私みたいな古典派自由主義者っぽい人間は、あんまり成文憲法そのものに興味沸かないんです。加えて安倍晋三が、解釈改憲の万能さをみせつけてくれたため、私の中で改憲への優先順位は急降下しました(笑)。しかしあえて要望を述べるなら、政治家や官僚、政党、公務員を対象にした国家反逆罪の明記。天皇への即位は、皇位継承者の意志と同意の必要。政党という存在の憲法への明記、権力の規制と罰則。開戦時、議員の海外渡航禁止と逃亡への厳罰。今思い付いたのはこのくらいです。




  • 政治家や官僚、政党、公務員を対象とした国家反逆罪の明記
  • 皇位は、皇位継承者の意思と同意の必要
  • 政党という存在の憲法への明記
  • 権力の規制と罰則
  • 開戦時、議員の海外渡航の禁止と逃亡への厳罰

憲法に、法律 (※特別刑法) のような『罰則規定』を設ける例について海外の事例を参考にしようと検索してみましたが、憲法に違反した者に対して具体的に懲役や禁固といった刑罰を与える憲法を見つけることはできませんでした。
 


日本語に訳されている憲法のうち、ナチスの台頭を許した反省から、憲法忠誠(※戦う民主主義)を採用するドイツ基本法(※ドイツ統一までの暫定的な位置付けでありましたが、事実上の憲法として機能している) は、
連邦の自由と民主主義を基調とした憲法秩序や他者の基本権を著しく侵害する権利の乱用を行う者に対し、その基本権を剥奪するという重い措置がとられることを明記しておりますが、その判断は憲法裁判所に委ねられていることが書かれているものの、具体的な罰則についてまでは確認できませんでした。

Artikel 18 [Verwirkung von Grundrechten]

Wer die Freiheit der Meinungsäußerung, insbesondere die Pressefreiheit ( Artikel 5 Abs. 1), die Lehrfreiheit ( Artikel 5 Abs. 3), die Versammlungsfreiheit ( Artikel 8), die Vereinigungsfreiheit ( Artikel 9), das Brief-, Post- und Fernmeldegeheimnis ( Artikel 10), das Eigentum ( Artikel 14) oder das Asylrecht ( Artikel 16a) zum Kampfe gegen die freiheitliche demokratische Grundordnung mißbraucht, verwirkt diese Grundrechte. Die Verwirkung und ihr Ausmaß werden durch das Bundesverfassungsgericht ausgesprochen.

第18条 [基本権の喪失]

意見表明の自由、とくに出版の自由(第5条1項)、教授の自由(第5条3項)、集会の自由(第8条)、結社の自由(第9条)、信書、郵便および電気通信の秘密(第10条)、所有権(第14条)または庇護権(第16a条)を、自由で民主的な基本秩序を攻撃するために濫用する者は、これらの基本権を喪失する。喪失とその程度は、連邦憲法裁判所によって宣告される。


Artikel 19 [Einschränkung von Grundrechten]

(1) Soweit nach diesem Grundgesetz ein Grundrecht durch Gesetz oder auf Grund eines Gesetzes eingeschränkt werden kann, muß das Gesetz allgemein und nicht nur für den Einzelfall gelten. Außerdem muß das Gesetz das Grundrecht unter Angabe des Artikels nennen.

(2) In keinem Falle darf ein Grundrecht in seinem Wesensgehalt angetastet werden.

(3) Die Grundrechte gelten auch für inländische juristische Personen, soweit sie ihrem Wesen nach auf diese anwendbar sind.

(4) Wird jemand durch die öffentliche Gewalt in seinen Rechten verletzt, so steht ihm der Rechtsweg offen. Soweit eine andere Zuständigkeit nicht begründet ist, ist der ordentliche Rechtsweg gegeben. Artikel 10 Abs. 2 Satz 2 bleibt unberührt.

第19条 [基本権の制限]

(1) この基本法が法律によって、または法律の根拠に基づいて基本権を制限することを認めている場合、その法律は、一般的に適用されるものでなければならず、個々の場合にのみ適用されるものであってはならない。さらに、その法律は、条文を挙示して基本権の名称を示さなければならない。

(2) いかなる場合にも、基本権は、その本質的内容を侵害されてはならない。

(3) 基本権は、内国法人に対しても、適用可能な場合には、その限りでこれを適用する。

(4) 何人も、公権力によってその権利を侵害されたときは、出訴することができる。他の機関に管轄権がない限り、通常裁判所への出訴が認められる。第10条2項2段は、影響を受けない。



立法権(※議会)や行政権(※内閣など)といった国家権力に対して制約を加え、それに違反する法律や政令などに効力を与えないとする『最高法規』としての性質を有する憲法ですが、

それに違反したところで、罰せられることもないなら結局は単なる『努力目標』としての性質しか有さないのではないかという問題提起は、重く受け止めなくてはならないと思います。


残されている方法としては、憲法(※基本法)に背いて権力を濫用する権力者に対しての『抵抗権』が、
強いて挙げれば、国民が権力者に対して科す死刑宣告に等しい『刑罰』ということになるのでしょうか。




Artikel 20 [Grundlagen staatlicher Ordnung, Widerstandsrecht]

(1) Die Bundesrepublik Deutschland ist ein demokratischer und sozialer Bundesstaat.
(2) Alle Staatsgewalt geht vom Volke aus. Sie wird vom Volke in Wahlen und Abstimmungen und durch besondere Organe der Gesetzgebung, der vollziehenden Gewalt und der Rechtsprechung ausgeübt.
(3) Die Gesetzgebung ist an die verfassungsmäßige Ordnung, die vollziehende Gewalt und die Rechtsprechung sind an Gesetz und Recht gebunden.
(4) Gegen jeden, der es unternimmt, diese Ordnung zu beseitigen, haben alle Deutschen das Recht zum Widerstand, wenn andere Abhilfe nicht möglich ist.


第20条 [国家秩序の基礎、抵抗権]

(1) ドイツ連邦共和国は、民主的かつ社会的連邦国家である。
(2) すべての国家権力は、国民より発する。国家権力は、国民により、選挙および投票によって、ならびに立法、執行権および司法の特別の機関を通じて行使される。
(3) 立法は、憲法的秩序に拘束され、執行権および司法は、法律および法に拘束される。
(4) すべてのドイツ人は、この秩序を除去しようと企てる何人に対しても、他の救済手段が存在しないときは、抵抗権を有する。







【皇位継承について】

 第二条 皇位は、世襲のものであり、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
② 天皇が、自らの意思に基いて皇位を譲る場合、皇嗣が成年に達していることと、国会の議決を要する。
③ 天皇が、自らの意思に反して皇位を退くことはない。


憲法改正案第2条に『譲位』に関する項目を加えたのは、安倍内閣が進めた天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第六十三号) に対する不満と、上皇陛下が望んでおられた『譲位』の恒久制度化が必要であると考えたからです。




退位(※譲位)は当代 (※制定当時) の天皇に限るとするという『個人』のみに適用される規定は、 それが皇室典範の附則として一体をなすものだとしても、法律としては異質なものでありました。

しかし、高齢を理由に天皇としての国事に関する行為や祭祀、公務を全力で行うことが困難となることと、皇室の伝統と、天皇の果たす役割(※と技術)が途絶えることなく続いていくことを願っておられた上皇陛下の願いを尊重するためには、
皇室典範改正が、男系継承に固執する『呆守』のワガママによって妨害されてきた状況では受け入れるほかなく、その後の有識者会議も、それまでもそうでしたが宮内庁や有識者会議の決定が 政府の思惑と異なる部分が受け入れられないまま握り潰されてきたことからも、それを理由に『逆賊』に対する倒閣運動に持っていけなかったのは痛恨の極みでありました。

天皇陛下は、本当に大変な役割だと思います。

譲位すら『公務の負担軽減』という前提で話を進めさせ、当時は、それが実現するかも定かではありませんでした。

 

 


我こそが『美しい日本』の伝統と文化の代弁者であり、陛下に対しても諫言できる立場にでもなったと勘違いした政治家や学者、文化人、匹夫匹婦に至るまでが、天皇陛下が『退位』すると聞いてヒステリックな反応を示したのも、
実のところ、自分達が皇室を大切にせず、不便を強いてきたことに後ろめたさを感じているからだと思います。

上皇陛下から今上陛下までの皇位継承は、何ら問題はなかったと思います。

しかし、文仁親王殿下 (※秋篠宮さま) が立太子を固辞されていたにも関わらず、わざわざ皇位継承者を指す『皇嗣』を皇室典範 附則(平成二九年法律第六三号)(抄)で秋篠宮さまの称号にしてしまい『立皇嗣の儀』まで用意したのは、
高齢を理由に譲位された上皇陛下の皇子であり、上皇陛下の譲位の御意志を西ヶ廣 渉宮務主管(※当時)を通じてNHKに話を通されていた理解者の1人である殿下に対する侮辱ともいえる仕打ちでありました。

皇位継承は、直系長子優先の世襲ないし、若い皇族が対象となるべきだというのが皇室の総意であると推察できます。



【続く】
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