シャンプーで髪は【変性】するの?しないの? ② | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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シャンプーで髪は【変性】するの?しないの?①



結論から申し上げます。


ラウリル硫酸Naなどの強い陰イオンを持った界面活性剤を配合したシャンプーを使っても、

毛髪は【変性】しません。


つまり市販の安いシャンプーを使っても、

あの卵白のように構造が変わって髪の毛や地肌が不能状態になるということはありません。


実際に世のほぼ大多数の消費者がドラッグストアのお安いシャンプーの恩恵を預かっているのですから、

おいそれと髪の毛や地肌が変性して壊れてしまっては困ります。


そんなことが起こっていれば商売にならんでしょう。





…しかし、




それはあくまで大多数のお客様の持つ髪の毛に限ったお話です。



大メーカーっていうのは

・安い原料で

・出来るだけ安く

・大多数のお客さんが満足する商品を作る


ものです。


つまり必ずそこからあぶれる少数派が出てきます。



実はとある条件を揃えた髪の毛の場合

ラウリル硫酸Naのような強い陰イオン界面活性剤が配合されたシャンプーを使用すると

髪の毛がよりダメージしやすくなる可能性が高いです。




これについてはかずのすけが昔から言っている話なのですが、、


その【とある条件】とは、

ずばり『パーマ』『縮毛矯正』などの『還元』という薬剤処理を行うことです。




◎髪の毛(ケラチン)は『還元』すると脆くなる


元々髪の毛は『ケラチン』と呼ばれる

と~~~っても硬いタンパク質で出来てます。


どれだけ硬いかと言うと、

 

 


サイのツノもケラチンの固まりです。

髪の構造とケラチンの性質


これだけで固まれば冗談抜きで骨並に硬いです。



そんなに強靭なケラチンの固まりである『髪の毛』ですから、

普通の条件であればたかがラウリル硫酸Naだのに破壊されるようなことはありません。



しかし、

ケラチンにはひとつ弱点があります。


それが「還元」です。

「酸化」と「還元」について


元々ケラチンはタンパク質中の『システイン』という成分が「酸化反応」によってくっついて固まっています。

ちなみにこのシステイン同士が固まった成分を「シスチン」と呼びまして、


イメージ図


この時の結合を『シスチン結合』もしくは『ジスルフィド結合』と言います。

ケラチンの強さの秘密…“ジスルフィド結合”について


そして

「酸化」の反対は、「還元」です。

 

 



髪の毛がシスチンの酸化によって固まるなら、

髪の毛を還元するとシスチンが解けて弱くなってしまうということです。





◎還元状態の毛髪なら界面活性剤で【可溶化】する


還元されて弱くなった毛髪は特定の種類の界面活性剤で、実際に溶けます。

これはかずのすけが昔実験してるので本当です。
洗剤の【ケラチン可溶化促進】について




詳しい方法はぜひ記事にて確認して頂きたいのですが、

簡単に言えば

還元剤でケラチンの構造をもろくした状態の髪の毛を
界面活性剤(洗剤)溶液の中に漬けておいただけ


です。
(あと尿素も加えています)



そしてこの実験結果で見ても、





ラウリル硫酸Na(SDS)や直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(LAS)などの

強い陰イオン界面活性剤では明らかにドロドロに溶けて、


非イオン系界面活性剤は全く溶けず、

弱い陰イオン界面活性剤は溶け方が弱い…



というまさに卵白変性実験とほぼ同じ結果が得られたのです。


これはつまり卵白変性作用の実験で見られた

「界面活性剤のタンパク質変性作用の差」

が毛髪の可溶化(溶解)に大きく関与した可能性が超濃厚


ということになります。


実際にはこの変化は【変性】というのは結構微妙で、
変性はあくまで還元剤によって引き起こされているもので
界面活性剤はその変性した髪の毛をどれだけ分解させたかどうかに寄与したものだと考えています。(ちなみにケラチンの還元による変性は可逆的なもの)
なのでこの場合の界面活性剤の作用はあくまで【可溶化促進】ということにしております。


その他なぜこのような差が生まれるかの考察などは
界面活性剤の刺激とそのイオン性との相関性
構造から洗剤の刺激を予想する方法について

こちらで持論を紹介しておりますので良ければ覗いてみてください。
(ただし超マニア向けです:)




◎「パーマ」や「縮毛矯正」をかけた髪はラウリル硫酸で痛む(可能性大)!


しかし髪の毛をわざわざ還元して激弱の状態にしてはじめてこの結果ですから、

もちろん通常の生活でこれと同じ状態になることはまずありません。


健康な髪の毛ならば気にする必要は決してないでしょう。



ですが、

類似の状況を作ることは最近の美容技術の発達を思えば十分可能です。



それが【パーマ】【縮毛矯正】です。

パーマ・縮毛矯正の原理

パーマや縮毛矯正は髪の毛のシスチン結合を一旦還元剤で切り離し、

その後形を作って酸化して再結合させる技術
です。

 

 

→http://www.demi.nicca.co.jp/salonsupport/beauty3_detail_01.html より


つまり少なくとも髪の毛の強力な結合を一回外してしまっているのです。



もちろんパーマも縮毛矯正も、酸化剤によってこれをもう一度かけ直しているわけですが


タンパク質の構造はそんなに甘いものではありません。

一回切った結合をもう一度元通りに付け直すなんて絶対に不可能です。


必ずどこかの結合は掛け違えて切れたままになっているのです。

 

 


(パーマや縮毛矯正で髪が痛むのはそのためです)
パーマ・縮毛矯正のダメージ




ケラチン(髪の毛)が還元された状態のまま…

ということは上の実験と同じ状態とは言わないまでも


少なくとも髪の毛が健康状態より脆い状態になっているということになりますよね。




例の実験は還元剤を作用させてたった5時間であそこまでの状態になりました。
(ものによっては最初の1時間足らずでほとんど反応が終了してたものも…)

もし短時間でここまでの結果を出すなら相当弱らせる必要がありますが、


髪の毛は毎日毎日何ヶ月何年と洗うものですから

たとえ微妙な影響でも積もりに積もればそれが髪の毛のダメージとして蓄積していく可能性は十分にあります。

日常的に考えればここまで溶けなくてもちょっと弱っただけで切れ毛や枝毛が発生するわけですから。



つまり、

パーマや縮毛矯正で一旦還元処理を行った髪の毛の場合、

ケラチンの特異な強靱性はかなり失われているため

本来影響しないはずの界面活性剤の作用によってよりダメージが進行しやすくなる可能性が高い


と言えます。




◎「安全に使える」はあくまでも最低条件


パーマや縮毛矯正なんかしたことのない、

生まれてそのままの健康毛ならラウリル硫酸Naでもなんでも使ってください。




それで髪が痛むことは多分そんなにありません。

実際に世の8~9割の人が使ってなんともなかったのですから。

(まぁ仕上がりとかに不満のある人も居るかもしれませんけどね!)



ですが最近の若者は逆にほとんどパーマかけたり縮毛矯正していますね。


そして皆さんすごく髪の毛傷んでますよね。

パーマかけてしばらくしたら髪の毛パッサパサでしょう。

シャンプー後はトリートメントしないと手櫛通らない…

なんて人も少なくないはず。


縮毛矯正して放っておいたらいつの間にか毛先が枝毛と切れ毛で大変なことになってる、

そんな経験がある人も多いと思います。


そういう人には市販の安物シャンプーはオススメしません。



これが全部「シャンプーのせいだ」と言うつもりはありませんが、

シャンプーによる影響は少なからずあると僕は考えています。


少なくとも、

極限まで弱らせた状態だったとしても

髪の毛をドロドロに溶かす洗剤とそうでない洗剤、


長期的に使用した結果として

どっちが髪を傷ませにくいかは議論の余地が無いと思います。


ですから

ダメージを受けた髪の毛でも出来るだけ綺麗な状態を維持したいなら

ダメージを助長する可能性のある成分は避けるべきではないか


というのが僕の持論です。




ただし、



実際のところ安いシャンプーに「危険性」はありません。

経皮毒やら肌の細胞を破壊するとかそこまでの影響はハッキリ言ってありません。

至極安全に使用できます。

実際に皆さん安全に使ってます。


ここを誤解してはいけません。




しかし「安全に使えるかどうか」は今回の話としてはあまり意味のある議論ではありません。


たとえ敏感肌やアトピー体質の人達には明らかに刺激になるような洗剤であっても、

普通肌の大多数8割の人々が普通に使えれば「安全」と判断されるのが化粧品の成分の常識ですから。

ちょっとくらい皮膚炎誘発したところで安全は安全なんです。


そんなものは化粧品成分にとっては当たり前の最低条件です。





今回の一件で問題があったのは、

「卵白で白濁したシャンプーは危険!」

という意に介さないメッセージがひとり歩きしたことです。


実際には卵白の実験で分かるのは、

【その成分が危険かどうか】ではなくて

【良いシャンプーには卵白も変性させない優しい成分が使われている】

というそれ一点のみなのです。






「綺麗を維持できるシャンプーの話」がしたかったのに

「危険なシャンプーの話」にいつの間にかすり替わっていた、、、



件の事件の成り行きを眺めているとどうやらそんな感じが見受けられます(^_^;)


テストで100点取る話をしたかったのにいつの間にか赤点回避の話になってた…みたいな。(?)



これはシャンプーの議論ではよくある話の流れですよね。

まぁ僕もこれまで何度も似たような経験があります…(苦笑)





以上、長くなってしまいましたが件の事件へのかずのすけなりの補足となりますm(_ _)m





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