鳥巣清典の時事コラム19 「公務員の不正経理防止法案」
国会で平成21年度の決算委員会が行なわれています。
国の抱える問題点が、浮き出てきます。
10月18日の参議院での質疑を記録しておきます。
以下は、公明党の木庭健太郎・参議院議員が質問した際のやりとりです。
木庭 本当に浮き彫りになってきている。
会計検査院が、19年度及び20年度決算で検査。
対象になったのは、38都道府県、2政令指定都市。
木庭 全てに不正経理があって、約42億円。
さらに今月の初めに検査院が新たに検査をすると、9都府県16政令指定都市でも12億円の不正経理が判明した。
3年間で47都道府県全て、さらに18政令都市で計52億円にのぼる不正経理が行なわれたことが明らかになった。
この“不正経理”とは何か。
結局、経理をごまかして自分たちの裏金を作ってみたり。
本来は適用できない経費や旅行などにお金を充てる。
とんでもない話ですよ!
これが、いつまで経っても治らない。
なんでこんなに続くのか。
野田財務相 国・地方であろうと、不正経理は国民・住民の信頼を損ねることなので、あってはならないこと。
平成22年度予算編成においては、個別の事業ごとに必要性や効率性を洗い直し、予算に反映するよう政府一丸になって取り組んできた。
反映額としては、1686億円。
片山総務相 自治体の問題でもある。
私もこの問題に心を砕いた。
是正策としては、透明性を徹底する。
監査や議会のチェックを厳しくする。
国と自治体の関係でいえば、たとえば補助金が使い切り制度になっていて、返すことが事実上なかなか難しい。
それじゃあというのでヘンな創意工夫をやっていた面もある。
そういのをなくす。
これは補助金改革にもつながってくることでもある。
菅首相 不正経理は、あるべきことではない。
制度変更も必要であれば、そのことも検討させたい。
木庭 「どうせどこでもやっている」
というような公務員の甘えに対しては、強い危惧を持っている。
『不正経理防止法』という法案を出している。
<不正経理をした公務員は処罰できる>という法律。
何回も提案しているが、何回も廃案になっている。
今回の結果を見て、いろいろやってもやっぱり直らない。
鞭(むち)が必要と実感している。
野田財務相 『不正経理防止法』は必要という考えは共有している。
そのうえで、不正経理のケースと、単純な過失のケースで、ペナルティの課し方をどうバランスをとるか。
公明党さんが今回ご提案をされると思うが、関係機関とともによく検討したい。
木庭 総理からも、同じような答えを何回か頂いている。
5月19日、これは財務大臣当時で、
「関係機関において充分かつ慎重に検討する必要がある」。
つい最近は10月7日にの本会議では、
「よく検討を行なう必要がある」。
「充分かつ慎重」
から
「よく検討」
と。
一歩前進しているようには見えるが。
今の財務大臣の答弁も、
「関係機関とよく協議をして」。
「関係機関」とは、どこになる?
処罰対象になる公務員のことになる。
そら自分の首を絞めるのはイヤですよ。
こういう問題こそ、政党主導というか政治主導でやらなければ、こんな法律はできない。
菅首相 法律によって罰則を強くして不正を防止する。
場合によって並行してもいいが、不適切な事を繰り返す者に対しては、大臣・副大臣も含め行政的になんらかのペナルティを課す。
内容によっては、こういうことも適切な場合がある気がする。
玄葉政調会長に検討するように指示をしたい。
木庭 不正経理、無駄遣いをなくすには、もう一つ大事なのは会計検査院の機能をどこまで考えていくかだと思う。
現在は、無駄とか不正を検査してチェックをする。
ここまでで終わり。
もう少し、権限を与える。
チェックをした結果、おかしな事が行なわれている。
じゃ改善がされているのか?
その不正経理のお金が、国庫に戻っているのか?
事後チェックのような問題。
また、おかしな事をしているという公務員に対して、処罰をうながす行為。
ここまでくらいは、会計検査院に力を与える必要があるのではないか。
併せて、会計検査院法の改正をやるべき。
実は私達より前に、野党時代の民主党が出していた中身だ。
総理、ぜひ実現を図りたいと思うが。
菅首相 私もガオ(GAO)、ジェネラル・アカウンティング・オフィスというアメリカの制度を参考にしたことがある。
菅首相 国会の中に会計検査院的な機能、あるいはかつての総務庁の行政検査機能を持たせる。
そこで出たものがおかしいということになれば、国会が是正を指示。
言う事を聞かなければ予算を止めてしまう。
国会にそういう機能を持たしたらいい、という法案を出したことがある。
そのときは三権分立がどうのこうの、という大議論になった。
会計検査は、憲法で規定された制度。
どこまで法律で動かせるか、検討をしなければならない。
「公務員の不正経理法案の中身は、かつて民主党さんが出した法案ですよ」
木庭議員は、民主党の痛いところを衝いています。
「民主党は政権与党になったら、良く言えば現実路線。
その実、何をやったらいいのか分からなくなっているのではないか」
という声も上がっています。
公明党とのパイプを強めるにあたっては、この法案の処理はリトマス試験紙になるかもしれません。
官僚の強い抵抗が予想されます。
菅首相としては、また
「もごもごしている!」
とのヤジを受けるのでしょうか。
予算(財政危機)、普天間(米軍基地)、APEC(中国首相の出席有無)、小沢問題(政治とカネ)、ねじれ国会など、難問は山積み。
「元気がない!」
そういうヤジを聞くと、精神的ガス欠を起こした福田、安倍、麻生、鳩山・・歴代首相の政権末期の姿を思い出してしまいます。
首相の孤独。
精神的疲労は、並大抵ではないでしょう。
(「決算委員会」の質疑については、次回もつづきます)
絶対に受けたい授業「国家財政破綻」/鳥巣 清典
¥1,575
Amazon.co.jp
国の抱える問題点が、浮き出てきます。
10月18日の参議院での質疑を記録しておきます。
以下は、公明党の木庭健太郎・参議院議員が質問した際のやりとりです。
木庭 本当に浮き彫りになってきている。
会計検査院が、19年度及び20年度決算で検査。
対象になったのは、38都道府県、2政令指定都市。
用語解説≪政令指定都市≫ 50万以上の市のうち政令で指定された市。 2010年(平成22)4月現在、政令指定都市となっているのは札幌、仙台、さいたま、千葉、川崎、横浜、相模原、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、岡山、広島、北九州、福岡の19都市。 |
木庭 全てに不正経理があって、約42億円。
さらに今月の初めに検査院が新たに検査をすると、9都府県16政令指定都市でも12億円の不正経理が判明した。
3年間で47都道府県全て、さらに18政令都市で計52億円にのぼる不正経理が行なわれたことが明らかになった。
この“不正経理”とは何か。
結局、経理をごまかして自分たちの裏金を作ってみたり。
本来は適用できない経費や旅行などにお金を充てる。
とんでもない話ですよ!
これが、いつまで経っても治らない。
なんでこんなに続くのか。
野田財務相 国・地方であろうと、不正経理は国民・住民の信頼を損ねることなので、あってはならないこと。
平成22年度予算編成においては、個別の事業ごとに必要性や効率性を洗い直し、予算に反映するよう政府一丸になって取り組んできた。
反映額としては、1686億円。
片山総務相 自治体の問題でもある。
私もこの問題に心を砕いた。
是正策としては、透明性を徹底する。
監査や議会のチェックを厳しくする。
国と自治体の関係でいえば、たとえば補助金が使い切り制度になっていて、返すことが事実上なかなか難しい。
それじゃあというのでヘンな創意工夫をやっていた面もある。
そういのをなくす。
これは補助金改革にもつながってくることでもある。
用語解説≪片山善博総務相≫ 前鳥取県知事。慶応大教授。 蓮舫公務員制度改革担当相と連携し、人事院勧告制度や国家公務員の総人件費抑制などについて制度改革を促進していくと見られる。 また地方自治体が地方債を発行する際に国との協議が必要な点については、 「きめ細かい、手取り足取りの(国の)関与は変えねばならない」 などと発言している。 地方分権推進論者。 |
菅首相 不正経理は、あるべきことではない。
制度変更も必要であれば、そのことも検討させたい。
木庭 「どうせどこでもやっている」
というような公務員の甘えに対しては、強い危惧を持っている。
『不正経理防止法』という法案を出している。
<不正経理をした公務員は処罰できる>という法律。
何回も提案しているが、何回も廃案になっている。
今回の結果を見て、いろいろやってもやっぱり直らない。
鞭(むち)が必要と実感している。
野田財務相 『不正経理防止法』は必要という考えは共有している。
そのうえで、不正経理のケースと、単純な過失のケースで、ペナルティの課し方をどうバランスをとるか。
公明党さんが今回ご提案をされると思うが、関係機関とともによく検討したい。
木庭 総理からも、同じような答えを何回か頂いている。
5月19日、これは財務大臣当時で、
「関係機関において充分かつ慎重に検討する必要がある」。
つい最近は10月7日にの本会議では、
「よく検討を行なう必要がある」。
「充分かつ慎重」
から
「よく検討」
と。
一歩前進しているようには見えるが。
今の財務大臣の答弁も、
「関係機関とよく協議をして」。
「関係機関」とは、どこになる?
処罰対象になる公務員のことになる。
そら自分の首を絞めるのはイヤですよ。
こういう問題こそ、政党主導というか政治主導でやらなければ、こんな法律はできない。
菅首相 法律によって罰則を強くして不正を防止する。
場合によって並行してもいいが、不適切な事を繰り返す者に対しては、大臣・副大臣も含め行政的になんらかのペナルティを課す。
内容によっては、こういうことも適切な場合がある気がする。
玄葉政調会長に検討するように指示をしたい。
木庭 不正経理、無駄遣いをなくすには、もう一つ大事なのは会計検査院の機能をどこまで考えていくかだと思う。
現在は、無駄とか不正を検査してチェックをする。
ここまでで終わり。
もう少し、権限を与える。
チェックをした結果、おかしな事が行なわれている。
じゃ改善がされているのか?
その不正経理のお金が、国庫に戻っているのか?
事後チェックのような問題。
また、おかしな事をしているという公務員に対して、処罰をうながす行為。
ここまでくらいは、会計検査院に力を与える必要があるのではないか。
併せて、会計検査院法の改正をやるべき。
実は私達より前に、野党時代の民主党が出していた中身だ。
総理、ぜひ実現を図りたいと思うが。
菅首相 私もガオ(GAO)、ジェネラル・アカウンティング・オフィスというアメリカの制度を参考にしたことがある。
●用語解説≪GAO:(General Accounting Office)≫ アメリカ会計検査院。 議会の付属機関で、連邦予算の支出や政府機関の活動を監査する。 その内容は我が国では行政監察庁に近いが、同庁が行政機構内にある日本と異なり、米国においては議会にこの機能がある。 会計検査・行政監察の結果はまず立法府において審議・検討されるというシステムになっている。 (行政府内にも独自の監査システムはある) |
菅首相 国会の中に会計検査院的な機能、あるいはかつての総務庁の行政検査機能を持たせる。
そこで出たものがおかしいということになれば、国会が是正を指示。
言う事を聞かなければ予算を止めてしまう。
国会にそういう機能を持たしたらいい、という法案を出したことがある。
そのときは三権分立がどうのこうの、という大議論になった。
会計検査は、憲法で規定された制度。
どこまで法律で動かせるか、検討をしなければならない。
***********************************
「公務員の不正経理法案の中身は、かつて民主党さんが出した法案ですよ」
木庭議員は、民主党の痛いところを衝いています。
「民主党は政権与党になったら、良く言えば現実路線。
その実、何をやったらいいのか分からなくなっているのではないか」
という声も上がっています。
公明党とのパイプを強めるにあたっては、この法案の処理はリトマス試験紙になるかもしれません。
官僚の強い抵抗が予想されます。
菅首相としては、また
「もごもごしている!」
とのヤジを受けるのでしょうか。
予算(財政危機)、普天間(米軍基地)、APEC(中国首相の出席有無)、小沢問題(政治とカネ)、ねじれ国会など、難問は山積み。
「元気がない!」
そういうヤジを聞くと、精神的ガス欠を起こした福田、安倍、麻生、鳩山・・歴代首相の政権末期の姿を思い出してしまいます。
首相の孤独。
精神的疲労は、並大抵ではないでしょう。
(「決算委員会」の質疑については、次回もつづきます)
絶対に受けたい授業「国家財政破綻」/鳥巣 清典
¥1,575
Amazon.co.jp