エフェクター作り ケース加工&塗装編 | とれすけのブログ

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さて、前回の続き。

ケースの加工と塗装、そしてラベル貼りまでをまず解説します。

 

使用するケースですが、ミニペダルサイズの定番はハモンドの1590Aですが、数を作ることを考えると価格が少々ネックになります。

そこで探したのが安価なこのケース。

 

 

ハモンドと比べると一つあたり半額くらいで済みます。

但し、表面の仕上げが粗く、時々歪んだ部分などが散見されるなど、そのまま使うにはちょっと抵抗を感じる仕様です。

ただ、最終的に塗装で仕上げると考えれば、この点はある程度クリアできます。

 

初めの頃はまずケースに穴を開けて、塗装も終わってからラベルを印刷していました。

しかし、このやり方だと実際の穴とラベルの位置を合わせるのがなかなか難しく、何度もテスト印刷を繰り返して位置合わせをしていました。

よく考えれば、取り付ける部品のサイズなどを事前にきちんと把握しておけば、穴位置も大体共通にできるという点と、それならいっそ先にラベルを作ってしまって、逆にラベルに合わせて穴をあける方が合理的だろうと思い至りました。

 

そこでどのエフェクターにも共通のフットスイッチと入出力ジャック、DCジャックの穴位置の型紙を作りました。

それに合わせてまずラベルを作成します。ボリュームなどはそれぞれ使用個数なども変わるので、それにあわせてレイアウトします。ラベルは上面に一枚貼るだけの仕様にしています。

そして、普通のコピー用紙にモノクロ印刷し、切り抜いた上で加工前のエフェクターケースにマスキングテープで貼り付けます。

ラベルのポイントは穴位置の中心が分かるようにしておくこと。

そして、すべての穴の中心位置にかかるようそれぞれマスキングテープを貼っておきます。

これは穴あけ時にドリルの刃がずれたり刃先が滑ってケースを不要に傷つけたりしないようにするためのものです。

側面の入出力ジャック、DCジャックの穴位置は型紙で印を付けます。

 

穴あけはいきなり3mm程度のドリルであけてもいいのですが、手持ちのドリルではまず間違いなくずれていってしまいます。

そこで、まず1mmのドリルビットをミニルーターに取り付けて、中心に正確に穴を開けます。マスキングテープを貼ることで刃先が滑るのをかなり防止できます。

この後、2mmのビットに替えて穴を広げ、この次に3mmのドリルで穴をあけます。

3mmの穴があけばステップドリルの刃が入るので、そこで実際のサイズまで穴を広げます。

この時はちゃんとバイスなどでケースを固定しましょう。それと保護メガネは必須ですね。

 

穴をあけ終わったら塗装工程に入ります。

塗装も、初めの頃はいきなりカラースプレーで一度に分厚く塗っていたのですが、きれいに仕上がらないのと、乾燥にやたら時間がかかる上に剥がれてしまったりするので、あまり期待していない状態でした。

ですが、ちょうどその頃車をこすってしまって、その修復をDIYで行ったことで、塗装のコツを習得しました。

車の補修塗料のサイトに参考になる情報や動画があります。

 

同じ金属面に塗装をするという点で、車の塗装工程は大いに参考になります。

ポイントは下塗りと、カラーを薄く何度も吹き付けて塗り重ねてゆくという点です。

 

下塗りはプライマー、サフェーサーなどと呼ばれて塗料のコーナーなどに置いてあると思いますが、何種類か使ってみて、最終の仕上げ、特にラベル貼りに適しているのが車用のプラサフでした。特にホワイトプラサフだと視覚的に状況が分かるので、塗り残しもないですし、ある程度厚みをもって塗ることがうまくできます。また、イエローなどの薄い色を塗る場合など、一旦ホワイトにすることで発色も良くなります。

プラサフ塗りの前にきっちり脱脂をします。これも車用のシリコンオフという製品が使いやすいです。脱脂は、特にケースの下端は塗装が剥がれやすい部分なので、漏れがないように気をつけます。

ホワイトプラサフも一度に厚く塗らずに、例えば上面だったらスプレーを三回程度滑らせながら吹き付ける感じですね。最初はまだ下地も見えている状態ですが、一回吹くごとに10分程度乾燥させた後、これを4、5回繰り返してある程度厚みを付けます。

この段階で、元のケースの目の荒さやキズなどが埋まっていればOKです。

で、大事なのがこの際に上面をきれいに整えておくということです。表面に凸凹やキズ、またゴミの付着や塗装ムラがあるとラベルを貼るときに空気が残ってしまってきれいに仕上がりません。

そこで、この段階で表面が滑らかになるように1000番台のサンドペーパーで研磨します。

 

直接手で触ったりしなければ、この次にカラー塗装に入ります。

カラースプレーは、ラッカー系とアクリル系が選択肢に入りますが、アクリル系は価格が安い反面、乾燥に時間がかかる印象です。ここは色々試してみる価値があります。

私のお気に入りはメタリックスプレー。やや高価でカラーの種類が限られますが、仕上がりは綺麗です。

ダイソーのラッカースプレーもゴールドやシルバーはなかなか使えます。また、メタリック系は車用のボディカラーも選択肢に入ります。

カラースプレーも、プラサフ同様乾燥10分をはさみながら薄く塗り重ねていきます。大体4〜6回重ねれば十分でしょう。最後にスプレーした後、2〜3分おいて、今度はクリアーラッカーを吹き付けていきます。これはダイソーのクリアーラッカーが表面の艶がよくオススメです。逆に車用のクリアーは硬度が必要なせいか表面があまり綺麗になりませんでした。最終的に研磨する前提で作られているような感じです。

アクリルカラーを使った場合にはアクリルクリアーを使っています。

 

クリアーはまだここでは仕上げません。2回ほど吹き付け工程を終えたら、一旦1時間ほど乾燥します。

この段階でラベルを貼ります。

 

ラベルはエーワンのインクジェットプリンター用フィルムラベルシールを使っています。

 

透明フィルムなので、濃い色でないと下地のカラーに負けてしまいます。なので、基本的に黒で文字やデザインを印刷します。

A4サイズではラベルを埋めきれないので、A5サイズにカットして使っています。これで予備を含めて2枚づつで3個分のラベルになります。

 

ラベル貼りはなかなか難しく、どうしても空気が入ったりズレたりしてしまうのですが、こればかりは慎重にやる以外に方法はない感じですね。ただ、2回塗りしたクリアーがやや粘度をもった段階で貼るとリカバリーしやすい気がします。但し、この場合、一旦貼り付いたらやり直しができません。

 

ラベルが貼れたら、その上からクリアーの吹き付けサイクルを5〜6回繰り返して塗装完了になります。クリアーでラベルを包み込む感じになります。

厚めに塗るのは、ラベルの段差をある程度目立たなくするのと、ラベルの端などの剥がれ防止の為です。

ダイソーのクリアーは容器が小さいため吹き付け圧が大きくて、そのせいか最後の仕上げとして使用すると表面の艶がきれいな印象があります。ただ、1缶で1台塗るのがやっとなので、余分に買っておくことをお勧めします。

塗装工程においては是非防毒マスクを使用しましょう。

以前は簡易な防塵マスクでやっていたりしましたが、ほとんど効果はありません。防毒マスクをきちんと装着すれば臭いを感じることもありません。

 

 

 

塗装完了ですぐに基板を組み込みたくなりますが、ここはじっと我慢で、最低1週間表面が固まるまで乾燥させます。

あせって触ってしまうと表面に指紋がべったりとついてしまうこと必定です。

1週間経っても、強く押したりすれば指紋がついてしまうことがあります。アクリル系は特に乾燥が遅いですね。かなりの期間ベタベタしています。

 

基板の組み込みですが、これはフットスイッチ、入出力ジャック、各ボリューム、スイッチ類、DCジャックを固定して、結線してゆくのですが、スペースに余裕がないため、線材の処理と基板の絶縁に注意を要します。

基板は裏蓋に納める感じになるので、裏蓋にはまずビニールテープを貼り、さらにその上にプラ板をかぶせます。

最初の頃はビニールテープだけで、その上でスペーサーを置いて基板をビス留めしていたのですが、どうしても高さを増やしてしまうのと、ビニールテープだけでは基板裏のハンダの突起が突き抜けてしまって、回路がショートしてしまうケースが散見されたので、最終的にビス留めをやめ、ビニールテープとプラ板を敷くだけにしました。

基板がだいたい裏蓋にギリギリのサイズなのと、配線材を納めるとほぼいっぱいいっぱいなので、基板がぐらつくということもまずありません。

フットスイッチの裏にも絶縁用のビニールテープを貼っておきます。

 

裏蓋をビス留めしたらテストです。

まずLEDが点くかどうか。点いたら音が出るかどうか。

うまくいかない場合はだいたい基板と他の部分がショートしているケースが多いです。

 

さて、テストがOKなら完成です。

これでまた一台新しいサウンドがレパートリーに加わりました。

問題は、これだけの台数のエフェクターを、どうシステム化していくかという点になっています。

なにしろ電源だけでも30口くらい必要になってしまいますから。