日銀の上半期中間決算について朝日は貸出金ゼロに着目し、共同は株含み益に着目
朝日は11月28日に「日銀の貸出金が戦後初めてゼロに 05年度上半期」を配信。
記事は、日本銀行が28日に発表した17年度の上半期財務諸表によると、破綻(はたん)した金融機関などへの貸出金残高が9月末に、半期ベースでは戦後初めてゼロになったと報じる。9年に経営破綻した山一証券向けなどの日銀特融1411億円について16年度末に貸し倒れ償却などを実施してゼロにしており、さらに、今年9月末までに、資金繰り需要に応じて日銀が貸し出す補完的貸付制度(ロンバート型貸し出し)40億円も全額返済を受けたとの由。金融システム不安の後退を反映した動きになったと記事は評する。日銀が公定歩合の操作で金融政策を運営していた90年代初頭までは、日銀の貸し出しが資金供給手段の中心だったが、最近は、金融機関が持つ手形や債券を直接買い入れるため、貸出金が減る一因になっているとも記事は伝える。上半期財務諸表では、円安幅が縮み、外貨建て資産の評価益が減少したことから、経常利益は前年同期比704億円減の3400億円となったが、法人税などの支払額も減ったことで、当期利益にあたる剰余金は同97億円増の1569億円になったとのこと。
一方、共同は同日に「日銀、株含み益1兆円超 上期財務、貸出金ゼロ=差替」を配信し、日銀が28日に発表した2005年度上半期財務諸表によると、民間金融機関から買い取り保有している株式の時価が3兆1034億円、含み益も1兆1323億円と、株価の急回復を受け過去最大となったと報じる。前年同期末に1411億円あった貸出金残高はゼロであることについては、山一証券向けなどの日銀特融がなくなったので主な要因で、金融不安の後退を示したと評する。金融システム不安対策として日銀は、14年11月から15年9月にかけ民間銀行の保有株の買い取りを行い、累計取得額は約2兆円で、19年9月以降、10年間かけ株を売却する計画だが、利益が確定すれば収益が増え、最終的に国庫納付金も増える可能性があると記事は伝える。 経常利益は、円が欧州通貨に対して前年ほど下落しなかったため、為替差益が縮小して、前年同期より3400億円と、704億円減少し、企業の純利益に当たる剰余金は97億円増の1569億円と増益になったとか。自己資本比率は、日銀にとって負債となる日銀券(お札)の発行残高が新札導入などで増えたため7・3%と、1979年度末以来の最低水準となり、日銀が適正水準の下限目安とする8%に向け「年度末にかけ法定準備金積み増しなど回復策を検討したい」(政策委員会)としていると記事は伝える。
郵政公社の郵便局別の損益
共同は11月28日に「郵便局の4分の1が赤字 再編計画に影響も=差替」を配信。
記事は、日本郵政公社が28日に発表した2004年度の全国の郵便局別の損益試算によると、郵便貯金事業の黒字幅が大幅に縮小したことから、普通郵便局と特定郵便局を合わせた2万242局のほぼ4分の1に当たる約27%、5370局が赤字だったと報じる。赤字局の割合は、初めて損益試算を発表した03年度の約14%(2870局)からほぼ倍増したとのこと。電子メールの普及や民間業者との競争激化で収益環境が厳しい郵便事業だけで見ると、約94%の郵便局が赤字で、貯金事業では赤字局の割合が約13%、保険事業では約48%とか。全国の郵便局の3事業を合わせた売上高に当たる経常収益は20兆7350億円、経常費用は19兆3698億円で、収支は1兆3652億円の黒字を計上し、事業別の黒字額は、郵便事業が前年度比7・6%増の283億円、貯金事業は株式運用益の減少で46・8%減の1兆2096億円、簡易保険事業は23・2%減の1274億円とか。都道府県別では、北海道、岩手、秋田、山形、島根、鹿児島の6道県で損益が赤字となり、赤字額が最も多かったのは北海道の119億円だったとのこと。
赤字局の増加傾向に歯止めがかかっておらず、今後赤字局の統廃合など再編計画に影響を与えそうと記事は伝えるが、そもそも、物流ネットワークは赤字端末を抱えむことが当然のビジネスモデルであり、赤字局ということだけで統廃合の理由になるというのは短絡した議論。
公表資料:郵便局別損益の試算について
朝日が地方財政について不可思議な記事
朝日は11月30日に「地方債残高139兆円に 04年度地方普通会計決算」を配信。
記事は、総務省が30日、地方自治体の16年度普通会計決算のまとめを公表したと報じる。全自治体の歳出総額は91兆2479億円で、対前年度比で1兆3339億円(1.4%)減ったとのこと。地方交付税が臨時財政対策債をあわせて1兆5000億円減となり、積立金を9525億円取り崩すなどして財源不足を補い、借金もさらに増えて、地方債現在高は前年度比2%増の139兆5329億円に上ったとか。国の16年度の一般会計歳出が対前年度比で2兆4808億円(3.0%)増えた一方で、交付税の大幅カットで、地方側が大きく歳出削減を迫られた格好と記事は評する。
読者に誤解を与える記事。国は、増こうする社会保障費のためにがむしゃらに借金していることを理解していない記事。
公表資料: 平成16年度地方公共団体普通会計決算の概要
愛媛県警の内部調査で不適正支出が確認された
共同は11月29日に「新たに不適正な捜査費支出 愛媛県警、内部調査で判明」を配信。
記事は、愛媛県警の捜査費不正支出問題で、県監査委員が指摘した35件以外に、県警の内部調査で不適正な支出が見つかったと報じる。加戸守行知事が、13年度の国費、県費両方の支出を県警が再調査して判明したと明らかにしたとか。知事は12月議会で公表するよう求めたが、県警側は「まだ精査できていない」としているとのこと。加戸知事は判明した不適正支出の詳細を明らかにしていないが「不正があれば返還を求めることになる」と述べたと記事は伝える。愛媛県警の捜査費問題は、県監査委員が13年度の支出を特別監査し、35件(計約14万円)が疑わしいと指摘し、県警は6月、うち14件(計約8万円)は、事件解決の慰労会費に、認められた以上の捜査報償費を使ったり、購入したビール券を別の慰労会に流用するなどしたもので、使い方が不適正と認めたとか。県警は6月の発表後、調査委員会を設置し、内部調査を進めてきているとの由。
17年度の地方税収は2年連続で増収
時事は11月28日に「05年度地方税、2年連続増収に=固定・都計税、来年度4200億円減-総務省」を配信。
記事は、総務省が28日、17年度の地方税収が超過課税などを除く地方財政計画での当初見込み額(33兆3189億円)を上回り、2年連続で増収となる見通しを明らかにしたと報じる。一方、3年に1度の評価替え時期となる18年度の固定資産税と都市計画税(いずれも市町村税)は、地価下落などが響き、17年度計画比で計4200億円程度の減収となる見込みとか。
山梨県の16年度バランスシートは過去最悪
11月29日付け日本経済新聞地方経済面25面に「山梨県の自己資本比率――59.9%(2004年度末)(データブック)」の記事。
記事は、山梨県の 16年度末の自己資本比率が59.9%で、15年度末に比べて0.8ポイント低下したと報じる。12年度に現在の方式(総務省の全国統一作成基準)で県の資産と負債の関係を明確化するバランスシート(貸借対照表)を作成・公表し始めて以来、最低で、初めて6割を割り込んだとのこと。自己資本比率とは負債(9623億円)と正味資産(1兆4371億円)の合計に占める正味資産の割合で、県が所有する総資産(2兆3994億円)のうち返済義務を負わない部分がどの程度かを示す指標となると記事は伝える。正味資産とは国庫支出金と一般財源等の合計で、このうち国庫支出金は昭和44年度からの普通建設事業に充てられた国庫支出金の累計額(6814億円、用地取得費以外は減価償却を実施)、一般財源等は資産と負債の差額から国庫支出金を除いた額を計上していると記事は伝える。〔ということは、要は正味資産とは資産と負債の差額ということになる。〕自己資本比率が低いほど、後の世代に回すツケが大きいことを意味するものだが、同様の意味合いを持つ指標に「後世代による社会資本負担比率」があり、これは有形固定資産(2兆1874億円)のうち将来償還が必要な地方債(8559億円)がどの程度あるかを示す指標で、自己資本比率とは逆にその値が高いほどツケ回しが大きいことを示しており、山梨県は16年度末で39.1%と現方式で最高だったとか。
「18年度予算編成の基本方針」案を与党が了承
毎日は12月1日に「<06年度予算編成>内閣府案を了承 自民・公明」〔吉田慎一〕を配信。
記事は、自民・公明両党が1日、内閣府がまとめた「18年度予算編成の基本方針」案を了承したと報じる。6日に開く政府の経済財政諮問会議で正式決定し、小泉純一郎首相に答申するとのこと。基本方針案の内容は、18年度予算編成で「景気回復などによる歳入面の環境改善に甘えることなく、厳しく歳出を見直す」と表明し、政策経費である一般歳出を前年度以下に抑制するとともに、新規国債発行額を30兆円にできるだけ近づけるとの小泉首相の指示を明記し、また、18年度予算について「構造改革に一応のめどをつける改革の総仕上げ予算」と位置付け、国と地方の税財政を見直す三位一体の改革や公務員の総人件費改革、医療制度改革、特別会計改革などを順次予算に反映させ、改革を加速すると記述したとのこと。このうち特別会計改革では、一般会計からの繰り入れや民間などからの借り入れを抑制する方針を示し、「明確な必要性がない剰余金・積立金については国債残高の抑制を図り国民負担の軽減につなげるために活用する」としたとか。社会保障関係費については、経済・財政と均衡がとれ持続可能な制度になるように、政府・与党でまとめた「医療制度改革大綱」に基づき、構造改革を推進する方針を示し、また、地方交付税については「国の歳出見直しと歩調を合わせて地方歳出を見直し、抑制するなどの改革を行う」と述べたとのこと。一方、所得税・個人住民税の定率減税の廃止などの税制改革については自民党税制調査会などで検討されているため、結論は示していないと記事は伝える。
10月分の税収総額は前年同期比4.6%増
朝日は12月1日に「税収総額、2兆8600億円 10月実績を公表」を配信。
記事は、財務省が1日に公表した10月の税収実績について、税収総額が前年同月比0.5%増の2兆8653億円、4月からの累計(地方に移譲する所得譲与税分を含む)も前年同期比4.6%増の17兆1789億円と堅調に推移していると報じる。10月の所得税は、満期を迎えた郵便貯金の金利低下に伴う利子課税の減少などで前年同月比4.2%減の9015億円だが、消費税は、免税事業者の規模を売上高1000万円以下に引き下げたことによる納税者の拡大で、同10.1%増の7806億円、法人税はほぼ前年並みの4007億円だったとのこと。
倶知安署の元職員の公金着服事件で首長要求監査
北海道新聞は11月26日に「知事が監査請求へ 倶知安署横領 全費目が対象」を配信。
記事は、倶知安署の元職員が、業者に支払う公費など約210万円を着服したとして、横領容疑で逮捕された事件で、高橋はるみ知事が、道の損害額を確定させるため、倶知安署を対象にした監査請求を、道監査委員に行う方針を決めたと報じる。道は、道警裏金問題の特別監査では、監査対象を捜査用報償費や旅費、交際費、食糧費の四費目に限定したが、今回の事件は4費目以外の需用費(物品購入費)をめぐる水増し請求だったため、道は4費目以外についても不正の有無を明確にする必要があると判断し、全費目を対象に監査請求するとのこと。倶知安署の事件について道警は近く、公金横領による損害賠償手続きを求める報告を道に行い、道は道警の報告を受けて、早ければ年内にも監査請求をするとのこと。一方、函館中央署の元職員が、署が購入すると装って図書券1050枚(52万円相当)をだまし取り、換金したとして詐欺容疑で逮捕された事件について、道警は捜査終了を待って道に報告する方針で、このため道は、倶知安署分を先行して監査請求を行うとのこと。
本四公団の国庫引受け分は18年度で完済の方向
共同は11月27日に「本四債務は06年度に完済 一般財源化論議で政府」を配信。
記事は、政府が、国が肩代わりした旧本州四国連絡橋公団の長期債務1兆3400億円について、予定の5年間よりも1年前倒しし、18年度予算で完済することを決めたと報じる。18年度の返済額は約4500億円で、概算要求時に予定した返済額1564億円より上積みするとのこと。19年度予算での債務返済をなくし、小泉純一郎首相が一般財源化を指示した道路特定財源の見直し議論をスムーズにするのが狙いとか。国交省は18年度予算の概算要求の段階で、債務の残りは19年度までの2年間に分け返済する案を財務省に提示、財務省も受け入れていたが、これは、19年度まで債務処理があれば、公共事業費の削減で税収はあるが道路整備に使えない道路特定財源を、使途を限定しない一般財源化にする議論を避けることが可能という国交省の考えからで、小泉首相が衆院選圧勝後、本格的な一般財源化を18年度に議論するよう指示したため、分けて返済しても議論は避けられないとし、国交省と財務省は全額返済で合意したとの由。政府は15年度から5年間、道路整備に使えない道路特定財源を債務処理に充てる考えだったが、公共事業費の削減のため債務処理に充てた分は15年度の2245億円から3049億円、4829億円と年度ごとに増え、18年度段階で残った債務は利子も含め約4500億円で、返済総額は約1兆4600億円となる見込みとか。この結果、道路整備や債務処理などに充てられず使途拡大の検討が必要な道路特定財源は18年度は約1000億円、19年度は5000億-6000億円に上ると予想されるとか。