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3、長男の治療経過

これまでの過程はこちら

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(2017年4月) 1歳0カ月

 19.摘出か、放射線か①   

 20.第3の道

  21.局所治療11右眼動注8回目

(2017年5月) 1歳1カ月~1歳2カ月

  22.陽子線に向けて①外来受診 ②振り出しに戻る ③決断 

 23.陽子線0日目 入院初日・MRI

 24.陽子線1日目 ごはん事情

 25.陽子線2〜4日目 輸血と発熱
 26.陽子線5~6日目 ABR

 27.陽子線7~9日目 魔法の手
 28.陽子線10〜11日目 鬼門
 29.陽子線12~13回目 折り返し!

ーーーーーなげーよーーーー

 

 

あかん、抱負だけ書いて年号が変わってまう。

 

公私ともにめまぐるしくいろいろなことが起きて、

いいことも悪いこともトラブルもありつつ、

あっという間に時間が過ぎていきます。

ありがたいことではあるのですが、もっと体力がほしい。

 

 

 

長男の陽子線照射は2017年5~6月、1歳1カ月~2カ月の頃です。

 

最近、陽子線について相談や質問をいただきます。

このブログは素人の患者(かつ患者の親)が書いたものであり、長男の治療後の経過等が、陽子線や放射線(X線)を検討している患者さんに適応するかは分かりませんし、RBの予後は個人の症状により本当にそれぞれです。

 

それでも、私も死ぬほど情報がほしかったので、経験した範囲で書いていくつもりですが、

日も経っており、国内の状況も多少進みつつあるという話も耳にしています。

治療については、医師の所見やアドバイスを基にご判断ください。

どんな選択も、子供のために親がした決断は、間違いではないと思います。

 


●再入院とMRI結果

 

2017年6月9日(金)~6月11日(日)

眼球温存の陽子線照射25回中13回を終え、折り返しとなった週末は、
機械のメンテナンスのために、金曜〜翌月曜まで陽子線がお休みでした。

 

筑波は基本、入院中の外泊は1泊2日のみ。

それ以上の外泊は「退院」扱いで再入院手続きが必要で、面倒だったのですが、

家で3日間過ごせるなら、と、金曜に退院手続きをし、月曜朝に再入院しました。

 

夫が仕事の隙間に高速を飛ばして迎えにきてくれて帰宅。

引きこもり生活でしたが、家だと好きに歩けるし、

私も数時間だけ、長男の日差しよけの帽子を買いに外出できて、

残り半分への意欲を養えました。

 
 

そして、再入院の月曜は、夫が休みだったため、朝早くから3人で筑波へ。

個室からめでたく大部屋に移動(というか再入院)になり、バタバタしていると、

「お父さんもいるなら、先週のMRIの結果を15時からお伝えしたいので」と、

主治医の先生から連絡がありました。

 

夫も同席じゃないと話せない内容なのか?

まさか、浸潤が進んでいたらどうしよう。

と、しばらく二人して無言で待機。

 

面談室に呼ばれて、主治医のN先生からMRI画像を見せてもらいました。

 

N「右目照射部に造影剤の白い線ができています」

 

と言われて、本当に心臓が止まりそうになりました。

 

N「ただ、これはどちらとも言えないのですが」

と、N先生も悩みながら、

 

N「造影剤は炎症反応が起きている場所にも反応する。今白くなっているところは、陽子線の照射範囲内だと思われ、腫瘍が広がっているのではなく、照射による炎症反応が出ているだけの可能性もある」

 

とのこと。

 

素人目には、白い部分は、視神経から脳に伸びるような直線ではなく、眼窩に沿って丸く湾曲しているようにも見えました。

(実際に浸潤していたら直線で写るのかはわかりません。個人的な願望からそう見えただけのはなし)

 

結果、腫瘍であったとしても、陽子線の照射内と思われるし、途中でやめるわけにもいかない。

このまま照射を続けて様子を見るのが最善。

ということになりました。

 

不安は残りましたが、どちらにせよ今は照射を続けるしかなく、

あと半分を無事に終わらせることに専念しよう、と思いました。

 
点滴がないため、リハビリの先生(なのに完全に遊び相手になってくれていた)とたくさん歩き、
その後大泣きしながら再び点滴。また1週間が始まりました。
 
 
その日の手帳。
「描いた未来に本当にたどり着けるのか分からなくて不安。でもやれることはやる」と。
これは1年半経って、日常生活に戻れた今でも、RBそのものに対しても、全く同じ気持ちです。
 
 
●14回目、鬼門再び
 
翌火曜日。2017年6月13日。
14回目の照射の前に、眼底検査のため朝7時で禁食。
いつも通りアタP点滴と、トリクロ、ラボナの服薬で鎮静も、眼底検査はやはり起きます。
そりゃ点眼も鎮静してからで散瞳に時間かかるし、開眼器で目を開かれたら起きるわ。と、半ば諦めモード。
 
ケタラールとドルミカム追加でようやく眼底検査が終わっても、やはり特に説明もなく、陽子線に移動。
 
そして、陽子線でもマスクがきつくなってきたことと、
鎮静の副作用か、鼻水のせいで咳き込んでは泣いて起きて、吸引を繰り返すことなんと3回。
仕切り直しで、なんとか寝かせて、ようやく照射ができました。
 

前週も、眼底検査で覚醒→鎮静追加→陽子線に移るときにSpO2が落ちたので、

今回の苦戦を聞きつけたS先生。

「来週は眼科と陽子線の順番を変えるよう交渉する」と提案してくれました。

先生や看護師さんのこうした小さな機転に、精神的に何度も助けられました。

 

この日は起きてからもやはりふらふらで、ベッドで立とうとしては転ぶの繰り返し、

7時半と普段より早めに就寝後も、ほとんど起きなかったそうです。

 

 

15回目、赤くなってきた

 

6月14日。

ぐっすり寝て早朝にお目覚め。

ご飯もいつも通り、眠そうな時も寝かせずお風呂に入れてよく遊び、

いつもの感じで鎮静開始。

 

も、やはり鼻水で失敗。

早々とケタラール追加となりました。

サクションして次の鼻水たちがやってくる前に照射。という感じ。

しばらくは、鎮静前にサクション必須となりました。

 

この頃、病棟から陽子線まで移動するストレッチャーには、

標準装備の心拍モニターなどに加え、鼻水の吸引器と呼吸が落ちたときのアンビューまで積まれており、眠る長男の周りに機材が山ほど。

外来客の長い廊下を通過する時の私の悲壮(な感じに見えるであろう)感たるや。

 

大人なら通院で、寝てじっとしてれば終わるのに、乳児の照射はいろいろ難しいです。

 
ドルミカムの分泌液が増える副作用と鼻水の因果関係はわからないものの、
ケタラールのみの追加だと覚醒も早く、その後の元気いっぱい、
今後はケタラールのみでいこう、ということになりました。

O先生曰く、「ケタラールだけだと悪夢を見るという報告がある」とのことでしたが、

長男、泣いて起きたりはしてないので、真偽のほどは不明です。

 

 

そして、この頃から、照射した場所がはっきり「赤くなってきたなぁ」とわかるように。

N先生が「赤く見える」と断言した8回目より発赤のチェックの写真を毎日撮っていましたが、

13回目くらいから、赤いかなーと分かるようになり、この週にはっきり分かるようになりました。

かゆがったり、すごく熱を持っている、という感じでもないので、アズノールで保湿を継続。

 

 

 

 

 

16回目、3連敗

 

この週、火(不戦敗)、水と黒星続きで、今度こそ、と意気込んでみたものの。

あえなく覚醒。ケタラール追加となりました。

先週がうまくいっていただけに、少しへこみ出す私。

照射ができれば別に問題ないけど、使わずにすむなら使いたくない。

 

当時、そう思っていましたが、最近何かと私自身鎮静をかけられることが多く、

へっちゃらな時もあれば、覚醒後の具合の悪さに悶絶したこともあります。

1歳ちょっとじゃ泣くか寝るか、抱っこするか、くらいしか自己表現できないし、

やはり、少なくすむに越したことはないなぁと改めて思いました。

 

 

この週から移動した大部屋は5人部屋(1区画だけ洗面台)。みんな1~4歳くらいの小さい子で、

ほとんどが小児がんでしたが、みんな種類の違う疾患でした。

 

個室隔離前から長期入院している斜め向かいの窓側にいた女の子のお母さんは、

「個室隔離されてかえってこないから心配したよー」と声をかけてくれ、

朝になると、通路側と窓側のベッドに挟まれた真ん中のベッドの子にも外が見えるように、

ベッドの間のカーテンを全て開け放ってしまう、本当に気持ちのいいお母さんでした。

(処置の時などはもちろん閉めています)

 

漏れ聞こえたり、何かの合間に交わす会話から伝わる闘病の内容は

どの子もみんな、笑えるようなものではなく、

陽子線を受けに文字通り全国から集まった子たちでした。

 

なのに治療の合間の会話や空気は変に穏やかで、子供の仕草や言葉にみんなで笑ったり、

今でも時々、「あの頃は楽しかったな」と錯覚しそうになります。

 

今でも連絡を取るお母さんが数人。

みんな、無事に大きくなってほしいです。

 

 

 

 

 ●17回目、マイナーチェンジ

 

 

 金曜日、今週全部黒星は避けたいなぁと思いつつ、陽子線の部屋に向かうと。

 

なにやら自信ありげな技師さんと陽子線専門看護師さん。

「鼻削ったよーん」とのこと。

 

固定するマスクはもともと顔の型取りで作ってるのでピッタリ。

それが、作ってから照射の間に成長して、鼻の部分がぴっちりしすぎて、技師さんがマスクを被せる時に覚醒してるのでは、ということで、

再度型取りは時間的にも難しいため、鼻部分を加工して広げてくれたとのこと。

 

毎回、鎮静して、照射台に乗せて、ベルトで体を固定、の後に、

技師さんがそーーーっと、そーーーーーっとマスク装着するのですが、

今回はさらに輪をかけてそーーーーっと。

 

その結果、

最短10分であっさり照射終了!

 

毎日何十人も陽子線の患者さんがいるだろうに、

本当にこの陽子線チームの暖かさに感謝でした。

 

あっという間に覚醒してご飯を食べ、点滴も抜け、1週間ぶりに自由の身で病棟内を歩き回りました。

 

 

あと8回、2週間。

少しずつ、終わりが見えてきました。