この記事は、強迫症の傾向をもつ不登校の高校生向けに書いています。
シリーズのスタート投稿:強迫症を治すポイント
強迫症の症状が出ている時、普通の判断も自分のコントロールもできない状態になっているようです。
症状が重い場合、症状が出ている時のことを、まったく覚えていないこともあるそうです。
つまり、その人の価値観とは、まったく別の状態になっています。
まるで、「強迫魔王に心を乗っ取られている」ような状態です。
君も、症状が出ている時、顔つきも変わっているから、そのような状態になっているんだと思います。
強迫症の症状がでているとき、「偏桃体ハイジャック」という状態になっています。
扁桃体というのは古い脳にあって、恐怖を感じた時に働いて、天敵などと戦ったり逃げたりするために、体や脳の状態を変える働きがあります。
参考記事:人生を邪魔する偏桃体の働き
扁桃体が働くと、天敵から逃げるために、反応スピード重視の状態になり、人間らしい判断をする脳の働きを止めてしまいます。
この状態を、偏桃体ハイジャックと言います。
強迫症では、不適切なレベルの恐怖を感じますから、偏桃体の働きが強くなり、偏桃体ハイジャックの状態になりやすくなります。
この状態になると、判断力に関する脳の部分が止まりますから、君の価値観とは関係ない言動になります。
つまり、強迫症の症状が出ている時は、本来の君ではなく、強迫魔王が君の脳と体を借りて言動をしているようなものと言えます。
ですから、強迫症の症状が出ている時は、「強迫魔王をどう扱うか?」という視点で考える必要があります。
暴露反応妨害法には、この視点があります。
また、強迫症の症状が出ている時の言動はコントロールがとても難しいので、偏桃体が活性化しないように、つまり不適切な恐怖を感じないようにすることが重要になります。
暴露療法には、この視点があります。
人は社会性の動物なので、自分の感情をコントロールして周囲との関係を良好に保つ能力があります。それは新しい脳の前頭前野の役割です。
この前頭前野と偏桃体の活動はシーソーのような関係があり、前頭前野が活発な時は偏桃体の活動が抑えられ、偏桃体が活発な時は前頭前野の活動が抑えられます。
ですから、強迫魔王に乗っ取られる(扁桃体ハイジャック)のを防止するには、前頭前野の能力が活発になりやすい状況を知っておくことも有効です。
前頭前野は寝不足やストレスが多くなると、働きが弱くなります。
実際に、寝不足や仕事などで頭が疲れると、強迫症状が出やすいという話が、よく取り上げられています。
マインドフルネスを活用すると前頭前野の働きが高くなり、扁桃体の働きが低い状態になります。
特に瞑想を日常的に実践している上級者は、瞑想をしていない状態でも、一般人よりも前頭前野の働きが活発な状態が続きます。
ですから、強迫症の方には瞑想に取り組む人もいるようですよ。
瞑想にはいくつかやり方がありますが、マインドフルネス瞑想(座禅と同じです)もその一つです。
前頭前野が優位な時は、知的な作業効率が上がったり、ヒラメキが増えたりします。
スティーブ・ジョブズがマインドフルネスに取り組んだのは、きっとこのためです。
前頭前野には、自分の目的に適した言動になるように調整してくれる機能もありますから、マインドフルネスを実践するとものごとが上手くいきやすくもなります。
マインドフルネスには、瞑想やRAIN の他にも心を整える手順の紹介があります。
マインドフルネスは、「自分が何を感じているか?」いった観察がよくでてきます。これは、前頭前野に自分の状況を把握する機能もあり、これを刺激をすることで前頭前野を活性化しているのだと思います。
扁桃体ハイジャックまでいかなくても、扁桃体が活発になると、判断力が落ちる、気分が憂鬱になる、活力が無くなる…などの状態になります。
色々なことに消極的になって、「やめておこう」という判断が多くなります。
君は、一度強迫症状が出ると、気分が悪いことが多いでしょ?
おそらく、扁桃体が活性化したままだからだ思います。
「マインドフルな感覚をつかむ方法」で紹介をしている方法など試してもらうと、頭がスッキリすると思います。
扁桃体が活性化したときの影響は、以下の記事などに詳しく書いています。
これらも参考にして、偏桃体の働きに気づいて、マインドフルネスで調整することを繰り返すと、強迫症にも効果があるはずです。
また、話が長くなってしまったので、言いたかったことをまとめておきましょう。
- 強迫症の症状が出てる時の君は別人
- 強迫症の症状が出てしまったら、コントロールはとても難しい
- マインドフルネスを活用すると、症状が出づらくなったり、コントロールし易くなる
- 症状が出た後のイヤな感じも、マインドフルネスでスッキリできる