終活の一環ではないが、今年は旧友や旧知との再会が多くなりそうである。今月末は30~40年ぶりの再会が目白押しとなる。楽しい限りである。
今回は「英文をいかに読むか」からアーノルド・ジョセフ・トインビー(Arnold Joseph Toynbee, 1889-1975)の英文を取り上げる。トインビーはイギリスの世界的歴史家である。以下は彼が自分の歴史観について述べた英文である。
「学者の生涯(ライフワーク)は、知識という大きな川の中にバケツ一杯の水を加えるようなものだ」といった趣旨の短いものだが実に難しい。辞書を引いても、なかなか上手い訳語が浮かばない。
(問題)
My view of history is itself a tiny piece of history; and this mainly other people’s history and not my own; for a scholar’s life-work is to add his bucketful of water to the great and growing river of knowledge fed by countless bucketfuls of the kind. If my individual view of history is to be made at all illuminating, or indeed intelligible, it must be presented in its origin, growth, and social and personal setting.
(“My View of History” by ARNOLD JOSEPH TOYNBEE)
(拙・英文和訳)
私の歴史観はそれ自体が一つの小さな歴史である。とは言っても、これは主に他人が作った歴史であり、私自身の歴史ではない。何故なら、学者のライフワークとは、数え切れないほどのバケツにより供給される大きな、しかも成長している知識の川の中に自分のバケツ一杯の水を加えることだからだ。もし私の個人的な歴史観を、仮に人を啓発するように、または実際に人が理解できるように作るのであれば、その起源、成長、そして社会的および個人的設定について提示しなければならない。