またまただいぶ期間があいてしまいました。
というのも、この間ひたすらエフェクター作りを行っていたからです。
その成果がこれ。
今回のこだわりはミニペダルサイズ中心で作り、塗装、ラベル貼りもしっかりやったというところ。
今日はとりあえず概況をお伝えして、以後それぞれのエフェクターについて解説をしていきたいと思っています。
なぜ、今回こんなにもエフェクター作りにはまってしまったのか。
これまでアナログエフェクターはデジタル工作と比較して、どうも苦手意識があったのですが、このコロナ禍の中、自宅にこもってやれることの中でチャレンジしてみるだけの時間があったということが一点と、あと、必要な機材の中でギター用のトーンコントロール可能なペダルサイズのプリアンプが出来ないかと考えたところからこの流れが始まりました。
ネットにある回路図を検索していくつかのプリアンプ回路を探し当て、ミニペダルサイズで作成可能か検討した上でレイアウト作成に入りました。
今回、一連の作成過程としては、まず回路図を入手し、電源回路等をある程度把握した上で、基板図というのを作成します。
これは自分で勝手に名付けているのですが、回路図では特にオペアンプやトランジスタ、FETなどが実際の部品の形とは異なっています。これを実態の部品の形に置き換えた上で、基板のサイズも考慮して作成する回路図になります。
ここに実際の部品の型番や値、そして部品番号も書き込んであります。
次に部品リストを作成します。
上記基板図の部品番号順にA5サイズの紙に部品の型番、値を記入し、そこへ両面テープを貼って、実際の部品を貼り付けておきます。
なぜ、そんなことをするのかというと、実際の部品では特にコンデンサーは容量や種類によってサイズがまちまちで、基盤レイアウト作成の際に、それを考慮しないといけないからです。
さて、基板図、部品リストができたら次に基板のレイアウト図を作成します。ここが、ミニペダルサイズにおさまるかどうかの分かれ目になります。
ここで活躍するのがiPadです。
まず、実際に使用するカット済みのユニバーサル基板を写真撮影します。
私がよく使う基板では、穴の数が11x24になるようにカットします。これが私の使うミニペダルサイズのケースでの上限ですね。24の方は、元の基板がそのサイズなので、もっと拡張することは可能です。11の方は、若干ミミを残してのサイズですが、少し削らないとケースに入りません。逆にミミなしにしてギリギリ12穴確保することも出来なくはありませんが、結構ギリギリまで基板を削らないといけないので、今までやったのは1つだけですね。
さて、撮影した基板の写真をiPadで表示して、編集、マークアップと進んで、アップルペンシルで、この基板上に部品を書き込んで行きます。だいたいはじめに作った基板図に近い形で部品配置を検討し、さらに工夫を加えてレイアウトを作成します。配置が分かればいいので、私は部品の種類ごとに色分けをして、単純な長方形や丸で部品を表現しています。これに黒で配線を書き込んでゆきます。配線も9Vラインは赤とか、4.5Vのバイアスラインはオレンジとか、分けておきます。
これだと何度でもやり直しが出来ますし、基板に部品を半田付けして行く際にもミスを減らせますし、後で検証もしやすくなります。
実際の基板への部品の半田付けですが、このレイアウト図で配置を確認し、基板図で部品の値を確認し、半田付けしていきます。
ユニバーサル基板なので、配線は部品の足をつなげていく形になりますが、実際の基板写真でレイアウトが出来ているので、ミスがあまり起こりません。
最後に、全部部品を半田付けし終わった段階で、部品リストに部品が残っていなければ、まずはミスなく取り付け終わったということになります。逆に部品が残ってしまったり、所定の値の部品がなかったりした場合には、取り付けミスがあったということになります。
次に、ボリュームやスイッチ、入出力ジャック、DCジャックに繋がるリード線を半田付けしていき、熱収縮チューブをかませてボリュームポッドやジャック類につないでいきます。これもレイアウト図に記載してあるので、まずミスることなく配線できます。
ここまで出来たら、仕上げとして、基板の裏の清掃を行います。清掃といっても、大事なのははんだ漏れや不良ハンダ、ショート部分などを修正することです。ユニバーサル基板なので、ともすると隣のランドにハンダが接触していたりするので、カッターでランドとランドの間をきちんと分かるように絶縁していきます。
これが終わったらテストです。
ケースに入れる前にテスト出来るように、9VのDCプラグから鰐口クリップに変換するツールを作っていて、これまたテスト用のジャック付きケースも別途用意しています。
まず、LEDが点灯するのを確認し、アンプに接続して絞っていた各ボリュームを各々上げてゆきます。
ここで音が出たら大成功、出なかったら御愁傷様、ということで、だいたい一発で動くのは5割前後でしょうか。
ここで諦めるか、というと、今の私は絶対に諦めません。
トラブルシューティングの要はオシロスコープによる信号追跡です。
以前お伝えしたオシロスコープに加え、シグナルジェネレーターを戦列に加えて、トラブルシューッティングはほぼ9割の成功率に至っています。
シグナルジェネレーターでサイン波を出力し、それをエフェクターのインプットに繋ぎます。そして、オシロスコープのプローブで基板裏を入力からの信号経路にそって検証して行きます。
大雑把には、オペアンプの入出力、トタンジスタやFETの入出力を確認すればだいたいどこで信号がなくなっているか分かります。
そうしたら、その周辺の回路の検証や電源ライン、GNDラインの確認をやって間違いを修正します。
多いのはやはりはんだ漏れですかね。部品の足を配線に活用するため、一度に複数の部品を取り付ける場合が多いので、ハンダ付けの漏れが起きることがままありますね。
それから、電源ラインやGNDラインの接続もれ。これはレイアウトがギリギリになることが多いため、どうしても電源ラインやGNDラインを後回しにすることが多いので発生しやすいです。
それから、完全な配置間違い。これは基板図作成の際と、レイアウト図作成の際、さらに実際の部品取り付けの際に発生の可能性があります。
検証方法は、今度は大元の回路図と最終のレイアウト図を付き合わせます。回路図でインプットからの信号をラインマーカーで塗って行き、レイアウト図も再度編集モードにして、それまで使っていない色、例えば紫とかで一緒に経路をトレースして行きます。これで間違いを発見し、修正できた例が2,3例あります。
これでもダメな場合、原因をとにかく時間をおいて考えます。
最後は、再度基板をレイアウト図から作り直します。
BOSSのOS-2などは一度作ってダメで、再度基板を作り直してもだめでした。各部品の動作を確認すると、オペアンプで出力に信号が出てこない現象がみられたので、最初は発振しているのかと思い、発振どめのコンデンサーなどを加えてみたりもしたのですが効果ありませんでした。ですが、インプットからの信号は出てこないのですが、オペアンプの入力に信号を入れた場合は出力が出てくるのです。
どうにも原因究明ができず諦めかけていたところ、今まで入手していた2種類の回路図とは別の回路図を発見したので、比較してみていたところ、なんと持っていた回路図にはない部品を発見。なんのことはない、オペアンプの入力に付加されるバイアスラインが欠落していたのでした。
これを追加配置したところ無事に稼働、なんてこともありましたから、回路図自体を疑って見ることも時によっては必要かもしれません。
作成にあたっての困難はむしろ部品が入手できないところにありますね。
代替品があればいいですけど、オペアンプやトランジスタ、FET類はそれによってキャラクターが変わってくることもあるので、悩ましいところです。あと、特定の値のものがない場合。抵抗やコンデンサーなどは直列、並列使用での逃げ道がありますが、ボリュームなどは操作性の問題もあって、近似値で我慢するということもしばしば起こります。
それから、ミニペダルサイズに収めるためには、例えば部品配置だけでなくその部品の高さにもかなりの制限が出てきます。
そこで、電解コンデンサーなどは低いサイズの部品を選定したり、あるいは寝かせたり。コンデンサーも種類によってサイズがかなり違います。値の大きいフィルムコンデンサなどはかなりの大きさになったりするので、最近私は小型で収まる積層セラミックコンデンサを積極的に使っています。
よくフィルムコンデンサの方が音がいいとか、特性的に安定していると言われていて、サイズに余裕があればフィルムコンデンサを使いたいですが、そこまで原音に忠実でなくてもいいというのが私のポリシーなので、あまり気にしません。
そもそも歪み系のエフェクターに求めるのは、個人的にはいろんなタイプの歪みであって、必ずしも大元のエフェクターの音の再現を求めている訳でもない訳です。
確かに部品や、配置の違いで元のエフェクターの音とは異なるのでしょうが、回路の違いほど影響があるわけでもないので、なんとか風の音にはなると思うのです。
それで十分なんですね。あくまで欲しいのは自分の好みのサウンドであって、それがどれだけそれに近いかだけが問題です。
さて、今回はこの辺で。
次回はケース周りについて伝えてみたいと思います、
さすがにこれだけ作ると(最盛期には1日一台ペースで作っていた)いろんな経験をします。大体似たような仕組みでできていることも分かってきます。そこで得た知見や経験がまた次に生かされていくという好循環が生まれます。
回路図さえあれば大体のものは作れるという自信は付きました。
ただ、BBD系はチャレンジして挫折、回路規模的に言っても難易度高く、まだ成功していません。コツがつかめていない感じです。
しかし、回路図からオリジナルのレイアウトを作っていくのが楽しくて仕方ありませんね。これこそが自作の楽しみと言えるのではないでしょうか。
YAMAHAのTB-01とかMXRのPhase90ができた時には嬉しくて仕方がありませんでした。
特にYAMAHAのPSEシリーズのエフェクター群は、私のギターエフェクターの原点でもあり、今や絶版となって入手困難なおり、コンプリートしたい製品群です。
なんとかDI-01、OD-01、TB-01、CO-01、LI-01、NG-01までは作成できました。FL-01はチャレンジして失敗、PH-01は入手不能の部品があり、代替回路でチャレンジしましたがダメでトラブルシューティング中、PQ-01はやはり部品が揃わず、OC-01は部品は揃いましたがミニペダルサイズでは厳しい、CH-01はまずFL-01の成功を待ってから、DL-01に至ってはそもそも回路規模的に手が出ない感じですね。
なんとかFL-01とPH-01は完成まで持って行きたいです。
BOSSのエフェクター群もHM-2、BD-2、OD-3あたりはかなりレイアウト困難だったのですが、なんとか完成させました。
ここまで作成したエフェクター
[製作順]
スプリングリバーブ(YAMAHA F100リバーブユニット用)
ギタープリアンプ(オリジナル回路)
RAT
MXR MicroAmp
DOD OverDrive250
HighCut Buffer(オリジナル)
Landgraff DOD
Para Buffer(オリジナル)
YAMAHA TB-01
MXR Phase90
BOSS OD-1(極小)
VEMURAM JanRay
YAMAHA DI-01
Bass PreAmp
MXR Phase45
FlyingPanpot(大塚明氏ハンドメイドプロジェクト)
Drive Selector(オリジナル)
Bass PreAmp(Ver.2)
万能DI(大塚明氏ハンドメイドプロジェクト)
MAXON Sonic Distortion
VoiceFuzzAdapter(大塚明氏ハンドメイドプロジェクト)
Bass DI
PreAmp&Buffer(オリジナル)
Ross Compressor
Speaker Simulator
BOSS SD-1
DanArmstorong Orange Squeezer
DOD OverDrive250(2台目)
Guitaer PreAmp(Ver.2)
YAMAHA OD-01
BOSS HM-2
OverDrive One
Marshall Guv'nor(Light)
MAXON OD808
STEREO OD-1
Mini Mixer
BOSS OD-3
OD-1&DI-01
BOSS OS-2
YAMAHA CO-01
BOSS DS-1
YAMAHA LI-01
YAMAHA NG-01
MXR ZW44
MXR NoiseGate
DanArmstorong GreenRinger
HeadPhoneAmp
MAD PROFESSOR Little Greeen Wnoder
DanArmstrong PurplePeaker
DanArmdtrong RedRanger
YAMAHA DI-01
BOSS BD-2
MXR M77
PreAmp&Buffer(オリジナル)