックスなどの多国籍企業の課税逃れを助けしてきたと批判されてきただけに、パナマ文書の問題には敏感だ。このため、欧州連合(EU)域内で事業を展開する多国籍企業に、各国で上げた利益や納税額などの公表を義務付ける新たな規制に着手していた。

     さらに、英金融行為監督機構(FCA)は国内の銀行に対し、モサック・フォンセカとの取引を報告するよう求め、スイスやフランスの規制当局もタックスヘイブンに絡む取引について銀行などの実態調査を始めた。さらにパナマの捜査当局がモサック・フォンセカを捜索、エルサルバドルやグアテマラなど中南米諸国でも捜査が開始され、アルゼンチンではマクリ大統領が捜査対象となった。

     こうした動きを受けて、パナマはOECDが主導する銀行口座情報共有の枠組みに参加する方針を決めた。この枠組みは17年に始まる予定で、すでに98カ国が参加の意思を示している。パナマのバレラ大統領は、財政や金融システムの透明性を高めていることをアピールする狙いとみられている。

     これまでにも同様の動きがあった。09年には、匿名性の高いプライベート・バンキングで世界の富裕層の資金を集めたスイスが姿勢の転換を強いられた。米国人の脱税を手助けしたとして米政府がスイス銀大手・UBSを提訴し、政府間の攻防を経て、スイスの銀行が長年掲げてきた顧客情報秘匿の見直しに追い込まれた。

     パナマ文書の調査報道とそれを受けた各国の取り組みにより、富裕層らへの国際的な課税包囲網が確実に狭まっているといえるだろう


    鳥巣清典の時事コラム1597「『スローアウェイ』と『オーバースウェイ』と2分割にして踊る」

     5,6月のスタンダードは、「ワルツ」。





     復習して確認したいのは、「コントラチェック」、「スローアウェイ・オーバースウェイ」。1回目のレッスンでは、
    反省点ばかり。動画の「 山嵜圭太&石本美奈子組 エムズ・ダンスアカデミーワンポイントレッスン」を参考にしました。
     まずは「コントラチェック」--。


    コントラチェックは流れのなかで踊る


    ❶ スロー、&、スロー。この時の注意点です。コントラチェックの足型を理解して下さい。というのは、「コントラチェックの足型はどこまでですか?」という時にほとんどの方に誤解があり、「ここまで」(男性なら最初の左足を出した1歩目まで」)というような認識で踊ります。そうしていると、どうしてもぐらついたり力んだりしてしまうので、コントラチェックは、チェックをして、起き上がってきて、PPになってきたところまでがステップのひとくくりだと認識して下さい。この考えだけでもコントラチェックがずいぶん踊りやすくなるので意識してみて下さい。
     止まってしまうと、スロー、& スロー。ちょっと硬くなってしまいますので、流れのなかでスロー & スローと踊ってみて下さい。

    トップをきれいにする”マイ・サイズ”


    ❷ 2つ目は、土台の強さというのがとても重要になると思います。コントラチェックがきれいな選手を見ると、トッップが広く出来ている。そのポイントとしては、足元にあります。足元が例えば歩幅が小さい状態でやってしまうと、腰が抜けたり、負いかぶさる形になるので、トップを広く見せたければそれなりの歩幅が必要となり、この歩幅をキープしたままトップを作るという踊り方をしなければなりません。
     なので僕たちがお勧めする練習方法というのが”マイ・サイズ”というのを使います。自分が立った状態で後に手を伸ばします。この指先の下のところに自分の足を持ってくる。これで立ってあげると、すごくバランスがきれいで、アクションもしやすい。これが小さくならないように気を付けてやって下さい。

     次は「スローアウェイ・オーバースウェイ」。

    2分割にして踊ると踊りがクリアに

    ❶ まず踊って見ます。この時の注意点ですが、スローアウェイの形を早めに作らないように気を付けて踊ってみて下さい。というのは「スローアウェイ・オーバースウェイ」と1つのステップにするのではなく、「スローアウェイ」「オーバースェイ」と2分割にしてあげると踊りがとてもクリアになります。


    女性のネックが左の状態のままダウン

    ❷ オーバースウェイの部分からやってみます。オーバースウェイはお互いに男性は右、女性は左側のボディの方にスウェイをかけます。ですが、「スローアウェイはじゃどういう形だろう?」というのを考えてみて下さい。意味としては、”投げる方””投げられる方”なのですが、じゃそれを形にした時にどうしたらいいんないんだろうというのが、みなさんの悩むところ。
     スローアウエィ・オーバースェイの「スローアウエィ」の部分は、お互い(男性は左・女性は右)のこちら側の足に立って、女性がくいっと体を回し、ネックとホールドはまだ左の状態のままでダウン。この形が「スローアウェイ」になります。残りの「オーバースウェイ」をやってあげると、とても立体的になるのでやってみて下さい。

    ❸ 良くないのは、スローアウェイ・ブリッジ。女性が後ろに反る行為。「オーバースウェイ」をしなくてはいけないので、ボディの、男性だったら右、女性だったら左ボディの方にスウェイをかけてあげる。これを意識してやってみて下さい。


    【鳥巣注】

     サークルレッスン中には、K先生の注意が次々と。ワルツは「息を合せて!」に始まり、「ろっ骨同士を当てて離さないで踊る!」「ライズを意識する。(そのためには)ヒザが伸びきっていてはいけない」などの指摘が飛びました。そして「1,2、3と等間隔ではなく、1ぃ、2ぃ3・・という感じで」と踊り方のリズムにもアドバイス。基本的な事ですが、とても大切なポイントばかりです。

    鳥巣清典の時事コラム1596「安倍首相 財政出動求めるも メルケル氏と折り合わず」

     安倍首相 財政出動求めるも メルケル氏と折り合わず 伊勢志摩サミットで引き続き議論

    産経

    ニュース検索結果の画像

     
    ドイツ訪問中の安倍晋三首相は4日午後(日本時間5日未明)、ベルリン郊外の迎賓館メーゼベルク城でメルケル首相と会談した。安倍首相は減速懸念が強まる世界経済を下支えするため、26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で機動的な財政出動を辞さないメッセージを出すことに協力を呼びかけたが、財政規律を重視するメルケル氏と折り合わず、サミットで引き続き議論することを確認した。

     安倍首相は会談で「世界経済は大きなリスクを抱えている。しかも予見しがたい。いまこそG7(先進7カ国)には構造改革の加速化にあわせて機動的な財政出動が求められており、サミットでG7として一段と強い明確なメッセージを発出したい」と求めた。これに対しメルケル氏は「世界経済の成長はまだまだだ。特に新興国の経済が弱い状況にある。これらの国で構造改革を行うことが重要だ」と指摘。その上で「財政出動は私は決してフロントランナーではないが、構造改革、金融政策、財政出動の3つを一緒にやっていかなくてはならない。財政出動だけではなく、民間投資で引っ張ることも重要だ」と応じた。

    両氏の認識について日本政府同行筋は「両首脳は財政出動、構造改革に否定的ではない。バランスを取ることが重要だという認識で完全に一致した」と指摘した。

     安倍首相は、メルケル氏に財政出動の重要性を訴える一方で、農業改革やエネルギーの自由化などに取り組んだ自らの実績を強調し、構造改革とのバランスに配慮する姿勢も示した。

     両首脳は、安全保障分野で具体的な協力を進めるため6月に外務防衛当局者間の協議を開催することで合意した。また、ドイツから提案があった日独サイバー協議も今年中に立ち上げることも確認した。

     また、安倍首相はドイツのガウク大統領の来日も要請し、メルケル氏も期待を示した。オバマ米大統領がサミット出席に合わせて被爆地の広島を訪問する見通しになっていることに関し、メルケル氏は共同記者会見で「私のスケジュールは伊勢志摩だ。それ以外の所を訪問する予定はない」と述べた。

     外務省によると、迎賓館メーゼベルク城に日本の首相が招かれるのは初めて。

    *******

    PS①

    トランプ氏「日本車の関税大幅に引き上げる」
     NHK5月7日

    トランプ氏「日本車の関税大幅に引き上げる」

     アメリカ大統領選挙に向け、共和党の指名獲得が確実となったトランプ氏は、日本が現在、アメリカ産牛肉にかけている関税を維持するなら日本から輸入する自動車にかける関税を大幅に引き上げるなどと独自の主張を展開しました。

     アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びで、共和党の指名獲得が確実となったトランプ氏は、6日、中西部ネブラスカ州で演説しました。
     この中でトランプ氏は、日本から輸入している自動車にアメリカが2.5%の関税をかけていることについて、「日本からの自動車には、ほとんど関税がかかっていない。大量の日本車がアメリカに流れ込んでいる」と述べました。
     そのうえでトランプ氏は、ネブラスカ州で生産されている牛肉の日本への輸出について、
    「日本が牛肉に38%の関税をかけるのであれば、われわれは日本の自動車に対しても38%の関税をかける」と述べ、日本から輸入する自動車にかける関税を大幅に引き上げるなどと独自の主張を展開しました。
    アメリカ産牛肉を巡っては、TPP=環太平洋パートナーシップ協定が発効すれば日本がかけている関税は、現在の38.5%から段階的に引き下げられる予定ですが、トランプ氏はアメリカに不利益だとしてTPPに反対しています。
    トランプ氏はこれまでも、日本はアメリカ軍の駐留経費の全額を負担すべきだと主張するなど、日本に対する強硬姿勢を続けています。

    鳥巣清典の時事コラム1595「『美空ひばり最期の795日』から25年余・・」

    「主人は亡くなりました。享年85歳でございました。今度の6月22日で3年目になります」
     電話口の向こうで老婦人は静かに言った。
     ”主人”とは元済生会福岡総合病院院長で美空ひばりさんの主治医だった小川滋氏。私は四半世紀前の1990年に『美空ひばり最期の795日』(マガジンハウス)を出版。この取材で、大変にお世話になった1人が氏だった。3~4年に1度思い出しては電話をしていたから、前回の電話の後に亡くなったことになる。

                    「鳥巣清典」の画像検索結果

     すぐに同じ福岡市内に在住の関戸幸冶氏に連絡をとった。関戸氏も「新聞にも告知をしなかったらしく知らなくて。NHK記者から1か月ほど前に聞いたばかりなんですよ」。
     NHKBS3が6月24日のひばりさんの命日直前の22日に放送予定番組を制作中という。実は、”美空ひばり最後の歌声”ともいうべき音源があり、コロンビアからCDになっている。
     関戸氏がスラスラと答える。
    「ひばりさんは87年に済生会に入院。88年に東京ドーム公演。89年に最後の公演を行っている。最後の公演は福岡県小倉の北九州厚生年金会館。その1つ前が私が直に目撃した、福岡サンパレスホール。ひばりさんは、すでに体調が思わしくなく、関係者の間で公演を中止するかどうかも協議されていた」
     私はそんな緊迫した場面をーー当時スポ―ツニッポン新聞本社福岡総局記者だった関戸氏にインタビューしてーー以下のように書いた。

    ~~~~~~~~~~

    「やあ、どうも・・」
     関戸は、わざと気軽に声をかけ、口元に笑みを作った。
     だが身を翻すようにして振り向いた二人の形相には凄まじいものがあった。体を刺すような眼光である。
    「何かあったんですか」
     関戸の問いかけにも、たちまち被さるように、
    「ここで何をしているんだ! ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!」
     上杉の罵声がハネ返ってきた。
     さすがの関戸も慌てた。
     ふつうなら記者根性で粘るところだが、あまりの剣幕に「ここは、いったん引き下がるにかぎる」と判断し、そそくさと元のドアのほうへと踵(きびす)を返した。

    ~~~~~~~~~~~
      関戸氏の前に睨み付けて立つのは、ひばりさんの愛息の和也氏、それに後見人だった上杉昌也氏(当時部落解放同盟中央執行委員長・上杉佐一郎氏の腹違いの弟)であった。

     非常にドラマチックな時期であり、関戸氏の証言も得て、NHKが改めて再現ドキュメントとして取り上げるのも分からない訳ではない。放映は6月22日という事だが実は、故・小川滋氏の命日は同日だと奥様から聞いている。NHKが配慮したのか、単なる偶然かどうかは、私にも分からない。

     関戸氏が述べた。
    「25年前じいちゃんがどんな事をやっていたのか、”孫に見せるために録画しておけよ”と息子に言っておきました。もちろん鳥巣さんが書いてくれた本は持ってますーー2冊もね(笑)。そうそうNHKのディレクターも僕に取材中は鳥巣さんの本を持っていましたよ」

     その関戸氏が電話の中で25年の歳月を経て「ディープスロート」の存在を明らかにした。済生会病院に入院するひばりさんへの見舞客情報や一時退院情報を極秘なはずなのに関戸氏だけがキャッチしていた。私はてっきり上杉氏ルートなのかと推理していたのだが実は全く違っていた。小川氏の逝去の報を受けて初めて明かされる真実ーーと、そこまでにしておきたい。それにしても、事実は小説より奇なり。同時に今日まで情報源を黙秘していた関戸氏の記者魂には脱帽。『美空ひばり最期の795日』は、ひばりさんを中心にして周囲はただ者ではない人たちの熱気で横溢している。それは私がこの物語にのめり込んだ理由の1つだった気がする。
     
     翌日、私は再び関戸氏に電話。「昨日の話で気になった事があって」--昨日の40分に続いての30分。「お互い、昨日の出来事のようにしゃべっていますね(笑)」。私は本を出版してから、数々のテレビ出演、週刊文春での疑惑の人物追及、海外出張取材、裁判闘争(文春勝訴)、追及人物との直接対決(国外退去処分)など数年間、ひばりさん関連の取材に関わった。
     それも関戸氏との出会いがなければ先への展開へと進まなかった事は確かだ。つくづく、運命の人だと思う。今日も尚、こうやって語り合える”良い戦友”の存在に恵まれたことを感謝したい。そして全てが記者冥利に尽きる体験だったことも併せて天に感謝したい。
     

    *******

    PS

     かくいう私も60歳代半ば、ゆっくりと人生の坂を下りています。「断舎離(だんしゃり)」ブームにあやかってという訳ではありませんが、このG・W中に妻子の手を借りて身辺整理第1弾に勤(いそ)しみました。ひばりさんの取材資料は最後まで残していたのですが、ついに8割余りを処分。シンプルにしておく事が、後に残される者のためにも必要だと思うからです。そのことは、実家の整理の時に痛感しています。
     息子に「背広で欲しいものはないか?」と聞くと、「体格が違うから要らない」との返事。そういうやり取りをしているうちに、気分的にもだいぶ自由になれた気がします。
     でも、まだまだ。「1年以上手に触れなかった物は捨てる」のが基本らしいのですが、本や資料、服などどこまで捨てていくか、何事も”良い加減”は難しいものです。

    (*鳥巣注)ちなみに上記の関戸氏は25年前の取材資料を保管していて、NHKには歴史資料として貸し出したそうです。「例えばひばりさんの公演に招待された著名人も、25年前のことだと席順に記憶違いも出てくる。僕は招待者の席順の印刷物を保存していたので、NHKは証言者たちの記憶と照合できたようです」(関戸氏)

    PS②

     5月5日、訃報が入りました、編集プロダクション『エディ・ワン』社長の浦野敏裕氏が癌で亡くなりました。享年60歳とまだ若く、2年ほど前には癌摘出手術の後も仕事に復帰されて意気軒昂だったのに・・と訃報を聞いて悔しい想いがしました。初めて会ったのは40年も前、あなたが青春出版社にいた頃でしたね。生前、お世話になりました。心よりお悔やみ申し上げます。

     先月は上京した高校時代の同級生と新宿で会ったのですが、同級生のU男が亡くなったと聞きました。「●●も癌のステージⅣで手術をした」などと故郷の便りも健康にまつわる話が多くなってきました。

    PS③
     5月2日サイクリング好きのS氏と約6時間のサイクリングを楽しみました。メインは世田谷の等々力不動尊と隣接する等々力渓谷。都会の中の静寂を満喫しました。もっともS氏はマラソンをやっていたとかで脚力は抜群。上り坂で氏の自転車についていくのは大変でした。

    「等々力不動尊」の画像検索結果

    「等々力渓谷」の画像検索結果
     
     

    鳥巣清典の時事コラム1594「5、6月はラテンが『ルンバ』=体重を移す時は必ずボールでターン」

     

     5月、6月はラテンが「ルンバ」。



     サークルに入って3年目ーー初級者に毛が生えてきた感じの私が、中級者に混じって足型や技を増やす一方でーーますます基本動作が重要な事が分かってきました。プロも「初心を忘れず」のようです。

     以下『立石勝也&裕美組ラテン・レクチャー』を参考にしました。

    「立石勝也&裕美」の画像検索結果

    体重を移す時には必ずボールでターン


    大事にしている基本動作は練習時には必ず行います。
    (1)足のボールに体重を乗せターンをします。例えば左に乗った時に右のヒザが曲がります。チェックとしては、右のヒザが曲がり、股関節が曲がる。その時に右のボディはフォワード。
    (2)左から右に体重を移した時にーーこれは必ずボールでターンをさせて下さい。左のヒザが曲がる、左の股関節が曲がる。そして左ボディが前にフォワードする。こういう事を10分ほど練習します。

    右足に乗る時は右ヒジを後ろに下げて


     この交互ーー私たちは鏡を前に練習しますがーー必ず足のボールを回転させて自分の体をセットさせて下さい。
    (1)まず左足に乗りましょう。その時に足のボールをターンさせます。そして右のヒザが曲がり、右の股関節、右のボディがフォワードします。
     逆に右足に乗ってーーその時の注意点としては右ヒジを後ろに下げてください。その時でも左のボディは前に続きます。右の手を少し前に出しましょうか。
     逆にいきます。この時、右のヒジは後ろにありますか?右ボディを前、目はランランとさせて下さい。

    つま先は親指と薬指で床を押し上げる感じ


    (2)逆いきます。左足に乗ってもらい、右のヒザが曲がり、右の股関節が曲がる。そして右ボディがフォアード。
     右足を1歩前へ出してみましょう。その時にボク達の練習の仕方としては、右足に乗った時はもちろん右足のヒザは伸びて、左足のヒザも伸びています。
     そして左足のボールでまだ床をつかんでいて、割合としては6対4くらい。そこから右のボディがそのままフォアードしながら、左足がつま先になってください。親指と薬指で床を押し上げる感じです。

    ヒザ→股関節を曲げる⇒ボディがフォワード


    (3)そこまで行った後、そのまんまヒザを曲げていって、先ほどの右足に乗ったポジションになります。チェック要綱としては、必ずヒザを曲げるー股関節を曲げるーそしてボディがフォワードになるという事をチェックしてみて下さい。

     はい、左足を出します。左足が出た時も、右のボールに残って下さい。つま先に移動します。ヒザを曲げて、股関節を曲げていきます。で、左足に体重ーーこの時は右側が前で、右ヒジは後ろです。


    床をプッシュ、ライズしながら体重を入れ換える


     はい、継続します。右足前進。つま先はトゥ。ヒザを曲げる。ステップを出すーーボール立ち。つま先に行きます。ヒザを曲げる。足を乗り換える。
     その場で体重の踏み換える時は1度床をプッシュしながら、ちょっとライズします。そこで入れ換えて下さい。要するに上下運動をします。右足ー左足―右足ー左足。

     はい、右足ステップをします。その場でつま先にならずに、ボールでつま先トゥ、左ヒザを曲げて足を抜く。右足はトゥ立ち、つま先になる、ヒザを曲げる。ステップーこの時はボールです。つま先になる・・。


    ●●●復唱してみます。

    足のボールに体重を乗せターン。例えば左に乗った時に右のヒザが曲がりー股関節が曲がる。その時に右のボディはフォワード。
    ❷左から右に体重を移す時にーー必ずボールでターン。左のヒザが曲がるー股関節が曲がる。そして左ボディが前にフォワードにする。
    ❸右ステップする時には、その場でつま先にならずに、ボールでつま先トゥ。そして左ヒザを曲げて足を抜く。右足はトゥ立ち、つま先立ちになる、ヒザを曲げる。
    ❹次にステップする時はボールーつま先になる。
    その場で体重の踏み換える時は1度床をプッシュしながら、ちょっとライズ。上下運動をしてそこで入れ換える。

    ヒザが曲がっていく瞬間にヒジを交換


    (1)次のテーマは、ヒジの使い方とアーム。これを連動させていってみましょう。「ヒジをたたんでいってステップ」ーーこの”ヒジをたたむ”という動作ですが、本当にヒジを引いて下さい。右足体重であれば、左ボディの方がフォアードになっているのでヒジを引きます。
     右足体重になった時のヒジというのは、左ボディがフォアードしているので、このまま1歩出して下さい。

    (2)つま先に行ってヒザが曲がっていく時に手を入れ換えます。右足つま先になった時も、まだ右のヒジが引かれています。ヒザが曲がってきた時に手を入れ換える。ヒザが曲がっていく瞬間とヒジを交換するタイミングが一緒になると割と美しく見えるのではないかと思います。



    【鳥巣注】

     「神は細部に宿る」といいいますが、ダンスも同じ。アバウトな理解に始まり実際に真髄を会得するまでには、気が遠くなるような時間が必要のようです。向上心を持ってコツコツ励む他に有効な方法は無いーーという事は経験上分かってはいます。

     ただダンスの場合は「個人レッスン」と「サークルレッスン」の2つがある。これはライター修業と大きく異なり、未経験のものです。現在のサークルには数人、別に個人レッスンにも通っている人がいます。

     K先生からは「2か月に1回のレッスンは内容が変わっていくから忘れてしまう。覚えていくと良いのは、レッスン中に私がポイントとして言っている言葉」とのアドバイス。ただブログに残しずらいのは、私の記憶や理解が正しいかどうかの問題があって躊躇してしまうのです。かつ有酸素運動をしながら言われた事を記憶していく作業は存外難しいものです。先輩の中からも「歳のせいか、教わるそばから忘れてしまう」との苦笑混じりの声も。望んでも詮無い事と分かりつつも「録画があれば・・」と思うのは、私だけでしょうか。
    YouTubeが頼もしいお友達になったのには、そんな事情もあるかもしれません。

    PS②

     「ワルツ」の5月第1回目、スタートの踊りを数回繰り返した時に内心(あ、これで次に行かれると半端な理解で、先月と同じく大変な事になるな)と思いました。K先生は次には行かずに約10回ほど繰り返しました。おかげで、ほぼ足型を分かったうえで次へ。
     後半は難しくはなりましたが、前半は出来るという余裕が手伝い、後半部分の修正を繰り返す事が出来たような気がします。早い話が、身体で憶えなくては駄目ということでしょう。K先生の臨機応変の指導法に感謝。私が耳傍で「可哀そうな子羊に愛の手を」と囁くと、ジョーク好きでもあるK先生は声を挙げて笑ってくれました。

    PS③
     「ダンスは男がリードするだけに、男が女の3倍大変」といわれます。もっとも女性のアドバイスは実に貴重。先月のクイックではU子さんが付き添ってステップを教えてくれました。今回のワルツでもK子さんが、「コントラチェックは、(左足)をそ~っと左斜め前に出してくるのよ」とアドバイス。この「そ~っと」というニュアンスで、習っていた事が蘇ってきました。そうそう、習っていたはずなのに忘れてしまっている事がある。思い出しては、使ってみて、覚えていく。その繰り返しです。今回はK先生から「男性はコントラをした後に引き寄せてあげる事も同時に考えておくこと」とのアドバイス。
     今更ながらこれまでアドバイスを受けても忘れてしまっている事がいかに多いか。ああ、実に勿体ない!

     一方でその時点で、自分が何をよく分からないと思っているのか、恥を表に出しながらも素直に記録に残していく事も必要かと思い始めています。
     恥ずかしながら、「(壁中央、壁斜め前などの)方向性」の正確性をK先生に指摘されました。


    PS④

     新しく入会してきた自称70歳代後半のТО氏。元電器メーカーの営業トップーー社長室付きーー人事トップの経歴。ダンス歴は断続的で、計2年余りと私と大して変わらない。しかし臆する事なくサークル会長と交渉して、レッスン後の私たち2人の補習授業を実現。1万円余りのNHKのダンスビデオも買い求め、当面の目標は年内のダンスパーティ・デビュー。目標を設定しスピードをもって実現していくところは、さすがに元トップ営業マンのバイタリティーーと感心しています。おかげで私も、奮起するきっかけが出来ました。


    鳥巣清典の時事コラム1593「東京五輪2020大会エンブレム 『組市松紋』ー作者は野老氏」

     

    東京五輪2020大会エンブレム 作品A「組市松紋」に…作者は野老氏

    「東京五輪エンブレム」の画像検索結果



    東京五輪2020大会エンブレム決定
     NHK4月25日

    2020年東京オリンピック・パラリンピックの新たなエンブレムについて、大会の組織委員会は、最終候補の4作品の中から市松模様と藍色が特徴の作品Aに決めました。前例のない白紙撤回から7か月余り、大会のシンボルとなるエンブレムがようやく決まりました。

    エンブレムの最終選考は25日午前11時から東京・港区の組織委員会のオフィスで行われ、有識者会議のエンブレム委員会が最終候補4作品について、事前に寄せられた4万件余りの意見を参考にして議論しました。そして欠席した1人を含む21人の委員による投票の結果、市松模様のチェックのデザインが日本の伝統色、藍色であしらわれた作品Aが選ばれ、直後に行われた組織委員会の理事会で満場一致で承認されました。
    このあと行われた発表会で、エンブレム委員会の宮田亮平委員長と委員の1人の王貞治さんが、作品Aを新エンブレムとして披露しました。そして、作品Aをデザインした東京都在住のアーティスト、野老(ところ)朝雄さんが制作者として紹介されました。
    野老さんは壇上であいさつし、「ついさっき決定を知らされたので頭が真っ白です。長く時間をかけて作成した、わが子のような作品です。いろいろな形で広がって、つながっていくことを考えています。本当にありがとうございました」と述べました。
    エンブレムを巡っては、去年9月の白紙撤回のあと、選考が閉鎖的で透明性に欠けた点などが強く批判された反省から、外部の有識者によるエンブレム委員会のもと、選考が進められました。応募条件の緩和などで1万4000件余り集まった作品の中から最終決定にこぎつけ、前例のない白紙撤回から7か月余り、前のエンブレムの発表から9か月も遅れて、ようやく大会のシンボルが決定しました。

    「粋な日本らしさ」を表現

    作品Aは、江戸時代に市松模様として広まったチェックのデザインが、日本の伝統色・藍色であしらわれ、「粋な日本らしさ」を表現しています。形の異なる3種類の四角形を組み合わせ、国や、文化、思想などの違いを示すとともに、それを超えてつながりあうデザインに「多様性と調和」のメッセージが込められています。

    作品Aをデザインした野老朝雄さんは、東京都出身の46歳。東京造形大学で建築を専攻したあと、アーティストとして美術や建築、それにデザインの分野で活動を続けてきました。
    最近では、去年10月に建て替えられた名古屋駅前の34階建ての高層ビル「大名古屋ビルヂング」のビルの一部のガラスのデザインを手がけました。
    野老さんは、発表会のあと記者会見し「オリンピックもパラリンピックも、同じ形をつなげることにこだわった」と作品に込めた思いを述べました。
    新エンブレムは、いずれも藍色で3種類の四角形を組み合わせて作られ、オリンピック、パラリンピックともに輪のようなデザインとなっています。野老さんは「“つながる輪”を意識し、力強い形にしたかった。江戸小紋のような潔い表現がしたかった。夏の大会なので涼しげなものがよいと思い、藍色を選んだ」と作品のポイントを述べました。そのうえで、「オリンピックもパラリンピックも、同じ形をつなげることにこだわった」と思いを話しました。
    また、エンブレムの募集に応募した動機について、「子どものころから『自分はアスリートにはなれないが、金メダルを作ることに関わりたい』というオリンピックへの憧れがあった。関わるとしたらデザインだと思っていた」と明かしました。

    1回目の投票で過半数に

    宮田亮平委員長は新しいエンブレムの発表後、投票の経緯を明らかにしました。
    それによりますと、エンブレム委員会の最終審査では欠席した1人を含む委員21人によって1回目の投票が行われ、「市松模様」が特徴の作品Aが13票、「輪」を表現した作品Bが1票、「風神・雷神」をイメージした作品Cが2票、朝顔の花が特徴の作品Dが5票を獲得したということです。
    この結果、作品Aが過半数を獲得し、エンブレム委員会として採用を決め、その後、組織委員会の理事会で満場一致で承認され、正式に決まったということです。
    宮田委員長は作品Aが選ばれた理由について、「市松模様は古くから愛されており、使用されている藍色も日本人らしさを秘めている。今後、エンブレムが応用されていくとき、しっかりとした『藍色』というベースがあれば、さまざまな色が重なり込んだとしても、ベーシックな部分が生かされるし、デザインにはパワフルさも感じた」と説明していました。

    東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長はエンブレムの発表に先だってあいさつを行い、「スポンサーの皆さまにはご迷惑、ご心配をおかけし、おわび申し上げます。きょう、4つの最終候補作品から投票で1つを選んでいただき、理事会で満場一致で承認された。1万5000件近いの作品の中から選ばれた、たった1つのエンブレムです。2020年の大会のシンボルとして多くの人に親しまれるよう期待しています」と述べました。

    エンブレム委員会の委員の1人、王貞治さんは、「野球一筋で生きてきて、このたび思いがけず、エンブレム委員会の委員に選んで頂き、委員会で、いままでにない経験をさせて頂いた。とても名誉に思っている。いろいろな意見があるなかで決定できたこと、その席にいられたことを残りの人生で胸の中にしまっておきたい。すばらしい作品が選ばれたと思っているので胸を張って皆さんにご紹介したい」と話していました。

    海外メディアはどう伝えた?

    新たなエンブレムが決まったことについて、海外メディアも相次いで伝えています。
    このうち、アメリカのAP通信は、当初、佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムが白紙撤回された経緯などを紹介し、新たなエンブレムについて、「よりカラフルだったほかの候補の作品よりも白と青のシンプルなデザインが選ばれた」と伝えています。
    また、フランスのAFP通信は「新たなエンブレムは、盗作疑惑のスキャンダルで元の案が白紙撤回されたあと、7か月余りたって決定されたが、早くも『ぱっとしない』といった批判に直面している」と伝えています。
    このほか、ロイター通信は「エンブレムが決まったものの、白紙撤回などのドタバタは、そつがなく効率的に大会を運営するという日本の評判を傷つけた」と伝えています。

    ************************

    鳥巣清典の時事コラム1592「熊本と大分で地震活動続く 激しい揺れに警戒」

    熊本と大分で地震活動続く 激しい揺れに警戒

    今月14日に熊本県で震度7の激しい揺れを観測した地震が起きて以降、熊本県と大分県では活発な地震活動が続き、震度1以上の地震の回数は800回を超えています。気象庁は引き続き激しい揺れを伴う地震が起きるおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

    熊本県では今月14日の夜、益城町で震度7の激しい揺れを観測する地震が発生したあと、1週間前の今月16日未明には益城町と西原村で震度7の揺れを観測する地震が発生しました。
    一連の「熊本地震」で、熊本県と大分県で震度1以上の揺れを観測した地震の回数は、24日午前1時までに844回に上り、午前1時すぎには熊本市東区で震度3の揺れを観測する地震が発生しました。
    1日当たりの回数は15日から17日までの3日間がいずれも100回を超えたほか、その後も1日数十回観測されていて、22日が41回、23日が28回となっています。
    気象庁は「地震の回数が減ったように感じられるかもしれないが、地震活動は多い状態と少ない状態を繰り返しながら、全体的には活発な状態が続いている」としています。
    震度別では最大震度7が2回、震度6強が2回、震度6弱が3回、震度5強が3回、震度5弱が7回、震度4が76回などとなっています。
    気象庁によりますと、熊本県や大分県の被災地では24日もところによって弱い雨が予想されるなど、この先1週間程度は雨の降りやすい日が続く見込みです。
    気象庁は揺れが強かった地域では地盤が緩んでいるため、引き続き地震の揺れや雨による土砂災害に警戒するよう呼びかけています。

    **********************

    PS

     「華宮ゆう士」さんから郵便物が届きました。


    「華宮ゆう士」の画像検索結果

     1981年生まれの「華宮」さんは、声優・神谷明さんの娘さんです。

    「神谷明」の画像検索結果
     神谷さんのご家族とは、ご自宅で取材させて頂いて以来のお付き合い。奥様からチラと噂は聞いていたのですが、「シナリオノベル」という新ジャンルでデビューです。おめでとうございます。

     ちなみに以下のような書評が載っていました。
    「エレンディール 剣の聖女」(セルバ出版刊)は、どんどん読み進んで行ってしまうほど面白いSFファンタジーです。「シナリオよりもちょっと踏み込んで、人物の動きだけでなく、効果音まで文章にして、より映像的に見せることを心がけました。演出はより細かく、ときにはセリフと連動して盛り上げ、なおかつ作品単体で完結できるように小説風に味付けをしています。」と華宮さん。一言でいうと「文章で味わう映画・マンガ」というところでしょうか。さらりと読め、わかりやすいが読みごたえがあるということで、シナリオノベルシリーズとして人気を博しているそうです。こうした新しいジャンルが生まれてくるのだなあとびっくり。>

     華宮さんの手紙には、こう記されていました。
    「ただいま新作を準備中です。完成の際は、また改めてお知らせさせていただこうと思います」
     益々のご活躍をお祈り申し上げます。

    PS②

     時々、テレビのインタビューや対談番組を見ることがあります。チェック番組の1つにNHKEテレの『スイッチインタビュー』。「宝塚のレジェンド柚木礼音VSバレエ界の宝石・上野水香」を見ました。柚木さんが、東京バレエ団を訪ねます。
    「感動する、心が洗われる、バレエって最高(笑)」(柚木)
    「先生から注意されるのは”肘(ひじ)”とか”踵(かかと)”とか。結局言われることは子どもの時から一緒です(笑)」(上野)
     現在社交ダンスを習っていることもあり、踊りに関するモチベーションや苦労話は興味深いものがありました。上記の2人のコメントに共通するのは「原点」。

    「柚希礼音」の画像検索結果       「上野水香」の画像検索結果

     私の方は今月のタンゴとクイックステップで大苦戦。とくにタンゴは先輩のТ氏でさえ「やっとだった」と言う難しいステップが含まれていて、私はほとんど踊りになりませんでした。そのТ氏が居残り特訓に誘ってくれました。テーマは「正確に」。実は、これは本当にきつい。自分が出来なくてごまかしているところが如実に露呈されるからです。今回はタンゴで前進・後退を同じ歩幅でステップが踏めるようにーーやってみるとバラバラでーー出来るまでやらされました。
     Т氏は、ピアノ調律師。鞄の中にあった宮下奈都著『羊と鋼の森』(文藝春秋)を見せてもらいました。
    本屋大賞を受賞したばかりの、調律師を描いた本です。書店で私も買いました。

    羊と鋼の森
    PS③
     
     (スイッチに)続いての番組ETV特集「ハンセン病の隔離政策に抵抗した医師の記録」も見ました。
    硬派のドキュメンタリーでしたが「小笠原昇」医師の孤高の戦いぶりには感慨深いものがありました。

    【小笠原昇】
     
    1888年(明治21年)7月10日 - 1970年(昭和45年)12月12日)は日本医学者(専攻は皮膚科学)でハンセン病(らい病)の研究者。元京都帝国大学助教授。愛知県出身。京都帝国大学医学部卒業後、同大学医学部の皮膚科特別研究室助教授となり、1948年まで在職した。彼はハンセン病の発病は体質を重視すべきことや不治ではないことを主張し、当時行われていた患者の強制隔離・断種に反対したが学会から葬り去られる結果となった。(ウィキペディア)

    PS④


     翌日、「最高裁が異例の謝罪」がニュースに。




    かつて裁判所がハンセン病の患者の裁判を隔離された療養所などで開いていた問題について、最高裁判所は「差別的に扱った疑いが強く、患者の人権と尊厳を傷つけた」とする報告書を公表し、異例の謝罪をしました。一方、有識者などから「憲法に違反していた」と指摘されていたことについては、認めませんでした。

    昭和20年代から40年代にかけ、ハンセン病の患者の裁判のうち95件が隔離された療養所などの「特別法廷」で開かれていた問題について、最高裁判所は報告書を公表しました。
    報告書では、遅くとも昭和35年以降、ハンセン病は確実に治るとされていたにもかかわらず、当時の最高裁が必要性を精査しないまま各地の裁判所からの申請を受けて、原則、特別法廷を認めていたことを問題点として挙げました。
    そのうえで、「差別的に扱った疑いが強く、特別法廷の手続きを定めた裁判所法に違反していた。偏見や差別を助長し、患者の人権と尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわび申し上げる」として、謝罪しました。最高裁が過去の対応について謝罪するのは異例です。
    一方、最高裁と共に検証していた有識者の委員会や、検証を求めた元患者などから「平等の原則を定めた憲法に違反していた」と指摘されていたことについては、「当時の最高裁内部の検討が資料として残っていないので判断できない」として認めませんでした。
    また、元患者などが「裁判の公開の原則に違反していた」と指摘していた点については、裏づける資料が確認できなかったとして「非公開だったとはいえない」としました。
    最高裁判所の今崎幸彦事務総長は、特別法廷が最後に指定されてから40年以上たって検証を始めたことについて、「資料の散逸を招いたという批判は率直に受け止めなければならない。この教訓を真摯(しんし)に受け止めたい」と述べました。
    また、最高裁と共に検証作業を行った、有識者委員会で座長を務めた金沢大学の井上英夫名誉教授は「最高裁は形式的には憲法違反と認めなかったものの、実質的には踏み込んだ内容になっており評価したい。今後も資料の発掘なども含めて調査を続けてほしい」と話していました。

    「公開されず」「 遅すぎた」 元患者の証言

    最高裁判所の検証について、ハンセン病の元患者からは「裁判は公開されていなかった」という疑問の声や、「検証を始めるのが遅すぎる」という指摘が出ています。
    熊本県合志市のハンセン病の療養所「菊池恵楓園」では、近くに設けられた医療刑務所も含めて、全国で最も多い35件の特別法廷が開かれました。
    10代で強制的に入所させられた元患者の長州次郎さん(88)は、およそ60年前に園内で開かれた刑事裁判の特別法廷を傍聴することができなかったといいます。この裁判はある患者が殺人未遂などの罪に問われたもので、自治会の事務所や公会堂などで審理が少なくとも3回行われたということですが、大人の背丈よりも高い布の幕で周りが覆われていたといいます。
    長州さんは「当時は患者がいる場所を『有菌地帯』、職員がいる場所を『無菌地帯』として区分けしていたので、法廷に入ることもできなかった」と述べ、裁判の公開の原則に反していたのではないかと話しています。
    また、元患者の杉野芳武さん(85)は実態を明らかにするには裁判所の検証が遅すぎたと感じています。杉野さんは特別法廷が開かれているのを、法廷の外から見かけたことがあるということですが、審理がどのように行われたか記憶があいまいになっているということです。
    杉野さんは「半世紀以上もたったあとに検証して本当のことが分かるのか。裁判所は行動があまりにも遅すぎる」と指摘しています。




    鳥巣清典の時事コラム1591「気象庁<熊本地震は『前震』 今回が本震か>」

    気象庁「熊本地震は『前震』 今回が本震か」
    NHK


    気象庁は、記者会見で、16日午前1時25分ごろに起きたマグニチュード7.3の地震が「本震」で、それより前のおとといの夜に発生した熊本地震が「前震」にあたるという見解を示しました。

    地震活動が拡大していることから身の安全を確保するよう呼びかけています。気象庁の青木元地震津波監視課長は午前3時半すぎに記者会見し、16日午前1時25分ごろに起起きたマグニチュード7.3の地震は、14日の夜に起きた熊本地震のマグニチュード6.5に比べ規模がはるかに大きいことなどから「熊本地震がいわゆる「前震」で、今回の地震が本震だとみられる」と述べました。
    そのうえで、「今回の地震で揺れが強かった地域は14日の地震よりも広がっている。揺れの強かった地域では危険なところから離れ、身の安全を確保して欲しい。余震も多くなっていて今後1週間程度は最大で震度6弱程度の余震が起きるおそれがあり、十分注意して欲しい」と呼びかけました。
    また、マグニチュード7.3の地震のあと、震源の北東側の阿蘇地方や大分県でも地震活動が活発になっていて、午前4時前には熊本県阿蘇地方で震度6強の揺れを観測する地震も起きています。
    青木課長は「阿蘇地方など、揺れの強かった所に住んでいる方は今後の活動に注意して欲しい。大分県など、地震活動が高まっているところでも今後の地震活動に備えて欲しい」と話しています。

    阿蘇山の活動「注意深く監視を」

    火山噴火予知連絡会の副会長を務める九州大学の清水洋教授は、「震源の位置を詳しく解析しないとはっきりしたことは分からないが、きのうまでの地震活動と比べると、阿蘇山のかなり近い場所で規模の大きな地震が発生しているため、火山活動に影響がないとは言いきれない状況にある」と指摘しています。
    そのうえで、「震度6強の地震のあと、阿蘇山の近くを震源とする地震が起きるなど、地震活動が阿蘇山の近くまで広がっていて、今後、注意深く監視する必要がある」と指摘しています。

    *************

    現代ビジネス
    <熊本地震は南海トラフ地震の前兆かもしれない」専門家が警告 >
    文/
    高橋学(立命館大学 歴史都市防災研究所 環太平洋文明研究センター教授)

    非常に「いやな位置」で発生した地震

    4月14日21時26分に北緯32.7度、東経130.8度深さ11kmを震源とした、震度7、M6.5の地震が熊本県で発生した。いわゆる内陸直下型地震であり、2004年に起きた中越地震同様に多くの余震が続いている。

    この地震は、非常に「いやな位置」で発生した地震である。というのも、この震源が阿蘇山のすぐふもとを走る布田川断層であると考えられるからだ。阿蘇山というのは、長野、静岡、愛知、和歌山から四国を突き抜け、九州に至る巨大な断層の集中帯の上にある。

    このことを考慮すると、最悪の場合、長野や静岡、四国、九州で、今回と同じような内陸直下地震が立て続けに起こる可能性があるのだ。そして、その先には、南海トラフの巨大地震が控えている。

    イメージとして、今回の熊本の地震は、2011年3月11日に起こった東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)に先立って発生した、岩手・宮城内陸地震(08年)と類似していると考えていただきたい。

    というのも、熊本地震が発生する以前、福岡の警固(けご)断層や兵庫県の山崎断層で、震度1に満たないような地震が頻発していたからだ。これは、宮城内陸地震の前兆と似ている。そう考えると、またひとつ大きな地震が起きる、とも推測できる。

    また、熊本では2月12日以降、深さ10kmでM1.7~M2.7の地震が発生していた。これらの地震は規模が小さく、とるに足りないようにみえた。しかし、これらの地震を発生させているエネルギーの流れを詳しく見ていくと、台湾-琉球諸島-西日本-中部日本-東日本の一部の位置するユーラシアプレートと、その下にもぐり込んで圧縮しているフィリピン海プレートにまでたどり着く。

    こうしたプレートの動き全体をみる必要性があり、今回の熊本の地震だけでは収まらないと考えるのが、自然なのである。

    事実、4月1日には、東南海地震を彷彿させるM6.1の地震が紀伊半島沖で発生している。さらに、4月10日には兵庫県神戸市南東部の六甲断層系でM4.3とM3.5の地震が続いた。ここに至り、台湾から東日本の一部までを全体として捉え、それらの地震を関連付けて考えるのは間違いでないと確信するようになった。

    世界的に大規模な地震が起きている

    筆者はすでに、プレートの動きと、内陸直下型地震、火山噴火、プレート(海溝)型地震の関係を図のように整理している。結論を先に言うと、台湾-沖縄-西日本-東日本の一部ではステージ3以降を、東日本ではステージ4以降に注意をはらう必要がある。

    ステージ1:フィリピン海プレートや太平洋プレートが、ユーラシアプレートや北米プレートに沈み込み、その圧力でユーラシアプレートや北米プレートが割れ、内陸直下型地震が生じる。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)などがこれにあたる。このときのマグニチュードはM7.2で、日本では5年に3回程度起きる地震である。兵庫南部地震の場合、神戸という大都市直下で地震が発生したため、マグニチュードに比して震度が大きく、建物の倒壊などの被害相次いだ。

    ステージ2:ユーラシアプレートや北米プレートにあるマグマ溜まりが圧縮されて火山が噴火する。口永良部島、桜島、阿蘇山などがこの例である。この段階の火山噴火はマグマ溜まりにあるマグマが噴出してしまえば一段落するので、それ以上大きくはならない。2009年から現在まで続く九州各地の火山がこれにあたる。

    ステージ3:ユーラシアプレートや北米プレートが耐えかねて跳ね上がり巨大なプレート型(海溝型)地震が発生する。その前にステージ1のように内陸直下型地震が起きることがある。今回の熊本の地震は、おそらくこれにあたると筆者は考えている。

    ステージ4:プレート間の摩擦が減少したため、従来よりも数倍の速い速度で太平洋プレートやフィリピン海プレートが北米プレートやユーラシアプレートの下にもぐり込み、ふたつのことが引き起こされる。

    ひとつは、もぐり込んだプレートが溶けてマグマとなり、火山の巨大噴火を引き起こすことだ。もうひとつは、沈み込むプレートの速度が速くなり過ぎて、太平洋プレートやフィリピン海プレートがちぎれて(正断層)、再び海底でアウターライズ型地震(再度、大きな地震が発生すること)が発生すること。

    今回、もうひとつ気にかかるのは、4月14日前後に、日本だけではなく、フィリピン海プレートとインド・オーストラリアプレート境のフィリピン海、太平洋プレートとインド・オーストラリアプレート境のバヌアツ、太平洋プレートと北米プレート境のカムチャッカ半島でも大規模な地震が起きていることである。

    フィリピン海プレートは比較的小さなプレートで、その東側と北側には太平洋プレートがもぐり込んでいる。これまであまり注目されてこなかったプレート同士ではあるが、フィリピン海プレートの圧力を受けている桜島の噴火が2009年頃から急増し、2011年にピークに達したことや、西之島新島が形成されたことなどをみると、今後、フィリピン海プレートと太平洋プレートの関係にも注目していかねばならない。

    特に、首都直下型地震の可能性を考える場合、これらの関係は極めて重要である。

    今回の熊本の地震は、ステージ3の南海トラフ地震の「前奏曲的」な意味合いが強いと考えられる。筆者は2020年東京オリンピックまでに、南海トラフ地震の発生が懸念される状況にあると考えている。筆者の推計では南海トラフ地震の津波被害者は、47~50万人である。熊本地震を単体のものとしてとらえず、日本全体の「危機の前兆」と認識し、対策を講ずる必要があるのだ。
     


    財務省主計局インタビュー43「いちばんは社会保障を持続可能なものにすること」  

     財務省主計局インタビュー⑨

    Image

    いちばんは「社会保障を持続可能なものにすること」

     

    鳥巣
    以前、「基礎的財政収支の黒字化は、均衡していれば、国債に頼らなくても政府サービスを行う事が出来る」という説明を聞いたことがある。
    財務省
    そういう事ではありません。
    鳥巣
    やっぱり、違うんだ。
    財務省
    違います。プライマリー・バランスは、歳出のなかで利払費とかは除いた関係になります。仮にプライマリー・バランスが均衡してたとしても、利払費分をファイナンスするために国債発行はしている状態になります。
    鳥巣
    今、利払いは?
    財務省
    一般会計では9・9兆円ですーー来年度予算ですが。
    鳥巣
    全体では?
    財務省
    今ちょっと地方の数字は持ち合わせていないので・・。あと特会によっては、独自の借入をやっています。返すための利払いが発生しているものもあります。
    鳥巣
    つまり、プライマリー・バランスが黒字化したからといって、万事OKという訳ではない。
    財務省
    そうです。でも、まずの目標としては、”黒字化”というのを言っています。
    鳥巣
    超少子高齢化を考えても、経済学者の水野和夫氏は「最終的に消費税20%余」、小林慶一郎・慶応大教授は「消費税30%超ーー目に見えて借金を減らすには消費税35%を50年続けることーーが必要」と唱えている。


    「水野和夫」の画像検索結果       「小林慶一郎」の画像検索結果

    財務省
    それは何をターゲットにするのかで違ってきます。P・B黒字化のためなのか。債務残高の対GDP比を改善するためなのか。それとも、もっと先の話なのか。ゴール次第で最終的な、必要な上げ幅というのは違ってきます。それぞれ違う計算をされていると思います。
    鳥巣
    今後の財政運営でいちばん難しいのは?
    財務省
    人口動態は、遺憾ともしがたい部分があります。それの影響をいちばん受けるのは社会保障。もちろんP・B黒字化というのはあります。それと表裏一体ですが、社会保障を持続可能なものにするのは、国民みなさんとの関係でもーー難しいですけどーーいちばんちゃんとやらなければならない部分だと思っています。
    鳥巣
    本日は、ありがとうございました。




    【取材雑記】

     これまでは「
    現在、財政危機ではあるが、政府債務不履行のリスクが高いということでは決してない」と答えてきた財務省が今回、私には初めて「このまま行くと債権を発行できなくなる可能性があります」と回答。リスクが高まっている実感を財務省自身が感じているのでしょう。ゆうちょ銀行や民間銀行などが国民の預金で国債を買える額ーーつまり国民の金融資産(うち金融機関が使えるのは、住宅ローンなどの借金を引いた純金融資産)ーーにも限りがあります。超高齢化社会に向かい医療・介護費用が何倍増もしていくなか、債券を発行できなくなる事態にでもなったら・・。
     「
    日本は社会サービスは便益が高く・負担が少ない」
    財務省のボールは、国民に向かって投げられています。ヘッジファンドも注視しているだけに、どこまで実態を明らかにすればよいのか、インタビューも神経を使います。


    【鳥巣注】

     ちなみにインタビューの内容は正確を期すためにも、財務省主計局に原稿チェックをして頂いております。
     
     また今回の財務省主計局インタビューは、右記の「ブログテーマ一覧ー財務省主計局インタビュー」でも閲覧可能です。





    財務省主計局インタビュー42「このままでは債券が発行できなくなる危険水域にある」

     財務省主計局インタビュー⑧

    Image

    国民金融資産1700兆円の伸びは株の動向が大きい

     

    鳥巣
    2010年当時1400兆円は増えないのではないかと言われてた。
    財務省
    そういうふうに記憶しています。平成21年(2009)、22年(2010)頃にはそろそろ逆転するのではないか・・と言っていたと思います。
    鳥巣
    専門家も限界が来るぞと言っていましたからね。5年前に「5年後には限界が来る」と言ってた。
    財務省
    危険水域にあるのは間違いないと思います。長期的なトレンドでいえば、ギャップは縮まっています
    鳥巣
    国民の金融資産が予想とは異なり伸びてきた原因は?
    財務省
    これはリーマン・ショック後で、家計で持っている株とかの価格などがいちばん落ちていたのが平成21年(2009年)。そこからーーもともとトレンドとしては回復しつつーーアベノミックスで上がってきたーーそれが答えだと思います。

    【アベノミックス】

    201212月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策。201343日、4日には日本銀行金融政策決定会合で異次元の金融緩和が導入が決定された。

     鳥巣
    国民の金融資産がまだ伸びていく可能性もある。
    財務省
    株価がどうなるかにもよります。無限大に伸びていく事はあり得ませんが、今はちょっと小康状態。
    鳥巣
    株の動向による・・。
    財務省
    影響は大きいですよ。

     

    大きかった海外の企業収益を国内に還流させた税改正

     

    鳥巣
    国債の消化を考える場合には、国民の金融資産だけではなく、フロー(経済で、一定期間内に流動する金・商品などの量)も大切になってくる。この国民の金融資産の中には、企業の内部留保は含まれていないんですよね。
    財務省
    そもそも日銀が出している数字なので、正確性について私どもが言うべきものではないのですがー含まれていません。
    鳥巣
    5年ほど前に税制改革が行われた。外国にある企業の子会社から内部留保を国内に還流させる。元大蔵省主計官の片山さつき議員なんかが音頭をとってやられた。著書『真実の議論』でも触れてある。

     「片山さつき」の画像検索結果

    鳥巣
    95%を無税にする。円安になったときに海外で日本企業が稼いだおカネを国内に入れていこう。これが企業の内部留保を加速させていった大きな原因なのかと私は思っていた。
    財務省
    円安?
    鳥巣
    当時は円高。円安にすれば外国から還流させるのに有利。(当時総理大臣の)菅 (直人)発言なんかがあって、私がそのときにある省庁の担当者に「こういう円安の時に海外から外貨を入れると良いですよね」と言ったら「入れていると思いますよ」とおっしゃったので。そういう阿吽の呼吸があるのかなとは思ってた。

    「菅直人」の画像検索結果

    鳥巣
    つまり、そうやって外国から還流させたおカネの集積が、この「300兆円」なのかな・・と。そして当時財務省主計局のある担当者の考えのなかで印象的だったのは「これからは特に所得収支に力を入れていくべき」という点。

    所得収支】

    海外から得た利子や配当(投資収益)、賃金(雇用者報酬)などによる収支のことで経常収支の1つ。そして経常数値とは 貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計で海外での稼ぎが分かる数値。



    財務省
    所得収支に力を入れていく事は、ひとつの考え方としてアリかなと思われます。その通りだと思います。
    鳥巣
    企業の内部留保という資金余剰金も国債の償還に回せますよね。
    財務省
    家計の預金経由という事であれば、金融機関が持っている国債も広義の意味では含む事になりますが、このカウント上(=国民の金融資産)は直接は入っていない。原資として国債の償還に回っているというのはあります。

     

    このままでは債券が発行できなくなる危険水域にある



    鳥巣
    ただ、財政問題は年々深刻化していると思っています。一般の国民は、ロジカルな事よりも「どうなるの?」という事が知りたい。
    財務省
    このまま行くと、債券が発行できなくなる可能性があります。債券が発行できなくなったら歳出額をそのままガポッと落とさなくてはいけなくなる。それが結果的にどうなるかというと、公共サービスの低下。あとは特例債とかに頼るとかになると、今の世代は何とかなるかもしれないけど、今後生まれてくる世代がその負担を付け回して受けていく事になります。

    財政状況が悪くなればーー今は日銀との関係で特例的なのかもしれませんがーー金利は上がります。そうなると民間の調達コストも上がる。民間経済も不活性になります。