この記事は、強迫症の傾向をもつ不登校の高校生向けに書いています。
シリーズのスタート投稿:強迫症を治すポイント
君が嫌いなものは、他の人も嫌いなことが多いと思います。
でも、多くの人は、嫌いなものを近づけられても、「おいおい、やめてよ」と笑っていられるのに、君は「あ”-、絶対ダメー!!」と大きな声をだしたり、気分が悪くなることがあるよね?
この、大きな声を出したり興奮するのは、危険を感じた時の状態です。つまり.恐れているときの言動です。
人に限らず動物は、恐れを感じるとそうなります。それは闘争逃走反応と言って、危険な外的と闘ったり逃げたりするための仕組みです。
つまり、君は嫌いなものに出会って大きな声を出したりするとき、強い恐れを感じています。
でも、それは本当に危険なものかと言うと、違うよね?
たとえば、君は汚いものが嫌いだと思いますが、ほとんどの場合危険ではありません。
あまり危険が無いものにも、君は危険を感じ、恐れを感じていると思います。
これは、過去の経験の中で、たまたま体が関係づけて覚えてしまったものです。
ネズミやハトも、行動や反応を訓練で覚えることができます。
実験で、ネズミにランプがついたすぐ後に強い電気で痛い刺激を与えることを何回か続けると、ランプがついただけで怯えて、身構えるようになります。
君が “嫌いなもの” に出あったときに “取り乱す” のは、これと同じ仕組みです。
ネズミの実験に当てはめると、”嫌いなもの” が “ランプ” で、”取り乱す” が”怯えて、身構える” にあたります。
次に、このネズミに今度は強い電気刺激を与えないで、ランプをつけるのを続けると、怯えたり身構えることをしなくなります。
つまり、「怯えて、身構える」感じ方のクセを消すことができます。
このネズミが行動を覚える仕組みは人にも残っていて、以下の旧哺乳類脳がそれをしています。私達の感情的な反応や行動のクセなどを覚えるのはこの旧哺乳類脳です。
さて、ネズミは電気刺激が無くなると、ランプを恐れなくなりましたので、同じ仕組みを持つ人も無駄な恐れを消せるはずです。
が・・・、人は消えない場合があります。
人は思考の力を使って頭でイメージを作って、本当は無くなっているはずの、辛い体験を思い出して、味わってしまうからです。
ネズミの例に例えると、現実では無くなっている出来刺激を想像作り出して、「やっぱり、痛い」と思い込んじゃうんです。
想像や思い込みが、旧哺乳類脳が正しく調整するのを妨げることがあると言うことです。
さて、この理屈はわかりましたか?
こののうの仕組みがあるので、「危険じゃないもの危険と勘違いしているだけだから、考えを改めよう」と考えを変えようとしただけでは、上手くいかないのは、この脳の仕組みが関係しています。
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それでは、このような脳の仕組みを利用して、恐れを消す方法を考えてみましょう。
簡単に言えば、「思考を働かせずに、自分が体験していることや、感じていることをしっかり体験する」と言うことになります。
これができれば、旧哺乳類脳が無駄な恐れは消してくれます。
そのコツが、マインドフルネスや RAIN に含まれています。
「考えを巡らせないで、感じていることに集中する」と言うのがそれです。
嫌いなものに出会って取り乱した時を思い出して、RAINの手順を参考にしながら、外からの刺激で何を感じていたか?自分の体がどう反応したか?をしっかり味わうと、体の反応が適切に変わっていきます。
この時、「考えを巡らせない」が大切なのは、もうわかりますね。
RAINに慣れてきたら、自分が嫌いなもの、苦手なものを、思い出して、片っ端から心の反応を調整していくと、いろんなことが回りだすと思います。