財投特会の準備金を国債償還ではなく減税財源とする思想
毎日は10月15日に「<定額減税>財源に財投特会準備金活用も…中川財務相」〔須佐美玲子〕を掲出。
記事は、中川昭一財務・金融担当相が15日の参院予算委員会で、政府・与党の追加経済対策の柱となる定額減税の財源問題に関連し、財政投融資特別会計の準備金の活用も検討する考えを示したと報じる。中川財務相は、20年度予算で国債償還に回す予定の財投特会の準備金9.8兆円のうち、10月時点で約3兆円が未処理のまま残っていることを説明し、「(国債償還に充てるのが)法定化されたルール」としながらも「定額減税が国民の安全安心に必要というのは政府・与党の共通認識だ」と述べ、この3兆円の一部を定額減税の財源に活用することを検討することを示唆したとか。公明党の山口那津男政調会長の質問への答弁で、山口氏は定額減税の年度内実施に絡んで赤字国債増発を避ける手段として「08年度の国債償還の執行を一時的に停止し、(財投特会の準備金の)残余を使う余地がある」と政府に検討を求めたとか。
特別会計の積立金は19年度末で198兆円
金融危機対応で取得した株式の売却を凍結
日経は10月13日に「政府・日銀、保有株売却を凍結 計2兆円分、相場下げ圧力回避」を掲出。
記事は、政府・日銀が世界的な株価急落を受け、2002―06年に日本の金融危機対策として大手銀行などから買い取った2兆円分の株式の市場売却を当面凍結すると報じる。7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で金融安定化に向けた行動計画を打ち出したものの、週明け 以降も市場が安定しない可能性があるためで、買い取り株は06年度から徐々に売ってきたが、株価の下押し圧力になるとの指摘があり、凍結で市場の需給改善につなげるとのこと。政府・日銀は日本のバブル崩壊後の金融危機を受け、02年から06年まで緊急避難的に銀行の持ち合い株などを買い取ったものの、株価下落で銀行が保有株に含み損を抱えた結果、過小資本に陥りかねなくなり、それが持ち合い株の売却を招いて株価をさらに下げる悪循環が起きていたためとの由。
中部国際空港が09年期は開港後初の赤字へ
毎日は10月9日に「中部国際空港会社:09年3月期、初の赤字転落の見通し」〔米川直己〕を掲出。
記事は、中部国際空港会社(愛知県常滑市)の稲葉社長が9日に同社で記者会見し、09年3月期の業績見通しについて「黒字の維持は難しい」と述べ、05年の開港以来、初めて赤字に転落するとの見通しを示したと報じる。中部空港は年初来の原油高などで旅客、貨物ともに減便や撤退が相次ぎ、航空各社が燃油サーチャージを導入したことで旅客数も減少していて、特に貨物便はピーク時の週54便(07年夏期)から同27便( 08年夏期)に半減しており、黒字維持は困難な情勢となったとか。同社は5月時点では、09年3月期の業績予想を「1億円の黒字~数億円の赤字」としていたが、稲葉社長は会見で「想像を超える嵐の中にあり、これまでで最も厳しい経営環境に直面している」との認識を示し、今後についても「旅行需要の回復や運休路線の再開には相当な時間を要する。当面は厳しい環境が続く」と述べたと記事は伝える。
年金・健康保険福祉施設整理機構が売却益を計上
日経が10月12日に掲出した「年金・健康保険料でつくった施設、売却額1000億円突破」は、年金や健康保険の保険料でつくった施設を処分する年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が売却した施設の金額が1101億円となり、発足から3年で1000億円を突破したと報じる。政府が同機構に移管した際の出資価格と比べると、289億円の売却益が出た計算になるとか。国は17年10月に発足したRFOに302施設を現物出資しており、このときに簿価を引き下げており、RFOは施設を出資価格より高く売れば売却益が出る仕組みで、RFOはこの売却益を国の年金特別会計などに納付するとのこと。
税収格差が縮小
時事が10月11日に掲出した「税率10%化で地域格差縮小=07年度の個人住民税収-総務省試算」は、19年度の地方税収決算見込みで全体の約3割を占める個人住民税の地域間格差が縮小したことが総務省の試算で分かったと報じる。人口1人当たりで指数化したところ、最大の東京と最小の沖縄の格差は前年度の3.3倍から3.0倍になっており、同省は所得に応じて複数だった個人住民税(所得割)の税率を07年度から10%に一本化したことで都市と地方の格差が縮まったと見ていると記事は伝える。
うーん。自治体の税収ベースでは格差縮小なのだが、低所得層の税率アップという点では個人の可処分所得ベースでは格差拡大になるんだよなぁ。
都道府県の19年度投資的経費は7年度の半分
読売は10月11日に「都道府県の歳出47兆4883億円、9年連続減少」を掲出。
記事は、総務省がまとめた、19年度の都道府県決算(速報)によると、歳出総額が47兆4883億円(前年度比476億円減)、歳入総額が48兆2459億円(同1923億円減)で、それぞれ9年連続で減少したと報じる。実質収支が赤字なのは大阪府だけだったとか。歳出は、建設事業などの投資的経費が7兆7361億円で前年度比約6700億円減っており、ピーク時の7年度と比較すると57・1%の減少となっていて、人件費は職員給が1403億円減少したが、「団塊の世代」の職員の退職金が2218億円増加し、全体として756億円増の15兆869億円だったとか。
生活保護の増加に合わせて不正受給も増加
東京新聞は10月7日に「生活保護の不正受給92億円 07年度、1万6千件」〔共同〕を掲出。
記事は、収入があることを隠すなどして不正に受給された生活保護費が、19年度(速報値)は前年度に比べ、約2億円増えて約 92億円となり、件数は1300件増えて約1万6000件に上ったと報じる。生活保護の受給世帯が急激に伸び始めた9年度以来、11年間で金額、件数とも過去最高となったとか。不正受給の背景には、バブル崩壊後に、低所得者が増えるなど格差が拡大した影響で、生活保護世帯が増加していて、19年度には月平均で110万世帯を超えて過去最高となり、これに比例して不正受給も増えている実態が浮かんだと記事は伝える。不正防止に目を奪われ、生活保護が本当に必要な世帯の受給が妨げられるようなことがあってはならないとの指摘も出ていると記事は伝えてみせる。給与明細を改ざんされ、ケースワーカーが定期的に訪問しても気付きにくい例もあり、厚労省は自治体に対し、税務当局の協力を得て受給世帯の課税状況などを調べ、不正発見につなげるよう求めているとか。
20年度補正予算は成立の見通し
毎日は10月7日に「補正予算案:8日にも衆院通過 民主が採決に応じる方針」〔上野央絵、犬飼直幸〕を掲出。
記事は、民主党が、20年度補正予算案について、8日の衆院本会議での採決に応じる方針を固めたと報じる。民主党幹部が6日夜、「8日の採決に応じる」と明言したもので、一方で民主党は年金記録改ざん問題などに関する衆院予算委員会での集中審議実施も要求しており、与党側も応じる意向で、与党幹部は「8日に必ず採決できるとは言えないが、9日の採決は確実だ」と見通しを示していて、補正予算案の週内の衆院通過は確実な情勢と記事は伝える。政府・与党は、補正予算案の衆院通過後、参院で14日から3~4日間審議して成立させたい意向であり、民主党が週内の衆院通過を容認したことで、野党が多数を持つ参院での審議も順調に進むとの見方が与党内で出ているとか。ただ補正予算案への賛否については、6日の民主党幹部会でも小沢一郎代表に一任し、結論を持ち越しているとの由。
公営公庫の貸倒引当金12.5%は高すぎるとの議論
毎日は10月5日に「<財務省>公営公庫から数千億円…定額減税などの財源に検討」〔清水憲司〕を掲出。
記事は、財務省が、旧公営企業金融公庫の積み立ててきた引当金(約1兆2000億円)を数千億円取り崩し一般会計に繰り入れる検討に入ったと報じる。21年度からの基礎年金の国庫負担(現行3分の1)の2分の1への引き上げ(年間2.3兆円)や、政府の総合経済対策に伴い年度内に実施する定額減税の財源の一部などに活用するとのこと。公営公庫は政策金融機関改革の一環で10月に廃止され、自治体の共同出資で新設される「地方公営企業等金融機構」に衣替えしており、公庫が金利上昇に備え積み立ててきた「債券借り換え損失引当金」(総額3兆4000億円)も新機構が引き継いだが、その際、公庫時代の債権・債務を管理する「旧勘定」に1兆2000億円を、新機構の債権・債務を管理する「新勘定」に2兆2000億円を振り分けたとのこと。財務省が目を付けたのは旧勘定の1兆2000億円で、旧勘定の引当金は融資残高に対する12.5%を基準に積み立てられているが、財務省は「国の財政投融資資金(財投)の引き当て水準(融資残高の5%)に比べて過大」(幹部)と判断し、引き当て水準を5%に引き下げれば約7000億円が不要になるとして、少なくとも3000億円程度は取り崩したい考えとか。ただ、総務省や地方の反発は必至で、09年度政府予算編成に向けた調整は難航しそうと記事は伝える。