公会計の動向 -106ページ目

自治体の破綻法制整備の背景

 7月21日付け日本経済新聞朝刊29面に「特集――夕張市、財政再建団体へ、自治体に破綻の足音、借金膨大、苦しい台所」の記事。

 記事は、北海道夕張市が自治体の倒産にあたる「財政再建団体」への申請を決めたことについて、会計操作による「赤字隠し」を続けてきた結果だが、行き詰まりの裏には膨大な借金、税収減、地方交付税の削減など各地の自治体共通の課題があり、国の財政に余力がなくなり金利上昇に転じた今、自治体破綻が現実味を帯びてきたと説く。全国の自治体が抱える借金総額は約201兆円(16年度決算)で、地方財政にゆとりがあった1980年代後半の約3倍に膨れあがったとのこと。バブル経済の崩壊で政府は90年代に相次いで経済対策を打ち出し、自治体も次々と公共事業を実施したが、国の財政悪化で2001年以降、公共事業に充てる投資的経費は約10兆円減り、地方交付税も国と地方の税財政改革(三位一体改革)で約5兆円減ったとか。借金返済に充てる公債費や人件費などの負担は重く、自由に使えるお金は年々乏しくなっており、財政的な余裕のなさを示す指標「経常収支比率」(地方税など自治体の判断で使い道を決められる収入(一般財源)に対し、人件費など毎年決まって支出せねばならない費用の割合)でみると、夕張市は116.3%(16年度)で全国の市で最悪の水準で、赤字は隠せても、台所事情の苦しさは数字にはっきり表れていたとのこと。経常収支比率が16年度に100%を超えた自治体は過疎地だけでなく、放漫財政が続いた大阪市、震災復興のため借金が多い神戸市など大都市も含まれているとか。歳出に見合った歳入が確保できないまま赤字に陥った自治体も多く、16年度の赤字自治体は1府(大阪)、25市町村(長崎県西海市、兵庫県淡路市など合併で赤字となった自治体を除く)あるとのこと。景気回復による税収増で、今年度の自治体決算はやや改善する見通しであり、地方交付税削減を機に、国に依存しない自立の道を歩み始めた自治体もあるものの、地方債残高が減少に転じるメドは立たず、ゼロ金利政策の解除で、多額の借金を抱えた自治体を支える有事モードは終わり、借金漬けの自治体から「第2の夕張」が出る恐れがあると記事は解説する。

 29面の「特集――破綻のツケ、住民に、公共サービス低下、増税も」は、この問題のQ&A。

 同面の「特集――事前警告制、導入カギ、第三者機関が財政監視」は、総務省が「再生型破綻法制」の導入議論を急いでいることについて、現行制度では、自治体の財政運営が行き詰まるまで危機が表面化しにくいため、財政が悪化し始めた初期段階から再建を促す、警告システムを持った破綻法制が必要になると解説する。総務省は今秋に制度の概要を公表し、3年以内に導入する予定で、「第2の夕張」を出さないためにも早期導入が求められると記事は主張する。自治体は民間企業のように清算できないため再建が原則で、破綻に至る前の警告制度がうまく機能するかどうかが新制度の鍵を握るとのこと。現在の財政再建団体制度は自治体の申し出が前提で、夕張市のような決算の「粉飾」を見抜くすべはなく、新法制は、財政を監視する第三者機関を設け、年度ごとの決算指標だけでなく、債務残高などの指標も重視し、多面的に分析する方針とか。制度作りで焦点となっているのが、破綻した場合に、地方債の債務不履行(デフォルト)を認めるかどうかで、自治体への貸し手責任も問えるようにすれば、市場規律が働きやすくなるとの見方もあるが、総務省は慎重な姿勢とか。

日本国債が世界最大の決済機関の取扱い対象になる

 7月21日付け日経金融新聞1面に「世界最大決済機関、ユーロクリア、日本国債来年から決済、外国人保有拡大へ」の記事。

 記事は、世界最大の証券集中決済機関であるユーロクリア(本部ブリュッセル)が日本国債の決済業務を2007年から始めると報じる。日本の税制上の制約を理由に主要国国債のうち日本国債だけ扱っていなかったが、昨年度の税制改正で可能になったとか。海外投資家にとって債券貸借(レポ)取引や担保としての日本国債の使い勝手が改善し、外国人の保有比率の上昇につながる可能性があると記事は伝える。ユーロクリアでは主要国国債のうち日本国債だけが決済に利用できなかった主因は、国債の利子に適用される「非居住者非課税制度」の国内居住者による悪用を警戒する財務省が、日本国債の売買動向を厳格に把握するため、金融機関に煩雑な報告手続きを課していたことにあり、この手続きが05年度税制改正で見直され、報告義務が四半期に一度の事後報告に軽減されたとのこと。海外投資家が日本国債を決済する場合、これまでは内外の仲介業者(カストディアン)を通して日銀で決済しており、仲介業者はすべての取引情報を把握し、国内仲介業者は要請に応じて情報を財務省に報告する義務があったが、この義務が軽減され、ユーロクリアでの決済に道が開けたという。ユーロクリアは日本国債の独占的なカストディアンにみずほコーポレート銀行を指名し、同行はユーロクリアから手数料を受け取るとのこと。ユーロクリアは1968年の設立で、年間決済額は05年度実績で358兆ユーロに上り、世界の約2千の金融機関がユーロクリアに債券や株式など数万種類の保有有価証券を預託し、決済に利用しているが、これは、保有有価証券を担保に別の有価証券を調達したり、現金化するなど機動的な運用が可能だからとか。

夕張市の破綻から公会計制度の整備の必要性を説く論

 7月21日付け日本経済新聞朝刊29面に「特集――一時借入金、「隠れ借金」の温床、会計操作その場しのぎ、公会計の不備露呈」の記事。

 記事は、夕張市が多額の借金や赤字を隠すため事実上、粉飾を続けてきたことについて、自治体の会計制度は借金で得たお金も収入に含む現金主義をとっているため、様々な手法で「隠れ借金」をすることが可能で、特に短期の資金繰りのために認められた一時借入金が隠れ借金の温床となっており、公会計制度の不備が露呈した格好と評し、夕張市の一時借入金マジックの種を簡潔に説明している。ある年度に特別会計で10億円のお金が足りなくなったと仮定すると、この穴埋めに民間金融機関から借りた10億円を一時借入金として借り入れ、これを財源として、一般会計から特別会計へ貸し付け、借入金などを翌年4―5月(出納整理期間)に返すことが認められていることを利用して、特別会計の次年度予算から10億円を当年度の一般会計へ返済して、一般会計は当年度の「諸収入」として10億円を処理して民間金融機関に10億円を当年度中に返すとのこと。このように、次年度の歳出(特別会計)を当年度の歳入(一般会計)に充てる手法をとると、現行の公会計制度では資金不足が表面化せず、現行制度を悪用して夕張市は時間を稼いだとか。財政が改善せず次年度も10億円の資金不足なら、当年度の10億円と合わせて20億円の赤字が生じて、次年度は20億円で処理することになり、一時借入金は雪だるま式に膨らむ計算。このほか、夕張市は土地開発公社や第三セクターに借金を肩代わりさせて、向こう20年かけて割賦返済していく手法も採っていたとか。自治体の本当の債務は地方債だけでなく、こうした一時借入金や、何年か先に支出すると約束した額(債務負担行為)まで含めないと実態がわからないと記事は説き、そこで地方債残高に、一時借入金(議会承認枠)や債務負担行為支出限度額を加えた潜在債務を算出してみたところ、人口一人当たりでは夕張市が群を抜いて多いが、北海道の自治体などが上位に名を連ねているとし、夕張市の破綻を教訓に、自治体の公会計制度の整備が急務となっていると説いている。


 しかし、現に潜在債務を算出できているわけで、問題は、公会計の不備などではなく、監視力の弱さであろう。

地方交付税不交付団体が増加

 毎日は7月20に「<地方交付税>愛知県と9市が「不交付団体」に昇格」〔葛西大博〕を配信。

 記事は、地方交付税を受け取らない自治体である「不交付団体」の数が、18年度は171自治体に達し、17年度の147自治体に比べて大幅に増えたと報じる。法人税などの地方税の増収が主な理由で、都道府県ではこれまで東京都のみだったのが、新たに愛知県が不交付団体に加わり、市町村では名古屋市、豊橋市など愛知県で9市が新たに不交付団体になるなど、17年の愛・地球博(愛知万博)開催やモノ作りで好調な中部圏の経済を反映したものとなっていると記事は伝える。今年度新たに不交付団体になったのは35自治体で、愛知県と愛知9市のほか、埼玉県でさいたま市、川越市など4市、千葉県で千葉市、船橋市など5市で、逆に今年度に不交付団体から交付団体になった自治体も五つあるとか。愛知県内では36市町村が不交付団体で、全都道府県でトップ、2位は神奈川県の22市町村が続くとか。総務省は「17年2月に開港した中部国際空港や万博、業績好調の企業が中部圏に集まるなどの相乗効果ではないか」と見ているとのこと。地方交付税は財政力の弱い自治体の財源不足を調整するために、所得税など国税5税の一定割合(法定率)を配分するもので、税収が増えれば不交付団体も増えることになり、同省によると、地方自治体1820団体の17年度の地方税収入の決算見込み額は34兆1599億円で、04年度に比べて1兆1627億円増加しているとのこと。今月7日に閣議決定した政府の「骨太の方針06」では「人口20万人以上の市の半分などの目標を定めて、交付税に依存しない不交付団体の増加を目指す」としているとか。

年金積立金管理運用(独法)が過去最高の運用益

 読売は7月20日に「公的年金の運用益、過去最高の8兆6811億円」を配信。

 記事は、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が20日、17年度の運用実績が、8兆6811億円の黒字で過去最高を記録したと発表したと報じる。国内外の株式の運用が好調だったのが理由で、将来の年金給付に回る18年度の国庫納付金も、1兆9611億円と過去最高に達する見込みとか。年金資金の運用は、厚生労働相が所管する年金特別会計の積立金の寄託を受けた同法人が、国内外の株式や債券、国債(財投債)などに投資しているもので、寄託金を原資とした運用資産は、17年度末で約102兆9000億円に上るとか。17年度の運用で最も収益を出したのは国内株式で、損益全体の7割を超える6兆3437億円の黒字となっており、次いで外国株式が2兆3348億円の黒字で、国内債券だけが4832億円の赤字となったとか。

法務省で航空賃の過払い

 東京新聞サイトは7月20日に「法務省 旅費1700万円過大請求」を掲出。

 記事は、法務省が19日、全国の刑務所や検察庁の職員らが昨年11月までの約5年半の間に、航空機による出張旅費を水増し請求し、総額1700万円余りの過払いを受けていた、と発表したと報じる。近く344人を処分するとか。法務省によると、過払いを受けていた職員は計865人で、同省は30人を減給、51人を戒告の懲戒処分、263人を訓告などの内規処分とするとのこと。処分対象者には検事と副検事各1人も含まれていたとか。国家公務員の旅費について定めた法律では、航空運賃は実費を請求することになっているが、今回の処分対象は「適正な請求手続きの在り方が周知徹底されていない職場もあった」(人事課)として、不正を認識しながら水増し請求をした職員らに絞ったとのこと。対象者の所属先は、刑務所や拘置所など矯正施設が240人と突出しており、21回にわたり水増し請求を繰り返し、計46万円を受け取っていた拘置所職員もいたとか。次いで法務局が46人と多く、以下保護観察所など保護施設18人、検察庁17人、入国管理局13人、法務省本省10人などとか。水増し請求の手口は、(1)航空券を普通運賃で購入した後で払い戻しを受け、割引航空券で出張したのに、普通運賃の領収書で請求、(2)航空運賃と宿泊料がパックになった旅行商品を利用したのに、規定額の宿泊費も合わせて請求、の二通りに大別されるとのこと。

大阪市の不動産に不法占拠や未契約

 岩手日報は7月19日に「不法占拠、未契約138件  同和関連で市有地と建物」を配信。

 記事は、大阪市が19日、同和対策で使われている市の土地と建物のうち、不法占拠や未契約の状態にあるなど不適切なケースが138件に上ると発表したと報じる。市は弁護士らの外部委員に同和行政を検証してもらうために設置した調査・監理委員会で解決方法を決めるとのこと。市人権室によると、市が使っていない市有地18カ所が駐車場や菜園として勝手に利用されており、さらに貸借契約などの手続きをせずにゲートボール場や店舗などに使われている市の土地や建物が32件あったとか。7施設に部落解放同盟の支部が入居しており、使用状況や契約内容に問題はないが、市は「公的施設を特定の団体が使用するのはおかしい」として見直し対象に加えたとのこと。

簡保のシステムに不備

 7月15日付け日本経済新聞朝刊7面の「簡保、システム不備、配当金過払い1億2000万円」は、日本郵政公社が14日、簡易保険のシステム不備が原因で、契約者への配当金が約1億2千万円の過払いとなっていると発表したと報じる。7800万円は支払いずみで、返還は求めないが、残りは契約者に通知した配当額が過剰になっているもので、個別に説明したうえ正規の配当金を払うとのこと。17万円の支払い不足も見つかったとか。

科学技術振興調整費の執行停止を解除

 朝日は7月14日に「凍結の研究費106億円支給へ 早大不正受給で」を配信。

 記事は、早稲田大学での研究費不正受給の影響で、全国の研究機関に対する国の研究費106億円の支給が止まっている問題で、文科省が14日、不正防止策への関係省庁の了解が得られたとして支給を始めると発表したと報じる。同日付で各機関に通知したとか。支給されるのは科学技術振興調整費の今年度新規採択分で、100機関約106億円の予算枠が設定され、1日から使える予定だったが、財務省が不正防止対策を求め、手続きが止まっていたという経緯。文科省は全国の研究機関を対象にした研究費管理の調査から、12日に不正対策の骨子を発表し、財務省と総合科学技術会議がこれを了承して、支給準備が整ったとか。予算枠は106億円分だが、手続き上、実際の支給額は93億円で、9~10月に振り込まれるが、7月14日にさかのぼって精算できるとのこと。1日からの13日分は各研究機関が自腹を切る形になったと記事は評する。

川辺川農業水利事業の行方

 毎日は7月15日に「<川辺川利水協議>熊本県、非ダム取水案で一本化裁定」〔山田宏太郎〕を配信。

 記事は、川辺川ダム(予定地・熊本県相良村)に絡む新たな利水計画づくりのための協議が14日から15日未明まで熊本県庁であり、調整役の熊本県が、農水省が新たに示した非ダム取水案で一本化すると裁定したと報じる。これで、同ダムの建設目的から農業用水が切り離されることはほぼ確実となり、国土交通省は基本計画変更の準備に入るとのこと。ダム建設の是非を巡る議論は、治水上必要かどうかに絞られることになるが、川辺川を水源とする利水を含む地元の土地改良事業は、農業用水の最大受益地である相良村の矢上雅義村長が「事業費負担が過大すぎる。軽減策は決まっておらず、今後は事業に協力できない」と県の裁定に強く反発していて、事業離脱の可能性を示しており、事業の行方も不透明となったと記事は伝える。土地改良事業は流域6市町村の1299ヘクタールの農地が対象で、相良村は約36%にあたる470ヘクタールを抱えていて、事業費負担も6市町村の中で最大の13億円を超え、事業から離脱した場合、事業計画案決定に必要な知事と市町村長の協議ができず、事業自体が頓挫するとのこと。一方、利水訴訟原告弁護団も、新案ではダム完成時に取水口が水没するため「実現性に疑いがあり、ダム案になる恐れがある」と現時点での裁定に反対したとか。農水省は来年度の事業実施のためには今年末の予算編成から逆算して14日を計画案一本化の期限としており、九州農政局は「絞り込みができなければ来年度予算の概算要求を断念せざるを得ない」と改めて裁定を要請し、県はダム取水案、堰(せき)取水案、チッソの川辺川第2発電所(相良村)の発電用水を利水に転用する農水新案の3案のうち、農水新案での一本化に踏み切ったとの由。