公会計の動向 -131ページ目

三セク鉄道を上下分離すると所得税が発生?

 9月9日付け日本経済新聞地方経済面12面に「くろしお鉄道、再建険しく――「上下分離」に税制の壁(四国リポート)」〔高知支局長 原孝二〕の記事。

 記事は、第三セクター、土佐くろしお鉄道の宿毛駅で特急列車が駅舎に衝突、11人が死傷した事故から半年がたち、厳しかった経営はさらに深刻になり、今年度末には資金不足に陥る状況と報じるものだが、筆頭株主の高知県が考えていた解決策の一つであった「上下分離方式」の導入について、鉄道会社が所有する駅舎や線路(下)を自治体所有に移し、鉄道会社は列車の保有や運行(上)に特化する考え方で、くろしお鉄道は固定資産税負担が軽減される利点があると紹介しつつ、県が公認会計士などと関係法令を精査したところ、第三セクター鉄道が市町村へ鉄道施設を寄付すると、所得税の対象となることが判明したと報じる。中村・宿毛線では15億―21億円、ごめん・なはり線を含む全体では25億―35億円の所得税がくろしお鉄道にかかることになり「現段階では導入を断念せざるを得ない」(池田敏宏・交通政策課長)とのこと。

大阪府が立ち往生しつつある

 共同は9月10日に「破たん三セクに31億円 大阪府、今後10年間で」を配信。

 記事は、約463億円の負債を抱え経営破たんした大阪府の第三セクター「りんくうゲートタワービル」について、大阪府が、ビル内の国際会議場や展望台の運営維持費など、今後10年間で31億円の支援を続ける方針を固めたと報じる。府議会は12年と13年に追加支援をしないと決議しており、破たん後の支出はこれに違反する恐れがあると記事は評する。また、管財人がさらに府の出先機関の入居継続やビル敷地の賃料据え置きなどの支援を求める可能性も高く、破たんした三セクに公的資金の投入を続けることに府民の反発は必至と記事は伝える。ビル社は2年に設立されたが、債務超過で今年4月、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、現在、大阪弁護士会の弁護士が管財人となり、会社更生法に基づく更生計画案を作成しているが、関係者によると、継続する支出は年間約3億1000万円で、内訳は、国際会議場の運営費として年2億5000万円で10年間、展望台が年8000万円で5年間、りんくうタウンと関西空港を結ぶリムジンバスの運行費などが10年間で約2億円とか。支援期間はビル社が完全民営化するまでの期間を考慮し、最長10年間としたとのこと。管財人はほかにも、相場の4分の1以下の年約2000万円で貸している敷地の賃料据え置きや、計約1億1000万円で借りている府企業局とパスポートセンターの入居継続、12年と13年に府がビル社に無利子融資した計約22億円の債権の一部放棄を求める可能性があるとか。

 共同の同日の配信「金融機関から不満も 板挟みで決定の支援額」は、大阪府の方針決定は、「追加支援は許さない」とする議会と、計約400億円の債権を持つ金融機関の間で板挟みになりながらのものだと報じる。新生銀行など2社がビル社のスポンサーに決まった8月に、管財人は府に対して「間違いなく『これだけは出せる』という額を提示してほしい」と要請したとか。関係者によると、府は11年から支出している国際会議場などビル内の「公共的施設」への運営維持費をもとに、支援の上限を31億円とはじき出したとのこと。ビル社の債権者のうち、約120億円を抱える日本政策投資銀行などは、管財人から多額の債権放棄を求められるのは確実で、ほかの金融機関からも、府の負担分が少なすぎるとの不満が噴き出す可能性が高いと記事は伝える。管財人は9月中に、府に具体的な支援計画を示すよう求めるとみられており、ある府幹部は「財政難の上、追加支援を行わないとした議会の決議もある。これ以上は出せないことを理解してもらうしかない」と話したとか。

日本学生支援機構が公平性確保に目覚めた

 毎日は9月8日に「<日本学生支援機構>奨学金返還滞納者への取り立て強化へ」〔大和田香織〕を配信。

 記事は、奨学金の貸し付けを行っている独立行政法人、日本学生支援機構(旧日本育英会、東京都新宿区)が今年度、返還金滞納者への取り立てを強化し、裁判所への督促申し立てなど法的措置の対象を、昨年度の10倍近い約4000人まで拡大すると報じる。滞納が増え、会計検査院が回収率の向上を求めていたとのこと。同機構は滞納増の背景に、卒業後も職に就かないニートの増加などがあるとみているとか。奨学金は無利子の第1種と、有利子の第2種があり、第2種は日本育英会当時の11年、景気の悪化などに伴い、保護者の年収など採用条件を緩和して設けられテ利用者が大幅に増えたトカ。今年度は1種と2種で計約99万3000人が利用し、総事業費は約7400億円にのぼるトノコト。一方で回収率は年々悪化し、育英会当時の15年に会計検査院が「債務超過の恐れもある」として回収率の向上を求め、機構は電話での督促を外部業者に委託して回数を増やすなどしたが、昨年度は回収予定の2297億円中、2割強の507億円が回収できず、過去最悪を記録していて、督促にもかかわらず1年以上延滞し続けたうち、特に悪質な462人には法的措置に踏み切ったとの由。法的手続きに入る予告をして、なお支払わない場合に裁判所に支払い督促を申し立て、異議申し立てなどがなければ判決と同等の法的効力が生じて、従わなければ強制執行、当人や保証人の給料などが差し押さえられるとのこと。昨年度は2件の強制執行があったとか。


参考:「日本育英会から育英奨学事業を承継する独立行政法人日本学生支援機構の成立に際し、日本育英会の延滞債権について、適切な対策を講ずるよう改善の意見を表示したもの 」〔平成14年度決算検査報告(会計検査院)〕

NHKが法的手段に訴えている

 毎日は9月7日に「<NHK>受信料不払い世帯に、簡裁通じて督促状」〔鈴木英生〕を配信。

 記事は、117万件に達した受信料支払い拒否・保留に対応するため、NHKが簡易裁判所を通じて不払い世帯に督促の申し立てを検討していることが、6日開かれた経営委員会で明らかになったと報じる。放送法では、テレビを設置した世帯、事業者はNHKとの受信契約を結ばなくてはならず、同法に基づき、受信契約しながら支払いを拒否・保留しているケースを契約不履行と見なして、通常の民事手続きに従い督促状を送付するとのこと。NHKは一連の不祥事を受けて策定中の「新生プラン」に同案を盛り込みたい考えで、同プランは20日にも正式発表されると記事は伝える。

芦屋市が市立美術館の運営を見直し

 9月8日付け日本経済新聞朝刊44面に「芦屋市立美術博物館、市直営で存続(文化往来)」の記事。

 記事は、自治体の財政難を背景に「休館の危機」に直面していた芦屋市立美術博物館が同市の直営によって存続することが決まったと報じる。同館の存廃問題は「公立美術館は必要か」といった全国的な議論にまで発展したが、“震源地”の自治体自らがその必要性を認めたと記事は評する。芦屋市は15年秋、「17年度末までに民間の運営委託先を探し、見つからなければ売却、もしくは休館」という方針を打ち出したが、その直後から、収蔵品の散逸を招きかねないという批判を浴び、存続を求める市民の声が相次いだという経緯があるとか。しかし、有力な運営委託先は現れず、結局、市は市民の声に押される形で運営のあり方を再考し、新年度から、現在の管理委託先である市文化振興財団に代わって市が直接、同館を管理して、個別の業務を民間委託する新方針を決めたとのこと。民間に仕事を任せることで運営費をある程度下げられるとみていると記事は伝える。業務の委託先としては、今年発足した非営利組織(NPO)の芦屋ミュージアム・マネジメントが候補に挙がっているが、同団体は「指定管理者制度」を活用しての運営受託を目指しているものの、活動実績がないため、市は現時点で運営全体の委託は無理と判断したとのこと。

佐賀県が国債より低い表面利率で地方債を発行

 9月7日付け日経金融新聞1面に「国債下回る利率、佐賀県が公募債――都道府県で初、年0.5%」〔佐賀〕の記事。

 記事は、佐賀県が今月28日に、国債よりも表面利率の低いミニ公募債「さが県民債」を発行すると報じる。都道府県が国債を下回る利率で地方債を発行するのは初めてとのこと。同県の古川康知事は6日の記者会見で、「赤字国債を発行する国に比べ佐賀県の財政状況は健全。低利率でも市場に受け入れられるはずだ」と述べたとか。発行額は10億円、償還期限は5年、表面利率は年0.5%で、期間5年の国債(8月発行、年0.672%)に比べ0.1%以上低くしたとの由。県債による調達金は2007年に予定する「青春・佐賀総体」の体育施設改修などに使用するとか。

北海道警の警察署が財務アドバイザーと意見交換

 9月6日付け日本経済新聞北海道朝刊38面に「道警の財務アドバイザー、署員と意見交換――裏金問題受けて」の記事。

 記事は、道警が裏金問題を受け再発防止対策として民間の有識者に委嘱した「財務アドバイザー」が5日、札幌・中央署員と捜査費の用途や問題点について意見交換したと報じる。財務アドバイザーは公認会計士ら3人で、中央署からは五十嵐敏明署長や捜査1課員ら11人が参加したとのこと。会議では捜査費を使うケースや使用に関する署員への指導方法を署側が説明し、署員は「緊急な出張では、旅費を立て替えなければならない場合がある」と具体例を挙げたとか。財務アドバイザーからは「監査部門の独立性を確保し、不正が起こりやすい部署や費目をピックアップして監査すべきだ」との考えが示され、今後は道公安委員会と意見交換し、さらに具体的なアドバイスをしていくと記事は伝える。

かんぽの宿が廃止に進む

 共同は9月2日に「かんぽの宿11カ所廃止検討 郵政公社が本年度に」を配信。

 記事は、日本郵政公社が簡易保険関連施設95カ所のうち、赤字幅が大きい11カ所の簡易保険保養センター(かんぽの宿)について、本年度中の廃止を検討していると報じる。かんぽの宿は以前から採算悪化が指摘されており、赤字施設を抱えたままでは公社の経営を圧迫しかねないと判断したと記事は伝える。郵政公社は本年度の簡保施設の廃止ルールを「2004年度の決算収支率が90%未満の施設は原則、廃止」と定めており、年間支出に対する収入の割合が9割未満の施設が対象になっているが、施設の老朽化具合や今後の採算性などを考慮し、年内にも結論を出すとのこと。対象になっているのは、層雲峡、十勝川、小樽(いずれも北海道)、盛岡(岩手)、米沢(山形)、白石(宮城)、佐渡、妙高高原(いずれも新潟)、安芸能美(広島)、阿波池田(徳島)、日南(宮崎)の計11カ所で、廃止が決まれば、地元自治体への売却を軸に処理を進めるとか。郵政公社は簡保関連施設として現在、かんぽの宿69施設のほか、老人福祉施設、診療施設など計95カ所を保有しており、昨年度の関連施設の赤字額分計約174億円が簡保の加入保険料で補てんされたとか。来年度は、本年度決算で赤字になった施設が廃止の検討対象となり、昨年度決算を参考にすると約40カ所が候補に挙がる見込みと記事は伝える。

配当課税による税収が過去最高に

 9月2日付け日本経済新聞朝刊5面に「配当課税の税収最高――7月、28%増、バブル崩壊前の1.6倍」の記事。

 記事は、財務省が1日発表した7月の税収実績で、企業の株式配当への課税による税収額が前年同月比28%増の5300億円だったと報じる。7月の配当課税の税収には、3月期決算企業が株主に支払った配当金にかかる所得税が反映されるが、2年連続で過去最高で、バブル崩壊前の1.6倍になったとか。バブル時は配当の20%を源泉徴収していたが、15年4月以降、配当金に適用される税率は段階的に引き下げられていて、現在は7%を所得税(住民税と合計で10%)として源泉徴収されており、税率が下がっているにもかかわらず、配当総額が膨らんだことで、過去最高の税収額となったとのこと。配当総額が増えたのは上場企業が最高益を記録し利益を株主に還元する傾向が強まったためで、ライブドアによるニッポン放送買収問題が浮上して、増配で株保有の魅力を高め敵対的買収を防止しようとする動きも広がったとか。

執行結果を反映しない予算計上の調査結果

 9月3日付け日本経済新聞朝刊5面に「13府省庁昨年度、過大計上・流用など、予算のムダ110億円、財務省、査定厳格化へ」の記事。

 記事は、財務省が18年度予算編成に向けて、各省庁の過去の予算の使い方を厳しくチェックすると報じる。昨年度の予算で当初の要求通りに予算が使われなかった各省庁の事務・事業が2日時点で104件、金額では110億円に上ることがわかり、何年間も使われていないのに予算だけが付いている例もあったとのこと。財務省は今年6月から各省庁に対し、概算要求に当たって、(1)何年間も執行実績がない、(2)必要以上の予算が計上されている「過大計上」、(3)名目と異なる使い方をしている「流用」、の3要件に当てはまる事務・事業を洗い出すように指示しており、2日に13府省庁すべての調査結果が出そろったとのこと。2日に調査結果を公表した総務省では、16年度の一般会計予算に約3900万円を計上した「公的規制等データベース整備費」は、実際には約1700万円しか使われておらず、特別会計では、経産省の石油・エネルギー需給構造高度化対策特会の「国際エネルギー使用合理化等対策事業費」で、約56億円の予算に対し執行実績は4800万円だったとか。