もう少し“自然”な所で新顔登録したかった気もする(石砂山・山登り編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

今年も例年と同じく石砂山へ行ってまいりました。

冬場に寒かったためか、一時的に真冬の気温に戻ったことが

何回かあったためか、今年は開花期がやや遅れています。

 

藤野駅近くのカタクリ自生地も、4月6日で開花最盛期。

(ちなみに昨年は4月3日時点でほぼ咲き終わりでした)

さらにカタクリの後に咲き始めるイカリソウに至っては

この時点で全く花をつけていませんでした。

気温差でこれほどの「ズレ」が起きるというのも驚きです。

 

 

 

 

 

藤野からバスでやまなみ温泉停留所へ。

いつも通りここからは徒歩で登山口に向かいましたが

その前にあらかじめ用足し……と思って

トイレに入ったら、壁にこんなものが。

 

その大きさもさることながら、

インパクト抜群の模様に驚かされました。

春にしか出現しない巨大蛾 イボタガです。

 

遭遇率・・・1 (春の一時期にのみ出現し、数は少ない)

インパクト・・・4 (蛾の仲間としては非常に印象に残る種)

美しさ・・・3 (この不思議な模様には惹かれるファンも多い)

俊敏性・・・3 (多分飛んでもあまり速くはない)

知名度・・・2 (憧れている昆虫マニアもいるとの話)

 

イボタノキという木を食草にしているらしく

成虫がこのサイズだけに幼虫も結構巨大なのだとか。

正直あまりそちらには出合いたくない

食草の方はそれほど珍しいわけではないものの

本種はなかなか見る機会がないらしく

そのフクロウの顔を彷彿とさせる模様も相俟って

昆虫マニアの間では結構人気が高いと聞いております。

 

この蛾は今回が初顔合わせとなりますが

その名前自体は2年前に本ブログの読者様より

聞かされており、その際に図鑑で調べていたので

今回見つけて早々にイボタガだとわかりました。

 

記念すべき、今年初の昆虫の新顔登録です。

 

 

 

 

 

さらにこちらも新顔。

ヨツキボシハムシというハムシの仲間で

やはりトイレの壁にくっついていました。

 

遭遇率・・・2 (珍種ではない模様)

インパクト・・・1 (サイズは小さめ)

美しさ・・・3 (斑点の入り方はおしゃれ)

俊敏性・・・3 (予想)

知名度・・・1 (あまり注目される種ではないので)

 

成虫越冬するタイプらしく、暖かくなれば

3月くらいから見られるとのことです。

イボタガのインパクトがあまりにデカかったので

一瞬スルーしかけましたが、

これで一気に昆虫の新顔が2つラインナップされました。

やはり山のトイレは侮れません。

でもトイレでカメラを構えてスタンバイするのは色んな意味で危険です

 

 

 

 

 

登山口までの道中のタチツボスミレ

どうやらここのスミレは最盛期だったらしく

例年にないくらい多数開花していました。

 

 

 

 

 

 

石砂山の登山道。相変わらず足を踏み外すと

ヤバい場所が何ヶ所かあります。

おまけに数日前に雨が降ったこともあったので

足下には細心の注意を払いました。

 

 

 

 

 

上記の通り開花期が遅れている今年。

登山道のヤブレガサもまだこんな状態のものが多く

気温差による変化の大きさを実感しました。

 

 

 

 

 

エイザンスミレ。これとナガバノスミレサイシンは

タチツボスミレと並ぶ石砂山のメジャー種ですが

今年は登山道のスミレはまだピークに程遠かった模様。

 

登山口までの道中は標高が低く日当たりもよかったため

上のようにタチツボスミレも満開だったのでしょう。

(ちょっとの標高差や日当たりの差だけでも開花期はズレまくる)

 

 

 

 

 

翅を休めるビロードツリアブ

 

 

 

 

 

ミヤマセセリも出現。スミレで吸蜜中です。

今年は妙にミヤマセセリとの遭遇率が高く

こうした食事シーンも何度か撮れました。

 

 

 

 

 

石砂山ではおなじみのヒトリシズカなのですが

今年はとことん少なかった……というか

これまた開花期が後ろ倒しになっているために

まだ目立たなかったと言うべきでしょう。

 

上の写真のように花が覗けていれば

さすがに私でもわかるのですが……↓

 

 

 

 

 

ほとんどこんな状態だったので

これは流石に見落としてしまいます。

多分、株数が減るようなことはないと思われますし

このあと写真のような芽をいくつも見かけましたので

心配はないかと思われます。

 

 

 

 

 

で、山頂に到着したら

今年もすぐにギフチョウが姿を現しました。

着陸したところを思い切り接写。

これまた歴代トップ級の良い写りになりました。

 

 

 

 

 

タチツボスミレで吸蜜するギフチョウ

ちなみに蔓延防止ryが解除されたためか

この日は平日ながら登山客もそこそこ多く

山頂は大分賑わっていました。

ほとんどの方はギフチョウ狙いですので

このように「食事」を始めると

芸能人の囲み取材よろしく周囲360度に集まってきます。

(というか私も駆けつけます)

 

 

 

 

 

これはギフチョウ……と見せかけてキアゲハ

サイズはギフチョウより一回り大きいですが

飛んでいるとなかなか見分けがつかないかもしれません。

 

 

 

 

 

これまたお馴染みのヒオドシチョウ

成虫越冬した個体らしく、翅はボロボロです。

でも、やはりちゃんと飛べます。

 

 

 

 

 

最後に、コガラを撮影して前編は終了です。

 

後編では山下りから藤野駅まで、

さらに相模湖まで足を延ばしましたので

そちらの記録も併せてお送りします。

 

 

 

<後半  山下り&相模湖編に続く>

 

 

 

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