五十嵐元財務副大臣インタビュー③「これ以上の借金は将来の人が根こそぎ税金で払うことに」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

五十嵐元財務副大臣インタビュー③「これ以上の借金は将来の人が根こそぎ税金で払うことに」

 五十嵐文彦元財務副大臣インタビュー
 ーー今、何が起きているのか? これから何が起ころうとしているか?ーー③


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これ以上の借金は将来の人が根こそぎ税金で払うことに


鳥巣
 ここまでにも「債権が発行できなくなる可能性がある」というお話がありました。日本はーー平成28年度予算案でいうとーー一般会計96兆円余りの中でも34兆円余りの赤字国債を出して充当している。「発行できなくなる」というのは、どういう状態なのでしょうか。
五十嵐
 将来の税金を担保として日本の国債を買って貰う。しかし国内にもーー先ほどから鳥巣さんがおっしゃっておられる水野和夫説ーー国内にも買う余裕がなくなってくる。海外も、先ほどの(金融収縮のような)状況だと、買ってくれる所がなくなる。発行しても消化できない。
鳥巣
 買ってくれる人がいなくなる。
五十嵐
 そういう状況になる。将来の税金を担保にするといっても、今までが(国の借金が)大き過ぎる量ですから、これ以上だとまさにモラルハザードそのものになる。将来の人が、給料根こそぎ税金で払わなければ返せないような額になってしまう。人口も減ってくるんですから・・。
鳥巣
 客観的な状況としては、本当に八方ふさがり。いつも、この話をすると段々暗くなってくる(苦笑)。その中で政府、財務省等々がやってることをどういうふうに評価したらいいのか。「正しいんですよ」「この道しかないんですよ」、あるいは・・等々あると思うのですが、先生はどう評価されますか?
五十嵐
 政府は税収が上がって少し余裕が出来た訳ですよ。それを3兆円規模の補正予算を組んで使っちゃった訳です。その3兆円を優先的に借金減らしにーー将来の人のための税金減らしにーー僕は使うべきだったと思う。
 それから選挙のためもあって、バラマキをしている。
鳥巣
 3万円ずつらしいですね。
五十嵐
 それから軽減税率の導入も決めちゃいましたし・・。

軽減税率は効果薄の誰も評価しない本当におバカな政策


鳥巣
 先生は、軽減税率については、どういうお考えですか?
五十嵐
 軽減税率は、本当におバカな政策。世界中の誰も評価しない政策。日本人は「ヨーロッパは入っているじゃないか」と言う。ヨーロッパは、軽減税率をなくそうとしている。軽減税率は仕方なく、前からの流れで入れたけど効果が薄い、極めて薄いと。入れるんだったら、軽減税率ではなくて給付付き税額控除。というのが世界的な流れなんですよね。
鳥巣
 アメリカ、イギリス、カナダなどで現に行われているそうですね。

五十嵐
 日本人は給付付き税額控除が理解できないものだから「軽減税率、軽減税率」と言っている。公明党さんが言っているものだから引っ張られている訳ですが、公明党さんだって自分たちの支持層への公約がなければ本当は効果が薄いという事は分かっている。
鳥巣
 分かっている・・ほう。
五十嵐
 だと思いますよ。軽減税率は逆にものすごいマイナスがある。まず政治家が軽減税率を恣意的
に選べる。軽減税率をインボイスなしでやると大混乱が起きる。

【インボイス】

 
適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けているが、「インボイス」の様式まで特定されているものではない。(財務省資料)


日本のような細かい国では訴訟が乱発されかねない



五十嵐
 それから日本みたいな国では訴訟が乱発されかねない。
鳥巣
 なぜですか?
五十嵐
 イギリスでは服でも子供服でも同じものが適当にーー最終的な物の値段が値段なんだ、税金も含めてーーという考え方が皆に行き渡っているのであんまり気にしない。「どうして、これが10%で、こっちが0%なんだ?」と店員に食ってかかる人がいないんですよ。
 でも、日本中で起きますよ、それは。
鳥巣
 かえって日本で起こりやすい?
五十嵐
 起こりやすい。日本人は、すごい細かいからです。
鳥巣
 訴訟の可能性については一見、逆かと思いました。
五十嵐
 よその国は、消費税も含めて物の値段だと思っている。ところが日本人は、みんな積み上げだと思っている。ものすごい錯覚ですよね。最終的な物の値段って決まっていませんから。最終的な価格決定権を持っているのはスーパーマーケットですが、最終価格をいくらで売ろうと、思った値段で仕入れる訳ですから。別に積み上げて積み上げてーー輸送費はいくらで、人件費はいくらで・・それで値段はこうなりますとはなっていない訳ですから。
 それと「どうしてうちの商品がこっちに判断されたんだ」という事で多分訴訟が起きてくる。枝番がすごく分かれますから・・。

対して推進派の公明党は「痛税感を和らげるため」ーー


鳥巣
 逆に公明党さんの方は、軽減税率導入の理由として「痛税感を和らげるために」ーーという言い方をされている。
五十嵐
 そうなんです。
鳥巣
 でも、どっちを選ぶのかという選択の問題以上に問題があるということですか。
五十嵐
 目に見えないコストがあるということが日本人には分からない。例えば、インボイスを入れる。日本みたいに小さな商店が多いところでインボイスを入れたらどれくらい手間がかかるか。人件費コストの方が高い。レジを変えなくてはいけない。タイムサービスもしにくい。小さい所は閉店近くになったら安くするーーそれが今度は出来ますか? 管理してやらなくてはいけない訳ですから。そうすると、すごく手間がかかります。今までは父ちゃん母ちゃんでやれてたのが計算が出来なくなって、会計事務所に全部見て貰わなくてはいけない。そういうコストが高くなってくると思います。

国民は所得税を下げて消費税を上げて貰った方が良い


五十嵐
 インボイスなしでは、軽減税率は無理です。インボイスの問題は、すごいコストがかかると思う。大根だって1本200円から390円まで簡単に倍に動くんですから。それを固定的に元の値段を考えて、生鮮食料品が5%で他の物が8%で助かったといっても意味がない。魚にしたってイチゴにしたって果物、野菜にしたって、お店ごとに期日ごとに倍くらい動く訳ですから、そこで「3%得した、得した」って観念的に思うだけで実際的には全然意味がない。そのことのために相当なコストがかかって税収入が減って経済が危なくなる。
 基本的に大企業は、儲けを寄せればいいだけの話。高価格帯に価格を高くして、中低価格帯の商品については儲けを少なくすればいいだけの話。意味がないんですよ、その3%、5%というのは。最終価格がどうなるかだけを消費者は気にすればいい。買うだけの価値があるかどうかーー税金も含めて全ての価格ーーそれが本来の消費者だと思うんです。日本では逆にそうではないように、
税の5%、8%が最終価格といかにもリンクするかのように煽っている。
 まやかしてるんですよ。国民はほんとうは所得税を下げて消費税を上げて貰った方がいいはず。特に低所得者対策ということであれば。
 

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PS
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