新・英語の散歩道(その38)-「合格電報」ノスタルジア-「春なのに」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

3月に入り巷では卒業シーズンが始まった。高校では国公立の入試が終わり発表までの間の今の時期に卒業式を行うところが殆どである。例年より酷いスギ花粉の飛散が卒業式の涙の情景に水を差している。

 

「2023入試英作文に挑戦」シリーズは前回の⑤で一旦終わりとしたい。和文英訳型の面白い問題を見つけたら今後随時取り上げてゆきたいと思う。それにしても自由英作文型が多くなった。

 

 

国公立の入試を終えた受験生にとって今が一番微妙な時期だ。私がそうであったようにボーダーライン上の受験生はため息ばかりが出る日々が続いていることだろう。

 

今はネットで合格発表を行う大学も多く昔のような悲喜交々のシーンもあまり見られなくなったが、当時は私のような地方在住の受験生に対して合格電報というサービスを大概は志望校の大学生がアルバイトで行っていた。

 

この合格電報の合格・不合格の電文(当時は全てカタカナ)は大学によって特色があった。因みに以下のようなものがあったらしい。

 

 

 

北海道大学: 合→エルムは招く/否→津軽海峡波高し

 

秋田大学: 合→おばこ笑う・なまはげ歓迎する/否→おばこ一人寝飽きた

 

東北大学: 合→青葉萌ゆるおめでとう/否→陸奥(みちのく)の雪深し再起祈る

 

東京大学: 合→合格・赤門開く/否→桜散る・銀杏散る

 

早稲田大学: 合→稲穂実る/否→稲穂散る

 

東京商船大学(現・東京海洋大学): 合→トラ・トラ・トラ/否→沈没

 

お茶の水女子大学: 合→お茶薫る/否→木の芽時待て

 

新潟大学: 合→春の空朱鷺(トキ)はばたく/否→越後の雪深し

 

信州大学: 合→コマクサの花開く/否→信濃路は雪深し

 

金沢大学: 合→兼六園桜咲く/否→冬の能登の波高し再起期す

 

三重大学: 合→伊勢海老大漁/否→伊勢湾にて座礁

 

奈良教育大学: 合→天平の甍輝く・大仏喜ぶ/否→大仏の目に涙

 

京都大学: 合→合格おめでとう京大〇〇(学部名)/否→無念再起を期せ

 

九州大学: 合→合格おめでとう/否→玄海の波は荒かった

 

高知大学: 合→鯨が釣れた/否→竜馬の目に涙

 

長崎大学: 合→マリア微笑む・マリアの鐘が鳴る/否→雨の長崎・マリアの鐘鳴らず

 

鹿児島大学: 合→北辰輝く/否→桜島爆発せず、などなど

 

もう45年も昔のことであるが、今でもこの時期になると当時を思い出してノスタルジックな気分に浸る。