台湾出張以来の再会(水元公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

今年の夏、水元公園でとある珍鳥の飛来情報が

ネット上に出回りました。バードウォッチャーなら

恐らく耳にした方も多いかと思われますし

実際に現地で撮影に成功した方もいらっしゃるはず。

かくいう私も、こんな機会は滅多にないので

やや悪天候の中でしたが出かけてまいりました。

 

公園入口では、アオサギが「おこぼれ」に期待し

例によって釣り人の後ろにスタンバイ中です。

 

 

 

 

 

 

水辺の広さが有名な水元公園ですが

草地も充実しています。

左写真のような区切られた小さな草地でも

背丈の高い草の間にはホシササキリ(右)が……。

 

 

 

 

 

 

逆に草丈の低い芝生エリアであれば

飛翔力に優れたトノサマバッタ(右)が

生息しています。刈り取った草の間からは

たまにコオロギの声が聞こえてくることも。

 

 

 

 

 

とある建物の壁に貼り付いていた

ホシササキリ(だろ?)の褐色型

 

 

 

 

 

この写真の場所は、水元公園の北部にある中央広場

Google Mapなんかで検索をかけると

大きな緑の塊として表示されますし、

その広さや中央「広場」という名前も相俟って

大きな芝生広場ではないかと思ってしまいがちですが

見ての通り、草丈が大人の腰くらいまであるレベルの

かなり深い草地となっていました。

(定期的に草刈りもしているらしいですが)

 

これだけの広く深い草地なので

ササキリやコオロギなどの鳴く昆虫も相当多く

念入りにチェックしながら歩き回っていたら

ここだけで1日が終了してしまうので、この日は短めに。

 

 

 

 

 

右下にいるのはホシササキリですが

左上にいるのはシバスズというスズムシの仲間。

珍種ではないですが、今年の新顔です。

 

遭遇率・・・3 (背丈の高い草地を好む普通種)

インパクト・・・1 (見ての通り小型なので見つけにくい)

美しさ・・・2 (配色などはやや地味)

俊敏性・・・3 (コオロギのようにやたらとは歩き回らない)

知名度・・・2 (ポピュラーな種なので図鑑には掲載されている)

 

 

 

 

 

ちょうど見頃だったヒガンバナの大群落。

白色のものも多数植栽されています。

 

 

 

 

 

水生生物展示池に植栽されるタコノアシ

まだあまり赤味を帯びてきていません。

(根本付近から徐々に赤く染まってきています)

 

野生のものは近年減少傾向にあるとされますが

里山系の公園では植栽されたのか

あるいは自然再生の結果復活してきたのか

割と目にすることが多かったりもします。

 

 

 

 

 

何か臭いのするものでも入っているのか

カバンを漁ろうとしているように見えますが

その後特に何もせず飛んで行ってしまいました。

 

そんなこんなで草地・水場周辺での撮影を済ませ

森の中へ入っていくと……。↓

 

 

 

 

 

まず1羽目のお目当て。写りはイマイチですが

これまで名前は聞きつつも全く会えなかった

人気の夏鳥 サンコウチョウです。

(例の特徴的な長い尾羽はありませんでした)

 

遭遇率・・・2 (目撃情報自体は結構よく出回る夏鳥)

インパクト・・・3 (尾の飾り羽がある時なら4か5)

美しさ・・・3 (青いアイリングが美しい鳥)

俊敏性・・・5 (やたらと動き回るので撮影は困難)

知名度・・・4 (鳥撮り界隈では大人気)

 

長年憧れていた鳥ですし、どうせ新顔登録するならば

もっと鮮明な写りで(ついでに飾り羽のある時で)と

思ってはいたのですが、まあ撮れたもんはしゃーない。

コンスタントに撮れるという早戸川林道などは

時間やコストの関係もあってあまり足を運べないため

今回撮れたこと自体を有難いと思わないといけません。

 

これだけでも十分に成果ありと言えるのですが

この日最大の収穫はこの後、唐突に訪れました。↓

 

 

 

 

 

かなりの枝被りではありますが

特徴はハッキリと押さえることができました。

国のレッドデータでも絶滅危惧Ⅱ類とされている

希少種 ミゾゴイです。名前の通りゴイサギの仲間。

これのために撮影ポイント周辺には

相当数のカメラマンが集まっていました。

 

遭遇率・・・1 (都心部に出現したら騒ぎになるレベル)

インパクト・・・4 (サイズはゴイサギとほぼ同じ)

美しさ・・・3 (赤褐色を帯びた体毛)

俊敏性・・・3 (この日は森の中をゆっくり歩いていました)

知名度・・・3 (遭遇率が低い分、毎年サンコウチョウほど話題に上らない)

 

 

 

 

 

可能な限り顔をクローズアップ。

ちなみにこの鳥、4年前に台湾に出張した際にも

それらしきものを撮影しているのですが

あちらについては近似種のズグロミゾゴイである

可能性もまだ捨てきれません。

 

いずれにせよ、日本では惑う事なき新顔です。

 

 

 

 

 

地中からミミズを引っ張り出して食べるミゾゴイ

ミゾゴイのサイズから考えるとかなり太くて長い

獲物ではないかと思われます。 近くで見なくてよかった

 

このミゾゴイ、ほとんど日本でしか繁殖しないらしく

少し前まで激減した理由も国内の森林破壊だと

言われていたそうですが、近年の研究では

むしろ南国の越冬地での環境悪化が

主な減少の要因ではないかと考えられているようです。

なお、日本の繁殖地は人目につかない山奥にあるらしく

なかなか目にする機会がないのはそのためかもしれません。

意外にも、奥多摩方面では毎年繁殖しているとか。

以前にNHKの某番組でも特集していましたね。

 

何にせよ、今年最大クラスの収穫でした。

このままアナグマでも撮らない限りは多分新顔ランキング1位です

 

 

 

 

 

花畑のペンタスで見かけたホシホウジャク。

くっきり撮れ「過ぎた」とでも言いましょうか

デカい目が少々怖いです。

 

 

 

 

 

公園内の湿地にて。以前はこの周辺で

タシギやヒクイナなどを撮影しています。

散策路の周辺のみ草刈りをしているようですが

これに伴い、バッタの仲間などが多数飛び出してきました。

 

 

 

 

 

同じく草むらに隠れていたらしいニホンカナヘビ

すぐ近くに出てきたので、素手捕獲。

何気にこうして手に持ったのは初めてです。

 

持った感想としては、背中側はゴツゴツしている一方

お腹の方は意外なくらい柔らかい……という印象です。

もし手で持つ機会があるなら、うっかり潰さないよう

優しく持つことを心掛けましょう。

 

 

 

 

 

【今日のカワセミ君】

かなり遠方にいた、若鳥と見られる個体。

この公園では高確率で見られる普通種です。

 

 

 

 

 

【9/23 水元公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、オナガ、カルガモ、カワウ、カワセミ、キジバト、サンコウチョウ、シジュウカラ、ダイサギ、ヒドリガモ、ヒヨドリ、ミゾゴイ、ムクドリ、ヤマガラ

昆虫類・・・アオドウガネ、アオバハゴロモ、アオメアブ、アカボシゴマダラ、アキアカネ、アブラゼミ、アメンボ、イボバッタ、ウチワヤンマ、ウラナミシジミ、オオスズメバチ、オニグモ、オンブバッタ、キマダラカメムシ、キンケハラナガツチバチ、ギンヤンマ、クサカゲロウ、クマバチ、クロアナバチ、クロウリハムシ、コバネイナゴ、ササグモ、シオカラトンボ、シバスズ、ショウリョウバッタ、チャバネセセリ、ツチイナゴ、ツマグロヒョウモン、トノサマバッタ、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ヒメアカタテハ、ベッコウハゴロモ、ベニシジミ、ホシササキリ、ホシホウジャク、ホソハリカメムシ、マメコガネ、ミツカドコオロギ、モンキチョウ、ヤマトシジミ

その他・・・アカミミガメ、ウシガエル、テナガエビ、ニホンカナヘビ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年11月20日(日)に開催いたします。

 行先は「石神井公園」でございます。

 (白子川は今回行かないことになりました)

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。