猛暑日に現れた、謎の甲虫(関東地方北部某所) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

本日紹介するのは、北関東にあります

初訪問のスポットです。以前にも書きました

日本で一番小さなトンボ ハッチョウトンボ

この辺りに出現するという情報があり

電車を乗り継いではるばるやってまいりました。

 

後述の通りちょっと珍しいものが撮れたので

意味があるのかどうかは不明ですが

一応場所はぼかさせていただきます……。

 

 

 

 

 

 

ここは水場・湿地を中心とした自然公園のような緑地で

たまにウシガエルの声が聞こえてくるものの

自然度はなかなかのものです。

 

写真は、久々に撮れたクロアゲハ(左)と

やや大型のニワハンミョウ(右)です。

ニワハンミョウはいぶし銀でシックな雰囲気

綺麗ではありますが、やはり本家があまりに美しいので

どうしても見劣りしてしまいます。(;^_^A

 

 

 

 

 

随分久しぶりのミズイロオナガシジミ

生涯で最初に出合ったゼフィルスでしたが

ここ4年くらい会っていなかった気がします。

 

 

 

 

 

地面に下りた巨大なスズメバチ……と思いきや

ハチはハチでもこちらはハバチの仲間。

サイズはオオスズメバチと比べても遜色なく

飛んでいたら私でも気づかなかったかもしれません。

キイロモモブトハバチといいます。

 

遭遇率・・・2 (希少昆虫とまではいきませんが…)

インパクト・・・4 (やたらデカい)

美しさ・・・3 (スズメバチに準じる)

俊敏性・・・4 (ハチなのでそれなりに速いはず)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されています)

 

試しに種名でGoogle検索をかけたら

巨大な幼虫の画像が多数ヒットした。

マジ勘弁(直球)。

なお、その幼虫はハンノキを食草とするらしいので

ハンノキの生える湿地帯でないと

なかなか見る機会はないようです。

 

 

 

 

 

正面から接写するとこんな感じ。

距離はせいぜい20cmくらいでしたが

大人しいハチらしく微動だにしません。

というより、そもそも毒がありません

 

見た目に反し、全く怖くないハチと言えます。

 

 

 

 

 

参考までに、同じ場所で撮影した

オオスズメバチの姿です。

こうして冷静に写真で見ると

明らかに外見が異なることがわかります。

(慣れていないと現場ではビビって識別できない)

 

 

 

 

 

地味ですが、こちらも新顔。

チャイロナガカメムシといいます。

 

遭遇率・・・3 (珍種ではない模様)

インパクト・・・1 (小さい&地味で印象には残りにくい)

美しさ・・・2 (しつこいようだけど地味)

俊敏性・・・2 (そんなに活発には飛ばない模様)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されています)

 

似た外見の亜種もいくつか存在するので

見かけたら今後もその都度図鑑で要確認です。

 

 

 

 

 

これは……何なんでしょうか?

スズメガの仲間らしいことはわかるけれど

結局同定できていません。

 

気のせいか、前にもこんなのを撮影して

「わかる人いますか?」とブログ上で

情報提供をお願いしたような気が

しないでもないのですが……。(?_?)

 ▼

読者様からの情報提供により

モモブトスカシバであることが判明しました。

生き物係様、ありがとうございました。

 

遭遇率・・・3 (前にも会った気がするので)

インパクト・・・2 (オオスカシバ辺りより小さめ)

美しさ・・・3 (お洒落に見えるけど若干キモい……かもしんない)

俊敏性・・・4 (オオスカシバなどに準じる)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されています)

 

 

 

 

 

 

こんなふうに小川の流れる森も。

全体的に地面が常にしっとり濡れている感じで

ハンノキが生えやすい環境のようです。

 

恐らくよく探せばミドリシジミもいたのでしょうが

この日は6月のくせに猛暑日だったので

そこまで念入りな調査はせずに引き上げました。

 

 

 

 

 

小さなトンボは確かに多数飛んでいましたが

いずれもハラビロトンボばかり。(写真はメス)

ハッチョウトンボはこれより二回りほど小さいので

見間違えることはないでしょう。

 

 

 

 

 

こんなトンボにも遭遇しました。

ウエストがキュッと絞れたスタイリッシュなフォルム。

正体はサラサヤンマです。数が減少しており

多くの自治体で絶滅危惧種とされています。

 

遭遇率・・・1 (関東圏ではかなり少ない模様)

インパクト・・・4 (華奢ですがヤンマなので結構大型)

美しさ・・・4 (斑点などなかなかの美しさ)

俊敏性・・・5 (本気で飛べば相当早いはず)

知名度・・・3 (希少種ゆえにそれなりに知られている)

 

小網代の森なんかにも生息しているらしく

私も探したことがありますが、まだ見ていません。

この日は2匹観察できましたが、カップルだったのか

縄張り争いしているオス同士だったのかは不明です。

いずれにしても都心部では滅多に見られないので

しっかりと撮影させていただきました。

 

 

 

 

 

お尻を持ち上げた態勢で

ハエ(?)を食するウチワヤンマ

何気に食事シーンは初めて撮りました。

 

前にも書きましたが「ヤンマ」といいつつ

コイツはサナエトンボの仲間です。

(サラサヤンマはちゃんとヤンマ科です)

 

 

 

 

 

昆虫の多そうな雑木林。

程よく日差しを遮ってくれるので

散策にはもってこいかもしれません。

 

 

 

 

 

クヌギやコナラなども多いようで

樹液の出ている木もいくつかありました。

(前述のオオスズメバチも樹液に来ていました)

カブトムシでもいないかなと覗いてみましたが

いるのはほとんどカナブンばかり。

ところが、1匹だけ柄の異なる甲虫が……。

 

矢印の個体を指で穿り出してみました。↓

 

 

 

 

 

最初はシロテンハナムグリかと思いましたが

よく見なくても模様が全然異なります。

この時点では何の種かわからないままでしたが

帰宅後に検索をかけて調べてみましたところ

どうやらアカマダラハナムグリらしいことが判明。

サラサヤンマはおろか、この日の目標種であった

ハッチョウトンボすら上回るレア種でした。

 

遭遇率・・・1 (39の都道府県で何らかのカテゴリに入っている希少種)

インパクト・・・2 (シロテンハナムグリよりも小型)

美しさ・・・3 (シロテンryのような金属光沢はない)

俊敏性・・・3 (飛べば速いのでしょうが……)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑には非掲載)

 

Google検索をかけると「絶滅危惧種」という単語が連想され

昨年千葉で本種が見つかった件が千葉日報で記事掲載されるなど

相当の希少種であることが窺える……のですが

意外にも環境省のレッドリストでは

「情報不足」というカテゴリに入れられています。

 

この甲虫、何と幼虫の間は鳥の巣の中で成長するという

珍妙な特徴があり、特に猛禽類の巣を宿主とするのだとか。

そのことが判明したのは比較的最近のことらしく、

加えて昼行性ながら身を隠している場合が多いから

なかなか見つからないだけで、実はそこまで希少ではないのでは?

……などなど、未だに不明な部分が多いらしいです。

39の自治体でカテゴリに入っているくらいなので

絶滅危惧ⅠB類くらいに入っていても不思議はないのですが、

諸々の事情により文字通りの情報不足の甲虫と言えます。

今後の研究が待たれるところです。

 

最近は首都圏でも猛禽類の数が増えつつありますので

そのうち東京で目にすることもあるかも?

 

 

 

 

 

最後に、開けた広場でウスイロササキリを撮影し

この日は熱中症になる前に引き上げました。

 

過酷な暑さでしたが確かな収穫があり

実りのある散策だったと言えるでしょう。

ハッチョウトンボには結局会えませんでしたが

また来年にでも出直したいところです。

 

 

 

 

 

【今日のカワセミ君】

開けた水場に出現。写真では1羽ですが

オス・メスの1羽ずつ存在を確認しています。

 

 

 

 

 

【6/25 栃木県内某所で撮影した生きもの】

鳥類・・・オナガ、カワセミ、コゲラ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アカマダラハナムグリ、アシナガバエ、ウスイロササキリ、ウチワヤンマ、オオシオカラトンボ、オオスズメバチ、オオヒラタシデムシ、カトウカミキリモドキ、カナブン、キイロモモブトハバチ、キマワリ、クロアゲハ、クロウリハムシ、クロハナムグリ、コオニヤンマ、コシアキトンボ、コミスジ、サビキコリ、サラサヤンマ、シオカラトンボ、シオヤアブ、シロテンハナムグリ、セイヨウミツバチ、チャイロナガカメムシ、チャバネセセリ、トノサマバッタ、ナナフシ、ハグロトンボ、ハラビロトンボ、ヒカゲチョウ、ヒメアカタテハ、ベニシジミ、ホタルガ、ミズイロオナガシジミ、ムラサキシジミ、モモブトスカシバ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、ヨツボシケシキスイ、ルリチュウレンジ

その他・・・アメリカザリガニ、ミミズ、ヤマナメクジ

 

 

 

 

 

【おまけ】

これは全く別の日の話ではありますが

戸田市内の自宅マンションでこんなのを見つけました。

リンゴカミキリというカミキリムシの一種です。

 

遭遇率・・・2 (食草はありふれたものなので少なくない……はず)

インパクト・・・2 (華奢な体型)

美しさ・・・3 (ビタミンカラーが特徴)

俊敏性・・・3 (他のカミキリムシに準じる)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されています)

 

食草はソメイヨシノやナシなどの

比較的ありふれたものらしいのですが

その割には遭遇したのは今回が初めてでした。

この日は外で異様に強い風が吹いていたため

マンションの踊り場に避難していたようです。

こういうことが多々ありますので

外出する際にはカメラが欠かせなかったりします。

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年8月21日(日)に開催いたします。

 行先は「小山田緑地」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。