いつもの年末恒例企画。2022年の新顔ランキングです。
今年初めて撮影した生きものの中から
特に印象に残っているもの・撮れて嬉しかったものを
ベスト30のランキング形式にてご紹介します。
今年遭遇した新顔は、鳥類、昆虫類、その他諸々含めて
全部で69種。ちなみに昨年が67種、一昨年が75種です。
2年目に突入した講座「首都圏生きものめぐり」も
まだまだ小人数ながらも様々な方にご参加いただき、
一方で個人の散策でも茨城県西部や萌木の村など
これまで行けなかった新規スポットを複数開拓できました。
昨年に引き続き、充実した1年だったように思えます。
また、講座にご参加いただいた皆様には心より感謝申し上げます。
それでは例年同様、ベスト30形式でお送りいたします。
(トップのサルは、無論新顔ではありませんが
今年特に印象に残ったベスト1ショットです)
30位 コウベキヌゲハキリバチ
(初撮影:8月・葛西臨海公園)
毎年恒例となった葛西臨海公園の夏花大花壇にて
ジニアの花に来ていた小さいハチです。
コンパクトサイズながらも、キヌゲ(絹毛)の名に恥じぬ
独特の質感の毛が特徴。涼しげな色合いもGOODです。
あと、微妙に頭でっかちなのも可愛いポイント。
ちなみにタイワンダケクマバチとどちらにするか迷いましたが
やはりあちらは外来種であること、
そして写真の左上にイモ●シが入り込んでいること等から(爆)
泣く泣くランク外(31位)とさせていただきました。
29位 コアオアシシギ
(初撮影:10月・伊佐沼)
撮影時はアオアシシギと勘違いしておりましたが
読者様からのご指摘により、コアオアシシギと判明。
珍種とまではいかないものの、嬉しい新顔です。
何でもくちばしが反りかえらないのが特徴なんだとか?
伊佐沼は相変わらずシギ・チドリの飛来数が多く
観察もしやすいスポットです。近場でもありますし
来年もちょくちょく足を運びたいと思います。
28位 スジグロチャバネセセリ
(初撮影:7月・軽井沢)
微妙に首都圏「外」のようにも感じますが
この後飯能市内でも撮影に成功しておりますので
まあ特に問題はないでしょう(爆)。
名前の通りくっきりした黒い筋の入ったセセリチョウで
自然度の高い場所を好む傾向にあるようです。
27位 ヤマトオサムシ
(初撮影:8月・秩父ミューズパーク)
メタリックな赤褐色のオサムシで
歩き方やフォルムなどはアオオサムシに準じます。
飛べない分、地面を俊敏に歩き回るので
何気に撮影に苦労した昆虫でもあります。
触ると臭い液(?)を撒いてくるので要注意!
26位 キイロモモブトハバチ
(初撮影:6月・栃木県内某所)
遠くから見るとオオスズメバチと間違えかねない
かなり身体の大きなハチ。しかしながら実際は大人しく
毒を持ってすらいないので全く恐れる必要がありません。
写真は正面より、約10cmの至近距離から撮影したもの。
顔つきは、明確にスズメバチとは異なっていますね。
25位 アナジャコ
(初撮影:4月・三番瀬)
4月の講座「首都圏生きものめぐり」の最中、
参加者のお子さんが掘った穴より出現しました。
やや弱っていましたがちゃんと生きております。
甲殻類の新顔登録は何気に久しぶりです。
私一人の散策だと砂を掘ったりすることはないため
こういう砂浜の小動物と会う機会はあまりなかったりします。
24位 リンゴカミキリ
(初撮影:6月・自宅のマンション)
天気が荒れて風の強かった日、
マンションの踊り場に避難(?)していた
小型のカミキリムシです。これに限らず
どうもうちのマンションは昆虫の出現率が高い模様。
ゴミを出しに行った時なんかに出合う可能性もあるため
常にカメラを持ち歩いた方がいい……かもしんない。
23位 謎のハゴロモ(外来種)
(初撮影:11月・日野公園墓地)
東南アジア方面に生息する外来種であることはわかっていますが
未だに和名すら存在しない、あまり有り難くない新顔の昆虫。
南方から徐々に分布を広げているとのことなので
2023年にはちゃんと(?)名前を貰える……かもしんない。
アオバハゴロモなんかよりもやや大型です。
ベリー系を彷彿とさせる赤色で、実際ブルーベリーなどの
果樹について木を弱らせてしまうのだとか。
22位 ミミズク
(初撮影:8月・萌木の村)
同名の鳥の方があまりに有名ではありますが
その鳥と同様、大きな耳……のような突起が目立つ
セミに近い仲間です。上から見てみると実際セミそっくり。
上のリンク先の記事に上方からの写真も掲載しているので
ぜひ一度ご覧くださいませ。
21位 ヤツメカミキリ
(初撮影:6月・鎌倉市内)
散在ヶ池周辺の森で見かけた、目立つ黄色のカミキリムシ。
名前の通り8つ(?)の黒い目のような斑点を有しており
見た目も名前も比較的覚えやすい昆虫と言えます。
サクラの木などにつくらしいので
ヤマザクラの咲くような丘陵・山地であれば
それなりにエンカウントする機会もあるのかもしれません。
過去、2011年に一度撮影していたものの
その後データがあぼんしてしまい、実に11年ぶりの再会でした。
珍種ではないものの、かなり感慨深いものがありました。
20位 サンコウチョウ
(初撮影:9月・水元公園)
これについては「撮れてしまった」と言うべきか……(汗)
特徴的なオスのやたら長い尾羽がなく(メスだったので)
写りもイマイチで証拠写真レベルでした。
それでも、夏鳥の中でもとりわけ人気の高い種で
これを撮るためにあちこちの野山に出かけるバーダーは
今なお数多いので、撮れたこと自体は非常にありがたく思っています。
今年あまり行けなかった早戸川林道などに足しげく通えば
尾羽の長い個体にも会えるかもしれません。
19位 オオマルハナバチ
(初撮影:7月・軽井沢レイクガーデン)
標高の高い地域を好むらしいマルハナバチの仲間。
レイクガーデンでは至る所でエンカウントしました。
サイズが大きく、胸部の毛がクリーム色であることなどから
他のハナバチと見分けることができます。
大人しいハチらしく、腹部の体毛をなでなでしても
後ろ足で蹴られるだけで刺されることはありませんでした。
(もちろん、度を越したら怒るでしょうが)
18位 サラサヤンマ
(初撮影:6月・栃木県内某所)
近年数が減りつつあるというヤンマの仲間で
希少性からか、結構ファンも多いようです。
フォルムが美しいことも人気の秘密かも?
もし都心部で見かけるようなことがありましたら
結構騒ぎになるかもしれません。
環境としては、半日陰の小川沿いなどを好みます。
17位 ホソミイトトンボ
(初撮影:4月・埼玉県内某所)
毎年恒例のキバネツノトンボの撮影時に遭遇。
他のイトトンボと比較しても腹部が非常に長く
より繊細な雰囲気を漂わせます。
そういえばこの界隈はキバネryを撮影すると
その後は全く足を運んでいないのですが
もしかしたら夏に通うともっと色々な出合いがあるかも……?
16位 ヒシクイ
(初撮影:1月・印旛沼周辺)
北印旛沼周辺に集団で飛来していたガンの仲間。
非常に警戒心が強いらしく、あまり近づけなかったので
写りの方はイマイチです。本ブログは2021年まで
なかなか茨城県のスポット開拓ができずにいましたが
今年はそれなりの頻度で足を運びました。
本種や後述のオオヒシクイなどは、その象徴と言えそうです。
15位 コサナエ
(初撮影:5月・長瀞)
長瀞の渓流沿いに突然現れた小型のサナエトンボ。
パッと見でもわかるくらい、ヤマサナエなどと比較しても
サイズが小さく、それこそアキアカネなどと同程度です。
無論サイズだけでなく、背中の模様なども異なりますので
実際に識別する際にはそちらをチェックしましょう。
(サイズだけだとやはり個体差があるので)
14位 タカブシギ
(初撮影:10月・稲敷市内)
これまた、茨城散策の一環として見つけた新顔のシギ。
都心部ではほとんど目にする機会がないようですが
稲敷界隈では秋になるとよく見られるようです。
ただ、谷津干潟や三番瀬のシギとは違って
人慣れしていないためか、警戒心が強いのが厄介。
撮影時には脅かさないよう、結構気をつかいました。
13位 タカネトンボ
(初撮影:8月・萌木の村)
高山域を好む、美しいメタリックグリーンのトンボ。
偶然室内に入り込んでいた個体を捕獲し
逃がす前に撮影し尽くしたものになります。
身体の色はカワトンボのそれに類似していますが
体形はシオカラトンボなどにそっくりです。
萌木の村は訪問時あまり天気が良くなかったため
真夏でなおかつ晴天の時に再度足を運びたいもの。
いや、あるいはGWあたりから訪ねてみれば
もっと面白いものが撮れるかもしれません。
非常に生きものに配慮したナチュラルガーデンなので
来年以降も期待大です。
12位 コオバシギ
(初撮影:4月・三番瀬)
写真右の2羽で、色はオオソリハシシギのオスに似ていますが
見ての通りダイゼンよりも遥かに小さいシギの仲間です。
実は4月の講座「首都圏生きものめぐり」の際にも
三番瀬にいたらしいのですが、その時は気づけず、
翌週「出直し」して撮影に成功しました。
11位 オオヒシクイ
(初撮影:1月・稲敷市内)
上記のヒシクイより前に稲敷市内の田んぼで撮影した
これまた警戒心の強いガンの仲間です。
希少種ゆえ、現地でも熱心な保護対策が取られており
不用意に近づくことはできません。ただサイズが大きく
かなりの集団で飛来するため、見つけること自体は割と簡単。
この時も写りはイマイチですが、到着後すぐに撮れました。
【ここからベスト10】
10位 スベスベマンジュウガニ
(初撮影:6月・天神島)
実際に持ってみてもツルリと滑ってしまいそうになる
磯の有毒生物としてはかなりメジャーなカニです。
フグと同じく猛毒テトロドトキシンを有しています。
小学校時代から図鑑では何度となく目にしていましたが
実際に見たのはこの時が初めて。とはいえ珍種ではない模様。
恐らく江の島などの捕獲の禁止されていない磯でも
よ~く探せばいるんじゃないかと思われますが、
間違えても捕獲して食べないようにご注意ください。
(お味噌汁に入れるだけでもアウトらしい)
9位 アカマダラハナムグリ
(初撮影:6月・栃木県内某所)
首都圏ではなかなか見ない、レア度の高い甲虫。
撮影した段階では種名がわからず
後で調べて仰天した……ということで
夏に撮った昆虫の中でも一際印象に残っています。
最近の調査で、猛禽類の巣の中で繁殖しているらしいと
わかりつつあるようですが、昨今の猛禽類の都会進出に合わせて
今後分布を広げてくるのか? それとも……?
8位 イボタガ
(初撮影:4月・石砂山周辺)
フクロウに擬態しているという独特の模様が印象深い
スズメガ級の大きさを誇る蛾です。名前の通り
幼虫はイボタノキを食草とするらしいのですが
イボタノキが広く分布する割には
本種を目にする機会はあまりない気がします。
美麗種ではないですが、コアなファンも多いとか。
ちなみにこれを撮影したのは便所の中。
もうちょい綺麗な所で撮りたかった気もしますが
山岳域の便所は昆虫撮影に非常に適しているため
今後も逐一チェックが必要です。
7位 オオハム
(初撮影:1月・城ヶ島)
三浦半島南端部、三浦港の近くで撮影した水鳥。
遠距離だった上にすぐ潜ってしまう困った奴でしたが
10分弱粘り、ようやく顔をハッキリと撮影できました。
アビ科の鳥なのですが、この系統の鳥は本種以外には
まだ撮影したことがありません。まれに撮影記録が
Webに上がることもありますので、今後も要チェックです。
(このオオハムは事前情報一切なしで偶然遭遇したものです)
6位 ホオアカ
(初撮影:1月・平塚市内の田んぼ)
記念すべき、今年最初(1/2に撮影)の新顔の生きもの。
かなり近距離だったのですが逆光だったため
極限まで画像加工してもこれが限界でした。
まあ、特徴である赤い紋はちゃんと撮れたので
ヨシとしましょうか……。平野部では数が少なく
丘陵・山岳域でよく見られる鳥だと聞いております。
無論、もし都心部に出現したら大騒ぎになるレベルです。
5位 ヒメハジロ
(初撮影:12月・多摩川中流域)
ホオアカとは対照的に、今年最後に撮影した新顔の生きもの。
ほんの1ヶ月くらい前に出現情報が出回り
今もなお撮影ポイントには多くのバーダーが集まっています。
滅多に日本に飛来することのない(次はないかも)鳥なので
もし「まだ」という方は要チェックです。
撮影時にはやたらと潜りまくってくれたために
鮮明に撮るまでには大分時間がかかりました。
4位 シノリガモ
(初撮影:1月・千葉県旭市の海岸)
名前は以前から何度も耳にしていましたが
なかなか撮影機会に恵まれなかった北方系のカモ。
銚子漁港の帰りに立ち寄った旭市の海岸で
荒波の中に浮いているのを撮影したものです。
距離がある&うねりが強いという悪条件につき
証拠写真レベルになってはしまいましたが
長年撮りたかった鳥だけに感慨深いものがありました。
来年も撮りに行ってみようかと検討中です。
3位 アオマダラタマムシ
(初撮影:8月・国営武蔵丘陵森林公園)
今年の新顔の昆虫としては最高位にランクイン。
前述の9位や8位と違い、パッと見でもわかる美麗種です。
たまたま看板にしがみついているのを見つけたものですが
もし森の中で葉っぱか何かに乗っていたら
スルーしてしまっていたかもしれません。
背中の模様なんかは、もしかするとヤマトオサムシよりも
美しく感じる人が多いのではないでしょうか?
ちなみに余談ですが、今年新顔登録した昆虫は
実に51種類に及びます。新顔登録した生物の大半が
昆虫の仲間であり、本種がその頂点という形です。
(そして大半の昆虫がランク外ということになります)
2位 ハチジョウツグミ
(初撮影:3月・武蔵野公園)
飛来情報を入手後、公園に到着して僅か3分で出現した
ツグミの亜種。腹部がオレンジ色の斑模様なのが特徴です。
ほとんど人を怖がらず、カメラマンに囲まれても
逃げないのみならずポーズ(?)まで取ってしまう始末。
おかげさまで本年の鳥の新顔の中では
文句ナシの最高画質となりました。
ご協力誠にありがとうございました。<(_ _)>
1位 ミゾゴイ
(初撮影:9月・水元公園)
ほぼ日本国内でしか繁殖しないという絶滅危惧種で
奥多摩の方に生息地があるという話も聞きますが
山奥までは入らない私のような人間には
到底狙って撮れるような鳥ではありません。
そういうこともあり、平地である水元公園に出現した際には
相当数のカメラマンが集まったものです。
幸運にも、巨大なミミズを引っ張り出して食べる
色ジーンも押さえることができました。
薮の中に入っていたので写りとしてはイマイチですが
レア度や元々の知名度なども加味し、1位とさせていただきました。
以上、予想以上に多くの生きものとの出合いがあったほか、
散策範囲もグンと広がり、春夏秋冬を満喫できました。
なお、12/24以降にも実は3種ほど新顔の撮影をしているのですが
そちらにつきましては来年2023年の記録として登録させていただきます。
(アッと驚く出会いもありましたのでご期待ください)
今年1年、お付き合いいただきまして
誠にありがとうございました。
来年も何卒よろしくお願いいたします。
★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は
2023年1月15日(日)に開催いたします。
行先は「茅ケ崎里山公園」でございます。
現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。
(講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)
【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】
小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。
ただし、御父兄の同行をお願いいたします。