105円読書 -6ページ目

GENEZ‐1 ジーンズ 著:深見真  

105円読書-GENEZ‐1 ジーンズ GENEZ‐1 ジーンズ

深見真:著
富士見書房 ISBN:978-4-8291-3407-8
2009年5月発行 定価630円(税込)









「ヤングガンカルナバル」の深見真が、今年になって富士見ファンタジア文庫で始めた、ラノベ新シリーズ…高校生殺し屋から、今度は高校生傭兵の話です。既に2巻目も発売されたようですが、今回100円でGETできたのは1巻だけ…。

進学校・海神学園は一見普通の学校に見えるが、実は民間軍事会社グリークスが管理していた。普通の生徒も混じっているが、特進クラスに在籍する生徒は、すべてグリークスの社員かアルバイトでまとめられている。大牙謙吾も特進クラスの生徒の一人…彼はジーンズスーツと呼ばれる全身鎧を纏い、戦車や装甲車も一撃で倒す凄腕兵士。仲間とともに数々のミッションで成果を上げてきたが…次の任務は飛び級でハーバードを卒業し、現在はヴェルトハイム公国公女の家庭教師になっている謙吾の妹、涼羽の護衛。彼女が日本に帰国し、海神学園に編入することになったのだが…。

主人公の謙吾は人間離れした凄い傭兵なのに、実は奥手で女が苦手…しかもエロゲー好きと、ヤングガンカルナバルの塵八と共通する分部がありますね。確かに高校生の殺し屋の話も現実離れしているけど、今回はもっとSF、ファンタジーよりな作品。単なる少年・少女傭兵ってだけでなく…妙なメカものや、不死身の人間とかも出てきちゃう。変身ヒーローものに近い感じもしないではないが、そこは深見真なので、バイオレンスなアクション描写、マニアックな銃器描写は健在。適度なサブカル、ラブコメと、いい按排でミックスさせ、テンポのよいエンターテイメントを体感させてくれた。

変種の学園ものかなと思いきや、後半は海外へ出張。ヴェルトハイム公国公っていうのは、頭の中でルパン三世の、カリオストロ公国みたいな感じなのかなぁとか想像して読んでました。王家に伝わる隠された秘密…とかルパンのニセ札づくり並に凄い秘密で面白かったです。既に続編も出ているということだし…所属組織や敵対するライバル組織などの意味深に描かれていた部分は、追々、明かされていくということなのかな?とりあえず、妹の護衛から派生していった一連の騒動には、ちゃんとケリをつけているので、単独で読んでもそれなりの読後感は味わえる仕上がり。






個人的採点:70点






久しぶりの更新…ガンダムUC 6&7

諸般の事情でブログ更新をおこたっていた。

読書もこの数カ月、まともに読んだのは2冊だけ、

100円コーナーで見つけたガンダムUCの続きだけです。

今月から読書とブロク更新を再開していこうと思っているのですが…

とりあえず、読んだ2冊の感想だけを簡単にまとめておきます。



夏ごろにシリーズ全10巻が発刊完了し、物語は完結したようですね。アニメの情報の方も正式アナウンスされましたし…Amazonなんかでは、中途半端な巻の新品はけっこう品切れになってるようです。自分は7巻まではどうにかブックオフの100円コーナーでGETできたけど…この先はアニメの開始までに揃えることができるだろうか?



105円読書-機動戦士ガンダムUC 6 重力の井戸の底で 機動戦士ガンダムUC 6
重力の井戸の底で


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-715112-3
2008年10月発行 定価693円(税込)








地球に降りた…というか降りてきちゃったバナージが、再びジオンと行動を共にする。ジンネマンと砂漠越えして、お互いのわだかまりを解消していったりという、ドラマも見どころに。地球にいるジオンの協力者が、お家再興のためと一念発起し、ダカールの連邦に攻撃を仕掛けるというのがメインの話。巨大MAを操るマハディの存在なんかはZZにでてきた、ロンメルをちょっと思い出してしまったが…。

ブライトさん登場…さすが息子が死んでも生き残ってるキャラだけあり(笑)、この人がでてこなきゃ、ガンダムがしまらない。あっ、でもアニメはどうするんだろうね?2ちゃんねるとかでも、誰が声優さんやるの?とか議論が交わされてたね…この間、発表になったキャストにまだブライトの名前はなかった。個人的に、ガンダム00のグラハムやった中村悠一がいいかなと。00を見てる時は、キャラが嫌いなので気にしてなかったのだけど、ラインバレルの森次さんの声が妙にブライトさんっぽく聴こえて、あ、この人がいいなぁって思ったんだよね。






個人的採点:80点







105円読書-機動戦士ガンダムUC 7 黒いユニコーン 機動戦士ガンダムUC 7
黒いユニコーン


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-715143-7
2008年12月発行 定価693円(税込)








前巻の最後で黒いユニコーン登場…サイコガンダム的な悪役ガンダムということだろう。こてんぱにやられたバナージ、今度は連邦で捕虜生活。ミネバ、マリーダ、リディなどとニアミスをし、ドラマは進行…そうこうしているうちにジンネマンが、地球にいるジオンの残党と組んで、ミネバ&ユニコーン奪還を計画する。

UC絡みの事件に巻き込まれちゃったかわいそうなブライトさん、トリトン基地へ逃げ込む。ああ、ガンダム0083に出てきたあの基地ね…ブライトさん関係で、懐かしい名前がけっこうちらつくのは、ファンとして嬉しいのか、狙い過ぎなのか?怒涛の展開はそれなりに面白いものの…ガルダでの一連の騒動など最終的には、Zっぽい展開。マリーダの正体はアレだけど、なんだかフォウと錯覚してしまうよね。一仕事終えたような感じのブライトさん…もうちょっと物語に絡んでほしい気がするが、次巻以降で出番はあるのだろうか?






個人的採点:80点






最初のころは、ちゃんとトミノガンダムみたいじゃんって感じで感動しまくってたんだけど、ここまでくると狙い過ぎで先が簡単にヨメちゃうから、感動が若干、薄れてきたんですけど。トミノガンダムだと思ってたら、ガンダムSEEDみたいになっちゃったかなと(笑)まぁ、フル・フロンタルとか箱の正体とか、気になる謎はまだまだいっぱいあるので、最終巻に向けて…最初のころに感じた感動が取り戻せるといいですけどね。前から同じような事を書いてるけど、TVのストーリーをなぞっただけの内容の薄いノベライズよりは読みごたえもあり、相変わらず安心したエンターテイメントでしたけどね。ここいらで、評価を若干下げておきました…。




硝煙の向こう側に彼女 著:深見真

105円読書-硝煙の向こう側に彼女 硝煙の向こう側に彼女

深見真:著
エンターブレイン
ISBN:978-4-7577-4677-0
2009年2月発行 定価1,785円(税込)








高校生殺し屋が活躍する「ヤングガン・カルナバル」シリーズの深見真によるガンアクション小説…こちらは警察のテロ対策、特捜係の女係長が主人公。今年になって出たばかりのハードカバーなんだけど、もう100円コーナーでGETです!

2010年代…日本は武力行使を前提とした自衛隊派遣により、本格的にテロ戦争の真っ只中に巻き込まれていった。そんな中、警視庁科学捜査研究所の塚田志士子警部は…対テロ専従、特別強行班捜査係の係長として抜擢される。彼女は“鉄砲塚”とあだ名されるほど、銃に精通した、科学捜査のプロフェッショナルだった。その矢先に渋谷で大規模な爆破テロが発生し…。

主人公が銃フェチで、映画やゲームが大好きで、レズビアンも出てきてと…「ヤングガン・カルナバル」との共通項がいたるところに散見できるのが、深見真らしくてうれしくなる。日本でテロが頻発しているという舞台設定のおぜん立てもよく考えられており、「ヤングガン・カルナバル」のような荒唐無稽さはだいぶ軽減…。

ちゃんとヒントがあったにも関わらず…プロローグを含めたどんでん返しにすっかり騙され、ヤラレたぜと…どうぞ疑ってくださいみたいな推理小説だったら、きっと意識して読んでたんだろうけど、まさか深見真の小説で、そんな仕掛けがあるとは思わなかったから、考えなしに読み進め…思いっきり作者の思惑にのっかってしまったようです…。

お得意の詳細な銃器描写が、しっかりと物語に生かされている点も良かった…主人公をピンチに陥れる足かせになっていたり、逆に事件解決の糸口になったりと…銃器描写でしっかりとミステリーしています。映画好きな主人公、DVDは返却が面倒なので、セル版を購入するというあたりにものすごく共感(笑)ちなみに主人公がストレス解消に見る映画DVDは「あるいは裏切りという名の犬」でした。






個人的採点:75点







機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊 著:福井晴敏

105円読書-機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊 機動戦士ガンダムUC 5
ラプラスの亡霊


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-715084-3
2008年7月発行 定価672円(税込)








忙しくて本を読む暇がなかったのだが、1カ月ぶりに読書再開。ガンダムUCの続きの5巻…ようやく読み終わった。前回の時点では、この5巻までしか100円コーナーで見つけてなかったんだけど、さっき、ブックオフへ行ったら、6、7巻を105円でGET!残すは最新刊のみか…でも、5巻を読み終わった後に、他の小説を読み始めちゃったので、次はいったん、ガンダム休憩です。

パラオを脱出したバナージ・リンクスは、追撃してきた強化人間マリーダをユニコーンの力で撃破…負傷したマリーダと共にネェル・アーガマに収容されていた。そしてユニコーンが示した箱のありかを調べるため、旧首相官邸“ラプラス”の残骸の調査にかりだされることになったのだが…フル・フロンタルをはじめ袖付きこと、ネオ・ジオンの残党がまたも奇襲攻撃を狙っていた!一方、ミネバと共に、地球へ降りたリディ・マーセナスは、連邦政府中央議会議員である父親ローナンとの面会を果たすため、生れ故郷があるジョージア州のアトランタに向かう…。

バナージの周りで、けっこうサブキャラが死ぬのね…それもあっけなく。いかにもガンダムらしい感じ。ガンダムらしいといえば…1巻で出てきた、首相官邸ラプラス、そこで行われた演説をバックに、モビルスーツ戦が繰り広げられる。こういうところもガンダムっぽいね…頭の中で映像をイメージしやすい。あと大気圏突入などもお約束っぽい…ファーストガンダムそっくりで面白かった。次巻からは本格的に舞台は地球に移りそうな感じだね。

4巻のラストにあった程のサプライズな展開はなかったものの、カーディアス・ビストの元部下のおっさんが、かたき討ちのために袖付きと手を組んで、アイザック(渋い!)でアーガマに特攻かけたり、なかなか盛り上がる。なんとなく察知していたけど、アーガマの中で偉そうにしていた、アナハイムの幹部、アルベルトの正体もはっきりしたし…バナージとの関わり方なども今後の展開が面白くなりそう。






個人的採点:85点






機動戦士ガンダムUC 4 パラオ攻略戦 著:福井晴敏


105円読書-機動戦士ガンダムUC 4 パラオ攻略戦 機動戦士ガンダムUC 4
パラオ攻略戦


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-715060-7
2008年4月発行 定価672円(税込)








ガンダムユニコーンの4巻目を読み終わる…実は、自分が100円コーナーで入手したのはオマケがない特装版(MGユニコーン武器セットつき) の方なので、表紙はカトキハジメが描いたガンダムのイラストだった。 たぶん、中身はいっしょでしょう…。

ネェル・アーガマのピンチにユニコーンで出撃したバナージは、戦闘に敗れ、ユニコーンと共に袖付きに捕らえられ、袖付きの拠点である資源衛星パラオへと連れてこられていた…。一方、正体がバレてしまったオードリーことミネバ・ラオ・ザビは連邦軍の捕虜として輸送艦で月に向かっていたのだが…ある思惑を秘めたロンド・ベル所属のMSパイロット、リディの手引きで脱出…逃走に使用したスペースランチでとりあえずネェル・アーガマを目指すことに…。

今巻はページがちょっと増えて分厚くなってる、ラッキーとか思っていたら、本文イラストが安彦良和ではなくなってしまった。なんかこっちは残念だなぁ…。フルフロンタルとバナージが直接会話をし、「あなたはシャアですか?」なんて直球の質問を浴びせるあたりは、まさに読者が福井晴敏に投げかけたい質問を代弁してくれるのだが、なんかうまくはぐらかされた感じで、真意はまだまだ先って感じ。

そんなこんなで物語はいろいろと動き始め、パラオ攻略戦ってくらいだから、モビルスーツ戦だとかアーガマの活躍なんぞもたっぷりって感じなんだけど…なんか最後の30ページくらいのびっくり仰天の新事実で、それまでの話が全部、前座だったんじゃないかと思えるような展開をみせる。

強化人間だというのは語られてきたマリーダだけど、そんな話に関わるのかよと…オードリー=ミネバというのはすぐに分かったけど、この展開にはびっくりだね。しかも、物語としての読ませ方も、かなり衝撃的…これはトミノ御大のガンダム小説で、セイラさんとアムロがベッドインした時くらいの、エロスも感じる、衝撃さであった。いろいろな思惑を秘めたあのキャラに関してさ、こんな運命背負わせるなんて…なんかトミノ御大が本当にやりそうな展開だよ。

思わせぶりなキャラいっぱい…企画進行中のアニメの方は、だれが声を担当するのかも、気になってしまうよ。さて、5巻目(今現在、100円で見つけられたのは次の5巻目までなんだよね)はどんな展開をみせるか、楽しみだなぁ~。






個人的採点:85点






機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星 著:福井晴敏

105円読書-機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星 機動戦士ガンダムUC 3 赤い彗星

福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-715003-4
2007年12月発行 定価672円(税込)









ようやく3巻目…何日か前に読み終わってたけど、ブログ書けなかった。今、4巻目の半分くらいまで読んでます。サブタイトルがズバリ、赤い彗星…。

謎の少女オードリー・バーンとの出会いを境に、戦火に巻き込まれてしまったバナージ・リンクスは、ビスト財団の当主であり、実の父親だったカーディアスから託されたユニコーンガンダムを駆り、連邦軍の窮地を救ったの後、ネェル・アーガマに収容されていた。そこでやはり保護されていたタクヤ、ミコット、そしてオードリーとも再会を果たすのだが、それもつかの間、“ラプラスの箱”を求める“袖付き”の新たな攻撃が!シャアの再来と呼ばれるフル・フロンタルが単独でネェル・アーガマを狙う!

新生ネオジオンの大将?フル・フロンタルが本格的に登場、モビルスーツに搭乗し、アーガマに急接近する時、連邦側でお約束のセリフもでてきたし、思わずニヤリです。

やっぱりシャアまんま…声も似てるという記述があり、まさか本人 ?という期待やら不安やら。なかったことにされてしまっている「ガイア・ギア」への伏線としてクローンとか?と、いろいろな妄想も膨らみます。トミノ愛に満ちた福井晴敏なら、それくらいやってのけるかも?

バラさなくても読者にはすっかりお見通しだったオードリーの正体もようやく、この巻で正式名が出てきましたね…扱い方は、ちょっとSEDDのラクスたんみたいでした(笑)キャラの性格的にはセシリーとかに似てるかも?


ユニコーンガンダム…圧倒的な強さだけど、その強さが持続しないのはイタイな、まるでアンビリカルケーブルがぶった切れたエヴァみたいだよ。戦闘シーンが多く、テンポよく読ませる。今まで以上に過去作品へのオマージュも散見でき、安定した面白さ。






個人的採点:85点






機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下) 著:福井晴敏

105円読書-機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下)  機動戦士ガンダムUC 2
ユニコーンの日(下)


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-713970-1
2007年9月発行 定価672円(税込)








1巻に続きガンダムユニコーン…本当はGW中に、ある程度読みたかったんだけど、読む暇がなく、ようやく2巻目を読み終わったところ。ガンダムが本格的に登場…主人公がガンダムに乗るまで、過去のアニメ作品を彷彿とさせるような、いかにもガンダムな展開が読んでいて楽しくなる。

宇宙世紀0096…工業用スペースコロニー、インダストリアル7内で、ビスト財団当主カーディアス・ビストと、反政府組織“袖付き”が、“ラプラスの箱”引き渡しに関して会談を行おうとしていたのだが…それを察知した連邦軍が作戦を展開、コロニー内外で戦闘が勃発してしまった。一方、アナハイム工専の生徒バナージ・リンクスは、偶然知り合った少女オードリーをビスト財団の元に一人残してきた事に悔い、なんとか彼女の力になろうと、激しい戦火を潜り抜け、もう一度ビスト家の屋敷に向かおうとするのだが…。

「逆襲のシャア」後の宇宙世紀が舞台ということだが、逆シャアやゼータ的な流れを組みながらも、ちょっとF91っぽい展開なんかも入ってるかな?(特にユニコーンガンダム)という印象を受けた。でも、ファーストっぽさも色濃く出てるところもあるんだよね。戦火の中でガールフレンドを守り、勇気づけるところなんて、アムロとフラウみたいで良かったし…“袖付き”、新生ネオ・ジオンとやらの大将は、まんまシャアだし(笑)

やっぱ、主人公がユニコーンに搭乗する羽目になるあたりの展開が、今回は一番燃えた、燃え上がったよ。なにはともあれ、活字の面白さを知る、影響の一つともいえる、トミノ御大のガンダム小説を読んでいるような錯覚に陥れる、新作なんだけど懐かしい感じがする読み物で、なんかいいですねぇ。さぁ、今度こそ続きをジャンジャン読むぞ…(といっても5巻までしか持ってないけど)






個人的採点:85点






機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) 著:福井晴敏

105円読書-機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) 機動戦士ガンダムUC 1
ユニコーンの日(上)


福井晴敏:著
角川書店 ISBN:978-4-04-713969-5
2007年9月発行 定価672円(税込)








アニメ化も決定した福井晴敏のガンダム小説…100円コーナーでコツコツ貯めてたんだけど、ようやく5巻まで揃ったので、ここらで読んでおこうかなということで、読み始めました。現在は8巻まで出ているそうですね。

宇宙世紀0096…工業用スペースコロニー、インダストリアル7内で、連邦政府に多大な影響力を持つビスト財団が、反政府組織“袖付き”秘密裏にとある取引を行おうとしていた…その取引が成功すれば、新たな戦火の火種になることを危惧し、一人の少女が“袖付き”の偽装貨物船に密航していた。一方、アナハイム工業専門学校に通うバナージ・リンクスは、ひょんなことから件の密航少女を助けることになり、事件に巻き込まれていくのだが…。

想像以上に面白い…最近のガンダム小説っていうと、アニメをなぞったノベライズを脱し切れていないものが多かった気がするが、富野由悠季のガンダム小説を継承しつつ、福井晴敏らしさも味わえ、ガンダムの香りを出しながら、ガンダムの世界観にとらわれすぎず、本格的なSFっぽい読み物にもなっていると…とりあえず1巻を読んだ段階ではそう感じますね。他国の戦争に無関心な日本人が共感できるような、主人公たちのキャラ設定もうまい。

今までのガンダムの設定を生かしてるから、現代のテクノロジーが追い抜いちゃったようなところは、ちゃんとそういうのがうまくすり合わせるような努力も見られていい感じですね。主人公たちが出る前に延々と挿入されるプロローグなんて、世界観を伝えるための難しい事柄がいっぱい描かれてるんだけど、そこは30年近くガンダムに接しているガンダムファンには、難なく理解できてしまうという、やっぱりガンダムとトミノ御大を愛する福井ならでは文章力で読ませられてしまう。

ようやく主人公たちが出てくると…謎の少女なんかもすぐに正体わかるしね(モビルスーツのイラスト見たくて、公式サイトを覗いたら、キャラクターに本名が堂々と書いてあった…謎の少女の正体もこれから読んでいけばスグ

明かされるってことだね)…見慣れた固有名詞もいっぱい出てくるのがうれしい。

ガンダム小説であり、戦争小説であり、青春小説であり、SF小説である…角川がスニーカー文庫じゃなくて、コミックレーベルで出してるあたりがなかなか粋ですよね。活字離れが叫ばれている昨今、こういうところから…SFものへの興味が広がる懸け橋になればいいなぁって本当に思いましたよ。福井晴敏をトミノ御大の後継者として認めたくなったよ、自分は。

1巻を読んだだけで、この興奮…続きも早く読まなくちゃな。アニメの方も期待が膨らむ…久しぶりに、ガンダムらしい正統派なガンダム作品に出合えるのではないだろうか?






個人的採点:85点






館島 著:東川篤哉

105円読書-館島 館島

東川篤哉:著
東京創元社 ISBN:4-488-01714-2
2005年5月発行 低下1,785円(税込)










東京創元社のミステリフロンティア配本…東川篤哉の本格推理小説。休暇中の若手刑事と美人探偵がいつのまにやらコンビを組み事件を解決していくという…キャラクターたちは、この作者らしくコミカル。すでに文庫版が出ているようです。

天才建築家・十文字和臣が自分の別荘にある巨大な螺旋階段の下で謎の墜落死…警察が捜査をするも肝心の墜落現場が発見できず、事件は未解決に。それから半年…未亡人の意向により再び館に関係者が集められたのだが、そこで新たな事件が!和臣の事件の捜査にも加わり、未亡人の遠い親戚でもある刑事の相馬隆行、やはり未亡人の姪で私立探偵の小早川沙樹とともに事件の捜査を開始する!

怪しげな建築家が建てた、怪しげなお屋敷…綾辻っぽいけど、作風としてはもうちょっとくだけた感じ。離島で起きた事件に、台風で警察が介入できないという…せっかくお約束の嵐の山荘系パターンなんだけど、東川篤哉の持ち味でもあるコメディ調なおかげで、少し緊迫感に欠ける。

間抜けな刑事と、ちょっとガサツな美人探偵のコンビがなかなか魅力的で、二人にくっついて事件に首をつっこむ、世間知らずのお嬢様も、性格に似合わず時々毒舌をはくなど、キャラで見せる。館に隠された秘密あたりは…多少、正確さには欠けるけど、ある程度、こんな仕掛けじゃない?っていうのが早い段階から見抜けるので、驚きがちょっと少なかったか。

突出した面白さや感動、驚きがあるわけではないが…犯人や動機面、トリック面など適度に推理できて、読んでいる間はそれなりに楽しめる、アンパイ的な本格推理小説作品だった。


文庫版 館島
東京創元社 2008年7月発行 定価819円(税込)






個人的採点:65点






交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 著:五十嵐貴久

105円読書-交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 交渉人 遠野麻衣子・最後の事件

五十嵐貴久:著
幻冬舎 ISBN:978-4-344-01377-3
2007年9月発行 定価1,785円(税込)









五十嵐貴久の代表作でもある「交渉人」の続編となる本作だが…実は前作の小説版は読んでいない。WOWOWとテレ朝の土曜ワイドで2回実写映像化されているので、それで先に見ちゃったんだよね…作品としては三池崇史が監督したWOWOW版の方が好きだったけど、小説を読むときの麻衣子のイメージは土曜ワイド版の永作博美かな?

元交渉人で、広報課の警部、遠野麻衣子の元へ、裁判で拘留中の上司の電話番号から不審な着信が…しかし相手は全くの別人だった。かつて爆破テロを行い解体された“宇宙真理の会”の信者を名乗る者から、テロの首謀者・御厨徹の釈放を求めるもので、実行されなければ多数の犠牲者が出るという。その直後、それを証明するように麻衣子の前で、交番が爆発炎上!犯人から交渉役を指名された麻衣子は、そのまま特別捜査班に召集されるのだが、都内各所で相次いで爆発物が発見され…。

前作の事件についても語られるが(前作のオチが語られてるようなもん)、小説を読んでなくてもドラマ版を見ただけでも大丈夫だった。爆破事件が起き、首都機能が混乱していく様子などは、なかなかの迫力…交渉のやりとりを分析しながら、爆弾探しや、犯人探しを行う捜査官の様子なんかもスリリング。キャリア組の派閥、警察の縦割り社会に阻まれ、麻衣子が翻弄されていく姿なども、ベタだがよく描けている。

しかし、本作も1作目のように、意外な犯人像を狙い過ぎたところがあるみたいで、逆に…伏線の部分で真犯人が見破れてしまうのが物足りないかなと。真犯人の狙いが明らかになる中盤以降、やや失速気味。それでも、最後まで推理や交渉術を武器に敵と対峙していくので、推理サスペンスとしては面白く読めた。エンターテイメントとして手堅い感じ。






個人的採点:65点