鳥巣清典の時事コラム1636「『ポケモンGО』日本でも配信開始 経済効果も期待 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1636「『ポケモンGО』日本でも配信開始 経済効果も期待

「ポケモンGO」 日本でも配信開始
経済効果も期待

世界中で人気を集めているスマートフォン向けのゲームアプリ「ポケモンGO」が日本でも22日から配信が始まりました。店舗や観光地などでは来客が増えるといった経済効果も期待されています。

「ポケモンGO」は任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、それにアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が開発と配信などのプロジェクトに参加したゲームアプリで、スマートフォンのカメラと位置を把握するGPS機能を使って、実際の風景の中に現れたキャラクターを捕まえたり、ほかのユーザーと対戦したりするものです。
会社側はアメリカやドイツなど36か国に続き、日本でも22日から配信を開始したと発表しました。
キャラクターを集めるためには屋外を歩き回りながら探す必要があり、先行して始まったアメリカでは画面に集中するあまり足をくじくなどけがをする事例が報告され、アメリカの交通当局が熱中しすぎないように注意を呼びかけるなど、社会現象となっています。
日本でも配信に先だって内閣サイバーセキュリティセンターがゲームに集中するあまり事故に遭わないようLINEやツイッターで注意点を知らせる取り組みを始めました。
具体的には、歩きスマホや自転車に乗りながら遊ばないこと、危険な場所の近くで遊ばないこと、大雨警報など防災情報を受信できるアプリを入れて天気に気をつけること、気温が高い日は熱中症に気をつけることなどを挙げています。

ポケモンとは

ポケットモンスターは20年前の平成8年に任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」向けに第1作が発売されました。
それ以降、シリーズの累計の販売本数は世界で2億本を超え、テレビアニメで放送されたり映画化されたりするなど世界中に知られる人気ゲームになりました。
ポケットモンスターは多くの謎を持った架空の生き物という設定で、700以上の種類が登場し、中でもネズミを模した「ピカチュウ」が人気です。
ゲームのプレイヤーはモンスターボールと呼ばれる道具を使ってポケモンを捕まえ、中に入れて持ち運び育てることができます。
ポケモンは、さまざまな技を覚えることができ対戦することでレベルアップしていきます。

ポケモンGOとは

「ポケモンGO」とは、スマートフォン向けのアプリで、任天堂の人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターを使ったものです。
スマートフォンの位置情報とAR=拡張現実の技術を組み合わせているのが特徴で、スマートフォンを持って特定の場所に行くと現実の風景の中に「モンスター」の画像が現れます。
「ポケモンGO」の開発と配信などのプロジェクトには、任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、アメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が参加しています。
今月6日にアメリカやオーストラリアで配信が始まり、その後、世界各国に広がって日本は37番目となります。
一方で、いわゆる「歩きスマホ」を助長するのではないかという懸念もあるため、会社側は、まわりをよく見て遊ぶよう注意喚起の画面をゲームの起動のときに毎回表示することや、画面を見続ける必要がないよう「モンスター」が近くにいるとスマートフォンが震えることで存在を知らせる仕組みにするなどの対策を取っているとしています。

「現実の世界に届けることができ光栄」

ポケモンGOを開発したアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」のジョン・ハンケ最高経営責任者は会社のホームページの動画で「日本で生まれたポケモンというすばらしい作品を現実の世界に届けることができ光栄だ。周囲をよく見て安全に遊んでほしい」と述べました。

ポケモンGOの企業戦略

「ポケモンGO」は、任天堂にとってスマートフォン向けのゲームとして初めてのヒット作となります。
ゲームアプリのダウンロード自体は無料です。
一方、ゲームを有利に進めようと、モンスターを捕まえたり、おびき寄せたりするための道具の一部については、100円から1200円程度のお金を払って買う仕組みで、この売り上げが会社側の収入となります。
また、特定の企業の店舗をゲーム内で道具が無料で手に入る所に指定するなど、企業との連携も行っていて、この契約による収入もあります。
ポケモンGOを共同開発した「株式会社ポケモン」に出資している「任天堂」は、33年前の昭和58年に発売した家庭用ゲーム機の「ファミコン=ファミリーコンピュータ」が爆発的なヒットとなったあと、次々と家庭用ゲーム機を世に送り出し、世界的なブランドに成長しました。
しかし、スマートフォン向けのゲームに押されて業績は低迷し、平成23年度から3年連続で営業赤字に陥るなど、経営の立て直しが迫られていました。
こうしたなか、任天堂は去年3月、IT企業の「ディー・エヌ・エー」と、スマートフォン向けのゲームの開発などを共同で進めるため、相互の株式を持ち合う形で資本提携することを発表し、それまでのスマートフォン向けのゲームに”対抗する姿勢”から”参入する姿勢”に方針転換していました。

経済効果も期待

「ポケモンGO」の日本での配信が始まったことで、店舗や観光地などで来客が増えるといった経済効果も期待されています。
ポケモンGOの日本での配信にあたっては、会社側はすでに「日本マクドナルド」との提携を発表し、店舗を訪れたユーザーにゲームを有利に進めるための道具を無料で提供して集客の拡大をねらっています。
会社側はこのほかの企業との提携は、今のところ未定としていますが、ポケモンGOを開発したアメリカのベンチャー企業「ナイアンティック」が手がけた「イングレス」という地図情報を使って陣取り合戦を行うゲームでは、さまざまな日本企業と提携しました。
具体的には、コンビニ大手のローソンや大手通信会社のソフトバンクなどと提携して実際の店舗への集客を図ったほか、神奈川県横須賀市と連携してゲームのユーザーが市内の観光ルートを巡るとレベルアップにつながる仕組みもありました。
ポケモンGOは、地図情報に基づいて各地の観光地や有名スポットなどがあらかじめ「ポケストップ」という拠点に数多く設定されています。
ゲームを有利に進めるための道具を無料で入手できる場所になっていることから、ゲームのユーザーが道具を手に入れるため各地の観光地などを訪れる形で集客効果が期待されています。
専門家の間では、こうしたポケモンGOの経済効果を「ポケモノミクス」と名付け、国内の個人消費の拡大につながる起爆剤になるのではないかと期待する見方もあります。


ポケモンGO 集中しすぎの事故に国が注意喚起




アメリカなどで大ヒットしているスマートフォン向けのゲームアプリ「ポケモンGO」が日本で配信されるのを前に、内閣サイバーセキュリティセンターは、ゲームに集中するあまり事故に遭わないようLINEやツイッターで注意点を知らせる取り組みを始めました。

「ポケモンGO」は、スマートフォンのカメラを通じて実際の風景の中に現れる人気ゲームのキャラクターを捕まえるなどして遊ぶ、任天堂などが開発したゲームアプリで、アメリカなどで大ヒットし日本でもまもなく配信が始まるとされています。
このため内閣サイバーセキュリティセンターは、LINEやツイッターを通じて、ゲームアプリを使用する際の注意点を知らせる取り組みを始めました。すでに配信されている海外ではスマホの画面に集中するあまり交通事故に遭ったり、池に落ちたりするトラブルが報告されているとして、歩きスマホや自転車に乗りながら遊ばないこと、危険な場所の近くで遊ばないこと、大雨警報など防災情報を受信できるアプリを入れて天気に気をつけること、気温が高い日は熱中症に気をつけることなどを挙げています。
内閣サイバーセキュリティセンターは、「注意点を守ってトラブルに遭わないように楽しく遊んでほしい」と話しています。

「ポケットモンスター」の画像検索結果


「Ingress」「Pokemon GO」の米ナイアンティック川島氏に聞く

ARへの意欲、開放されたミッションデイ、フジテレビとの関係は

3月、現実世界を舞台にした「Pokemon GO」のフィールドテストがついにスタート。2月にはフジテレビから出資を得るなど、次々と話題を提供する米ナイアンティック。現実世界を舞台にしたスマートフォンゲーム「Ingress」を提供する同社は、今、何を考えているのか。

 今回、香港での公式イベントを終えたばかりの同社アジア統括本部長である川島優志氏とアジア統括マーケティングマネージャーの須賀健人氏にインタビューした。

ARとは「現実を少し面白くするもの」

 3月、米オースティンで開催されたイベント「サウスバイサウスウェスト(SXSW)」でナイアンティックCEOのジョン・ハンケ氏が講演を行った。川島氏によれば、SXSWでハンケ氏は「AR」(拡張現実)と「VR」(仮想現実)をテーマにした講演を行ったという。

 「テクノロジーの進化により、外出する機会が減ってきた現代に対し、いかに人々を動かし、外で遊んでもらうか」というコンセプトは、これまでもさまざまな場でハンケ氏自身が語ってきた内容。SXSWでも、ハンケ氏はそうした点を指摘しつつ、テクノロジーでそうした状況を解決できるのではないか、という想いがナイアンティックをARに動かしているのだと説明した。

 ハンケ氏は、「ARとVRはいとこのようなもの」としつつ、VRは現実をより面白いものに置き換えるもの、一方でARは現実世界を強めていくものと定義して、本質的な違いをもたらしているとする。

 ARは、ウェアラブルのメガネタイプのデバイスなど、特定のハードウェアについて語られることが多いものの、実際にはすでにリストバンド型の活動量計、スマートウォッチといったデバイスは拡張現実のひとつの形であり、ゼロから新しいものが生み出されるというよりも、既にある製品やサービスがさらに進化していくのがARの行く末ではないかと予言。「現実の、その場所で得られる体験を行いつつ、より強めて、ユーザーに恩恵を提供するコンピューティングのひとつのスタイル」がARとして、キラーアプリのひとつが「パーソナルナビゲーション」だとする。

 既にナビアプリはスマホ向けでは定番のサービスだが、たとえば自動車向けではフロントガラスにナビを投影したりするなど、ナビとARは期待されている組み合わせのひとつだ。川島氏からは、国内外で人気サービスとなっている飲食店検索サービスもまた、現実世界に情報を加えるAR的な存在であることなどが紹介され、ARで現実世界を少し面白くしていくという未来像が語られる。

Field Trip、Ingressで学んだもの

 ARがもたらす未来を現実にすべく、ナイアンティックがこれまで手がけてきたアプリは、Field Trip(フィールドトリップ)、そしてIngressだ。Field Tripは日本ではさほど利用されていないが、ARを用いてロケーション情報などを通知してくれる。もし自然の絶景を楽しめる名勝を訪れれば、それに関連する情報を得られる。

 このField Tripを通じて課題もいくつか浮かび上がった。たとえば現実で訪れた場所にあわせて情報をプッシュで配信しようとしても、「前触れなしでの音声案内は大変難しい。いつユーザーに話しかければよいのか。

 またiOSにしろ、Androidにしろ、通知はユーザーに気付いてもらうために設計されており、Field Tripでナイアンティックが目指した「邪魔をしない情報伝達」のためにはデザインされていない、というのもポイントのひとつ。この部分は、Ingressを楽しむ人であれば、普段のプレイのなかで、攻撃通知や最新の情報の通知、あるいは他のユーザーから送られてきたメッセージの通知といった部分で「なるほど」と思うことがあるかもしれない。

 「正しいコンテンツ」「正しい状況」がマッチしたなかで、摩擦のない情報伝達が実現すれば「本当に魔法のよう」と川島氏。

 そうした経験を踏まえて設計されたIngressは、ナイアンティック流にユーザーの振る舞いをいかに変化させ、行動を一押しするきっかけを作り出すか、ノウハウが込められたものと言える。