鳥巣清典の時事コラム1563「『スロー』を『1、2』と数えるーーそして力を抜く」
スローフォックストロット
K先生の数多い指導の中で印象に残ったのが「スローを”スロー”と数えないで、”1、2”と数える」。本人はスローのつもりで踊っていても、実は短かかったりする。「1,2(スロー)、3(クイック)、4(クイック)のリズム」。
1)フェザーステップ~リバースターン~スリーステップ~ナチュラルターン1~3歩~インピタスターン~フェザーフニッシュ~
単にステップを踏むのではなく、”ダンスらしく踊れるようになる”のが目標。技術的なところでは、「ナチュラルターン(S)HТ⇒(Q)Т⇒(Q)ТH」から、「インピタスターン=(S)ТH⇒(Q)HТ⇒(Q)ТH⇒(S)Т」の理解と練習が必要。ナチュラルターンではスエーは右。インピタス・ターンでは、2歩目の右足が左足にHターンでそろえるのだが、この時にスエーは左(他のスエーは直)など決め事は細部に宿る。どういう分野でも、名人芸の神は細部に宿る。だから、長い時間をかけての修正に継ぐ修正が必要になってきます。
2)リバースウエーブ~バックフェザー~バックスリーステップ~ヘジテイション~ホバーフエザー~オープンテレマーク~
とくに「リバースウエーブ~バックスリーステップ」間の後退のステップ。「女性は、押していく」--男性からすれば合点がいくK先生の指導。スエ―に浮力が付く感じがする。さらに「スロー=1,2」--この音の取り方は、今後意識していこう。
そして過日K先生から指摘があった「力を抜く」を加える。
目指すぞ、アンドリュース・シンキンソン!(笑)。
彼のダンス動画を見るのが楽しみですが、その中に以下のものがあります。
アンドリュー・シンキンソン ヨルゲンセン組の涙無くしては見れない最高のスローフォックストロットの社交ダンス動画
確かに己の稚拙さを噛みしめているときにこの動画を見ると、あまりの美しさに(心の中でですが)涙なくしては見れません(苦笑)
3)ナチュラルターン~アウトサイドスイーブル~ウイング~ライトシャッセ~ウイーブ~フェザーフニシュ~
4)スリーステップ~フエザ―ステップ~チェンジオプデレクション~ナチュラルウイーブ~フエザーフニシュ~ランジ~
余談ですが、「力を抜く」でふと思い出したのがーーかつて私がプロ野球の落合博満選手をインタビューしたときの言葉。ロッテに入団した落合選手は控え捕手だった土肥選手の打撃に注目。「球に逆らわずスカーン、スカーンと力も入れずに打っていた。楽そうで良いなと思って真似することにした」。その打法によって、後に3度の三冠王という不滅の記録を生み出す。
「力を抜く」ーー野球、ダンスに限らず、それが出来たら達人のような気がします。私は無骨なタイプなので、よけいにそう感じるのかもしれません。
❶先週は「自由練習」の日でした。終了後、先輩E氏と「サイゼリア」に行き、ドリンクバーを注文して私の反省会はスタート。右も左も分からない2年余り前の私の踊りから知っているE氏。「だいぶ上達したよ」とまずはホメてくれたうえで、気付いた点を指摘。
「足を先に出している。必ず後ろの足で、次の足を押し出すこと」。
私も「あ~っ」と声を挙げました。基本でありながら自覚症状あり・・という思いからです。
そして「クイックでは、つま先立ちを忘れないように(厳密には、クイックは全てが必ずしもつま先立ちではないのですが)」と指摘。これもつい疎(おろそ)かになる修正ポイントでした。
加えて将来の課題としては、「女性をリードしていく自信がついたらボディをーー今は、離れているからーー密着して、ボディの動きで次の動作の指示を与えるようにする」。
女性をボディで自在にリードできるようになったら、これはーー私が思うにーー間違いなく上級者です。
私が「こうやって、分からない時が花ですね。克服しようと懸命に向上しようとしている時期がたぶん最も面白い」と述べるとE氏も笑いながらうなづいてくれました。
K氏は、本当によく私の踊りを観察してくれていて感謝です。
❷自主練習中には、副会長のY氏は私との雑談の中でこう述べました。
「大事なのはベーシック。パーティーでも、サークルが違うとベーシック以外の踊りはお互い分からないから使えない。実際はベーシックを踊ってみて、相手の力量をはかる事になる」
ベーシックの重要さはーー私が検索した限りでもーーダンス界で格言として残っています。
「忘れてならない鉄則は、数多くのステップを下手に踊るよりも、2~3のフィガー(=いくつかのステップを連続させたもの)を充分に踊りこなす方が優れているということである」(レン・スクリブナー)
スクリブナー氏は、1950~1952年の全英チャンピオンで、日本ダンス界の要請により英国から派遣され、1955年に指導と講演のために来日。日本ダンス界の夜明けを創った人物とされています。(ライターとしては、ダンス界史を少しずつ知っていく楽しみもあります。)
毎月のレッスンで新しいステップを学びつつも、ベーシックの重要さは不変。そのためにもまずは、つま先でしっかり立てるように特に左足の指の鍛錬を継続中。足の裏がしなやかに躍動できるようになるのが目標です。
❸ダンスサークルの会長に私が「少しわかってくると、その度にさらに奥が深くなっていくんですね」と言うと、「何でもそうじゃないですか」と即座に回答。会長は、合気道歴40年で師範でもあるそうです。「若いときにちょっと踊っていた事はあったんですが、会社の仕事をやりながらダンスは難しかった。ダンスを本格的に始めたのは、定年後です」。実は、こういう60歳後にダンスを始めた男性は非常に多い。
❹足型をいちばん正確に覚えていると評判の人がT氏。私にもレッスン中に教えてくれる事もあります。実はT氏、職業は「ピアノの調律師」。興味深かったのは「調律師に必要なのは絶対音感ではなく相対音感」だそうです。
実は、チャチャの踊りの復習の時に、T氏のある独特のステップに目が留まりました。落合選手ではありませんが「あ、楽そうで良いな」と思ったものでした。使用していいのか、私にはまだ判断がつきません。
チャチャチャ
■チャチャチャとは?
❶チャチャチャはルンバとマンボの曲から派生して生まれました。1951年、キューバの作曲家がダンスフロアに紹介したのが始まりと言われています。ダンサーの床を叩くステップの音がキューバの擬音語でチャチャチャと言うところから名付けられたそうです。
❷ラテンアメリカン種目の一つで、チャチャチャもしくはチャチャと呼ばれています。リズムは4拍子で4拍目からチャチャチャ(4&1)と歯切れのよいアクセントがあります。競技ダンスでは1種目目もしくは2種目目に踊ることが多い。
❸チャチャチャは軽快で歯切れのよいダンスです。基本的な動きはルンバと似ていますが、スピード感がルンバとは異なり非常に早いです。メリハリがあり素早く動くことが要求されます。
❹社交ダンスでは、フロア上を反時計回りに回るというルールがあります。このルールをLOD(ラインオブダンス)と呼びます。この交通規則を守らないと、他のカップルと交通渋滞が起こったり、衝突事故のもとになります。しかし、チャチャチャはLODに関係なく主にその場で留まって踊ることが多い種目です。
1)オープンヒップツイスト~アレマーナ~オープニングアウト~ファンポジション~ニューヨーク3回~スポットターン~2)ホローマイリダ~~タイムステップ~ニューヨーク(キューバンブレーク)~スポットターン
このチャチャも私はビギナーに近いので、K先生の指導をよく聴くことが大事になってきます。初めて踊りましたが、とてもとても・・全てに復習が必要です。
YouTube では、以下のような語録を見つけました。
<チャチャは、歯切れがあって、ソフトがあって、このコントラストがいちばん大切なポイント>
具体的には、「1(ワン)と3(スリー)が大切」というものです。
□ワンは、アクセントを付ける
<「ワン」の「ワ」の時には乗っているくらい速く乗る。そのときボディのトーンがーー筋肉が一瞬凝縮されるくらいーー入る。後ろ足で送って、同時にボディを「フォー、&、ワン!」とアクセントを付ける。ボディのトーンを強くすることによって「ワン」という表現がはっきりしてくる。
ただし、次の「ツー」などに固くなったボディのまま行くと、動きがひっかかってしまう。1度トーンが入ったボディは、次にはルラックスして入る動きがあると「強い」「弱い」の動きがはっきりしてくる。>
□スリーは少し音を長くキープする
<「スリー」は、音楽を保つために大事な音。強い音ではなく、長く音を保つというのが表現のポイント。「ツー、スリー」と乗ったときに、いかに長くボデイアクションを使うか。「ツー、スリ~ィ、&、ワン!」。後退も同じで「ツー、スリ~ィ、フォー、&、ワン!」。
ワンは強く、スリーは長くーーといった感じでうまく使い分けると表現にも幅が出てくる。>
【鳥巣注】
余談です。
ライターとしてベテランとなっていた時期から一転、未知の分野を勉強するのは、「小学生」に戻った気分で初々しく新鮮です。今や、60歳からバレエに挑戦したーーという話題を妙に記憶しており、私自身インタビューもさせて頂いたーー宇宙工学者の故・糸川英夫氏の晩年を少し意識しています(笑)
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