鳥巣清典の時事コラム1596「安倍首相 財政出動求めるも メルケル氏と折り合わず」
産経
ドイツ訪問中の安倍晋三首相は4日午後(日本時間5日未明)、ベルリン郊外の迎賓館メーゼベルク城でメルケル首相と会談した。安倍首相は減速懸念が強まる世界経済を下支えするため、26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で機動的な財政出動を辞さないメッセージを出すことに協力を呼びかけたが、財政規律を重視するメルケル氏と折り合わず、サミットで引き続き議論することを確認した。
安倍首相は会談で「世界経済は大きなリスクを抱えている。しかも予見しがたい。いまこそG7(先進7カ国)には構造改革の加速化にあわせて機動的な財政出動が求められており、サミットでG7として一段と強い明確なメッセージを発出したい」と求めた。これに対しメルケル氏は「世界経済の成長はまだまだだ。特に新興国の経済が弱い状況にある。これらの国で構造改革を行うことが重要だ」と指摘。その上で「財政出動は私は決してフロントランナーではないが、構造改革、金融政策、財政出動の3つを一緒にやっていかなくてはならない。財政出動だけではなく、民間投資で引っ張ることも重要だ」と応じた。
両氏の認識について日本政府同行筋は「両首脳は財政出動、構造改革に否定的ではない。バランスを取ることが重要だという認識で完全に一致した」と指摘した。
安倍首相は、メルケル氏に財政出動の重要性を訴える一方で、農業改革やエネルギーの自由化などに取り組んだ自らの実績を強調し、構造改革とのバランスに配慮する姿勢も示した。
両首脳は、安全保障分野で具体的な協力を進めるため6月に外務防衛当局者間の協議を開催することで合意した。また、ドイツから提案があった日独サイバー協議も今年中に立ち上げることも確認した。
また、安倍首相はドイツのガウク大統領の来日も要請し、メルケル氏も期待を示した。オバマ米大統領がサミット出席に合わせて被爆地の広島を訪問する見通しになっていることに関し、メルケル氏は共同記者会見で「私のスケジュールは伊勢志摩だ。それ以外の所を訪問する予定はない」と述べた。
外務省によると、迎賓館メーゼベルク城に日本の首相が招かれるのは初めて。
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PS①
トランプ氏「日本車の関税大幅に引き上げる」
NHK5月7日
アメリカ大統領選挙に向け、共和党の指名獲得が確実となったトランプ氏は、日本が現在、アメリカ産牛肉にかけている関税を維持するなら日本から輸入する自動車にかける関税を大幅に引き上げるなどと独自の主張を展開しました。
アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びで、共和党の指名獲得が確実となったトランプ氏は、6日、中西部ネブラスカ州で演説しました。
この中でトランプ氏は、日本から輸入している自動車にアメリカが2.5%の関税をかけていることについて、「日本からの自動車には、ほとんど関税がかかっていない。大量の日本車がアメリカに流れ込んでいる」と述べました。
そのうえでトランプ氏は、ネブラスカ州で生産されている牛肉の日本への輸出について、「日本が牛肉に38%の関税をかけるのであれば、われわれは日本の自動車に対しても38%の関税をかける」と述べ、日本から輸入する自動車にかける関税を大幅に引き上げるなどと独自の主張を展開しました。
アメリカ産牛肉を巡っては、TPP=環太平洋パートナーシップ協定が発効すれば日本がかけている関税は、現在の38.5%から段階的に引き下げられる予定ですが、トランプ氏はアメリカに不利益だとしてTPPに反対しています。
トランプ氏はこれまでも、日本はアメリカ軍の駐留経費の全額を負担すべきだと主張するなど、日本に対する強硬姿勢を続けています。