渡部昇一「知的生活の方法」に読書に関して以下の記述があった。
「読んだことで興味をひいたことは書きとめておくのがよいと言われるが、それは限られた目的のほかは、かえって害がある場合が多い。というのは、ちょっとしたことをカードにとるだけでも、非常な精神的努力と実際のエネルギーが要る。だいいち、読書が中断される。 ……… (読んだこと=本)の感心したところに赤線を引き、特に感心したところは欄外に赤丸を、しかも重要性に応じて一重、二重、三重とすれば、あとでパラパラめくり直せばすぐわかる。 ………」
以前は、専門書については要点をメモ紙などに書き出しながら読んでいた。確かに時間が掛かっていた。これが挫折の大半の原因だった。
今回、一回目の通読については赤線を引くのみとした(赤丸は付けてはいないが)。これでかなり楽に読めるようになった。今は、二回目読むときに書き出しを行おうと思っている。どうせ一回読んだだけでは理解できないのだから。
「京大」英作文のすべて(鬼塚幹彦著・研究社)は、過去の京大の英作文問題を分析したものである。同書では京大の英作文の問題が日本語のテーマごとに分類されている。その「第5章 読書」に以下の問題があった。
本問は随分昔のものだが、最近は電子辞書が普及したので、なかなか「あれこれと眺める」ことは難しくなった。これもデジタル化の弊害の一つかも知れない。
(問題)
特に目的もなく百科事典の項目をあれこれと眺めるのは、ちょうど広大な図書館の書架の中をあてもなくうろつくことに似ている。おもしろそうな題の本が目にとまってふと手がのびるように、われわれは偶然に見つけた事典の記述につい読みふけってしまうようだ。(京都大学・1996年後期日程)
(拙・和文英訳)
Browsing through various items in an encyclopedia without any specific purpose is just similar to moving around the bookshelves of a huge library at random. Just as when we find a book whose title seems to be interesting, we are apt to pick it up, so when we happen to find an eye-catching description in an encyclopedia, we are likely to be absorbed in reading such a description unintentionally.