【No1301】徳川家康 弱者の戦略 磯田道史 文藝春秋(2023/02) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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NHK大河ドラマ「どうする家康」が放送中なので、とてもタイムリーな本。

家康の生い立ち、幕府成立、大坂城攻めなどの歴史や諸般の学説を磯田流にわかりやすく解説している。

 

徳川家康は、なるべくして天下人となったのだ。

まわりの武将たちに、武威を示せたから。

 

なぜ家康が天下人になれたのかという理由は以下のとおりだ。

家康は三河の弱小大名であったのに、なぜ・どうやって天下を手に入れ、260年も続く政権を築けたのか?

44P 弱者の自覚に学ぶ

孤立主義を避ける対外感覚と、外から柔軟に学ぶことこそが、中国、ロシア、アメリカなどの三大国に狭間に生きる私たちが自分たちを磨き上げ、進化を遂げられるかどうかのカギを握っている。

107P 信玄との戦いが天下人の素地を作った

家康は、外部のものでも本当に優れたものなら、躊躇なく取り入れる革新性を併せもっていたのです。これも天下を取れた要因の一つです。

124P 強みが弱みに

強い相手と戦う場合には、まず相手の勝ちパターンを分析することが後発で後ろを追いかける弱者の戦略としては重要です。その優位性を崩すためにはどうしたらよいかを分析します。強者である相手が勝てると思い込むように誘導し、罠にはめる。はじめは弱者であとから勝ち上がる者は、しばしばそうしています。

148P 天下人への道

家康の戦いをみていくなかで、彼が戦場において「武威」を示し続けたと述べてきました。武威とは、戦場において軍勢を率いて戦い、その強さを示せるかということです。その強さ、戦う姿勢で、この武将についていけば大丈夫だという。周囲の人々からの信頼を勝ち取る。それが武威です。

明智光秀は本能寺の変で武威を示したといえるでしょうか。答えは否です。不意打ちや暗殺で敵を除いたからといって、誰もついては来ません。

単に天下の所有物やライバルを亡き者にしただけでは、誰も彼を天下人とは認めないのです。

 

 <目次>

はじめに 家康はどうしたのか!

第1章 「境目の土地」三河という運命(フォッサマグナと「陸の潮目」、松平家のルーツ ほか)

第2章 信長から学んだ「力の支配」とその限界(二人の運命を変えた桶狭間、「信用」という富 ほか)

第3章 最強の敵・信玄がもたらした「共進化」(武田家はなぜ強いのか、物見・透破・築城 ほか)

第4章 二つの滅亡長篠の合戦と本能寺の変(勝利のカギは柵と弾薬、強みが弱みに ほか)

第5章 天下人への道(あてにならない同盟相手、十二万五千対一万七千 ほか)

 

1970年岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。国際日本文化研究センター教授