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▶コーセーとマルホの技術・知見を結集し誕生 高機能スキンケア『Carté(カルテ) ヒルドイド』を発売
先日、こちらのプレスリリースが発表されて美容界隈を賑わせましたね。
僕も興味深く拝見させていただきました。
もともと僕のブログではヒルドイド問題について古くからずっと取り上げ続けていて、
▶究極のアンチエイジングクリーム!? 『ヒルドイド』の効果と使用における3つの注意点
▶【ヒルドイドの美容利用】…最近の傾向と市販代替品について(前編)
▶ヒルドイド&ワセリンの単品処方が保険適用外へ…!?
▶「化粧品より効果がある」とはどういうことなのか【ヒルドイドの美容利用】
▶「ヒルドイド代用医薬品」についてかずのすけの思うこと。薬局で売ってれば美容目的に使って良いのか?
▶境界が曖昧?「医薬品っぽい化粧品」や「化粧品っぽい医薬品」の存在に危機感…。
この辺を順に読んでいくだけでも結構面白い(?)と思うのですが、
【ヒルドイドの美容利用問題】はとても根が深いです。
Twitterでも軽く解説したのですが、
かずのすけ@kazunosuke13KOSEさんがヒルドイドのマルホさんと共同して開発した『カルテ ヒルドイド』僕はとても素晴らしいことだと思っています。 「ヒルドイドと似てて紛らわしい」「医薬品より効果が弱い」等の意見もありますが、全て計算の上のはずです。以下、… https://t.co/1OZBVGZbhf
2020年07月11日 17:14
さらなる詳細と、
僕がこの「カルテ ヒルドイド」誕生に期待を寄せる理由について詳しく解説したいと思います。
◎ヒルドイド問題の時系列まとめ
まずヒルドイド問題がどのように進展してきたのか、簡単にまとめてみます。
【ヒルドイド】というのは皆さんもご存知の通り、
今回コーセーと共同出資している「マルホ株式会社」が開発している
皮膚保湿用の外用剤(医薬品)です。
このヒルドイドについて、
今からおよそ10年ほど前頃からSNSを中心に以下のような噂がじわじわ広がりました。
【ヒルドイドは数万円の高級化粧品より効果がある!】
と。
これは現在では削除されていますが、とある皮膚科クリニックの医師がご自身のブログに書いたものです。
この記述の真偽は置いておいて、
ヒルドイドはそれ自体の正式価格はそれほど安くはないですが、
医療機関で処方してもらえば保険適用によって【数百円】で購入可能。
(参考に…「ヒルドイドソフト軟膏」の正式価格は1185円で、保険適用で350円ほど)
数百円で高級化粧品より凄いものが気軽に皮膚科で入手できる!
…とメディア等で騒がれた結果、
2015年頃には、
皮膚の疾病を抱えていない一般消費者が【美容目的】にこれを過分に医師に処方要求する事態が発生。
医師も多数の薬を処方した方が点数が稼げる(この辺は私は詳しくはないですが)という理由から
これを特に拒否せず、
一度に大量のヒルドイドを処方してもらう消費者がどんどん増えて行きました。
その結果、健康保険組合連合会(健保連)の試算に基づくと、
2015年10月~2016年9月のヒルドイドの美容目的での使用が
年間93億円にも登っていたことが発覚しました。
▶ヒルドイド「1度に50本以上処方」も―厚労省が対策検討 「保険から除外」提言に賛否
そして2017年にはヒルドイド単独での処方は保険適用外とする提言までなされる事態になりました。
(しかしこれは、本当に必要な患者さんの処方時にまで保険外となってしまう可能性があったため、最終的に見送られました。)
その後、SNS上では「本当に必要な患者さんにヒルドイドが渡らなくなる可能性がある」「不必要な薬の処方で税金を無駄に消費している」など多くの批判があり、
現在ではそのような使用法を推奨する記事などは強く批判される情勢が出来上がっています。
◎そもそも「ヒルドイド」は高級化粧品より効果があるのか?
これについては何度もお話していますが、
「ヒルドイドが高級化粧品より効果がある」、というのはその通りです。
そもそもヒルドイドは「医薬品」なので有効成分も含んでおり、
肌に生理的薬効効果をもたらさない「化粧品」より効果があるのは当たり前です。
(「ヘパリン類似物質」という有効成分が血行を促進することで皮膚の保湿機能を高める作用があります)
生理的薬効をもたらさないから副作用なく安全に使えるのが「化粧品」のメリットであり、
「医薬品」には強い効果の半面、副作用のリスクがあるんですね。
(ヒルドイドの副作用については後述)
この定義に照らし合わせれば、そもそも疾病を持たない人が日常的に美容目的で継続使用するのは相応しくない、という問題もあります。
つまり、ヒルドイド問題というのは、
上記に挙げた
・美容目的の不必要な処方による医療費圧迫問題
・本来使用すべきでない健常人の独断使用による副作用リスク問題
の2つがあったのです。
◎マルホ株式会社のこれまでの対応と見解について
これに対して、
開発元のマルホ株式会社も、この事態には強い姿勢で臨んでおり、
2017年10月18日には以下のような声明を発表しています。
マルホは、これまでヒルドイドに関するこのような記事を確認した場合、その都度、発行元・配信元に対して、ヒルドイドをあたかも化粧品等と同様のものであるかのように紹介することは控えていただくよう要請してきました。また、併せて、医薬品の適応外の使用を推奨することは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)に抵触するおそれがある旨も注意喚起しています。
<中略>
医師が、患者さん一人ひとりの皮膚の状態を診察した結果を踏まえ、必要に応じて処方されているヒルドイドについて、患者さんが自己判断で治療以外の目的で使用することは、適切な効果が見込めないだけでなく、思わぬ副作用が発現するリスクがあります。
このように、マルホ株式会社も上記の「思わぬ副作用リスク」については自身から発信しており、これを深く認識していることが伺えます。
実際、これを期に利用者が一気に増えたためか
元々は「副作用のない薬」と言われていたにも関わらず
ヒルドイドクリームに0.1~5%未満の確率での過敏症(皮膚刺激間)の副作用が追加されました。
▶https://www.maruho.co.jp/medical/hirudoid/product/safety.html
未だに「ヒルドイドは安全な薬だから長期使用しても大丈夫!」と言っている医師などもいますが、
それはあくまで医師の処方判断の元の話であって、
「消費者が勝手に自己判断で使用する」ことについては、開発元も問題ありと認識しています。
これは覆しようもない事実で、
開発側が良くないと言っているのに勝手に「大丈夫」発言をする人がいるというのが不思議でなりません。
ちなみにこれまでヒルドイド類似の医薬品は市販でも購入することが出来たのですが、
▶「ヒルドイド代用医薬品」についてかずのすけの思うこと。薬局で売ってれば美容目的に使って良いのか?
類似品を使用したとしても
あくまでヒルドイドと同じ「医薬品※」である以上、
(※ヒルドイドは医師の処方判断が必要な「医療用医薬品」、ヒルメナイドなどの類似医薬品は薬剤師の指導が推奨される「第2類医薬品」)
消費者の自己判断利用による副作用リスクの解決には繋がりません。
つまり、この問題を包括的に解決するには以下の2点をクリアする必要がありました。
▶保険費を圧迫せず、美容目的に使用可能な【ヒルドイド】を新たに作る
▶日常ケアに安心して用いられる製品(医薬部外品なと)として処方構成を組み直す
ということです。
しかし、マルホ株式会社は元々医薬品の製造に特化した企業であり、
化粧品や医薬部外品の処方技術はさほど高くありません。
◎僕が「カルテ ヒルドイド」に期待する理由
この点に関して、今回開発された【カルテ ヒルドイド】は大変素晴らしいことだと僕は感じています。
このカルテヒルドイドは、ヒルドイドの技術を要するマルホ株式会社と、
化粧品のプロフェッショナルメーカーであるKOSEが共同開発した製品になります。
ヒルドイドと同じ【ヘパリン類似物質】を有効成分として配合している
『医薬部外品』の薬用化粧品です。
『医薬部外品』とは、
化粧品と医薬品の中間的な性能を持っている製品で、化粧品の場合「薬用化粧品」と呼ばれます。
日常的に安全に使用できる安全性と、予防効果の有効性を厚労省から公に認められている製品であり、
「医薬品」のヒルドイド本品とは異なり、
これはあくまで『(薬用)化粧品』ですから、
美容目的に毎日使用するのももちろんOKです。
化粧品のプロフェッショナル企業であるKOSEが手を取ったことで、
マルホのみでは不足していた化粧品の製造技術をカバーしました。
つまり、
この【カルテ ヒルドイド】は、これまでの類似医薬品とは異なり、
『日常的に安全に用いることが出来るヒルドイド』
なのです。
今回「ヒルドイド」の名をしっかり継承していることも大変理にかなったことで、
ヒルドイドを求める利用者さんにもすんなり受け入れられることでしょう。
◎「医薬品より効果が弱い」のは、むしろ歓迎されるべきこと。
この商品に関して、
一部から「医薬品より効果が弱いから意味がない」などと言う意見も聞こえてきましたが、
そもそも「医薬部外品」のカルテヒルドイドは、
病的な疾病を抱えている肌に対して使用するのを前提に作られているものでなく、
予防効果や、健常状態を維持する目的で開発されているものです。
医薬品より有効成分濃度が薄く、効果が弱いのは当然です。
例えばアトピーなどでもそうですが、
医薬品を使った「治療」のあとは、
必ず「正常スキンケアへの移行」というフェーズをたどる必要があります。
医薬品は副作用のリスクがあるので一時的に治療目的に使用するのは良しとしても、
経過が改善した後も長期間的にず~っと継続して使用するのは本来の完治ではありません。
(プロアクティブ療法などで適度に使用するのは良いですが、基本的に「完治」とは薬を使用しなくても済む肌状態を差します)
こういう一時寛解状態の際には、医薬品ではなく
別の化粧品や医薬部外品でのケアに移行して、
徐々に医薬品を使用しないようにしていく必要があります。
「医薬部外品」は医薬品よりも有効成分が少なく、かつ副作用リスクも少ない製品のため、
こういった正常スキンケア移行の際にとても活用価値があるわけです。
これを医薬品と同等にしてしまったら、何の意味もありません。
それこそ、ヒルドイドの代替製品なんて市場にいくらでもありますから今更不要です。
重要なのは、
今医薬品の継続利用から抜け出せない患者さんに対して、
そこから正常なスキンケアに移行できる製品を提供すること。
濃度が薄くなったことで、通常のヒルドイドが合わない人でも使用可能になる可能性もあります。
そして、
美容目的にも使用したいという一般消費者からのニーズにも対応している。
というのがこちらの製品なわけです。
そもそも『医薬品』とは求められている要素が全く異なります。
将来的には、クリニックなどでも取り扱って
「美容目的にヒルドイドください」という人に
「保険適用外でこちらがあります」と
お医者様がスムーズに勧められるようになればこの上なしと思います。
◎【カルテ ヒルドイド】の価格等について
で、肝心の価格なんですが、これ結構安いと思います。
▶高機能スキンケア「カルテ ヒルドイド」誕生 - コーセーとマルホの合弁会社
「カルテ ヒルドイド モイスチュア ローション(化粧水)」は、150mL1,800円、35mL500円。
「カルテ ヒルドイド モイスチュア エマルジョン(乳液)」は、120mL1,800円、35mL600円。
「カルテ ヒルドイド モイスチュア クリーム(クリーム)」は、40g2,300円。
「カルテ ヒルドイド モイスチュア インストール(オールインワンゲル)」は、100g2,700円。
特にローションと乳液が35mlサイズで数百円で試せるサイズがあるというのが素晴らしいですね。
元々のヒルドイドのローションやソフト軟膏は50gで保険適用で350円くらいらしいので、
保険適用価格と比較してもそんなに価格差があるわけではないです。
「利益目的に発売している」なんていう人も居たんですが、
そもそも、
マルホもKOSEも売上は十分出ている優秀企業で、
利益だけを求めるのであれば今更わざわざ合同企業まで作ってこの問題に対峙する必要なんかなかったんですよね。
利益目的を第一にするなら、マルホはこの問題に何も対峙せずに放置しておけば、
どんどん保険費でお金が入ってきたんですよ。
それをここまで気合を入れて取り組んでいるという姿勢に僕はすごく感銘を受けました。
元々この問題をずっと直視してきて、
もしこれに対策を打つのであれば
マルホが直々に医薬部外品のヒルドイドを作る以外にないと僕は思っていたので、
これを完遂した商品がついに完成したということ、
しかも化粧品の先端企業であるKOSEの技術によって誕生したということ、
大変歓迎されるべきことです。
ぜひこの発売の暁には、
近年騒がれ続けた「ヒルドイド問題」に終止符を打って欲しいと思います。
それだけの期待を寄せられる製品だと僕は思っています。
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