絶対に受けたい授業「国家財政破綻」 -4ページ目

鳥巣清典の時事コラム1641「『観光ニッポン』中国爆買いの次はイスラム教徒にラーメン&家族風呂」

NHKで7月28日に特集。


イスラム教徒には豚肉を使わない「ハラル・ラーメン」


「おいしい」「おいしい」
ラーメンはイスラム教徒が多い東南アジアの旅行者にも需要があると考えました。そこで作ったのが、豚肉や豚骨などを使わない「ハラル・ラーメン」です。
 豚肉やアルコールなどを口に出来ないイスラム教に配慮したハラルの対応を採りいれました。オープンから10か月、SNSなどで店の評判は一気に広がりました。「うちを目的に旅行に来てくれたり。その友達のまた友達を連れて来てくれたり。勢いがありますよね、すごく」。
 中国人観光客の購買力が失速するなか、注目されるのがインドネシアやマレーシアなどからの観光客。ビザの緩和や格安航空の増便などでここ3年で2倍から3倍に増加しています。都内のコンサルティング会社には、東南アジアからの旅行者を受け入れたいという相談が去年の1・5倍に増えました。
「中国経済に関しましては、かなり影響してくると思います。イギリスのEU離脱でヨーロッパがちょっと冷え込む。のびしろはどこにあるのかと考えた時に、やっぱりASEANを見る方々を増えてきた。


イスラム教徒用に日本の若者にも人気の「家族風呂」


 日本伝統の温泉地も熱い視線を向け始めています。この日、コンサルの人たちを招き、イスラム教徒に対応するため視察会を開きました。温泉の最大のネックは、大勢の人が利用する大浴場。家族以外に肌を晒せないイスラム教徒には、不向きだと考えられていたのです。
 県内にあるイスラム教のモスクからも代表を招き意見を聞きました。すると意外な反応が。日本の若い旅行客に好評で最近増えている家族風呂。これならイスラム教徒も利用できると好感触を得ました。一方でーー中国人位人気の動物由来のシャンプーは控えた方がいいこと。化粧品にもアルコールが含まれていないこと。見直しが必要な点も見つかりました。


「出来ることからやっていけばいい事が分かった」
(旅館経営者)


 この日集まった各温泉地の旅館の経営者からは、受け入れに積極的な意見が聞かれました。「すごくハードルが高く、絶対に駄目だと思ってたんですけど。出来ることからやっていけばいい事が分かった」。「モスレムの方も、垣根なく受け入れられたら世界中からお客さんが来て下さるんじゃないかなと思うんです」。

 今や日本経済に欠かせなくなった外国人旅行者。様々な国の人を受け入れる環境の整備が活性化のカギになりそうです。

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浅草にある「お客さんの約8割がイスラム教徒」というラーメン店に行ってみた


ハラル認証とは

ハラルとは、イスラムの世界で合法なこと。つまり、ハラル認証を受けているということは、「ここのお店はイスラムのルールに従って作った料理を提供していますよ」という意味。

イスラムのルールというと、有名なのが「豚肉やアルコールを口にしてはいけない」だが、それ以外にも食材の取り扱いや仕込みの段階で、細かい決まりがあるらしい。そしてそんなルールに沿って作られた料理(ハラルフード)は、イスラム教徒でなくても、もちろん食べることができる。

・豚ではなく鶏

さて、お店に入り食券機を見れば『炙り鶏まぜそば』(700円)、『ざるラーメン』(700円)、『らーめん』(700円)などのメニューが並んでいる。私(筆者)は、そのなかから一番オーソドックスなメニューと思われた『らーめん』をチョイス。

待つこと数分で、待望の料理が運ばれてきた。……その見た目は、一般的な醤油ラーメンとそれほど変わらない。しかし、明らかに違うのは、チャーシューが豚肉ではなく鶏ということだろう。またそれ以外には、ノリ、ネギ、モヤシ、ほうれん草、煮卵、メンマなどが添えられており、麺は平打ちタイプ。

スープを一口飲んでみると……優しい鰹節の風味が! これは、日本の昔懐かしいラーメンや! 聞くと、どうやらスープのダシは、主に鰹と昆布から取られているらしい。もちろん、豚骨などは一切使われていない。

そのため、あっさり風味で、「これを嫌いという人は恐らくいないだろう」と思われる味。さっぱりしているが、ダシがしっかり効いており、美味しい。中でも個人的なお気に入りは、炙った(あぶった)鶏。プリッとした食感といい、香ばしさといい、最高だ。 

また美味しいだけでなく、健康に気を使っている人でも安心して食べられそうな点もポイント。

・お客さんの8割はイスラム教徒

あっという間に1杯を平らげ、お店の人にお話を聞くと、「お客さんはイスラム教徒の方が約8割」だという。そして、お店の2階の一部は、お祈りするためのスペースになっているらしい。

それにしても、イスラム教徒の方から親しまれているラーメンが、これほど日本人にとっても食べやすいラーメンだなんて……。知らなかった……!

というわけで、あっさり系のラーメンが好きな人はもちろん、今までハラルフードを食べたことがない人は、是非ともこの店に足を運んでみて欲しい。もしあなたが、「ハラルフード = 日本人の味の好みからかけ離れている」「あまり美味しくない」というイメージを持っているとしたら、このラーメンの味に軽いショックを受けるはずだ。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 成田屋
住所 東京都台東区浅草2-7-13
時間 月〜金11:00~22:00 / 土・日曜 8:00~20:00
休日 不定休

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

鳥巣清典の時事コラム1640「アベノミクスに残された『最後の矢』=JPモルガン銀行佐々木融氏」

コラム:アベノミクスに残された「最後の矢」=佐々木融氏

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アベノミクスは金融政策をほぼ使い果たした

[東京 9日] - ドル円相場は、5月米雇用統計が予想を大幅に下回ったことを受けて、108円台後半から106円台半ばまで急速に円高・ドル安が進んだ。しかし、仮に米雇用統計があれほど弱い結果となっていなくても、遅かれ早かれ、反落基調に入っていたと考えられる。

なぜなら、5月中のドル高・円安方向への調整は、すでに6月1日の時点で終了し、ドル円相場は反落基調に戻り始めていたからである。きっかけは、1日の安倍首相の記者会見だ。

現在、海外投資家が日本に関して最も注目しているのは、第2次補正予算の規模である。日本のメディア報道によれば、その規模は5―10兆円で、9月末にも召集される臨時国会で審議される可能性があるという。

しかし、海外投資家は、第1の矢である金融政策が限界を迎える中、第2の矢である財政政策を矢継ぎ早に放たなければ2%のインフレ率、2%の実質成長率の達成は難しい、とのロジックから、1日の記者会見で、安倍首相が消費増税の先送りとともに、10兆円以上の補正予算を発表することを期待していた。そうした期待が脆くも崩され、円買い戻しの動きにつながっていたのだ。

アベノミクスは開始後3年間、第1の矢に頼り続け、それをほぼ使い果たしたマイナス金利という最後の第1の矢は、日本経済にマイナスの副作用を与えてしまっている。


第2の矢も財政支出を膨らませる余裕はない

そこで、政府は今、第2の矢、つまり財政政策に焦点を移し、これに頼ろうとしており、マーケットもそちらに期待をし始めた。ただ、第1の矢と根本的に異なるのは、日本には第2の矢がほとんど残っていないという事実だ。政府債務残高は国内総生産(GDP)の200%と先進国の中では圧倒的に多く、財政支出を膨らませる余裕はない。マーケットはそのことを早くも思い知らされている状態と言える。

痛み止めと強壮剤で経済の実力は上がらない

アベノミクスは、本格的に第3の矢(構造改革・規制緩和)に頼るしかなくなっている。そもそも、こうした事態に陥るのは必然だった。本コラムで何度も指摘している通り、マーケットは実体経済を映す鏡でしかない。実体経済が変わっていないのに、鏡が違う姿を映し続けることはできないからである。

日本経済の潜在成長率は0.3%程度にすぎない。痛み止め」の第1の矢(金融緩和)や「強壮剤」の第2の矢(財政支出)を使って一時的に本来以上の力を発揮したとしても、それは一時的なものに終わる。円相場に振らされる株価は、その企業の本当の収益力を反映しているわけではないだろう。

マーケットは、日本が痛み止めや強壮剤を使っている姿にだまされたのではなく、その間に第3の矢(構造改革・規制緩和)で大胆な手術を行ってくれるだろうと期待して、それを織り込んできた。しかし、痛み止めが効かないどころか副作用まで広がり、また強壮剤も在庫が無いことに気づき、失望し始めている。

「劇薬」ヘリコプターマネー作りを始める?


そうした中、一部の市場参加者は、残った痛み止めと強壮剤を混ぜ合わせて、ヘリコプターマネーという「劇薬」を作ることを推奨し始めている。政府と日銀が劇薬を作り始めれば、マーケットは再び反応するだろう。最初は過去3年間と似たような反応になり、ポジティブな効果が出たように映るかもしれない。

しかし、その時の反応は、大胆な手術が行われ、実力が高まることへの期待ではなく、劇薬に頼り続けなければ生きていけなくなることへの期待、つまり何度も劇薬が投与されることへの期待となるだろう。

日本はこのあたりで一度冷静に今後の方針を考える必要があるのではないだろうか。大量の痛み止めや強壮剤を使ってみたら実力も上がるかもしれないと考え、チャレンジしたことを今から批判しても仕方がない。実験してみなければ、いつまでも効果があるとの意見がくすぶっていただろう。

ただし、痛み止めや強壮剤だけでは実力は上がらなかったことが分かった今、劇薬でまやかしの姿を作るのではなく、そもそもどのようにして日本経済の本当の実力を上げていくかを考えるべきではないだろうか。

確かに、痛み止めの効果が薄れ始め、強壮剤の在庫が無い中で、大胆な手術を行うのは難しいかもしれない。しかし、少しずつでも痛みを感じながら手術を行っていかなければ、日本経済の本当の実力は回復しないはずだ。今後は第3の矢だけに頼って実力を回復することを考えた方が、マーケットは評価するのではないだろうか。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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松田まなぶ氏のコラム。
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松田まなぶの「永久国債の研究」がバーナンキのおかげで一躍注目されているそうです。

 松田まなぶが以前書いた「永久国債の研究」(光文社)がアマゾンで最高10万円の売値がついているそうです。
 
米国のバーナンキ前FRB議長が首相官邸を訪ねたことがヘリコプターマネーへの期待を呼んで円安要因にもなりましたが、その際、永久国債に言及したことが明らかになったことを契機に、発刊時には1,000円程度で今や絶版の本書が俄然、注目を浴びているようです。
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この本は、私の仲間たちとともに4人で分担執筆した共著ですが、ページ数で全体の6割を占める永久国債の肝心の論考部分はすべて、私が執筆しました。
 執筆当時、私は政界に出る少し前の現役の財務官僚でした。官僚の枠を超えて思い切ったことを書いたつもりでした。

 今も、財政金融政策を考える一助となれば幸いですが、当時の立場上の制約もあって、個人的見解とはいえ、控えめに書いたものでした。今なら、もう少し、永久国債の議論を深堀してアベノミクスへの提案につなげられると思っているところです。

 従来の財政金融の常識からいえば、永久国債など眉唾モノだと思われたかもしれません。
 しかし、その後、アベノミクスで日本の経済政策は、課題先進国の名にふさわしい壮大な実験的領域に踏み込みました。
 これを成功させ、次なる課題である財政をどうするかを考えるためには、従来の常識を超えた発想が必要になっていると考えます。少し頭を柔軟にしてみてはどうでしょうか。

 本書執筆後、政界に出た私は、たちあがれ日本という政党で政策立案に携わった際に、「成長成果配当型無期限国債」という永久国債を提案して、同党のマニフェストに盛り込まれました。
 日本維新の会の衆議院議員になってからは、永久国債の議論は控えていましたが、次世代の党の結党で政調会長代理になってからは、いつぞや、こうした考え方を政策体系化したいと思っていました。
 前回の参院選では、与党の立場で自らの政策体系を少しでも実現したいとの思いから目指した自民党公認は残念ながら得られませんでしたが、永久国債の考え方は、これからの財政を考える上で欠かせない要素になるものだと思っています。

 未来への閉塞感を打破し、国民に夢を。今、次なる財政運営の構想を練っています。


永久国債

読み方:えいきゅうこくさい
分類:債券|分類

永久国債は、永久債の一種で、償還期限(満期)の定めがない国庫債券国債)のことをいいます。また、永久債とは、満期がない債券をいい、通常、元本の償還規定がなく、発行体が存続する限り、永久に利子が支払われます。その仕組みは、発行体が望む場合のみ償還が可能である一方、投資家(購入者)は償還を要求できません。

これまで、永久国債は、日本では発行されたことがありませんが、英国では、その昔、第一次世界大戦の戦費を支払う「戦時国債」として発行されたことがあります。ちなみに、2012年3月に英国が財政危機を乗り切るための奇策として、永久国債の発行を検討していることがメディアで報じられました。

(*金融経済用語集)


鳥巣清典の時事コラム1639「毛髪再生で初の臨床研究 発毛促す細胞を頭皮に注入」


日本はこれから何で稼いでいくのか?

NHKで「毛髪のもとになる細胞”増殖”研究が始まる」。

毛髪再生で初の臨床研究 発毛促す細胞を頭皮に注入

若いうちから髪の毛の生え際が後退したり頭のてっぺんの毛が薄くなる「壮年性脱毛症」は、日本人の男性の3割が悩むともいわれますが、発毛を促す細胞を頭皮に注入することで無くなった髪の毛を再生しようという初の臨床研究を、東京医科大学などのグループが今月スタートさせました。脱毛に悩む人の根本的な治療法となるのか注目されます。

「壮年性脱毛症」は、男性ホルモンが発毛を抑えることなどが原因で20代の若いうちから生え際が後退したり頭のてっぺんの髪の毛が薄くなったりします。日本人の男性のおよそ3割で発症するといわれ、女性で悩む人も少なくありません。
東京医科大学病院と大手化粧品メーカー資生堂のグループは、こうした人の髪の毛の再生を目指す臨床研究を今月から始めました。
臨床研究では、まず頭の後ろの部分から10本程度の髪の毛が含まれる頭皮を切り取り、この中に含まれる「毛球部毛根鞘細胞」と呼ばれる細胞を取り出します。そしてこの細胞を3か月ほどかけて百万個にまで増やしたあと、髪の毛が無くなった頭皮の部分に注入します。この細胞は、脱毛の原因となる男性ホルモンの影響を受けにくい特徴をもっているほか、注入した細胞が発毛を促進し、細く短くなって頭皮の下に隠れてしまった髪の毛を再び太く長い髪の毛にすることが期待されるということです。
グループでは、男女合わせておよそ60人にこの治療を行う予定で、発毛を促す細胞を頭皮に注入して髪の毛を再生する臨床研究が行われるのは国内では初めてです。
研究に参加した50代の女性は「頭のてっぺんの毛が薄くなり、細くなったのが気になっていました。自分の細胞を使うため拒絶反応の心配も少ないということなので期待しています」と話していました。
研究を行う東京医科大学の坪井良治・主任教授は「育毛剤などは使用し続けないと効果が続かないが、この方法は一度の治療で数年以上、効果が持続する可能性があるのが大きなメリットだ。今後5、6年の間に実用化を目指したい」と話しています。

「壮年性脱毛症」は男性の3割が発症

今回の臨床研究の対象となるのは「壮年性脱毛症」です。この脱毛症は「男性型脱毛症」とも呼ばれ、思春期以降に始まって髪の毛の生え際や頭のてっぺんの毛が次第に細く、短くなって頭皮から出てこなくなり薄毛となるのが特徴です。原因の1つは、男性の場合、男性ホルモンの一種の「テストステロン」です。「テストステロン」が髪の毛の根っこにある毛根に入り込むと髪の毛になる「毛母(もうぼ)細胞」が増えるのを抑えてしまうのです。「壮年性脱毛症」は、日本人の男性のおよそ3割が発症し、全国でおよそ2400万人の患者がいるとする推計があるほか女性でも、割合は少ないものの悩んでいる人が少なくありません。

根本的な治療になる可能性

「壮年性脱毛症」に対しては、これまで男性ホルモンの活性化を防ぐ薬の服用や頭皮への薬の塗布、それに植毛などが行われてきました。
日本皮膚科学会が診療ガイドラインで強く推奨しているのは、脱毛の原因となる男性ホルモンの働きを抑える「フィナステリド」などの薬の服用や、「ミノキシジル」の頭皮への塗布です。しかし専門家によりますと、いずれも薬の使用を続けないと効果が得られなくなり、根本的な症状の改善にはつながらないということです。
一方、今回の細胞の注入は、脱毛の原因となる男性ホルモンの影響を受けにくくしたうえで、発毛を促すもので脱毛症が起きる前の状態にまで症状を改善させるなどの根本的な治療になる可能性が期待されるということです。
毛髪の再生に詳しい大阪大学大学院の板見智皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授は「壮年性脱毛症は髪の毛が全く無くなる病気ではなく、毛が細く、十分に伸びなくなり皮膚の表面にまで出てこなくなるものだ。細胞を使った新たな治療で十分に伸びる髪の毛になれば発症する前の状態に回復させられる可能性があり、現状の薬物療法あるいは植毛などの手術療法で十分に満足度が上がっていない人にとって朗報となることが期待される」と話しています。

髪の毛作る器官そのものを移植する臨床研究も

一方、理化学研究所や京セラなどのグループは、髪の毛を作り出す「毛包」と呼ばれる器官そのものを再生医療の技術を使って大量に作りだし、頭皮に移植することで脱毛症の治療につなげようという臨床研究を始めると発表しました。早ければ2020年の実用化を目指すとしています。
研究を行うのは理化学研究所や京セラなどのグループです。グループでは脱毛症の患者の頭皮から「上皮性幹細胞」と「間葉性幹細胞」という2種類の細胞を取り出します。そしてゲル状のコラーゲンの中に入れて培養すると2種類の細胞が混ざり合って、髪の毛を作り出す「毛包」という器官が大量に作られるということで、これを再び脱毛症の患者に移植し髪の毛を作り出すということです。
マウスを使った実験では、再生した「毛包」を背中に移植すると3週間ほどで発毛が確認できたということで、グループでは臨床研究を行い、早ければ2020年の実用化を目指したいとしています。
理化学研究所の辻孝チームリーダーは「実現すれば体の器官を作り出す世界で初めての再生医療技術になる。この技術をほかの臓器の再生に向けた第一歩にしたい」と話しています。

鳥巣清典の時事コラム1638「アメリカのヒーロー観も『ひとり』⇒『複数』が時代の流れ」

 NHK『シブ5時』で寺門亜依子アナウンサーがインタビュー。アメリカ大統領選でも影響力を発揮する「ミレニアル世代」を紹介。
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トランプ氏は1人だけ時代の流れを読んでいた


寺門
 今回のテーマは「アメリカ大統領選挙」。講師にお招きしたのは、アメリカの共和党のシンクタンクに日本人として初めて上級研究員として所属。アメリカ政治を最前線で研究してきた横江公美さんです。

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寺門
 ドナルド・トランプ氏が先週、共和党の正式な大統領候補として指名がされました。ついに、ここまで上り詰めたかという感じなのですが。この展開、予想されてましたか?
横江
 誰も、政治家でない人が大統領候補になるていうのは、かなりの驚きですよね。
寺門
 なぜトランプ氏、ここまで上り詰めた要因て何なんでしょう?
横江
 まず共和党が、時代に変化を読み切れていなかった。その中で、実は1人だけ時代の流れを読んでいたのがトランプだったと言えると思います。

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「偉大なる国アメリカを、もう1度」で白人の怒りを拾う


横江
 まず1つは、国土安全保障。アメリカという国が攻撃されるかもしれない国になったという事と多様化した国になりましたよね。白人の怒りを拾っていると言われる。確かに「偉大なる国アメリカよ、もう1度」という部分。それから時代の波に乗りながら落ちた人を拾ったのがトランプだったと言えると思います。
寺門
 トランプ氏の強みとしてよく挙げられるのが。自分の見せ方、演出の上手さ。
横江
 「ロナルド・ツイッター・トランプ」と言われているくらいSNSの使い方も。ぞれからず~っとテレビに出てますからね。テレビの使い方も上手いと思います。
寺門
 テレビで放送される討論会なんかでも上手さが際立ってますよね。
横江
 いちばん長くしゃべってたのが彼だったんですよ。テレビ討論会では、たくさん話した人が勝つんです。

ヒラリー氏に「おカネのかかる政治の具現者」のイメージ


寺門
 そのトランプ氏が争うのが、民主党のヒラリー・クリントン氏。元大統領の夫人であり、前国務長官。知名度、経歴抜群なんですが、ここまでの道のり、意外にも苦戦。
横江
 普通ですと政治的マイノリティ、弱者、初めての女性大統領として時代の流れ的には強いはずなんですが。それがアメリカ政府の中枢にいたーー要するにおカネのかかる政治の1番の具現者と思われていて信用されていない。というところが強みに繋がっていない。
寺門
 「クリントン氏、偉そう」というイメージがあると言うんのですが、どういうところに表れるのでしょう。
横江
 演説を聴いているところとか。話し方とか、何となく偉そうなんです。ビデオに出てますけど。首を振ってますよね。「そうなのよ、フフン」という感じで頷いていると言われていて。なんか、こういう姿からも、政治的弱者である女性と言いながら、私はスゴイのよというイメージが垣間見えちゃう。
寺門
 上から目線のような。

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トランプ氏「1%が40%の富を持つ」アメリカ社会を批判


寺門
 昨日の段階では、それぞれの支持率が、ヒラリー氏44・1%、トランプ氏が44・3%とほぼ拮抗。これは、何故?
横江
 いちばん大きいのは、「ヒラリーの方が信用できないんじゃないか」というイメージが最近出てきた。トランプ氏というのは、理性と感情に訴えるのが非常に上手い。それから「1%の人が40%の富を持ってる」とアメリカでは言われている。そこに対してトランプ氏の方が強い事を言っているんです。ヒラリー氏の方が、強い事を言えていない。時代遅れ感が、こういうところにも出ている。


「ミレニアル世代」のキー・ワードは「いいね」&「つながり」


寺門
 アメリカ政治の変化を理解する、鍵を握っているのが「ミレニアル世代」と--聞き慣れないのですが、どういう世代ですか?
横江
 先ほどから「時代遅れ」とか「新しい世代になった」と言っていますが。これがまさに「
ミレニアル世代」の登場なんですね。例えば、マークザッカーバーグがSNSを作りましたけどその世代なんですよ。SNSのように「いいね」、それから「つながり」。そういったことを重要視する世代です。1980年から2000年代生まれの人たちをそう呼んでいます。
寺門
 今回の選挙でも有権者のおよそ4分の1.
横江
 オバマ大統領を生んだ世代とも呼ばれているのですが。ついにベビー・ブーマー世代を抜きまして、この選挙ではいちばん多く影響力を持つ世代になってくると言われています。
寺門
 どういう世代なのか。彼らの考え方を端的に表している映画があるんです。こちらはシビル・ウォー。キャプテン・アメリカ。アベンチャーズという映画の続編です。

「シビル・ウォー。キャプテン・アメリカ」の画像検索結果 「アベンジャーズ」の画像検索結果

アメリカのヒーロー観も「ひとり」⇒「複数」


寺門
 どういう映画なのでしょう。
横江
 ヒーローがたくさん存在するんですよ。アメリカ映画と言いますと、スーパーマン、バットマンもそうですけど、ヒーローが1人だった。
寺門
 突出した力を持ってた。
横江
 ここは、たくさんヒーローが出てきます。それだけじゃない。今シリーズ3になりますけど、シリーズ1・2で敵だった人も考え直してまたヒーローの1人になっていく。皆それぞれの良さを出して、集まって悪者を退治するというふうに考える世代なんです。ポケモン人気も、こんなところにあるんじゃないかなと思いますよね。


ミレニアル世代は「差別」「格差」を非常に嫌う世代


横江
 それに
ミレニアル世代」というのは、差別や格差というのが非常に嫌う世代。皆それぞれに理由があって、良いところもあるって見ますから。とにかく格差が、いちばん嫌いです。
寺門
 悪人も何か理由があって悪人になったんだから、善人になったりする事もある。
横江
 そうなんです。理由が分かれば、また行ったり来たりすることもあるんです。
寺門
 オバマ大統領誕生の原動力になったのも、この世代ということなんですよね。
横江
 まさしくオバマ大統領がしている事っていうのは、今の世代、今の時代の変化に合わせたことをしている。だから時代のシンボル的なことをやっていると言ってもよいかと思います。いちばんの成果といわれる「オバマ皆保険」、これはオバマ大統領と
ミレニアル世代があって実現したことだと思います。


【鳥巣注】

「偉大なる国アメリカを、もう1度」
 そうトランプ氏が言っても、アメリカの国力の衰えは現実。選択も安全保障は自国を中心に行い、日本は原爆を持つなど自主防衛をせよ、さもなくばもっとカネを払えーーという考えにいく。オバマ大統領が広島訪問した時も「謝罪さえしなければ、どおってことない」、あるいは「イスラム教徒は入国禁止」「メキシコ国境に高い壁を」などと白人優位主義を堅持する。

 一方オバマ大統領を生んだ
ミレニアル世代は、安全保障は映画『アベンジャーズ』に象徴されるように、集団的自衛網を構築することが理に叶うと考える。
 それから「敵は徹底的に排除」と考えるトランプ氏に対して「昨日の敵は、今日の友」--ちょうどアメリカと日本のようにーーと考えるのが
ミレニアル世代ですが、「差別」や「格差」を嫌う点も含め、私はシンパシーを感じます。

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ミレニアル世代

米国で、1980年代半ばから2003年の間に生まれ世代を指す語。「M世代」とも言う。いわゆるデジタルネイティブであり、社会あり方変容させる世代として注目されている
 デジタルネイティブ(digital native)とは、生まれたときからインターネット空気水のように、あたりまえの環境として存在していた世代をいいます。世界初商用インターネットスタートしたのが1987年日本では92年で、これ以降生まれ若年層該当します。幼い頃からITに慣れ親しんでいる彼らに対して人生途中からITに触れ世代を「デジタルイミグラント(digital immigrant移民)」と呼びます。
<*実用日本語表現辞典>


鳥巣清典の時事コラム1637「丹羽宇一郎氏『日銀が国債を買えなくなる日・・本当に大丈夫?』

『時事放談』(ТBS系)のゲストに丹羽宇一郎 元中国大使



20兆円規模の経済対策は期待が持てますか?


御厨貴
 動き出しているのは、こちらです。

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出水麻衣

 
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<経済対策20兆円規模に>公共事業、効果疑問も。政府はこのほど20兆円を超す規模の経済対策の作業に入りました。その内訳ですが、保育・介護の受け皿を拡充する1億総活躍社会の関連施策やリニア中央新幹線の最大8年の前倒しや新幹線の建設拡大。大型クルーズ船が寄港できる港の整備などとなっています。
 一方気になるのはこちらです。<年金運用損5兆円超>今週公表される公的年金の昨年度の運用成績ですが。3年間で38兆円の利益が出ているとされる一方、昨年度1年の損失額は5兆円を超すと見られています。一昨年10月に株式での運用枠を国内・国外、合わせて50%と2倍に拡大したことで株安が影響したと見られています。


今まで通りアクセルを吹かすのは極めて疑問


御厨
 20兆円超と見られる経済対策ですが。経済対策として期待が出来るのでしょうか?
丹羽
 いやぁ、極めて疑問です。

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 (この経済対策は)金融緩和の1つですよね。ある意味ではね。金融緩和をしても、なかなか民間に資金の循環がうまく回って来ない。あまり使わないし、新しい設備投資にもつながらない。消費が増えるという事でもない。それにも関わらず、今まで通りのアクセルを踏んで吹かしている。
 ある意味で世界的に金融緩和なんです。世界的に通貨が安くなって、そのカネどこへ行くんだ?と。世界中が困っている。どこへ行ったらいいんだと。結局、株を買うしかない。株にどんどんおカネが流れていく状況。従いましてね、20兆円と言いますけど。真水はいくらなんだ? だいたい3兆とか4兆だとか言われてですね。他のものは財投とか色々ありますね。どうせこれは、財投にしても、どうせ戻って来るだろうと思っておられるけども。


日銀が国債を買えなくなる日・・本当に大丈夫?


丹羽
 つまり借金がね。国債の発行が増える事はーー減る事はないんですねーーこの政策は。 (国債が)増える事は間違いない。これ以上、増えた時にね。おカネがさらにジャブついてですよ。で国債自身もこれ以上ね。日銀が買えなくなったら、一体財政の出口という事を考えると、本当に大丈夫かと。大変なリスクのある政策だと。
御厨
 なるほど。


失敗した時の理由を考えての年金運用は止めるべき


丹羽
 もうひとつ言うと、年金は5兆円でしょ。私が言いたいのはね。運営委員会というのがありましてですね。これは、どういう方々がなってるか分かりませんがね。そういう方々がね、鵜の目鷹の目のね、要するに相場の世界に、リスクを産む世界に入ってくるというのは非常に問題がある。
 それで儲かる試しがないんだけども。1番の問題は、損をしてもいいような大義を組み立てて。こういうところには投資をしない。こういうところには投資はしない。だから損をしても・・。思想や哲学を中心にーー例えば環境問題にふさわしいとか、自然エネルギーに優しいとか。こういうところに注目しなければいけません、という事を言ってる訳ですよ。
 もし運用に失敗した時にはね。「我々は、そういう国とか世界の環境問題に投資をしているから損をしたんだ」と。もうそういう理屈を考えながらね。投資をしようとしているんではないか。経済っていうものはね。そういうものじゃないんですよ。経済は、法律違反しないとか。信用とかを裏切らないとかがない限りはね。経済合理性だけで、どうやったら儲かるか。どうやったら元本を毀損しないか。という事をね、考えてやって貰わないと。大義名分、失敗した時の理屈ばかりを考えてね。最初から運用なんか止めて欲しい。絶対に儲かりません、これは。
御厨
 なるほど。

鳥巣清典の時事コラム1636「『ポケモンGО』日本でも配信開始 経済効果も期待

「ポケモンGO」 日本でも配信開始
経済効果も期待

世界中で人気を集めているスマートフォン向けのゲームアプリ「ポケモンGO」が日本でも22日から配信が始まりました。店舗や観光地などでは来客が増えるといった経済効果も期待されています。

「ポケモンGO」は任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、それにアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が開発と配信などのプロジェクトに参加したゲームアプリで、スマートフォンのカメラと位置を把握するGPS機能を使って、実際の風景の中に現れたキャラクターを捕まえたり、ほかのユーザーと対戦したりするものです。
会社側はアメリカやドイツなど36か国に続き、日本でも22日から配信を開始したと発表しました。
キャラクターを集めるためには屋外を歩き回りながら探す必要があり、先行して始まったアメリカでは画面に集中するあまり足をくじくなどけがをする事例が報告され、アメリカの交通当局が熱中しすぎないように注意を呼びかけるなど、社会現象となっています。
日本でも配信に先だって内閣サイバーセキュリティセンターがゲームに集中するあまり事故に遭わないようLINEやツイッターで注意点を知らせる取り組みを始めました。
具体的には、歩きスマホや自転車に乗りながら遊ばないこと、危険な場所の近くで遊ばないこと、大雨警報など防災情報を受信できるアプリを入れて天気に気をつけること、気温が高い日は熱中症に気をつけることなどを挙げています。

ポケモンとは

ポケットモンスターは20年前の平成8年に任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」向けに第1作が発売されました。
それ以降、シリーズの累計の販売本数は世界で2億本を超え、テレビアニメで放送されたり映画化されたりするなど世界中に知られる人気ゲームになりました。
ポケットモンスターは多くの謎を持った架空の生き物という設定で、700以上の種類が登場し、中でもネズミを模した「ピカチュウ」が人気です。
ゲームのプレイヤーはモンスターボールと呼ばれる道具を使ってポケモンを捕まえ、中に入れて持ち運び育てることができます。
ポケモンは、さまざまな技を覚えることができ対戦することでレベルアップしていきます。

ポケモンGOとは

「ポケモンGO」とは、スマートフォン向けのアプリで、任天堂の人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターを使ったものです。
スマートフォンの位置情報とAR=拡張現実の技術を組み合わせているのが特徴で、スマートフォンを持って特定の場所に行くと現実の風景の中に「モンスター」の画像が現れます。
「ポケモンGO」の開発と配信などのプロジェクトには、任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、アメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が参加しています。
今月6日にアメリカやオーストラリアで配信が始まり、その後、世界各国に広がって日本は37番目となります。
一方で、いわゆる「歩きスマホ」を助長するのではないかという懸念もあるため、会社側は、まわりをよく見て遊ぶよう注意喚起の画面をゲームの起動のときに毎回表示することや、画面を見続ける必要がないよう「モンスター」が近くにいるとスマートフォンが震えることで存在を知らせる仕組みにするなどの対策を取っているとしています。

「現実の世界に届けることができ光栄」

ポケモンGOを開発したアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」のジョン・ハンケ最高経営責任者は会社のホームページの動画で「日本で生まれたポケモンというすばらしい作品を現実の世界に届けることができ光栄だ。周囲をよく見て安全に遊んでほしい」と述べました。

ポケモンGOの企業戦略

「ポケモンGO」は、任天堂にとってスマートフォン向けのゲームとして初めてのヒット作となります。
ゲームアプリのダウンロード自体は無料です。
一方、ゲームを有利に進めようと、モンスターを捕まえたり、おびき寄せたりするための道具の一部については、100円から1200円程度のお金を払って買う仕組みで、この売り上げが会社側の収入となります。
また、特定の企業の店舗をゲーム内で道具が無料で手に入る所に指定するなど、企業との連携も行っていて、この契約による収入もあります。
ポケモンGOを共同開発した「株式会社ポケモン」に出資している「任天堂」は、33年前の昭和58年に発売した家庭用ゲーム機の「ファミコン=ファミリーコンピュータ」が爆発的なヒットとなったあと、次々と家庭用ゲーム機を世に送り出し、世界的なブランドに成長しました。
しかし、スマートフォン向けのゲームに押されて業績は低迷し、平成23年度から3年連続で営業赤字に陥るなど、経営の立て直しが迫られていました。
こうしたなか、任天堂は去年3月、IT企業の「ディー・エヌ・エー」と、スマートフォン向けのゲームの開発などを共同で進めるため、相互の株式を持ち合う形で資本提携することを発表し、それまでのスマートフォン向けのゲームに”対抗する姿勢”から”参入する姿勢”に方針転換していました。

経済効果も期待

「ポケモンGO」の日本での配信が始まったことで、店舗や観光地などで来客が増えるといった経済効果も期待されています。
ポケモンGOの日本での配信にあたっては、会社側はすでに「日本マクドナルド」との提携を発表し、店舗を訪れたユーザーにゲームを有利に進めるための道具を無料で提供して集客の拡大をねらっています。
会社側はこのほかの企業との提携は、今のところ未定としていますが、ポケモンGOを開発したアメリカのベンチャー企業「ナイアンティック」が手がけた「イングレス」という地図情報を使って陣取り合戦を行うゲームでは、さまざまな日本企業と提携しました。
具体的には、コンビニ大手のローソンや大手通信会社のソフトバンクなどと提携して実際の店舗への集客を図ったほか、神奈川県横須賀市と連携してゲームのユーザーが市内の観光ルートを巡るとレベルアップにつながる仕組みもありました。
ポケモンGOは、地図情報に基づいて各地の観光地や有名スポットなどがあらかじめ「ポケストップ」という拠点に数多く設定されています。
ゲームを有利に進めるための道具を無料で入手できる場所になっていることから、ゲームのユーザーが道具を手に入れるため各地の観光地などを訪れる形で集客効果が期待されています。
専門家の間では、こうしたポケモンGOの経済効果を「ポケモノミクス」と名付け、国内の個人消費の拡大につながる起爆剤になるのではないかと期待する見方もあります。


ポケモンGO 集中しすぎの事故に国が注意喚起




アメリカなどで大ヒットしているスマートフォン向けのゲームアプリ「ポケモンGO」が日本で配信されるのを前に、内閣サイバーセキュリティセンターは、ゲームに集中するあまり事故に遭わないようLINEやツイッターで注意点を知らせる取り組みを始めました。

「ポケモンGO」は、スマートフォンのカメラを通じて実際の風景の中に現れる人気ゲームのキャラクターを捕まえるなどして遊ぶ、任天堂などが開発したゲームアプリで、アメリカなどで大ヒットし日本でもまもなく配信が始まるとされています。
このため内閣サイバーセキュリティセンターは、LINEやツイッターを通じて、ゲームアプリを使用する際の注意点を知らせる取り組みを始めました。すでに配信されている海外ではスマホの画面に集中するあまり交通事故に遭ったり、池に落ちたりするトラブルが報告されているとして、歩きスマホや自転車に乗りながら遊ばないこと、危険な場所の近くで遊ばないこと、大雨警報など防災情報を受信できるアプリを入れて天気に気をつけること、気温が高い日は熱中症に気をつけることなどを挙げています。
内閣サイバーセキュリティセンターは、「注意点を守ってトラブルに遭わないように楽しく遊んでほしい」と話しています。

「ポケットモンスター」の画像検索結果


「Ingress」「Pokemon GO」の米ナイアンティック川島氏に聞く

ARへの意欲、開放されたミッションデイ、フジテレビとの関係は

3月、現実世界を舞台にした「Pokemon GO」のフィールドテストがついにスタート。2月にはフジテレビから出資を得るなど、次々と話題を提供する米ナイアンティック。現実世界を舞台にしたスマートフォンゲーム「Ingress」を提供する同社は、今、何を考えているのか。

 今回、香港での公式イベントを終えたばかりの同社アジア統括本部長である川島優志氏とアジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏にインタビューした。

ARとは「現実を少し面白くするもの」

 3月、米オースティンで開催されたイベント「サウスバイサウスウェスト(SXSW)」でナイアンティックCEOのジョン・ハンケ氏が講演を行った。川島氏によれば、SXSWでハンケ氏は「AR」(拡張現実)と「VR」(仮想現実)をテーマにした講演を行ったという。

 「テクノロジーの進化により、外出する機会が減ってきた現代に対し、いかに人々を動かし、外で遊んでもらうか」というコンセプトは、これまでもさまざまな場でハンケ氏自身が語ってきた内容。SXSWでも、ハンケ氏はそうした点を指摘しつつ、テクノロジーでそうした状況を解決できるのではないか、という想いがナイアンティックをARに動かしているのだと説明した。

 ハンケ氏は、「ARとVRはいとこのようなもの」としつつ、VRは現実をより面白いものに置き換えるもの、一方でARは現実世界を強めていくものと定義して、本質的な違いをもたらしているとする。

 ARは、ウェアラブルのメガネタイプのデバイスなど、特定のハードウェアについて語られることが多いものの、実際にはすでにリストバンド型の活動量計、スマートウォッチといったデバイスは拡張現実のひとつの形であり、ゼロから新しいものが生み出されるというよりも、既にある製品やサービスがさらに進化していくのがARの行く末ではないかと予言。「現実の、その場所で得られる体験を行いつつ、より強めて、ユーザーに恩恵を提供するコンピューティングのひとつのスタイル」がARとして、キラーアプリのひとつが「パーソナルナビゲーション」だとする。

 既にナビアプリはスマホ向けでは定番のサービスだが、たとえば自動車向けではフロントガラスにナビを投影したりするなど、ナビとARは期待されている組み合わせのひとつだ。川島氏からは、国内外で人気サービスとなっている飲食店検索サービスもまた、現実世界に情報を加えるAR的な存在であることなどが紹介され、ARで現実世界を少し面白くしていくという未来像が語られる。

Field Trip、Ingressで学んだもの

 ARがもたらす未来を現実にすべく、ナイアンティックがこれまで手がけてきたアプリは、Field Trip(フィールドトリップ)、そしてIngressだ。Field Tripは日本ではさほど利用されていないが、ARを用いてロケーション情報などを通知してくれる。もし自然の絶景を楽しめる名勝を訪れれば、それに関連する情報を得られる。

 このField Tripを通じて課題もいくつか浮かび上がった。たとえば現実で訪れた場所にあわせて情報をプッシュで配信しようとしても、「前触れなしでの音声案内は大変難しい。いつユーザーに話しかければよいのか。

 またiOSにしろ、Androidにしろ、通知はユーザーに気付いてもらうために設計されており、Field Tripでナイアンティックが目指した「邪魔をしない情報伝達」のためにはデザインされていない、というのもポイントのひとつ。この部分は、Ingressを楽しむ人であれば、普段のプレイのなかで、攻撃通知や最新の情報の通知、あるいは他のユーザーから送られてきたメッセージの通知といった部分で「なるほど」と思うことがあるかもしれない。

 「正しいコンテンツ」「正しい状況」がマッチしたなかで、摩擦のない情報伝達が実現すれば「本当に魔法のよう」と川島氏。

 そうした経験を踏まえて設計されたIngressは、ナイアンティック流にユーザーの振る舞いをいかに変化させ、行動を一押しするきっかけを作り出すか、ノウハウが込められたものと言える。

鳥巣清典の時事コラム1635「スロー『ホールドしている指は自分のヘソに当てる事でボディは斜め』」

社交ダンス。
スローフォックストロット。



①「”ぴょこん、ぴょこん”と上下する」
U子さんから指摘されたクセについて、ピアノ調律師のТ氏に相談。
予想した通り、「もっともライズをした上限が自分の身長まで」。

ーーすると、スローのリバースターンで左回転をしていくところがあるじゃないですか。フットワークも、ТH~ТHТ~Тと続いたりする。あそこは?
 Т氏曰く。
「ライズする分、膝を曲げて、高低差を吸収する」

 膝!


②K先生に質問。
ーー先生は「スローは、天秤棒を担いでいるイメージ」と。ボディはどの程度斜めに?
K先生
「思いきりやっていい」
ーー思い切りやると、相当斜めになる。例えば、ホールドは?
K先生
「ホールドの(指の)面は、自分のヘソに当てる」

踊っているので、右手は当然パートナーをホールドしている。女性のボディの上から「指の腹を自分のヘソに当てる」という事を実行すると、ヘソの面と指の腹は平行ーー必然的にボディは”斜め”にならざるを得ない。かくして、「天秤棒を担ぐ」進み具合となる。社交ダンスは理詰めのスポーツで最終的には「なるほど」という結論になる。K先生がよく述べるーー「ダンスは上手く出来ているんです」。

「ホールドを勉強」とK先生ーーなるほど。この先がある予感。


それにしても次回、”斜め”のステップは如何に?

③K先生、「クイックの足は、歩かない」を強調。膝を曲げてライズするのは「スロー」の足で、次の「クイック」「クイック」は棒状に軽く動かす。とくに「後ろ足」は軽く抜くように動かす。そうすることで、歩くような前進は無くなる。「スロー」と「クイック」との間に差が生まれ、スローの踊りらしくなる。

④K先生、先週に引き続き「スロー!と大きく」と大ぶりなパフォーマンスを強調。強弱弱、強弱弱のメリハリを作るためには欠かせない。ただしパートナーのことを考えると、本当にそんな大ぶりなパフォーマンスで通せるのだろうか少し心配。

YouTubeで検索するとK先生の指導イメージに近いと感じたのが元モダン世界チャンピオン・マーカス&カレン組のデモンストレーション→『Hilton basic foxtrot』。


「マーカス&カレン」の画像検索結果

 マーカス氏が述べているのが「ポッピング・アップやドロッピング・ダウンは駄目」。つまり、「弾くように上にあがったり、急に下へ落ちたりしては駄目」。嗚呼、まさに私が典型でした。

そして「キープ・ユア・ニー(
knee)・ソフト」、つまり「膝の状態をゆったりにし続けなさい」。これまた、努力が必要です。

 (スローのライズは自分の身長を超えないという)上限がある一方、膝を柔らかく使ってのスイング。果たしてスムーズにいけるかが不安。

 例えばフェザーステップ。「女性の骨盤を下から押し上げる!」。ライズを上限を決めて抑えているのですから、逆に「スロー」は膝を曲げて下から大きくスイングしていく。意図は分かります。

(*注=「Mirko & Alessia」組<写真左下>のスローは、同じスローでもよりソフトな感じを受けます。例=「Basic Foxtrot Demo (Music) by Mirko & Alessia」
 また「Victor Fung & Anastasia Muravyeva 」組<写真右下>のスローも基本ーー斜めの形などーーに忠実で凛とした麗しさが立ち表れる。これまでに見た映像の中で最高のスロー「Victor Fung & Anastasia Muravyeva Slow Foxtrot WSSDF 2010」は、見る者を陶酔させないではおかないインパクトを残します。


       



⑤K先生から声が飛んでいた「真ん中!に入れる」。
スリーステップでは、右足を女性の股間に入れていくーーについては、だいぶタイミングが合って来た感じがします。リバースターンの改善が功を奏したのかもしれません。あとは、「女性を真ん中に置く」ーー本来はタンゴのステップです。

⑥「スロー、スロー、スロー」の確認。但し、このときのパフォーマンスは?


⑦チェンジオブ・ダイレクションの次は、左足を出す。


⑧T氏から今回も「前進する時の足幅が後退に比べて広い」ことを注意されました。足型を先行させるために、つい「足幅」についての気配りが疎かになります。


*******

PS

 大橋巨泉氏、逝去。享年82歳。

「大橋巨泉」の画像検索結果







鳥巣清典の時事コラム1634「山田方谷②『至誠惻怛』真心と痛み哀しむ心で人は必ず付いてくる」

 

 NHKEテレ『知恵泉』で「山田方谷~借金100億を完全再建」。





山田方谷が着手したのは年貢米の流通改革


 どうやって収入を増やすかーー。
 方谷が着手したのは、年貢米の流通改革。当時備中松山藩では年貢で得たコメを大阪まで運び、そこで売りさばき現金収入に換えていました。大阪には蔵屋敷と呼ばれるコメの貯蔵施設を兼ねた営業所があり、そこで藩から委託を受けた町人が販売を担当。大阪の商人は全国のコメ相場に詳しく商売上手。収入の一定額は商人が持って行きますが、武士たちが行うより確実に儲かるため多くの藩がこの方法を使っていました。しかし方谷は、この大阪蔵屋敷を売り払い、商人による委託販売を廃止してしまいます。

 その代わり、備中松山で取れたコメは現地に留め置き、産地直送で売りさばけば蔵屋敷の維持費も商人への委託費もコストカットできると考えたのです。問題は商売のプロの力を借りずにコメ商いができるのか。実は方谷には勝算がありました。

 コメの取引に方谷自らが携わったことが分かる記録が残されています。部下とのやり取りからは、方谷自ら相場の分析をしながらコメの売買を指示していたことが伺えます。「関東筋においては存外に豊作だったと。という事は、たくさん出来たら価格は上がらない、上がりにくいだろうという事が書いてある。でも方谷は、そういうものの相場とかそういう情報が常に入っているようで、それを踏まえたうえで有利な場所で、例えば大阪とか兵庫の辺りで売っている」(専門家)
 方谷には、かつて江戸で学んでいた時の友人たちが全国にいました。彼らと連絡を取りあう事で方谷は各地のコメの相場を把握していたのではないかと考えられています。その結果、よけいなコストをかけずにより効率よく収益を挙げることに成功していたのです。


目指すは特産品の開発ーー鉱山を開発、鉄の産業を発展


 続いて目を付けたのが、特産品の開発。備中地方は古くから上質な砂鉄が取れる場所です。そこで方谷は、藩で鉱山を開発し、鉄の産業を発展させようと考えました。そのうえで方谷が目を付けたのがマーケティング戦略です。方谷は、大都市江戸に注目します。当時人口が100万人を超えていたといわれる江戸の街。その生活を支える農産物を生み出す農民が関東には大勢暮らしていました。方谷はこの農民たちをお客としたのです。当時使いやすさで定評のあった備中鍬の大量生産と販売。
「売るのはマーケッティング。ちゃんと頭の中にあって、狙うのは農民。生産、販売、備中松山藩の藩民で一手にやる。30を超える工場。決行しよう、作るーーと」


生産・流通・販売ー全て備中松山藩で行うシステム


 江戸への商人への輸送も藩の直営。大阪に立ち寄らず、紀伊半島を迂回して運びました。販売拠点は、日本橋にあった藩の中屋敷。当時の藩邸の地図です。ここで専門の役人が鍬などの特産品を売っていました。生産、流通、販売ーー全てを備中松山藩において行うという合理的なシステムを確立したのです。
「輸出立国ーー日本の近代社会の原型をこのときすでに山田方谷は自分の国ーー備中松山藩という小さな国ですけどーーここで実現することを宣言」(専門家)

 こうした改革の結果、方谷は借金10万両を見事返済。そのうえ黒字財政への転換に成功しました。この財政改革は幕府にも評価され、藩主板倉勝清は幕閣に起用され老中まで務めます。貧乏藩と罵られていた備中松山藩。方谷の改革によって、財政だけでなく、藩の誇りまで取り戻したのです。

ーーみなさんのお手元には、備中松山藩、岡山県高梁市の名物お菓子を用意しました。もち米にたっぷりと柚を混ぜて、こねた餅菓子です。備中松山にもかつてからあったんですね。それを特産品として奨励して作らせたのが方谷と言われているんですね。それだけじゃなくて、もち米は地元産、柚は藩の農民に作らせて、農民の現金収入にしたんですね。藩の収入にもなった。みんなで潤っていく。自前の強みを生かせという知恵。鉄にも目を付けた。
「これは中国地方の特産なので、備中鍬というのは農地を深く耕す事が出来る。開墾も出来るし、どんどん収穫も上がる。非常に優れモノの、日本近世の農業の道具では最大の発見と言ってもいいですね。真似はされても、鉄がきちんと採れる所でないと安い値段では出来ない。良質の鉄がすぐ近くで採れるというのが松山藩の強みなんですね」(山本氏)


ANAは自社の強みに目を付けて「貨物を儲け頭にしよう」


ーー自前の強み、自社の強みに目を付けて、経営戦略に軌道を乗せていったという例はありますか?
「お客様を乗せる飛行機は、一生懸命お客様を増やそうとします。貨物は余力で乗せていたーー昔はそうだった。そうではなくて、貨物を儲け頭にしようという事でやり始めたのが何年か前から」(全日空・大橋元社長)
 大橋さんの会社が、貨物部門を強化するために活用したのが自前の沖縄を中心とした旅客路線。国内の各地から沖縄へ貨物を輸送、そこからアジア各地へと結ぶ輸送網を新たに整備して収益アップにつなげたのです。
「お客さんが乗っていなくても、貨物だけで十分成り立っていける訳ですよ。仕組みを作ってやれば非常に有効な手立てになりますね」(大橋元社長)
「流通は非常に有効だと今気づかれている訳だけど、方谷はその時点で自前の船で江戸まで持って行っている。本当に流通をきちんと認識していたという事ですよね」(山本氏)
「ありゃ、すごいですね」(大橋氏)
ーー大阪の蔵屋敷を廃止する。
「これは、なかなかの英断なんですね。武士は商売には長けていないので、どうしても商人に委託する。その事務所が大阪の蔵屋敷。そこを廃止すると、どこで売って良いか分からない。ただ山田方谷は、いろいろな所からコメの豊作の情報だとか凶作の情報だとかを集めて、いちばん高く売れる所に運ぶ。そういう方策をやった。よほど情報網があって、なおかつ農民出身だけにコメとかそういう値段についての事には敏感だったんでしょうね。それでやることが出来た」(山本氏)
ーーそして結果として8年間で10万両。今でいう100億の借金を見事に返済した。この手腕たるや、すごいですよね。
「上杉鷹山なんか、そういう借財の返済を考えますけど、なかなか簡単には実現しない。かなり時間がかかる。薩摩藩とか長州藩とかは手っ取り早く踏み倒す」(山本氏)
ーー方谷はさらに人々の暮らしにも改革を求めていく。どうやって納得してもらう改革を進めたのか。さらなる知恵を味わってもらいます。
 財政改革といえば江戸時代、盛んに行われたのが倹約。方谷も例外ではありません。それは9箇条からからなる倹約令。日常生活の細かい事まで制限しています。「衣服は上下とも綿織物にして絹を使ってはいけない」「足袋を履いてよいのは、9月の節句から翌年4月の間だけ」「髪を結うのに男女とも人の手を借りてはいけない」。
 でも方谷が庶民に求めた倹約は、単なる息苦しい締め付けだけではありません。


山田方谷の知恵その3「安心で人の力を引き出せ」



山田方谷の知恵その3「安心で人の力を引き出せ」

 方谷の倹約令には、ちょっと変わった条文もありました。見回りの役員に酒は一滴も出さなくてよい。奉行や代官は、わずかな貰い物でも懐に入れてはならない。これは役人たちに蔓延していた接待や賄賂を禁じたもの。倹約で無駄を省く一方で弱い立場の人を不正から守り、負担を省くことも目指したのです。
 さらに方谷は庶民たちの地道な倹約から生み出した蓄えを庶民の暮らしのために役立てます。方谷の時代に建てられたコメ専用の貯蔵庫、濠蔵です。村ごとに1つずつ作り、年貢米を貯蔵させ、飢饉・災害などいざという時の備えにしました。方谷は農民が安心して働ける環境を整えることで経済を活性化させる大きな力を生み出そうとしたのです。
「農民たちに安心感を与えた。いざという時には、この濠蔵があるから大丈夫だということで。村人は安心して農業に励んで生活できる。だから方谷さんの時代に農民たちの数はずーっと増えている。藩全体が豊かになっている」(郷土史家)

ーーもともと農家に生まれ育ち、庶民の暮らしもよく理解していた方谷。庶民が豊かに安心して暮らせることを目指したからこそ、その改革に人々は納得したのです。
ーー安心が大事だというのは、どういう発想からなんですかね。
「将来のことを考えるためにも、今が安心でないとなかなか、きちんと働く気にもならないとなりますよね。方谷は農民出身なので、どこに農民が無駄遣いをしているのか、どこを契約すればいいのかがよく分かっている。そのうえで契約している。ただ指示をするだけでなくて、もし飢饉のときには濠蔵にコメを蓄えているよとなるんで。農民もそれなら従ってみようかという事になる訳ですね」(山本氏)

至誠惻怛』真心と痛み哀しむ心で人は必ず付いてくる


ーー従業員の方が安心して働けるモチベーションは、どうしたら持ってもらえるのか。一般の会社で社員の方、従業員の方に安心して働いてもらうためには。
「山田方谷には、もう1つ言葉があるんですよ。山田方谷『
至誠惻怛 (しせいそくだつ)』。至誠というのは、真心。惻怛 というのは、痛み哀しむ心。真心を持って、痛み哀しむ心を持てば、人は自ずから付いてくるよ。山田方谷は言ってますけど、私はその通りだと思いますね」(大橋氏)

ーー今日経営改革じっくり聞いてまいりましたけど。山田方谷の知恵、ビビりさん、どのようにご覧になりましたか?
「歴史の話を聞いていると、強引に押さえつけて進んだ結果、『ま、よくはなったけど』という話は結構あったじゃないですか。押さえつけたというよりは、考え方を変えて、メンバーはこのままでやってみませんか。みたいなところはあったのでね。理想的な改革な話がいっぱいありましたね」(ビビり氏)
ーー納得できる経営改革。というテーマで見てきたんですけど。最後に極意を、方谷の知恵を踏まえて大橋さんから教えて頂きますか。
「やっぱり、志ですよ。経営人の経営ビジョンがなきゃいかん。納得できる経営改革。経営改革の中身には、理念があって、ビジョンがなきゃいかん。ビジョンというのは、夢ですよね。夢を成り立たすには、志を持ってなきゃいかん。これがないと駄目ですね」(大橋氏)

鳥巣清典の時事コラム1633「ソフトバンク 英ARM買収 IoT強化が焦点」

ソフトバンク 英ARM買収 IoT強化が焦点

通信大手のソフトバンクグループは、イギリスに本社を置く世界的な半導体開発会社ARMホールディングスをおよそ3兆3000億円で買収すると18日発表しました。会社側はあらゆるモノをインターネットでつなぐIoTと呼ばれる技術を次の成長分野に位置づけており、巨額の買収額に見合う形でどこまで強化できるかが焦点となります。

ソフトバンクは、イギリスに本社を置く半導体開発会社ARMホールディングスのすべての株式をおよそ240億ポンド(日本円で約3兆3000億円)で取得し、完全子会社とすることで両社の間で合意したと18日発表しました。
ロンドンで開いた記者会見で孫正義社長は買収の理由について、あらゆるモノをインターネットでつなぐ新しい技術IoTの事業を強化することがねらいであると説明しました。そのうえで孫社長は「この規模の投資は初めてであり、大きな賭けであるが、次の大きなパラダイムシフト(=その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することはIoTになる」と述べ、インターネットの主役がパソコンからスマートフォンに移ったように、次はIoTに移行するとして、IoTに欠かせない最先端の半導体技術を持つARMを買収する意義を強調しました。

ソフトバンクを巡っては、中国のネット通販最大手アリババグループなど保有する株式を相次いで売却し、総額1兆8000億円の資金を確保していますが、今回、金融機関から新たに1兆円の資金を借り受けるとともに、アメリカの携帯電話会社などこれまでの相次ぐ買収で、ことし3月の時点で有利子負債はおよそ12兆円に上っています。これについて孫社長は「携帯電話事業などで安定して手元の現金は確保されており、実際の負債は大きくは変わらない」と説明しました。
日本企業による海外企業の買収としては、過去最大規模となる今回の買収にあたって会社側が次の成長分野として期待するIoTの事業を巨額の買収額に見合う形でどこまで強化できるかが焦点となります。

ソフトバンクがねらうIoT

IoTは工場の生産設備や製品などあらゆるモノにセンサーと通信の機能を持たせ、それをインターネットでつなぐ新しい技術です。
例えば世の中のあらゆる家電製品がネットにつながると、冷蔵庫の中身の食品をコンピューターが把握して外出先にいる家族に対し自動で買い物が必要な品を伝えたりできるような活用方法が考えられています。
また、これから実用化が進む自動運転車と、道路の標識や信号などがネットで結ばれると、車どうしが位置情報を交換したり、車と道路の標識や信号と連携したりして、交通事故や渋滞を防ぐことができるようになると指摘されています。
このようにIoTの技術によって、利便性や生活の質を大きく高めることができると期待されているのです。
また、工場の生産設備や工業製品に導入すれば、そこから得られる膨大なデータを製品の開発や故障の予測に生かすこともできるとされています。

消費電力低いARM社の半導体

ARMが手がける半導体製品の基本設計の技術は、特に消費電力の低さが特徴です。IoTの世界では、センサーや通信を制御するための半導体製品をあらゆるモノに組み込む必要があり、消費電力の低さは大きな強みになると見られています。さらに、ソフトバンクとしては、セキュリティーの強化にあたっても半導体の技術は欠かせないとしています。IoTが普及すれば、さまざまなモノがネットにつながるため、外部からのハッキングなどのリスクも高まります。製品に組み込まれる半導体にセキュリティー対策を施すことで、こうしたリスクに備えることができるとしています。
ARMの技術が採用されているのは、現在は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器が中心ですが、ソフトバンクとしては、将来、その用途が大きく広がると期待し、買収によってIoTの分野で主導権を握るねらいがあります。

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PS①

ソフトバンクは何故べらぼうな値段でⒶRMホールディングスを買収するのか?

 BBC、ニューヨーク・タイムズなどの報ずるところによれば、ソフトバンクが英国のケンブリッジに本社を置く半導体知的所有権会社、アーム・ホールディングス(ティッカーシンボル:ARMH)を240億ポンド(3.35兆円)で買収する交渉中だそうです。これは先週末の同社株の引け値より42.9%のプレミアムです。

 アーム・ホールディングスはマイクロプロセッサーやグラフィックス・チップの設計に関する半導体知的所有権(SIP)を保有する企業です。

 同社は、言うなれば「デザイン特許」のようなノウハウを売る会社なので、納品すべき品物(deliverables)がありません。このため、ほぼ「売上高=粗利」になります。グロスマージンは95.9%です。同社の営業費用のうち65%が研究開発費です。つまり同社は「R&D――研究開発ーーのかたまり」みたいな会社なのです。ちなみに営業マージンは42%です。

 同社の回路設計の基本デザインはアーム・コアと呼ばれ、スマートフォン、デジタルTV、自動車などに組み込まれています。

 アーム・コアの特徴は消費電力が少ない点です。

 とりわけ同社の「バージョン8アーキテクチャー」はいま世界で出荷されている最新鋭のスマホの60%に採用されています。

 また同社はネットワーク・インフラストラクチャを構成する機器の15%に食い込んでいます。

 さらに自動車やIoTなどに埋め込まれた、センサーに連動するプロセッサーにおけるシェアは25%となっています。

 売上高の55%はロイヤリティー収入、つまり半導体デザイン会社がアームに対して払う「使用権」収入です。そして36%はライセンシング収入です。

 同社は無借金経営であり、バランスシート上には9.5億ポンドのキャッシュが載っています。

1

【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高



さて、ソフトバンクと言えば米国のスプリントの買収が思い出されます。しかしスプリントは業界第3位の、しかも長年、放漫経営されてきた「ポンコツ会社」の買収でした。言い換えれば、バリュー投資的な切り口だったということです。

それとは対照的にアーム・ホールディングスは世界の半導体関連企業の中でも最もピカピカの会社であり、もちろん英国のハイテク企業の中では最も尊敬されている存在です。

したがって、今回噂されているような42.9%のプレミアムを支払うのは当然だと思います。

アーム・ホールディングスは「バージョン8アーキテクチャー」の発表以来、新規案件の獲得が加速しているように見えます。つまり今買わないと、2~3年後には、もう手が届かなくなる可能性が高いということです。

しかも英国のEU離脱をめぐる国民投票でポンドが安くなっているので、今は千歳一隅のチャンスというわけです。

またスプリントが、ボロ会社を立て直さなければいけない、たいへん手間のかかる案件であったのに対し、アーム・ホールディングスの場合、すでにマーケット・リーダー企業であり、しかもノウハウを売る会社なので、手直しや経営の軌道修正は、一切必要ありません。

Market Hackとしては、この買収には大賛成です。


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PS①

経済産業省に5年前に取材したとき、「昔のように護送船団とか経産省が音頭を取って引っ張るという時代ではない」(担当者)。

PS②
 
 先日NHKの討論番組で民進党の枝野氏が「どこに投資をすればよいとか。そういう事が苦手だから政治家になった人たちばかりがここにいる訳ですから」。

PS③

 数年前から言われています。「これからの日本の最大の問題は、何で稼いでいくか?」


PS④

昨今の日本の経常収支は、貿易黒字が縮小する一方、所得収支が対外債権の増加を背景. に黒字を維持。「所得収支」とは<海外から得た利子や配当(投資収益)>などの収支を指します。

鳥巣清典の時事コラム1632「山田方谷『それ善く天下の事を制する者は事の外に立ちて事の内に屈せず

 NHK『知恵泉』で「山田方谷~借金100億を完全再建」。





160年前にいたとんでもない経営改革の達人


1、全日空の元社長・現在は相談役の大橋洋治氏がゲスト。

「大橋洋治」の画像検索結果

「山田方谷は、私がいちばん尊敬する江戸末期の人です」(大橋氏)。

2、今から160年以上前にとてつもない経営改革の達人がいました。その名は、山田方谷。当時、日本中の政治家が改革のお手本として憧れた人物です。方谷が活躍したのは現在の岡山県。中国山地の山間の小さな藩・備中松山藩。藩の財務大臣だった方谷は、今に換算して100億円以上の借金をわずか8年で返済。新たな産業を興し貿易を発展させ近代ビジネスの先駆けのような成功を収めます。
 その才能は、百戦錬磨の商人からこう呼ばれるほど。「常器(じょうき)にあらず」ーー只者ではない。強い信念と大胆な実行力。ある時は、人が見守る前でなんと大量のお札を燃やしてしまいます。これを皆は納得ーーいったい何故? 特産品で大事なマーケット戦略。一部は遠く江戸まで運んでいったところ大ヒット。手間や費用をかけた以上に儲けたその秘策とは?

 痛みを伴う改革は、誰もが不安になるもの。でも方谷には秘策がありました。その名言ーー
其の義を明らかにして其の利を計らず>。
 現代の経営者の心も揺さぶる、山田方谷。誰もが納得の経営改革術に迫ります。

全日空が危機に瀕した時に山田方谷に教わった(大橋元社長)


2、今宵一緒に読み解くのは、大手航空会社の大橋洋治さん。社員1万人の元社長で今も相談役として活躍中。飛行機の整備から人事、営業など、現場の叩き上げから社長になった大橋さん。ところが大きな危機に見舞われます。アメリカ同時多発テロ。新型肺炎SARSの流行。海外への旅行者は激減し、会社は赤字に転落します。経営改革に乗り出した大橋さんは、社員の給料カットを断行。これに社員が反発します。

 この時、大橋さんは自ら社員の中に飛び込んで改革を行いました。その結果、痛みを伴う改革を納得してもらう事ができたといいます。とかく人に恨まれがちな「改革」という大仕事。納得できる経営改革を実現できた大橋さんと共に山田方谷の改革の知恵を紐解いていきましょう。

3、「私が山田方谷を知ったのはーーまさに会社が危機に瀕しているときーーどうすればいいかという事がありまして。それを山田方谷に教わったんですね」(大橋氏)

 そこへ東京大学史料編纂所の山本博文氏。

アバターアバター「前に河合継之助の話をしました。越後長岡藩の家老で藩政改革をやった。あの人の師匠にあたるんですね。どこの藩でも幕末は苦しい。藩政改革をやるけど、なかなかうまくいかない。山田方谷は珍しく上手くいくので河合も教わりに行くんですね」。


山田方谷の家は農家で菜種油を売って収入を得ていた


4、山田方谷の生い立ちから紐解いていきましょう。<今から210年前、山田方谷は備中松山藩、現在の岡山県高梁市に生まれました。方谷の家は農家。田畑を耕す傍ら菜種油を売って収入を得ていました。方谷15歳のとき父が死去。家業を継いで家を支える一方、方谷は学問にも熱中します。仕事が終わると夜遅くまで書物を読みふける毎日でした。14歳で読んだ漢詩に将来の抱負が綴られています。『済世の志』ーー世の中を救いたい。
 優れた才能が藩からも期待され、方谷は江戸などに留学。帰国後32歳で藩士の師弟を教える学校の校長になります。さらに方谷は、藩主板倉家のお世継ぎ教育まで任されます。まさに備中松山藩が誇る学者だったのです。その頃、備中松山藩は、重大な経営危機に直面していました。10万両、現在の100億円の借金を抱え、財政破綻寸前だったのです。
 当時の藩の財政状況です。藩の重役たちが商人たちから借りた借金10万両。これに対して年貢米による収入はおよそ2万8000両でした。ここから必要経費を引くと、借金返済に充てられるのはわずか1000両。しかも実は、借金の利子が9000両もあるため全て支払っても8000両の赤字。この赤字分を藩の重役たちは同じ商人から借りてその場をしのぐという、まさに悪循環。しかも劣悪な経営実態を商人に知らせていないというありさまでした。
 備中松山の貧しさは、参勤交代のときに駕籠かきが「貧乏板倉」と陰口を叩くほどでした。故郷が苦しむ中、30代の方谷は国のあるべき姿を模索していました。古くは古代中国から礼を取り政治家はどのように国の経済に取り組んでいくべきかを記した方谷の論文です。その中の代表的な一文ーー
君子は其の義を明らかにして其の利を計らず」。政治家はビジョンを明らかにすることが大切で、目先の利益ばかりに捉われてはいけない。利益はビジョンを実現していくなかで後から自ずと付いてくるものだ。

 そして方谷45歳。自ら教育を施した藩主・板倉勝清から重大な任務を命じられます。元締め役ーー藩の財政の全権を握るいわば財務大臣です。借金まみれの財政を立て直すという難題を背負った方谷。はたして持ち前の経済理念を現場で実現できるのでしょうか。


天下の仕事をなす者は大所高所から物事を見なさい


5、その『理財論』の一説に実は大橋さんがお好きな言葉があるとか。<
それ善く天下の事を制する者は、事の外に立ちて、事の内に屈せず。しかるに今の理財者は悉く財の内に屈す>(良く天下の仕事を為す事が出来る者は、物事の外に悠然と立って物事を考察し、物事の渦中に取り込まれる事は無い。それにも拘らず、現在の財務担当者は総て財政の事しか考える事が出来ずに袋小路陥っているのだ。)
 「
天下の大きな事をやろうと思えば、「事の外」--つまり大所高所から物事を見て、物事を小さい観点から見るんじゃないよ、ということを言っているんですね」(大橋氏)

「備中松山藩は慢性的な財政危機にある。財政の担当者は目先の増税とか『倹約、倹約』とかやっていくけれどうまく行かない。だからそういう専門性にこだわらない、国のあり方とか今後の方針とか、そういう広い視野で回復できる人物。それが必要で、そういう改革が必要だということを言っている」(山本氏)

ビビる大木「大局的に見れないですよ。ついつい細かいとこを見ちゃう。それじゃ駄目なんですね。視野がね。もっと全体的に見て・・」
「ビビル大木」の画像検索結果

「そこだけだとどうしても、どんどん小さい方に行っちゃうんですね。そうではなくてもっと大きな視野から見ないと、大きな改革は見えないーーそういうお話なんですね」(山本氏)


真実を明らかにし数100件もの返済改革を明確に


6、山田方谷の知恵ーーその1「悪循環は徹底的に断ち切れ」

財政改革に乗り出した方谷。まず取り掛かったのは、慢性的な借金体質。悪循環を断ち切る対策です。積り積もった借金10万両の利子を払うため、藩の重役たちが同じ商人から借金を繰り返す現状。これを止めねばならない。
 方谷は自ら、多くの貸主がいた大阪へ向かいます。集められた商人たちは耳を疑います。何と方谷は藩の重役たちが隠してきた最悪な財政事情を暴露してしまったのです。方谷は商人たちに、このままカネの貸し借りを続ければいずれ共倒れになり、元金すら回収できなくなると説得。そのうえ立て直しのビジョンを提示。数100件もある借金の返済改革を明確に説明しました。
 驚いた商人たちは、方谷をこう評します。「常器にあらず」。信任の元締めは、只者ではない。必ず改革を成し遂げるはず。納得した商人たちは、方谷の要望である利子の一時棚上げや返済期限の延長を受け入れます。痛みを伴う姿勢に協力していく姿勢を示したのです。


悪循環は徹底的に断ち切ることで第1歩を踏み出す


7、さらに藩が発行するおカネ、藩札にも断つべき悪循環がありました。藩札とは藩の領域内の商取引に使わられる紙幣。金貨や銀貨と同じ価値を持つものとされている。本来藩札を発行するには額面と同じ貨幣と交換できるよう藩は財源を持っていなければならない。しかし備中松山藩はこれまで幕府の公共事業や災害対策など臨時の出費を賄うため大量の藩札を発行してきた。その結果、藩札の価値は大きく下がり、おカネとしての信用を失ってしまう。
 これにより藩内ではまともな経済活動が出来なくなるという悪循環に陥っていた。方谷は藩札の信用回復に乗り出す。カギとなるのは藩札と交換できる財源を確保すること。方谷は藩の施設を売り払い、藩主の給料の一部を削減。いわゆるコストカットを断行。こうして得られた財源を基に藩札を本来のレートで交換。信頼を回復させて健全な商取引が出来る環境を整えた。

 そのうえで、これまでの旧藩札を捨てて、新しい藩札の発行を決定。健全な経済活動を再開するためのスタートラインに立った。さらに方谷は悪循環を断つためもう1つ駄目押しをする。ある日、城下の河原に山積みになったのは、すでに用済みになった1万2000両もの旧藩札。方谷はそれに火を付けるや燃やし始めた。炎は何時間も上がり続け、見守る人々は度肝を抜かれたという。藩札を切り替えるということを視覚的にアピール。どうしても成功させるという決意の表れだった。

 悪循環を徹底して断ち切ることで人々を納得させた方谷。改革の成功に向け第1歩を踏み出した。

「藩札は信用で成り立っている。今までは藩が儲けるためにどんどん発行した。これは駄目だから焼いて、これは藩のためではなくて庶民、領民のために使うものだという事をきちんとすれば領民もそれに付いてきて新しい藩札だって使おうという気になる。これが流通する事によって藩の商売とかが活発になっていく」(山本氏)


経営において「嘘」はついちゃいけません(大橋氏)


ーー驚いたのが、大阪の商人の前に行って包み隠さず藩の財政こんなに苦しいんですというのを堂々と話してしまう。
「当時も珍しいとは思いますね。方谷自身が農民の出身だったから個人的な武士の面子にこだわらないでそういう正直な話が出来たという部分もあるとは思うのですが。商人の方も方谷の誠実な態度に感じて協力しようという事になったのでは。やっぱり嘘をついちゃいけないんですね、こういう時に;」(山本氏)
ーー経営において嘘は駄目ですか。
「嘘はついちゃいけません。出来るだけ皆に納得して貰ってやらないと駄目ですね」(大橋氏)
ーー実体験から感じたことが?
「例えばコストカットを100億やりたいと。それはダイレクト・トークでやった」(大橋氏)

経営危機に直面した大橋さんは、全社員の給料カットなど厳しい改革を断行します。そのとき社員を説得するために設けた話し合いがダイレクト・トークでした。大橋さん自ら毎週のように現場に足を運び会社の危機的状況を説明し改革の必要性を訴えます。
「皆反対する。だいたい評判悪いですね。だけど納得するように努力する」
ーーでも、あの人を説得しないと前に進まないよという場合には?(ビビる氏)
「それは正攻法しかない。納得して貰うように自らとことん話し合う。分かってもらうまで」
ーー分かってもらうには、まず正直に話すことが大事。あとは、どんなところが必要だと?
「ダイレクト・トークだと、私が1対50だけではなく、途中で皆で分かれて、例えば私が言っていることが正しいと思ったら私の側に立つ。正しくないと思ったらあっちへ付く。半分、半分になったり。私の方が正しいというのが圧倒的に多かったりもする。双方向でやると大分変わりましたね」(大橋氏)


経営改革その2「どうやって収入を増やすか?」


――相手の話を聞いているうちに、大橋さんが「あ、なるほど」という事も?
「出てきますね。例えばキャビンアテンダントが機内のトイレを掃除をするのを『世界一にしたい』
と。トイレの中にアロマテラピー、芳香性のを自分で買って備え付けて終わったら自分で持って帰ることを個人的にやっていた。私は会社でそういうのは買うから自分でそんな事をやっちゃいかんと。それが成立すると皆が喜びだす」

「相手が納得して一緒にやろうという気持ちにさせないと駄目なんですよね」(山本氏)
「やっぱり人間ですからね。人間を大切にしなきゃいかん」(大橋氏)

山田方谷 知恵その2<自前の強みも生かせ>

ーー財政改革を進めるうえで次の課題。それはどうやって収入を増やすかです。

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以下、随時加筆していきます。