鳥巣清典の時事コラム20 「特別会計の事業仕分け」 | 絶対に受けたい授業「国家財政破綻」

鳥巣清典の時事コラム20 「特別会計の事業仕分け」

10月19日に行われた決算委員会の質疑の一部を記録しておきます。

質問は、民主党の松野信夫議員。

答えるのは、蓮舫行政刷新大臣。

松野 蓮舫大臣といえば「事業仕分け」、まさに民主党政権ならでは、自民党政権では絶対にできなかったやり方と評価できるもの。

第一弾が平成22年度予算に関わる事業仕分け。

第二弾が、特別行政法人や政府の公益法人。

これから第三弾ということで、特別会計に切り込む。

大いに期待をしたい。

まさに無駄遣いがないかどうか。

税金の使い道が国民監視のもとに行われることが大事。

ただ野党の一部の皆さんからは、

「事業仕分けといっても、財源にするにはあまり大したことはない」

という声もなくはない。

蓮舫 事業仕分けは、税金を使って事業を行っている。

その目的に到達するための手段としてお金が適切に使われているかどうかを厳しい目をもって確認をする。

あるいは、その事業が国が行うべきものなのか。

地方自治体、民間が行うべきものなのか。

その事業の必要性も含めて仕分けをするもの。

歳出削減を第一義的な目的にしているものではない。

結果としてその事業の適切性が見直されて財源が出てくることはある。

私たちは、お金を出すという目的ではなく、適切な税金の使われ方、無駄は徹底的に排除するという思いで仕分けを行っている。

松野 私も全く同感。

金額の大小に関わらず無駄なものは無駄ということで、しっかり仕分けをすることが大事。

一部には、

「1時間で1事業は乱暴ではないか」

という声もないわけではない。

しかし1回こういう事を通して、国民の皆さんに税金の使われ方を見ていただきながらしっかりチェックをする。

ということが、大変大事なこと。

ただ財源を確保するのが厳しいところがある。

「隠し財源」みたいなものが出てくれば、それは充分に国民のために活用する。

これはこれで大事なこと。

会計検査院の指摘もあるが、たとえば畜産基金には余剰として4040億円。

整理回収機構には1800億円。

鉄道建設運輸施設整備支援機構には、なんと1兆2000億円もの余剰があるのではないかということで、これは会計検査院の指摘金額としては過去最高。

こういうのが眠ったまま充分に国民のために活用されないというのでは宜しくない。

こういう特殊法人におかれている基金にもメスを入れて、眠っているおカネ、余剰がないかどうか、ぜひチェックを入れてもらたい。

会計検査院が指摘をした以外にも、まだまだあるのではないかと考えている。

蓮舫 松野議員のご指摘の「1時間では」という声は、私どもも受けている。

仕分けは1時間で行っているものではなくて。

事業仕分け本番に至るまでに相当数の時間をかけて、丁寧な資料の精査、ヒヤリングは行っている。

いうのは、改めてご理解をいただきたい。

そのうえで眠っているおカネをそのまま眠らせておくというのは、昨今の経済事情、財務状況を考えたときに、これは有効活用する。

ご指摘を受けた鉄運機構をはじめ、今年の4月に独立行政法人の仕分けを行い、内部に貯まっている利益剰余金等に対しては国庫返納とされたもののみならず、横串を刺して、現在の事業仕分けの結果に沿って各省庁の取り組みを精査しているところ。

今後予算に適切に反映していきたい。


松野 余剰金、そういう眠っているおカネが見つかった。

という場合は、適切に国庫のほうに納付にしていただく仕組みを作らないといけない。

せっかく事業仕分けで見つかった。

「じゃ国庫のほうに返せ」

「いや、それは返せない。

こういう理由があって・・」。

返すか返さないか。

ということでゴタゴタ、あまりモメていても如何かなあという気がする。

どういう仕組みで返してもらうか。

場合によっては法整備も含めて取り組んでいかなければいけないのでは。

独立行政法人については、まもなく施行される通則法で一応国庫に納付される仕組みはできている。

その他の公益法人については、まだまだきちっとした形で、どの範囲で、どういうやり方で国庫に返してもらうのか。

法整備は、まだ充分ではないように思う。

蓮舫 ご指摘の通り、独立行政法人についてはこの5月に法改正が行われ、まもなく施行される。

ただ一点、私が懸念しているのは、不要清算を国庫に納付してもらうスキームは整ったが、独立行政法人がそのおカネがあくまで

「“不要”と認めた場合に限り」

という文言になっている。

行政刷新の立場からは、本当にそのおカネが“不要”と認めていただけるのかどうなのか。

そのチェックは、引き続き行っていきたい。

また、「特例民法法人」、従来の公益法人は民間法人で財産権が保障されている。

国からの支出も含めて、法人が合法的に取得をした財産を強制的に国庫納付させるという仕組みは困難であると理解をしている。

ただ公益法人には指導監督基準があり、内部留保は公益事業の適切、継続的な実施に必要な程度となっている。

問題があると認めた場合には、各省は必要な指導を行う必要があると思っている。

指導監督の徹底という観点では、各所管大臣に、特に国に由来するものについては国庫納付を含めて精査するようにお願いしている。

内部留保額が適正なのか、国庫納付要請額が妥当かどうかの精査は引き続き行っていく。

松野 どの範囲が不要なのかどうか、
それ自体論点のひとつになっている。

民法特例の公益法人は、まさに民間の法人。

それに対して国家のほうが強制的に財産を取り上げるというのは、確かに難しいところがある。

ただ民間の公益法人にも国の税金が投入されている。

いろんな工夫のしようがあるのではないか。

少なくとも税金投入という形でやった範囲では、一定の余剰ということで検討の余地はある。

***********************************


拙著「絶対に受けたい授業『国家財政破綻』」では、民主党の五十嵐文彦・衆議院議員は、
こう述べています。

「(埋蔵金)は、あります!

ただ深堀しないと分からない。

民間まで流れ着いてしまうと、もう民間だから別の世界という話になる。

実際には天下りの実力者が下のほうに潜っていて、そこで大量に利益をハネる。

いい例が、空港は全部赤字だけど、空港を管理している株式会社はみんな黒字。

そこも正当な取引が行われているのか。

それとも随意契約による甘々の予算で行われていて、利益はそっちに流れているのか。

その流されている民間の利益でみんな食っている。

ということが起きているのではないか、というところまで掘り下げていかないと、実態は分からない。

すごい巧妙なんです!」

一口に「埋蔵金」と言っても、いくつかの種類があります。

評価をしなくてはいけないのは、節約の努力をした結果、余剰金が発生したようなケース。

松野議員は、表彰したり特典を与えることも必要ではないかと述べています。

国債費の予算で、思ったより金利が低くて余剰金が出る場合もあります。

問題なのは不正経理はもちろん、国民目線からして明らかに無駄遣いをしている。

あるいは、ここで問題になっている、天下り先に税金が恣意的に流されているケースなどが挙げられます。

論点となっているのは、「返納金の範囲」。

民主党の執念に掛かっています。

前出の五十嵐議員が語っていた言葉が印象的です。

「ここで安易に消費税を導入したら、爪に火を灯すようにしてやっている事業仕分けの努力も無駄になる」

民主党にとっては国民の共感を得て、かつ珍しくブレが少ない「目玉行事」なのは確かでしょう。

●用語解説<随意契約>
国や地方自治体の事業を、競争入札ではなくて、国・地方の任意で業者を決定し、契約すること。


絶対に受けたい授業「国家財政破綻」/鳥巣 清典

¥1,575
Amazon.co.jp