館島 著:東川篤哉

東川篤哉:著
東京創元社 ISBN:4-488-01714-2
2005年5月発行 低下1,785円(税込)

東京創元社のミステリフロンティア配本…東川篤哉の本格推理小説。休暇中の若手刑事と美人探偵がいつのまにやらコンビを組み事件を解決していくという…キャラクターたちは、この作者らしくコミカル。すでに文庫版が出ているようです。
天才建築家・十文字和臣が自分の別荘にある巨大な螺旋階段の下で謎の墜落死…警察が捜査をするも肝心の墜落現場が発見できず、事件は未解決に。それから半年…未亡人の意向により再び館に関係者が集められたのだが、そこで新たな事件が!和臣の事件の捜査にも加わり、未亡人の遠い親戚でもある刑事の相馬隆行、やはり未亡人の姪で私立探偵の小早川沙樹とともに事件の捜査を開始する!
怪しげな建築家が建てた、怪しげなお屋敷…綾辻っぽいけど、作風としてはもうちょっとくだけた感じ。離島で起きた事件に、台風で警察が介入できないという…せっかくお約束の嵐の山荘系パターンなんだけど、東川篤哉の持ち味でもあるコメディ調なおかげで、少し緊迫感に欠ける。
間抜けな刑事と、ちょっとガサツな美人探偵のコンビがなかなか魅力的で、二人にくっついて事件に首をつっこむ、世間知らずのお嬢様も、性格に似合わず時々毒舌をはくなど、キャラで見せる。館に隠された秘密あたりは…多少、正確さには欠けるけど、ある程度、こんな仕掛けじゃない?っていうのが早い段階から見抜けるので、驚きがちょっと少なかったか。
突出した面白さや感動、驚きがあるわけではないが…犯人や動機面、トリック面など適度に推理できて、読んでいる間はそれなりに楽しめる、アンパイ的な本格推理小説作品だった。
文庫版 館島
東京創元社 2008年7月発行 定価819円(税込)
個人的採点:65点