鳥巣清典の時事コラム1564「”ニコニコ動画”川上量生はかく考えり『人間の本質って何か?』」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム1564「”ニコニコ動画”川上量生はかく考えり『人間の本質って何か?』」

 NHK『プロフェッショナル』は、川上量生(かわかみ・のぶお)氏。

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「人間の幸せって?」根源的な問いにIТの世界から考える


1、「人間の幸せって何だろう?」-ーこの根源的な問いにインターネットの世界から考え続けている企業家。

2、ニコニコ動画ーー略して「ニコ動」。動画にコメントを載せ大勢で盛り上がる機能がウケ動画投稿数日本最大級を誇る。思ったことをただ書き込むだけ。

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何事もあんまり役に立たない。全てが無駄だけどハッピー


 しかし、このサービスを生み出した男は違う世界を見ている。「人間の本質とは?いったい何か」。

3、「何事もそうですよね。あんまり役に立たないんですよ。ニコ動もいくらやってもコメント消えるし。基本は、すべてが『無駄』。でも、その無駄なことをやっているのが実は人間だよねっていうところで、そこで『いいか、ハッピーだし』みたいな(笑)感じに皆が思ってくれたら、それが世の中のためにはいちばん良いんじゃないかなと思うんですよね」

独創的なサービス「閃きはない、全て理屈なんです」

4、川上量生(のぶお)ーー独創的なサービスを生み出す経営者。動画サイトや一世を風靡した高音質の着信メロディ。常識破りの企画を次々とヒットさせる。だが、そこには突拍子もない閃きは「ない」と言い切る。
「理屈なんですよ」--今あらゆる業界から注目される川上。


今とちょっと先の未来を見て&現代と格闘ーそこが面白い


「今とちょっと先の未来、そこに目が行っている。現代と格闘している。それが面白いよね」(スタジオジブリ
代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫氏)

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 社員1000人を束ねる経営者でありながら現場主義を貫く。「何でこんだけの情報で分かるのって?本質を衝くのが速い」(社員)

5、この春、新しいビジネスとして始めた通信制高校。だが開校直後、予想外の問題に直面。「どう考えてもやんないほうが良いと思う」(部下)--そのとき下した川上の決断。時代を切り開くIТ企業経営者。その哲学に迫る。

動画サイトの運営を中心に売上300億円の企業創業者


6、川上量生47歳。この男、つかみどころがない。「昨日寝る前に読んだ本がある。その本の事をずっと考えていましたよね」。川上の会社はIТの分野で日本指折りの企業。動画サイトの運営を中心に年間300億円以上売り上げる。川上は創業者。現在は、会長職に就いている。
 自席に着くなり始めたのは、仕事ではなく数学だった。「何かよく分かんないんですよね。数学でモンスター群ですよ。面白いじゃないですか。メールはこの後。まず、これを先に」。どうにも掴みきれない川上。だが、こういう取りとめのない事にこそアイデアの泉があると言う。「うん、取りとめのない事をずっとしている。そして全然別の会議をやっている時に思いつく事が多いですね」。


川上の1日は
経営判断を次々下していく打ち合せの連続


7、川上の1日は打ち合せの連続。その中で次々と経営判断を下していくのが川上の仕事。この日の会議は、バーチャル・リアリティを使った新サービスについて。特殊なゴーグルを付けるとパソコン画面が立体的に見える。顏向きに連動して自由にパソコン画面を見れる。「全然、でもそこがいちばん大きなポイントで現実よりはむしろ楽」。開発した社員は、メールなどを着信するキャラクターをいくつも販売しビジネス展開する事を考えていた。「好きなキャラクターがダンロードされたら買いますよね」「うちの得意の方向」(以上部下)。「でもそれじゃ、大して売れないから。どうせ長期的なマーケットにならないから。長期的にさ、権利を守る、ビジネスを守るという事は考えなくて良いと思うんだよ。1発目としては面白いかな」。川上は即座にキャラクター販売をビジネスの中心に据える案を却下。別の展開を考えるべきだと結論付けた。

川上が企画で貫く唯一の大原則=「ないものを創る」


8、1000人の社員と共に常に15ものプロジェクトを抱える川上。どんな企画にも川上が貫く1つの大原則がある。ないものを創るのが重要で。ないものを創る時に、あるものが駄目だという事ではなくて。世の中って大事なものから順番に作られていくんだと思うんですよね。作れてないものって、あんまり大事じゃないものなんですよ。ただその中で時代が変わったり状況が変わったり。大事じゃないんだけど、それでも必要としている人はそこそこいたり。そんな理由でニーズはあるんだけど実際には世の中にはないものを僕らは創ろうとしているだけなんですね」

9、ないものを創る。その鉄則は、川上が10年前に生み出したインターネット動画投稿サイトにも当てはまる。2000年代初頭インターネットの通信技術は大きな進歩を遂げていた。それに伴いアメリカで画期的な表現の場が誕生した。世界中から次々と自作の動画が投稿された。


「動画を見て楽しんでいる人は本当は何かしたいはず」


10、この社会現象を川上は別の角度から見ていた。楽しんでいるのは動画を作って投稿した人。動画を見ている人は本当に楽しいのか?「本当は、何かしたいんですよね。若い人ほど、その傾向が強いんですよ。歌を聴きたいというより、歌を唄いたいとかね。でも、そんなに上手くできないから、しょうがいないから他人のコンテンツを見ているだけで。本当は、できる事なら自分がコンテンツ作りたいと思っている人が多いと思うんですよね」。
 そこで川上は、視聴者がコメントする事で表現者となり得るプログラムを開発した。


若者の心をつかみ有料会員250万人のお化けコンテンツ


10、「インターネットは文字の文化ですからね。メールもブログも全部文字じゃないですか。コンテンツの本体は文字ーーそういう意味合いですよね。みんなデジタルだと思ってますけど。現実問題としては、人間はやっているのは、ほとんどが文字ですよね。確実にいろんなアドバンテージがありますよね。
 文字では感情がダイレクトに伝わり入力も簡単。ヒットを予感した。事業をスタートさせるや、またたくまに若者たちの心をつかみ、有料会員250万人を数えるお化けコンテンツとなった。


人間大したものじゃない。<理想より現実を肯定>が大事


11、「ないものを創る」という川上のシンプルな哲学。そして、それに加え川上には追求し続ける、あるテーマがある。人間の本質だ。「ニコ動の基本は無駄。無駄な事をやっているのが実は人間だよね。そこで、ま、いいか、ハッピーだしみたいな。それが皆思ってくれたら、それが世の中のためには1番良いんじゃないかと思うんですよね。人間、大したもんじゃないと思う。りっぱなのは理想。でも今は、その理想が世の中を支配していて、すごい息苦しい世の中になっていて。人間があるがままで認めていかないと。それが素晴らしいものだと認めていかないと。科学がどんどん発達していくと人間の良さがなくなりますよ。現実肯定ですね。僕は理想より現実を肯定することが大事だと思ってるんですね」

楽しめるメニューが豊富な方が人生も面白いと信じている


12、人間は理想だけでは生きていけない。食事と同じく人生も楽しめるメニューが豊富な方が人生も面白い。川上はそう信じている。会社が配信しているネット番組でのこと。「大井競馬の中継を今日からニコニコで始めます」。地方競馬の中継が始まることを聞いた川上。ある閃きを口にした。「うちで馬買ってもいいじゃん」。会社で競走馬を育て、その過程をネット配信しようという。ゲームではなく実際に馬を育てレースを目指す。競馬ファンならずとも心躍る企画だ。だが、「そういう話って昔もあったはずだよね。企画会議では上がっているはずなのに何故実現してないか」。

なぜそれがなかったのか?を分析→昔は仕組がなかった
 
 川上は新しい企画を立ち上げる時、なぜ今までそれがなかったのか必ず分析する。これまでにないものを創るため川上が決して揺るがせにしない流儀がある。「面白い企画が出た瞬間”なんでやってないんだろ?”と考えるんです。それがないと安心できないですね。面白い企画なのにやってないという事は何か原因があるはずで、それが分からない限り、たぶん何か失敗するんですよ。自分たちが知らないことで」。本物の競走馬を育成する企画は本当に実現できるのか。あらゆる仮説を立て分析していく。「非常にリスクもある。でもそれがこちら側が放送できてユーザー側からもおカネを集める。そういう仕組みが昔はなかった。今だったら成立する感じがするよね。面白いじゃない。はい、やりましょう」。
 課題をクリアできると判断。実行に移すと決めた。

「オンとオフ(飛躍して判断)」世代には彼タイプが必要


13、”時代の寵児”とも呼ばれる川上は、若者だけでなく世代を超えて支持を集める。その魅力は、世の中を感じ取る感覚だと言う。2年前には大手出版社が熱烈なラヴコールを送り川上の会社と経営統合を果たした。「1年間の変化がこんなに極端に変わる時に、放送もそうだし、それから映画もそうだしね。出版もそうだし。ユーザーがどんどん変わっちゃうんだもん。昔の読者とかアナログ時代の人っていうのは、プロセスを大事にして”だからこう変わるんだ”と説明できた。でも。今の人たちって<オフとオン>だから。説明しないで飛躍して判断しちゃう。だからあっという間にコンテンツも陳腐化したりする。時代の変化が激しい。時代と闘っていかなくてはいけない。そういう時代には川上くんみたいなタイプがこれから必要なんだと思うんですよね」(株式会社KADОKAWA取締役会長・角川歴彦氏)

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ふつうの人では思いつかない企画を生むために数学をやる


14、川上さんには週に1度、必ず足を運ぶ場所がある。アニメ制作会社のスタジオジブリ。

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5年前からここでプロデュサーの仕事を学んでいる。異分野に触れる事で発想の引き出しを増やしたいと考えた。さらに最近、数学の勉強も始めた。自ら専門家を雇い4時間かけて高度な理論を学ぶ。「思考のベースが変わるから覚えたいんです。そうすると企画なんかでも他の人では思いつかないようなパターン、思いつく企画の幅も広がるはずだと信じてるんですよ」。アイデアの幅を広げる事に貪欲な川上さん。歩んでみたい人生の道がある。


競争世界でなく自分だけが進める、好きな道を歩きたい


15、「競争した瞬間に自分でなくなっちゃう。競争すると必勝法とか定石が生まれるんです。こうやった方が戦うには有利だよねという。でも必勝法とか定石とかがない世界というのは、どの道を行っても良い訳ですね。自分が進んだ後に道は出来る。たぶんその道は間違った道なんですよ。競争してないから間違ったからといって、だからどうなるからという訳ではなく、好きな道を行けるんですよ。そしたら、そこにはユニークな道が生まれますよね。自分だけが進める。どうせやるんだったら、そっちの方が良いじゃないですか。何で我々はこんな所を通ったんだという、そういう道を歩きたいんですよ。」


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PS

 <NHK投稿DО画>

1、チュウバッカ・ママの笑いが世界的人気。「今はテレビ局が作った笑いよりも自然な笑いがウケる」時代→1億数万回。



2、『ミックスチャンネル』(通称”ミクチャ”)=500万人が使う動画コミニティ=編集して投稿「こんなに日常は素敵なことが溢れているのよ」。みんなに発信して楽しむ。
3、日本で人気急上昇中→双子ダンスがメジャーデビュー。