鳥巣清典の時事コラム1638「アメリカのヒーロー観も『ひとり』⇒『複数』が時代の流れ」
NHK『シブ5時』で寺門亜依子アナウンサーがインタビュー。アメリカ大統領選でも影響力を発揮する「ミレニアル世代」を紹介。
![「寺門亜衣子」の画像検索結果](https://encrypted-tbn2.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSURb-dXMiWQwLB7NpzkJ8h7XrEMZPTMWacXPPMhzt4MwTZNodECQ)
トランプ氏は1人だけ時代の流れを読んでいた
寺門
今回のテーマは「アメリカ大統領選挙」。講師にお招きしたのは、アメリカの共和党のシンクタンクに日本人として初めて上級研究員として所属。アメリカ政治を最前線で研究してきた横江公美さんです。
![「横江公美」の画像検索結果](https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSjRq0h6b0kBAo3QfoP3TAOc8aeYo3x_EwPO_kd8pcCsiMqSocW4A)
寺門
ドナルド・トランプ氏が先週、共和党の正式な大統領候補として指名がされました。ついに、ここまで上り詰めたかという感じなのですが。この展開、予想されてましたか?
横江
誰も、政治家でない人が大統領候補になるていうのは、かなりの驚きですよね。
寺門
なぜトランプ氏、ここまで上り詰めた要因て何なんでしょう?
横江
まず共和党が、時代に変化を読み切れていなかった。その中で、実は1人だけ時代の流れを読んでいたのがトランプだったと言えると思います。
![「ヒラリー・クリントン」の画像検索結果](https://encrypted-tbn3.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSmxGqcrMf2rG8orYZg-fjAf1HDzqrG4R0RFarI46JJaV9vEYvXTg)
「偉大なる国アメリカを、もう1度」で白人の怒りを拾う
横江
まず1つは、国土安全保障。アメリカという国が攻撃されるかもしれない国になったという事と多様化した国になりましたよね。白人の怒りを拾っていると言われる。確かに「偉大なる国アメリカよ、もう1度」という部分。それから時代の波に乗りながら落ちた人を拾ったのがトランプだったと言えると思います。
寺門
トランプ氏の強みとしてよく挙げられるのが。自分の見せ方、演出の上手さ。
横江
「ロナルド・ツイッター・トランプ」と言われているくらいSNSの使い方も。ぞれからず~っとテレビに出てますからね。テレビの使い方も上手いと思います。
寺門
テレビで放送される討論会なんかでも上手さが際立ってますよね。
横江
いちばん長くしゃべってたのが彼だったんですよ。テレビ討論会では、たくさん話した人が勝つんです。
ヒラリー氏に「おカネのかかる政治の具現者」のイメージ
寺門
そのトランプ氏が争うのが、民主党のヒラリー・クリントン氏。元大統領の夫人であり、前国務長官。知名度、経歴抜群なんですが、ここまでの道のり、意外にも苦戦。
横江
普通ですと政治的マイノリティ、弱者、初めての女性大統領として時代の流れ的には強いはずなんですが。それがアメリカ政府の中枢にいたーー要するにおカネのかかる政治の1番の具現者と思われていて信用されていない。というところが強みに繋がっていない。
寺門
「クリントン氏、偉そう」というイメージがあると言うんのですが、どういうところに表れるのでしょう。
横江
演説を聴いているところとか。話し方とか、何となく偉そうなんです。ビデオに出てますけど。首を振ってますよね。「そうなのよ、フフン」という感じで頷いていると言われていて。なんか、こういう姿からも、政治的弱者である女性と言いながら、私はスゴイのよというイメージが垣間見えちゃう。
寺門
上から目線のような。
![「ヒラリー・クリントン」の画像検索結果](https://encrypted-tbn1.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRy8bR4oIQFvKpKq_a-a8fYnA5FGuHQwTsN_hbgWjQEa9jW37lJQA)
トランプ氏「1%が40%の富を持つ」アメリカ社会を批判
寺門
昨日の段階では、それぞれの支持率が、ヒラリー氏44・1%、トランプ氏が44・3%とほぼ拮抗。これは、何故?
横江
いちばん大きいのは、「ヒラリーの方が信用できないんじゃないか」というイメージが最近出てきた。トランプ氏というのは、理性と感情に訴えるのが非常に上手い。それから「1%の人が40%の富を持ってる」とアメリカでは言われている。そこに対してトランプ氏の方が強い事を言っているんです。ヒラリー氏の方が、強い事を言えていない。時代遅れ感が、こういうところにも出ている。
「ミレニアル世代」のキー・ワードは「いいね」&「つながり」
寺門
アメリカ政治の変化を理解する、鍵を握っているのが「ミレニアル世代」と--聞き慣れないのですが、どういう世代ですか?
横江
先ほどから「時代遅れ」とか「新しい世代になった」と言っていますが。これがまさに「ミレニアル世代」の登場なんですね。例えば、マーク・ザッカーバーグがSNSを作りましたけどその世代なんですよ。SNSのように「いいね」、それから「つながり」。そういったことを重要視する世代です。1980年から2000年代生まれの人たちをそう呼んでいます。
寺門
今回の選挙でも有権者のおよそ4分の1.
横江
オバマ大統領を生んだ世代とも呼ばれているのですが。ついにベビー・ブーマー世代を抜きまして、この選挙ではいちばん多く影響力を持つ世代になってくると言われています。
寺門
どういう世代なのか。彼らの考え方を端的に表している映画があるんです。こちらはシビル・ウォー。キャプテン・アメリカ。アベンチャーズという映画の続編です。
![「アベンジャーズ」の画像検索結果](https://encrypted-tbn2.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcT4YONFejeRhPUrkrV1eDiZiQEX06e3md02gCf3z4lYzz_PRd6tOA)
アメリカのヒーロー観も「ひとり」⇒「複数」
寺門
どういう映画なのでしょう。
横江
ヒーローがたくさん存在するんですよ。アメリカ映画と言いますと、スーパーマン、バットマンもそうですけど、ヒーローが1人だった。
寺門
突出した力を持ってた。
横江
ここは、たくさんヒーローが出てきます。それだけじゃない。今シリーズ3になりますけど、シリーズ1・2で敵だった人も考え直してまたヒーローの1人になっていく。皆それぞれの良さを出して、集まって悪者を退治するというふうに考える世代なんです。ポケモン人気も、こんなところにあるんじゃないかなと思いますよね。
ミレニアル世代は「差別」「格差」を非常に嫌う世代
横江
それに「ミレニアル世代」というのは、差別や格差というのが非常に嫌う世代。皆それぞれに理由があって、良いところもあるって見ますから。とにかく格差が、いちばん嫌いです。
寺門
悪人も何か理由があって悪人になったんだから、善人になったりする事もある。
横江
そうなんです。理由が分かれば、また行ったり来たりすることもあるんです。
寺門
オバマ大統領誕生の原動力になったのも、この世代ということなんですよね。
横江
まさしくオバマ大統領がしている事っていうのは、今の世代、今の時代の変化に合わせたことをしている。だから時代のシンボル的なことをやっていると言ってもよいかと思います。いちばんの成果といわれる「オバマ皆保険」、これはオバマ大統領とミレニアル世代があって実現したことだと思います。
【鳥巣注】
「偉大なる国アメリカを、もう1度」
そうトランプ氏が言っても、アメリカの国力の衰えは現実。選択も安全保障は自国を中心に行い、日本は原爆を持つなど自主防衛をせよ、さもなくばもっとカネを払えーーという考えにいく。オバマ大統領が広島訪問した時も「謝罪さえしなければ、どおってことない」、あるいは「イスラム教徒は入国禁止」「メキシコ国境に高い壁を」などと白人優位主義を堅持する。
一方オバマ大統領を生んだミレニアル世代は、安全保障は映画『アベンジャーズ』に象徴されるように、集団的自衛網を構築することが理に叶うと考える。
それから「敵は徹底的に排除」と考えるトランプ氏に対して「昨日の敵は、今日の友」--ちょうどアメリカと日本のようにーーと考えるのがミレニアル世代ですが、「差別」や「格差」を嫌う点も含め、私はシンパシーを感じます。
![「横江公美」の画像検索結果](https://encrypted-tbn2.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcQxOAlV0dqKEL02CaGtftpqPGXFM6j_cWY2WP3r9p6x8AaLchjV)
【ミレニアル世代】
米国で、1980年代半ばから2003年の間に生まれた世代を指す語。「M世代」とも言う。いわゆるデジタルネイティブであり、社会のあり方を変容させる世代として注目されている。
デジタルネイティブ(digital native)とは、生まれたときからインターネットが空気や水のように、あたりまえの環境として存在していた世代をいいます。世界初の商用インターネットがスタートしたのが1987年、日本では92年で、これ以降に生まれた若年層が該当します。幼い頃からITに慣れ親しんでいる彼らに対して、人生の途中からITに触れた世代を「デジタルイミグラント(digital immigrant=移民)」と呼びます。
<*実用日本語表現辞典>
トランプ氏は1人だけ時代の流れを読んでいた
寺門
今回のテーマは「アメリカ大統領選挙」。講師にお招きしたのは、アメリカの共和党のシンクタンクに日本人として初めて上級研究員として所属。アメリカ政治を最前線で研究してきた横江公美さんです。
寺門
ドナルド・トランプ氏が先週、共和党の正式な大統領候補として指名がされました。ついに、ここまで上り詰めたかという感じなのですが。この展開、予想されてましたか?
横江
誰も、政治家でない人が大統領候補になるていうのは、かなりの驚きですよね。
寺門
なぜトランプ氏、ここまで上り詰めた要因て何なんでしょう?
横江
まず共和党が、時代に変化を読み切れていなかった。その中で、実は1人だけ時代の流れを読んでいたのがトランプだったと言えると思います。
「偉大なる国アメリカを、もう1度」で白人の怒りを拾う
横江
まず1つは、国土安全保障。アメリカという国が攻撃されるかもしれない国になったという事と多様化した国になりましたよね。白人の怒りを拾っていると言われる。確かに「偉大なる国アメリカよ、もう1度」という部分。それから時代の波に乗りながら落ちた人を拾ったのがトランプだったと言えると思います。
寺門
トランプ氏の強みとしてよく挙げられるのが。自分の見せ方、演出の上手さ。
横江
「ロナルド・ツイッター・トランプ」と言われているくらいSNSの使い方も。ぞれからず~っとテレビに出てますからね。テレビの使い方も上手いと思います。
寺門
テレビで放送される討論会なんかでも上手さが際立ってますよね。
横江
いちばん長くしゃべってたのが彼だったんですよ。テレビ討論会では、たくさん話した人が勝つんです。
ヒラリー氏に「おカネのかかる政治の具現者」のイメージ
寺門
そのトランプ氏が争うのが、民主党のヒラリー・クリントン氏。元大統領の夫人であり、前国務長官。知名度、経歴抜群なんですが、ここまでの道のり、意外にも苦戦。
横江
普通ですと政治的マイノリティ、弱者、初めての女性大統領として時代の流れ的には強いはずなんですが。それがアメリカ政府の中枢にいたーー要するにおカネのかかる政治の1番の具現者と思われていて信用されていない。というところが強みに繋がっていない。
寺門
「クリントン氏、偉そう」というイメージがあると言うんのですが、どういうところに表れるのでしょう。
横江
演説を聴いているところとか。話し方とか、何となく偉そうなんです。ビデオに出てますけど。首を振ってますよね。「そうなのよ、フフン」という感じで頷いていると言われていて。なんか、こういう姿からも、政治的弱者である女性と言いながら、私はスゴイのよというイメージが垣間見えちゃう。
寺門
上から目線のような。
トランプ氏「1%が40%の富を持つ」アメリカ社会を批判
寺門
昨日の段階では、それぞれの支持率が、ヒラリー氏44・1%、トランプ氏が44・3%とほぼ拮抗。これは、何故?
横江
いちばん大きいのは、「ヒラリーの方が信用できないんじゃないか」というイメージが最近出てきた。トランプ氏というのは、理性と感情に訴えるのが非常に上手い。それから「1%の人が40%の富を持ってる」とアメリカでは言われている。そこに対してトランプ氏の方が強い事を言っているんです。ヒラリー氏の方が、強い事を言えていない。時代遅れ感が、こういうところにも出ている。
「ミレニアル世代」のキー・ワードは「いいね」&「つながり」
寺門
アメリカ政治の変化を理解する、鍵を握っているのが「ミレニアル世代」と--聞き慣れないのですが、どういう世代ですか?
横江
先ほどから「時代遅れ」とか「新しい世代になった」と言っていますが。これがまさに「ミレニアル世代」の登場なんですね。例えば、マーク・ザッカーバーグがSNSを作りましたけどその世代なんですよ。SNSのように「いいね」、それから「つながり」。そういったことを重要視する世代です。1980年から2000年代生まれの人たちをそう呼んでいます。
寺門
今回の選挙でも有権者のおよそ4分の1.
横江
オバマ大統領を生んだ世代とも呼ばれているのですが。ついにベビー・ブーマー世代を抜きまして、この選挙ではいちばん多く影響力を持つ世代になってくると言われています。
寺門
どういう世代なのか。彼らの考え方を端的に表している映画があるんです。こちらはシビル・ウォー。キャプテン・アメリカ。アベンチャーズという映画の続編です。
アメリカのヒーロー観も「ひとり」⇒「複数」
寺門
どういう映画なのでしょう。
横江
ヒーローがたくさん存在するんですよ。アメリカ映画と言いますと、スーパーマン、バットマンもそうですけど、ヒーローが1人だった。
寺門
突出した力を持ってた。
横江
ここは、たくさんヒーローが出てきます。それだけじゃない。今シリーズ3になりますけど、シリーズ1・2で敵だった人も考え直してまたヒーローの1人になっていく。皆それぞれの良さを出して、集まって悪者を退治するというふうに考える世代なんです。ポケモン人気も、こんなところにあるんじゃないかなと思いますよね。
ミレニアル世代は「差別」「格差」を非常に嫌う世代
横江
それに「ミレニアル世代」というのは、差別や格差というのが非常に嫌う世代。皆それぞれに理由があって、良いところもあるって見ますから。とにかく格差が、いちばん嫌いです。
寺門
悪人も何か理由があって悪人になったんだから、善人になったりする事もある。
横江
そうなんです。理由が分かれば、また行ったり来たりすることもあるんです。
寺門
オバマ大統領誕生の原動力になったのも、この世代ということなんですよね。
横江
まさしくオバマ大統領がしている事っていうのは、今の世代、今の時代の変化に合わせたことをしている。だから時代のシンボル的なことをやっていると言ってもよいかと思います。いちばんの成果といわれる「オバマ皆保険」、これはオバマ大統領とミレニアル世代があって実現したことだと思います。
【鳥巣注】
「偉大なる国アメリカを、もう1度」
そうトランプ氏が言っても、アメリカの国力の衰えは現実。選択も安全保障は自国を中心に行い、日本は原爆を持つなど自主防衛をせよ、さもなくばもっとカネを払えーーという考えにいく。オバマ大統領が広島訪問した時も「謝罪さえしなければ、どおってことない」、あるいは「イスラム教徒は入国禁止」「メキシコ国境に高い壁を」などと白人優位主義を堅持する。
一方オバマ大統領を生んだミレニアル世代は、安全保障は映画『アベンジャーズ』に象徴されるように、集団的自衛網を構築することが理に叶うと考える。
それから「敵は徹底的に排除」と考えるトランプ氏に対して「昨日の敵は、今日の友」--ちょうどアメリカと日本のようにーーと考えるのがミレニアル世代ですが、「差別」や「格差」を嫌う点も含め、私はシンパシーを感じます。
【ミレニアル世代】
米国で、1980年代半ばから2003年の間に生まれた世代を指す語。「M世代」とも言う。いわゆるデジタルネイティブであり、社会のあり方を変容させる世代として注目されている。
デジタルネイティブ(digital native)とは、生まれたときからインターネットが空気や水のように、あたりまえの環境として存在していた世代をいいます。世界初の商用インターネットがスタートしたのが1987年、日本では92年で、これ以降に生まれた若年層が該当します。幼い頃からITに慣れ親しんでいる彼らに対して、人生の途中からITに触れた世代を「デジタルイミグラント(digital immigrant=移民)」と呼びます。
<*実用日本語表現辞典>