夕張市の破綻から公会計制度の整備の必要性を説く論 | 公会計の動向

夕張市の破綻から公会計制度の整備の必要性を説く論

 7月21日付け日本経済新聞朝刊29面に「特集――一時借入金、「隠れ借金」の温床、会計操作その場しのぎ、公会計の不備露呈」の記事。

 記事は、夕張市が多額の借金や赤字を隠すため事実上、粉飾を続けてきたことについて、自治体の会計制度は借金で得たお金も収入に含む現金主義をとっているため、様々な手法で「隠れ借金」をすることが可能で、特に短期の資金繰りのために認められた一時借入金が隠れ借金の温床となっており、公会計制度の不備が露呈した格好と評し、夕張市の一時借入金マジックの種を簡潔に説明している。ある年度に特別会計で10億円のお金が足りなくなったと仮定すると、この穴埋めに民間金融機関から借りた10億円を一時借入金として借り入れ、これを財源として、一般会計から特別会計へ貸し付け、借入金などを翌年4―5月(出納整理期間)に返すことが認められていることを利用して、特別会計の次年度予算から10億円を当年度の一般会計へ返済して、一般会計は当年度の「諸収入」として10億円を処理して民間金融機関に10億円を当年度中に返すとのこと。このように、次年度の歳出(特別会計)を当年度の歳入(一般会計)に充てる手法をとると、現行の公会計制度では資金不足が表面化せず、現行制度を悪用して夕張市は時間を稼いだとか。財政が改善せず次年度も10億円の資金不足なら、当年度の10億円と合わせて20億円の赤字が生じて、次年度は20億円で処理することになり、一時借入金は雪だるま式に膨らむ計算。このほか、夕張市は土地開発公社や第三セクターに借金を肩代わりさせて、向こう20年かけて割賦返済していく手法も採っていたとか。自治体の本当の債務は地方債だけでなく、こうした一時借入金や、何年か先に支出すると約束した額(債務負担行為)まで含めないと実態がわからないと記事は説き、そこで地方債残高に、一時借入金(議会承認枠)や債務負担行為支出限度額を加えた潜在債務を算出してみたところ、人口一人当たりでは夕張市が群を抜いて多いが、北海道の自治体などが上位に名を連ねているとし、夕張市の破綻を教訓に、自治体の公会計制度の整備が急務となっていると説いている。


 しかし、現に潜在債務を算出できているわけで、問題は、公会計の不備などではなく、監視力の弱さであろう。