「お金」とはいったいなんだろう？
それ自体は何の機能もない、ただの紙切れなのに、
みんなにとって、ものすごく重要なものだ。
この不思議な「お金」っていったいなんだろう？
前回、前々回、とそのお金の性質について、考えてみた。
お金という不思議な紙切れの性質について考えてみた①
https://ameblo.jp/shiko-kankaku/entry-12561888562.html
お金という不思議な紙切れの性質について考えてみた②
https://ameblo.jp/shiko-kankaku/entry-12562109314.html
前回、お金の危険な性質として、
これ以上はいらない、という限度がなく、いくらあっても嬉しい。
だから、一か所に集中しやすく、分配されにくい。
という話をした。
お金以外のモノ、例えばオニギリなんかは、
１個もらえば嬉しいけど、１００個もらっても嬉しくない。
１００個あってもしょうがないから、もらったらタダで周りに配っちゃう。
他にも、例えば自動車とか、
１台もらえば嬉しいけど、１００台もらっても嬉しくない。
これもタダで周りにあげちゃう。
お金以外のモノには、これ以上はいらない、という限度がある。
お金にはそれがない。いくらあってもいいので、分配されにくく、一か所にため込まれてしまう。
そうすると、持っている人と持っていない人の差が大きくなりやすい。
貧富の差が広がってしまう。
この危険な性質は、実は昔からみんなわかっていて、
世の中には、これを阻止しようとする仕組みがいろいろある。
例えば銀行なんかそうだ。
銀行に貯金したお金は、貯金した人はため込んでいるつもりだけど、
実際は、銀行からいろいろなところに貸し出されていて、世の中に流れていくようになっている。
あとは、国が税金でやっている社会保障なんかもそう。
お金持っている人から多めに税金をとって、お金が少ない人に回す仕組みだ。
昔は、宗教なんかもそういう役割を果たしていた。
ほとんどの宗教で、お金をため込むのはよくない、とされていた。
キリスト教では、教会主導で、お金持ちからお金を回収して、いろんなところに寄付したり、
イスラム教でも、「ザカート（喜捨）」という、
お金がある人はお金のない人に分け与えましょう、という教えがある。
そうやって、お金が１か所にため込まれるのを防ごうとしていたのだ。
さらに、メジャーな宗教では、昔は「お金をため込むのがよくない」とされているだけじゃなくて、
「お金自体」を、あまりよくないモノ、汚れたもの、として扱っていたことが多い。
これは、ちょっと話が飛ぶようだけど、
”「お金」が「神」に取って代わる可能性”を、宗教家たちが感じていたからかもしれない。
「お金」には、これ以上はいらない、という限界がない。
「お金」それ自体には、なんの機能もないからこそ、どんなモノにも交換できる。
「お金」それ自体には、なんの実態もないからこそ、いろいろな人の、夢や希望や不安やプライドなど、あらゆる思いがくっついて、巨大化していく。
この性質は、宗教的な「神」の性質に、どことなく似ているかもしれない。
キリスト教やイスラム教などの、一神教では、「神」の姿を描くことは厳しく禁止されている。
「偶像崇拝の禁止」ってやつだ。
これは、「神」に形を与えてしまうと、
その「形」が神に制限を与えてしまい、神が全知全能ではなくなってしまうからだ。
限界ができてしまうからだ。
形がないからこそ、実態がないからこそ、全知全能になれる。
お金も似ている。
何の機能も実態もない紙切れだからこそ、なんでもできる魔法のアイテムになりうる。
近代的な経済が発展していくにつれて、
「神」の権威は落っこちて、「お金」がそれに取って代わった。
「お金」が「神」になってしまったようだ。
しかし、お金はただの紙切れだ。
良いものでも悪いものでもない。
やたらと執着したり、逆に汚いものとして嫌う必要もない、ただの便利なツールだ。
お金を神にしてしまうと、お金より自分を下に置いてしまうことになる。
お金に使われてしまう。お金のために自分を犠牲にしてしまう。
お金は使うものだ。生きるための、便利なツールだ。神ではないのだ。