交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 著:五十嵐貴久 | 105円読書

交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 著:五十嵐貴久

105円読書-交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 交渉人 遠野麻衣子・最後の事件

五十嵐貴久:著
幻冬舎 ISBN:978-4-344-01377-3
2007年9月発行 定価1,785円(税込)









五十嵐貴久の代表作でもある「交渉人」の続編となる本作だが…実は前作の小説版は読んでいない。WOWOWとテレ朝の土曜ワイドで2回実写映像化されているので、それで先に見ちゃったんだよね…作品としては三池崇史が監督したWOWOW版の方が好きだったけど、小説を読むときの麻衣子のイメージは土曜ワイド版の永作博美かな?

元交渉人で、広報課の警部、遠野麻衣子の元へ、裁判で拘留中の上司の電話番号から不審な着信が…しかし相手は全くの別人だった。かつて爆破テロを行い解体された“宇宙真理の会”の信者を名乗る者から、テロの首謀者・御厨徹の釈放を求めるもので、実行されなければ多数の犠牲者が出るという。その直後、それを証明するように麻衣子の前で、交番が爆発炎上!犯人から交渉役を指名された麻衣子は、そのまま特別捜査班に召集されるのだが、都内各所で相次いで爆発物が発見され…。

前作の事件についても語られるが(前作のオチが語られてるようなもん)、小説を読んでなくてもドラマ版を見ただけでも大丈夫だった。爆破事件が起き、首都機能が混乱していく様子などは、なかなかの迫力…交渉のやりとりを分析しながら、爆弾探しや、犯人探しを行う捜査官の様子なんかもスリリング。キャリア組の派閥、警察の縦割り社会に阻まれ、麻衣子が翻弄されていく姿なども、ベタだがよく描けている。

しかし、本作も1作目のように、意外な犯人像を狙い過ぎたところがあるみたいで、逆に…伏線の部分で真犯人が見破れてしまうのが物足りないかなと。真犯人の狙いが明らかになる中盤以降、やや失速気味。それでも、最後まで推理や交渉術を武器に敵と対峙していくので、推理サスペンスとしては面白く読めた。エンターテイメントとして手堅い感じ。






個人的採点:65点