パリ在住10年を超えても、パリ近郊やフランス国内には

まだまだ行ったことがない場所がたくさんあります。

 

以前パリに住んでいた友人と、数年ぶりに再会した際

『行ったことがない場所へ行こう』ということになり

パリから1時間半ほどの距離にある

Provins、プロヴァンという街へ向かいました。

 

南仏のプロヴァンス地方と混同されることが多いですが

エクス アン プロヴァンス、サロン ド プロヴァンスなどで知られる

フランス南西部のプロヴァンスはProvence、

今回訪れたプロヴァンはProvins、表記と発音が違います。

フランス語の発音で『ス』が入ったら南、です。

 

プロヴァンはイルドフランス地域圏にあり、

パリからは100kmくらいの距離。

中世祭りなどでも知られる、

古き良き建造物が多く残る街です。

 

『Provins, ville de foire médiévale

(プロヴァン、中世の市場都市)』として

ユネスコ世界遺産にも登録されている、歴史ある街なのです。

 

Gare de l'Est、パリ東駅からTransilienという

遠距離版 郊外列車でアクセスできます。

片道5€の旅。

とにかく平らでのどかな車窓。

 

停車駅で停まり忘れたらしく、線路で突然電車が停止し

運転士が車内を駆け抜け、その後電車が逆行するという

前代未聞のハプニングに見舞われつつも

1時間半ちょっとで、無事プロヴァンに到着しました。

 

 

駅は近代的ですが

駅から出ると、まるで別世界が広がっています。

緑多め、人は少なめ。のどか度 200% な風景。

 

 

張り巡らされた水路に沿って建つ、石造りの家たち。

 

こちらは直接、水路の中に建てられています。

増水や浸水なんかを心配してしまうのは

台風や自然災害が多い、日本人ならではなんでしょうか…

 

 

Colombageと呼ばれる、木組の家もチラホラ。

フランスで木組みの家というと

アルザス地方のColombageが有名ですが

ブルターニュ地方にも点在していたりします。

ブルターニュでは Maisons à pans-de-boisと呼ばれていて

首都 Rennes(レンヌ)には370軒も現存しているのだそう。

 

 

Provinsの見所のひとつ、

Les souterrains de Provinsと呼ばれる地下通路。

それぞれの通路で、ガイドツアーが行われています。

シャンパーニュの中継都市として栄えた歴史があり

地下通路には、通路の脇に洞窟のようなスペースがあって

それぞれの商人たちが、スペースを借りて

ボトルをストックしていたそうです。

 

市場が行われていたという、地下通路入り口のフォワイエ。

半地下というつくりと、石灰岩という素材も手伝ってか

自然につくられた、ひんやりと涼しい空気が流れています。

 

地下通路には、カーヴ(洞窟)の所有者などと並んで

18世紀終わり頃の『参上!サイン』など、落書きも残されています。

2世紀以上経っても、皆することは同じ!笑

 

年度と記入者の名前、職業が書かれていることが多いです。

旧字体で書かれたこれらの落書きは

歴史をたどれる史料となっているそうです。

 

 

Remparts de Provinsと呼ばれる、城壁。

城塞となっていて、上に上がって街を眺められます。

急な階段を上ると、思いのほか高さがあります。

 

 

街は石畳が多く、坂もたくさん。

さらに地下通路などは足場も悪いし、階段だらけ。

ショートブーツを履いて行った私は、

何度も心折れそうになりましたが…

 

地上のみですが、観光地をスイスイ巡る、

プティトランのオプションもあります。

 

木組の家が並ぶ、街の中央へ向かう道。

 

バラとシャンパーニュで有名な街なので

バラに関係しているお土産屋さんが

とにかくたくさんありました。

 

この日一番、私の心をズキュンしたのは

散歩中だったこちらの方。

カラーリングが合いすぎている…!

 

 

そしてこちらのドア。

雰囲気に合っていて素敵!

 

ワサワサ茂る季節は、お手入れが大変なのかもしれませんが

ちょっと肌寒い春先だったこの日は、

まだ葉が出ていませんでした。

 

 

パリからのアクセスが良く、程よいサイズ感の街ながら

パリや近隣の郊外とは、雰囲気が全然違うプロヴァンの街。

 

フランス旅行中、パリからちょっとだけ遠出したい方、

中世の建物を見たり、歴史散歩を楽しみたい方には

とってもおすすめのデスティネーションです。

 

Provins