財務省主計局インタビュー43「いちばんは社会保障を持続可能なものにすること」   | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

財務省主計局インタビュー43「いちばんは社会保障を持続可能なものにすること」  

 財務省主計局インタビュー⑨

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いちばんは「社会保障を持続可能なものにすること」

 

鳥巣
以前、「基礎的財政収支の黒字化は、均衡していれば、国債に頼らなくても政府サービスを行う事が出来る」という説明を聞いたことがある。
財務省
そういう事ではありません。
鳥巣
やっぱり、違うんだ。
財務省
違います。プライマリー・バランスは、歳出のなかで利払費とかは除いた関係になります。仮にプライマリー・バランスが均衡してたとしても、利払費分をファイナンスするために国債発行はしている状態になります。
鳥巣
今、利払いは?
財務省
一般会計では9・9兆円ですーー来年度予算ですが。
鳥巣
全体では?
財務省
今ちょっと地方の数字は持ち合わせていないので・・。あと特会によっては、独自の借入をやっています。返すための利払いが発生しているものもあります。
鳥巣
つまり、プライマリー・バランスが黒字化したからといって、万事OKという訳ではない。
財務省
そうです。でも、まずの目標としては、”黒字化”というのを言っています。
鳥巣
超少子高齢化を考えても、経済学者の水野和夫氏は「最終的に消費税20%余」、小林慶一郎・慶応大教授は「消費税30%超ーー目に見えて借金を減らすには消費税35%を50年続けることーーが必要」と唱えている。


「水野和夫」の画像検索結果       「小林慶一郎」の画像検索結果

財務省
それは何をターゲットにするのかで違ってきます。P・B黒字化のためなのか。債務残高の対GDP比を改善するためなのか。それとも、もっと先の話なのか。ゴール次第で最終的な、必要な上げ幅というのは違ってきます。それぞれ違う計算をされていると思います。
鳥巣
今後の財政運営でいちばん難しいのは?
財務省
人口動態は、遺憾ともしがたい部分があります。それの影響をいちばん受けるのは社会保障。もちろんP・B黒字化というのはあります。それと表裏一体ですが、社会保障を持続可能なものにするのは、国民みなさんとの関係でもーー難しいですけどーーいちばんちゃんとやらなければならない部分だと思っています。
鳥巣
本日は、ありがとうございました。




【取材雑記】

 これまでは「
現在、財政危機ではあるが、政府債務不履行のリスクが高いということでは決してない」と答えてきた財務省が今回、私には初めて「このまま行くと債権を発行できなくなる可能性があります」と回答。リスクが高まっている実感を財務省自身が感じているのでしょう。ゆうちょ銀行や民間銀行などが国民の預金で国債を買える額ーーつまり国民の金融資産(うち金融機関が使えるのは、住宅ローンなどの借金を引いた純金融資産)ーーにも限りがあります。超高齢化社会に向かい医療・介護費用が何倍増もしていくなか、債券を発行できなくなる事態にでもなったら・・。
 「
日本は社会サービスは便益が高く・負担が少ない」
財務省のボールは、国民に向かって投げられています。ヘッジファンドも注視しているだけに、どこまで実態を明らかにすればよいのか、インタビューも神経を使います。


【鳥巣注】

 ちなみにインタビューの内容は正確を期すためにも、財務省主計局に原稿チェックをして頂いております。
 
 また今回の財務省主計局インタビューは、右記の「ブログテーマ一覧ー財務省主計局インタビュー」でも閲覧可能です。