私信(お決まりのピース おれがWEST.から受け取ったもの)

WEST.へ
結局のところ、俺はWEST.からなにを受け取ったのか。活動を終える知らせを受け取った日から今日まで、そのことを考える日々でした。
なぜ離れるのか。なぜ活動を終えるのか。なぜ続けることができなかったのか。そういうことは俺にとっては究極のところどうでもよくて、重要なのはやはり、俺はWEST.からなにを受け取ったのか、ということでした。
*
すでにリリースされていた「間違っちゃいない」という曲をラジオで聞いててWEST.の音楽に惹かれはじめた俺が、リアルタイムでリリースされたWEST.の音楽に初めて能動的に触れたのが「W trouble」というアルバムで、そのなかの「to you」という曲に出会ったことで、今の俺がいます。
あるモチーフをもとに作られた楽曲であることは理解しつつも、そこから誰しもが経験する普遍的な「別離」について、ここまで誠実に、残酷に、生々しく綴られた曲を、アイドルが作り、歌っていることに衝撃を受けました。
永遠や一生なんて、どこにあるんだ。(いや、どこにもない。)
あの曲はたしかにそう言い切っています。
そのうえで、逃れられない別れを経てなお、私たちはどのように前を向いて生きていくことができ得るのか。そういうことをあの曲は歌っています。
なぜ「いつまでも共に」「ずっと一緒に」と永遠に続く未来を誓うことを(そんなものはないのを知ったうえで)求められるはずのアイドルである彼らが、こんな曲を歌うんだろうか。当時そう思いました。
しかしアイドルが歌うからこそ生まれる説得力も、あの曲にはありました。
7人の声を通して歌われることで、身を切られるような別れの痛みに、あたたかでポジティブなエネルギーが与えられ、俺の心に届くのです。
寂しくなんかないぜって言ってるけど絶対寂しがってる。そうとしか見えないけど、寂しくなんかないぜと強がって笑ってピースサインを贈る。逃れられない別離を前に、自らそうあろうとする。
そういうアティチュードをもったこの曲を歌うグループであること、そういう曲を自ら作り、歌おうと決め、実際に歌うことができる、そういうアイドルであるからこそ、俺はWEST.のことを本当に好きになりました。
*
結局「to you」という曲を直接聞く機会はありませんでしたが、その後、その何倍も多くの音楽や表現を、たくさん受け取りました。その全てが代えのきかない経験です。
特にWEST.のライブは、「いま・ここに、わたしたちは、生きている」ということを強烈に感じさせる、本当に得難い時間でした。優劣をつけることは出来ませんが、WESSIONフェスの2日間は、そこに至るまでの経緯も含め、あのような固有の豊かさと意義深さをたたえた幸福なフェスは他にないと断言します。あのフェスを同時代に経験できたことは俺の誇りです。
まったく大げさでなく等身大の素朴な実感として、WEST.のライブがあったから、俺は生き延びていまここにいます。
その他にも、テレビやラジオや映画、個々の舞台、さまざまなかたちでWEST.の表現に触れてきました。
そういうWEST.とともに生きた時間の中で、俺がWEST.から受け取ったものが、たくさんあります。
諦めないこと。
腐らないこと。
自分に嘘をつかないこと。
安直に割り切らないこと。
他者に敬意を持つこと。
その敬意を堂々と表明すること。
笑顔でいること。
笑顔でいることの得難さやそのパワーを信じ、誇りに思うこと。
楽しいときはそのとき自分にできるぶんだけ、大きな声で笑うこと。
自分の思いを誰かに届けるということに、照れないこと。
照れてもいいから、やり切ること。
つくりものでないこと。
まがいものでないこと。
それが満足にできなくても、しぶとく、そうありたい、そうあろうとすること。
アイドルという存在の持つ力を信じること。
音楽の持つ力を信じること。
自分を、他者を、この世界を、今を生きることを肯定しようとすること。
それを諦めないということ。
それが自分にもできると、ほんとうに信じようとすること。
こういうことを、表現を通して、綺麗事や絵空事ではなくものすごく実践的に、極めてエモーショナルかつしたたかでテクニカルに、しかも今日からやってみようと思える気軽さも加えて伝え続けてくれたのが、俺にとってのWEST.でした。
「まあ色々あるけど、うし、明日も胸張って生きていくぜ、この世界で」
嘘ではなくそう思えるパワーを、俺はWEST.の表現から受け取っていたのです。
いや違う。受け取っています。今も現在進行系で。そしてきっと、この先も。
*
WEST.が終わる日。今夜のつらさや寂しさを忘れることはないでしょう。忘れたくありません。覚えていようと思います。そのうえで。
WEST.に出会たこと。
WEST.の表現のかけがえのなさを、自らキャッチできたこと。
今日までその輝きを大切にして生きてこられたこと。
それは、俺にとって超ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーラッキーなことです。
これだけで人生もうけもんです。
これは本当に自分を褒めてあげたいです。
「俺はWEST.を見つけたんだぜ。すげーだろ。最高だろ」
大声でそう叫んで回りたい気持ちです。心の底から誇らしいです。
で、WEST.の皆さんにとっても、WEST.として生きた時間が、そういうラッキーで誇らしいものだったと、そう思える今夜であればいいな、と思います。
「to you」でWEST.を愛しはじめた者として、寂しいけど、恋しいけど、俺の思う、俺にできる限りのいい顔で、あなたたちと、あなたたちを愛した俺を、ひとまず一回見送るよ。でも見送ったとて、もうずっとここに居ることに変わりないから。
指を2本掲げて、頭にうたを思い浮かべるだけで、なんだかまだまだ全然いける気がするね。こんなやり方も、俺はWEST.から教わったんだよ。
明日からもみんなに倣って、腐らず、へこたれず、笑ってみるよ。
ありがとう。ありがとう。
お前らほんっっと最高よ!!!!!!!
おれはWEST.を愛してる!!!!!!! 愛してるよ!!!!!!!
ありがとうーーーーーーー!!!!!!!

ジャニーズWEST・重岡大毅『to you』――音楽で世界を受け入れるということ
重岡大毅はなぜ「バナナうんち」と書いたか? ジャニーズWEST『おい仕事ッ!』を聴いて考えた
『ムーンライト』の真髄は“冒頭21秒”にあり。重岡大毅とジャニーズWESTが紡ぐ音楽の喜び
ジャニーズWEST『むちゃくちゃなフォーム』――真駒内で神山智洋の歌にぼろぼろ泣いた日のこと
ままならない世界を愛せるか。10周年のWEST.が歌う『まぁいっか!』に見た過酷と希望
きょうのこと WEST.のこと
最後のbayじゃないか 彼方から届いたアンジョーヤリーナ
最後のbayじゃないか 彼方から届いたアンジョーヤリーナ

まず重岡さんが歌い出す。今から聞くとどこかあどけなさすらある2019年の重岡さんの声だ。そこに2019年の神山さんの声が重なる。
かみしげによって冒頭に歌われる、そしてサビとして繰り返し歌われるフレーズに、この曲のメッセージは集約されている。ここを聴いてすでに、これまで覚えのないふうに心が揺さぶられているのを感じた。
耳の中で、藤井さんがAメロを歌い出す。聴きながら最初に思い出したのは、2022年の大阪メトロックでこの曲が歌われた時の記憶だ。朝の荒天が嘘のようにジリジリと照りつける太陽のもと、ボロボロ泣きながら拳を振り上げた。全身汗だくで声を枯らしながら、この人達を好きになってよかった、と、心底思った。
ヘッドホンを通して次々に言葉とメロディとビートが飛び込んでくる。嘘じゃない本当の気持ち。俺は彼らの活動に、とりわけ彼らの音楽に、嘘を感じたことは一度もなかった。
サビで7人の声がひとつになる。再び歌われるあのフレーズ。
まるで過去から今に向けて書かれたのかと思うほど、歌詞のひとつがひとつが否応なしに今の現状と重なって心に刺さる。涙腺はもうとっくに限界を迎えていた。
2番に入って、中間さんが歌い出す。次に思い出したのは、2022年の飛べ関だった。巨大なドームがライブハウスに思えるほどの熱気、そのなかで歌われたこの曲も忘れられない。
間奏に差し掛かるところできりはまのハモりのロングトーンが聞こえてくる。記憶が次々に蘇る。2024年のAWARDドーム。CDTVでのパフォーマンス。2025年のWESSIONフェス。音源でもたくさん聴いた。もういつのことか忘れてしまったいつかの夏の暑い日、今はもう無くなってしまった駒沢大学駅近くのブックオフに行く途中にこの曲を聴いて、なぜだか路上で泣けて泣けてどうしようもなくなってしまったことも、急に思い出した。記憶が溢れる。
俺はもうとっくに泣き出していたが、その涙は、かつてあった美しい思い出を懐かしんで流れたものじゃなかった。彼らとの新たな思い出がもう作られないことを惜しんで流れたのでもなかった。
この日最後のbayじゃないかで流れたこの曲は、俺に向けられて歌われているものでもあると同時に、かつての彼らから今の彼ら自身に向けて歌われているようにも聞こえた。
ヘッドホンから聞こえてくるのは2019年の彼らの声だ。でも俺にはそれだけじゃなくて、2022年のメトロックの彼らも、2024年のAWARDの彼らも、いつかの夏の日の路上で聞いた彼らも、それぞれの場所から今に向けて歌っているように聞こえた。
もう過去になってしまったはずの、記憶になってしまったはずの、遠い彼方のいくつもの瞬間に確かに生きていた彼らが、それぞれの場所から今に向けて、おーい! 聞こえてるかー! おーい! 届いてるかー! 歌ってるぞ! 俺らはあなたに! いま! 歌ってるぞ! そう叫んでいるように聞こえた。俺にはほんとうにそう聞こえたのだ。
落ちサビを歌う小瀧さんの声が聞こえてきて、そこに藤井さんの声が重なる。そしてまた7人で、最後にもう一度あのサビのフレーズが歌われる。
それを聴きながら、ひとりの部屋で、声を上げて泣いた。
あのとき流れたたくさんの涙は、彼方のWEST.たちからバカデカ声で届けられた”愛せ君の人生”というメッセージを受け取った、その喜びで流れた涙だったのだと思う。
あの涙を、俺は忘れないでいようと思う。
bayじゃないか | BAYFM78 | 2026/09/26/土 23:30-24:00
きょうのこと WEST.のこと

連休が終わって、いまいち、というか明らかに身が入らない状態で自室でリモート仕事をはじめ、昼飯に味噌ラーメンを作って食べ、えーーーごめんなさい正直昼休みは終わっていたのだが13時すぎにふとメールをチェックしたらメールが届いていた。タイトルを見てもう嫌だと思ってトイレに行って用を足してもう嫌だと思いながらメールを開いたら動画リンクでもう嫌だと思いながらリンクを開いて、ああくそ、くっそ、えいや、と動画を見た。
見終えて、こんなろくでもない人間をある程度の信頼のもとに雇ってくれている会社には本当に申し訳ないと思いながらでもしゃーねーだろと開き直って家を出た。ここ最近のなかではたいそう立派に晴れた空から照らされる陽光を浴びて、くそ、いい天気じゃんか、と思った。歩きながら、こんなにつらいことがあるのか、ある、今だ、と思った。事故とか怪我とかしないようにしないとな、と、気をつけて歩いた。今の俺を記録しておかねばと謎の義務感が湧き上がって、道端で何枚か自撮りをした。異様な自我。
近所で2番目に近いスーパーに行って、なにか気分が晴れるもの、いや違う、このわけわからん意識をぶっ飛ばしてくれるものを買いたくて探したが、売り場を覗いても全然見つから無くて、とりあえずサントリーの何種のビタミンなんとか的な炭酸のジュースとアロエヨーグルトのアイス版みたいなアイスとブロックの氷を買って帰った。冷たいものばっかりだ。部屋でそれらを飲んで食べた。気は晴れなかった。
仕事に戻ってしばらくしたところでブログが更新されているのを見て、ページを開いて、小瀧さん、藤井さん、神山さん、中間さん、桐山さん、重岡さん、濵田さん、と読んだ。この3週間の辛く苦しかった思いが、その全てではないがそれなりに、しかし確実に解きほぐされていくのを感じて、正直、安堵した。
そのあとは当たり前だが仕事をした。仕事をしながら、この状態で楽しめるのだろうかと逡巡したがラジオをつけてみたら、とてもおもしろくゲラゲラ笑って聴きながら仕事をした。TBSラジオ「こねくと」に深謝。
夜になって、カラオケ行こうと思い立った。近所でいちばん近いスーパーで缶ビールとチューハイと惣菜とお菓子を買い込んで、駅の反対側のカラオケ屋へ行った。今やカラオケが飲食持ち込み自由なの、俺世代からしたら隔世の感だ。数年前に作った紙の会員カードはもう廃止になってて、アプリを入れ直した。
ルームに入って、家から持ってきたもう着る機会のないだろうウェッシャーツを羽織って、まっさきに「しあわせの花」を入れて、歌う。間髪入れずに「週刊うまくいく曜日」も歌う。結局2時間でこれだけ歌った。
しあわせの花 / WEST.
週刊うまくいく曜日 / WEST.
ウェッサイソウル! / WEST.
まぁいっか! / WEST.
POP & POP / WEST.
間違っちゃいない。 / WEST.
むちゃくちゃなフォーム / WEST.
虹をかける僕ら / WEST.
ボクら / WEST.
ムーンライト / WEST.
忘れないでいてね / WEST.
超きっと大丈夫 / WEST.
to you(2025) / WEST.
time will tell / 宇多田ヒカル
B&C(Album Version) / 宇多田ヒカル
ワールズ・エンド・スーパーノヴァ / くるり
ray / BUMP OF CHIKEN
ぼくらしく / WEST.
君はそう決めた / 坂本慎太郎
私の人生、人生の夏 / PIZZICTO FIVE
また恋に落ちてしまった / PIZZICTO FIVE
持ち込んだ酒の大半を飲み干したのに、一緒に買っていたつまみにはほとんど手を付けずじまいで、これはよくないなと思った。空きっ腹に酒はゆるやかな自傷行為だ。
部屋に帰ってWEST.の7人に向けた文章を書き始めたが上手く書けず中断して、さっき食べてなかったつまみに買った唐揚げとおにぎりを食べながら1缶だけ余ってたハイボールを飲みながらこれを書いている。
もう日付を跨いでしまった。まあ日付なんてただの数字だ。でも時は止まらない。前に進むしかない。
歌いながら、うたのなかに真実はある、と思った。
言い方を変えると、真実を見出そうとするならうたの中にしかそれはない、とすら思う。
これは普遍的なことではまったくなくあくまでごくごく超ごくごく個人的な話だけど、結局おれは音楽の中にしか、うーんいや別に「しか」というわけではないけど、音楽のなかにこそ真実を見出すのだな俺は、と思った。
WEST.の音楽は今もここにある。ここ、つまり俺の中に。WEST.の音楽は今も俺の中で鳴っている。おそらくはこれからも。
俺が思い出せば、俺が歌いだせば、WEST.の音楽はいつまでも俺とともに在る。世界からWEST.の音楽が消えてしまうときがあるとすれば、それは俺のなかからWEST.の音楽が無くなってしまった時だ。
びっくりした。この日、この夜ですらなお、WEST.の音楽はキラキラ、ギラギラ、メラメラと燃え、輝き、今日、今夜の俺を励ました。俺は励まされた。超、きっと、大丈夫、だ、と、思えた。歌って、本当にそう思えたのだ。
ほんとうにびっくりした。音楽はすごい。WEST.はすごい。そのことに7人は気づいているのだろうか。このすごさ、この得難さを、おれはもっと彼らに伝えたかった。
みんなきっと歌う機会減るんじゃない? 減るよね? もうWEST.としてのレコーディングやライブの機会は当分ないんだろうしね。
でもさ、でもね、だいじょぶ、大丈夫。その分俺が歌うから。もうめちゃくちゃ歌うから。俺がこれからも。
そしたらWEST.の音楽はずっと在り続けるんだぜ。すごいことだよこれ。もうほとんど奇跡みたいなもんだよ。わかってる? そういう奇跡みたいなことをやってきたんだよ、あなたたちは。
だから気を病むことはないよ。こっちのことは大丈夫。心配しないでいい。もう全然、全然大丈夫。
だから前向いて、胸張って、安心して、どこまでも行け。
これが今夜の俺の気持ち。明日にはきっと変わってしまうであろう、いつかはきれいさっぱり忘れてしまって二度と思い出すことはないのだろう、だからこそ書き残しておきたいと思った、忘れたくないと思った、今夜の、今の俺の気持ち。
たくさんのすばらしい表現をありがとう。心から。
2025年に見たもの・聴いたもの

※画像はおととい12月29日にDEPAPEPEの忘年会ライブを見に行った帰りの原宿の空。このカラフルさになぜか救われる気持ち。
今は12月30日の朝。毎年大晦日に上げてる毎年見たり聞いたりしたもののリスト、今年は大阪にWEST.のカウントダウンライブを見に行くので、先んじて今日書いている。(リストは文末にあります)
2025年もいろんなものを見た。
演劇でいちばん好きだったのは城山羊の会。幕が開いてから終わるまで、全ての瞬間が面白くてすさまじかった。あのクオリティを作り続けてるの、驚異的。映画のアジアのユニークな国も最高&最狂だった。
カフェで見た本谷有希子×上田遥の一人芝居もめちゃくちゃよかったなー。
再演でやっと見れた市場三郎も凄くよかった。ああいう作品に時間と技術とお金が注がれる豊かさよ。
ライブだとRIP SLYMEのライブハウス公演DFM超楽しかった!兄と見に行けたことも含め、これも暗転から終了アナウンスが流れるまでずっと楽しかった。ブロウをフルでやってくれるとは泣。
GREAT3は初夏と昨日の30周年ライブどちらもすばらしかった。こうしてワンマンに行く日が来るとは。本当格好いいバンド。
WEST.はなんといってもWESSIONフェス。もう25年くらいフェスに行き続けてるけど、天候にしろ時間にしろフェスって要は「変化していくことをいかに楽しむか」というエンタメなんだなと初めて気づいた。それを今やった彼らはつまり変化を恐れず進んでいくことを決めたということで、その象徴がフェスだったのだと思う。感動的な2日間だった。
感動的と言えば香取慎吾のツアーファイナルもあまりの素晴らしさに泣きまくった。こちらはブログにも書いたのでよろしければ。(香取慎吾『Not Too Good Not Too Bad』という曲について考えたこと。)
他にも振り返ればキリがないが、実は直近12月29日に見た「明日のアー 10周年記念パーティー『ドーブツのパーティー』」のショックが抜けない。
明日のアー(現「アー」)は大北栄人さんが作演出を務める集団で、コントと演劇の中間みたいな、笑いが核になってるんだけどそれだけじゃない読後感をもたらす不思議な舞台を作り続けてきた人たちだ。見続けてきて思うのは、大北さんってそのときどきで自分が本当に作りたいもの・やりたいことを本当に突き詰めてやり続けてる人だということだ。わざわざ「本当に」を重ねたのは、多くのクリエイターも同じようなことを言ったりやってるつもりでいるけど大北さんのそれはその貫き方のレベルが違うから。だからやってることもどんどん変わっていく。途中で名前も明日のアーからアーに変わったし、演劇とコントの境を行き来し混ぜていくもともと不定形だった公演のフォーマットもどんどん変わり続けて、今回はついに「パーティー」と銘打たれた。オールスタンディングの会場に入るとよシまるさんがDJやってて(TVバラエティメドレーとか脱線3とかかかってた)、大北さんが率先して踊ってた。チケットはワンドリンク付きで伊良コーラのキンミヤ割をつくってもらって、飲みながらゆるゆる楽しむ感じなんだなーと思ってた。というか途中までは実際そんな感じで見てた。
なので、完全に油断してた。
以下、もうすでに細部の記憶が抜け落ちてるし、作者の意図を読解できた自信もない。ので、あくまで俺の記憶。
DJが終わると、馬のかぶりもの(カラフルなパッチワークでとてもかわいい。アーは衣装やセットなどビジュアルがいつもすごくお洒落)を被った出演者が登場して、序盤はにぎやかな出し物(歌やコント)が楽しく繰り広げられ、その最中にはお菓子が振る舞われたり(というか袋菓子(小袋に入ったすごく食べにくいやつ)をご自由にどうぞ的に客に手渡され、客同士でそれを回し食いする)、「アー10周年おめでとう」という寄せ書きが回ってきてそれに一筆入れたりしながら、その出し物を見た。お酒が入っていたこともあってか、いつもよりたくさん笑った気がする。そういえば原宿のVACANTで初めてアーを見たときも、ワンドリでワインとか飲みながら見たなあと思い出しもした。
ただ中盤の、延々(ほんとに結構長く)続く謎解きパートあたりからちょっと異様なものを感じ始めてきて(誤読に次ぐ誤読、前のめりな誤読、見たいものを見たいように見る、それを盲信する名探偵)。演目の流れがどうだったか記憶に自信が無いんだけど、そのあとで大北さんによる「気候変動が怖い」「戦争が怖い」「それに立ち向かうには、立ち上がるしかないと思った」という語りからフリーガザのTシャツを100均で探す男というネタにいって、そのあとビンテージ米ソングがきて、そこからインターネットの誕生からアーの誕生そして現在へという流れを一気にみせるパートになっていく流れで、うわうわうわー、あーやばい、、アーって、アーってこうだったわ、うわーっ、、てなった。
あのパートはアーの10年のメガミックス感もありつつ(「やってみたいんだー!」という藤原さんのくだり、あったよね昔。台本買ってない不真面目なファンなので資料にあたれないが)、いよいよ終わろうとする2025年へのシビアすぎる批評だった。大北さんによる「現在のネット含む社会の異常な“速さ”は人間ではとても間に合わない。ドウブツにならないと無理」みたいなセリフを聞いて、心がサーっと冷えていくのを感じた。ああ、それで、馬の被り物をかぶって、「ドウブツのパーティー」なのか。さっきまで音楽に乗せて気持ちよくステップを踏んでいた足元が急に危うくぐらついた。
ラスト、パーティーがこわい、楽しいのが怖い、どうしよう、という流れ(俺のメモ帳にはこう書かれてるんだけどちょっと自信無し)で、「ひとつになりましょう」と7Aさんがあの(あの)声と表情と佇まいでそう言って、みんなでアッハッハ、アッハッハと笑い群れるなか、ひとりあの(あの)表情と佇まいで立ち尽くすロボ藤原さん。個人的にアーを象徴する存在だと思っているおふたりの、“あの”としか言えない佇まいが、目に心に刺さる。大音量のダンスビートに乗せて延々「売られる馬!」(って俺には聞こえたんだけど、合ってるのかな)のシュプレヒコールを延々やって、俺はそれを会場の隅で真っ白い壁にもたれて唖然としながら見るしかなくて、そのあとビートはいきなり止まって、パーティーは終わった。
大北さんが「ここからはお待ちかねご歓談タイムです!」と言ったのでパーティーはまだ終わってなかったんだけど、俺は出演者の方々と歓談とか緊張してできないというか今喰らったものを他人に伝えるレベルまで消化してすぐ話すことなどとてもできないと思ったのでそのまま会場を出た。冷え冷えしはじめた夕景の中目黒を歩きながら、もう消えつつあるさっきまで見た表現の記憶をできるだけ残すべくスマホのメモ帳に叩き打った。消化はできていない。読解できた自信もない。すごいものを見た、すごい表現を喰らった、その実感だけを確かめた。
大北さんが「言ってみればSNSとともに歩んだ10年でした」と書いたようにネットを中心とする世相をネタにしつづけてきたアーだけど、ネットのなかで危うくうつろう人のこころ、人びとの空気、つまり人というもの、現代人というもの、そのおかしさ(おかしさも可笑しさも)をずっと描き続けてきたんだなと改めて思った。「前からアーに来てくれてた人にも来てほしい」と案内を出してこれをやった大北さんも、それをあの精度と熱量で具現化した出演者・スタッフの皆さんも、それでまんまとあの場に集まった方たちもほんとやばい。やばすぎる。パーティーというたてつけで、音楽かけて、酒飲んで、ひたすらに笑って、完全に油断したところで最後の最後(公演の最後という意味でも、年の瀬という意味でも)に盛大に冷や水ぶっかけられた。しんどい2025をなんとか乗りこなし生き延びたつもりでいたけど、そうか、おれはただドウブツだっただけだったのか。そう突きつけられた気が勝手にした。10年のうちたぶん8年くらいは見てるはずだけど、そのほとんどを今正確に思い出し比較することなどできない。なので軽々しく無責任に思って、言う。最高傑作だった。

※画像:私にとってのアーを象徴するおふたり。藤原さんはこの日もめちゃ大事なシーンでしっかり噛んでおり、7Aさんは始まる前から大きな声でわーわー言いながら場内をいったりきたりされていて、そのプロフェッショナリズムに感動した。
*
今年も去年と変わらず70本ちょっとくらいで、やっぱこれが俺のキャパの最大値(時間・体力・金銭すべてにおいて)なのだなと再確認。こういう生活をこの先も続けられるとして、じゃあいつまで続けるのか、ここ数年ずっとぼんやり考えている。でもそれを決められるのは自分しかいない。
で、思う。好きな人がすごい表現をやり続けてる限りは見に行きたい。結局そこに立ち返る。
アーもそうだし、香取さんもWEST.も、バッファロー・ドーターもPOLYSICSも小西さんも、城山羊の会も、みんな続けてるからね。鎌田さん無きほりぶんの上映会で涙する墨井さんの姿とか、自らにちゃんとケリを付けるために再び集まったRIP SLYMEのライブを思い出して、改めてそう思う。
というわけで今年もたくさんの表現に生かされた1年でした。楽しかったー!
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1/1 Cornelius『Cornelius 30th Anniversary Set』 @ 配信
1/4 ふぉ~ゆ~『ENTA!7 4U.Zepp in de SHOW』@ Zepp Haneda
1/14 『フラカンとスキマのデラックス・ドラゴン』(フラワーカンパニーズ、スキマスイッチ) @ 豊洲PIT
1/17 『コーヒーハウス・モナレコーズ』(小西康陽、高浪慶太郎) @ 下北沢 mona records
1/17 『THIS IS 向井秀徳!PHOTO BY 菊池茂夫 写真展』 @ TOWER GALLERY
1/17 2BD @ 神田POLARIS
1/25 ヒカシュー『マンスリーヒカシュー2024「わかれてきた道が続く生誕」巻上公一BirthdayLive!』 @ 吉祥寺スターパインズカフェ
1/26 『松竹創業百三十周年 新橋演舞場百周年 初春大歌舞伎 双仮名手本三升 裏表忠臣蔵』 @ 新橋演舞場
2/5 スキマスイッチ『スキマスイッチ TOUR 2024-2025 “A museMentally”』 @ NHKホール
2/10 『RADIO SAKAMOTO Uday』(Corneliys、TOWA TEI、SE SO NEON、原口沙輔、U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS、他) @ SHIBUYA O-EASTほか
2/22 『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』 @ シアタートラム
2/23 『“SXVIII” -soup 18th anniversary-』(Phew、NISENNENMONDAI、PAINJERK、Nobuki Nishiyama) @ ochiai soup
2/24 tricot『tricot 結成15周年記念 ワンマンライブ「YAKUBARAI」』 @ Zepp Shinjyuku
3/2 『ウクライナ人道支援ライブ PLAY FOR PEACE Vol.4』(清春、友川カズキ、Two Buffalo Daughters (シュガー吉永 + 大野由美子)、曽我部恵一、佐藤タイジ、Ellie、荒井岳史、佐々木亮介、hotspring、中野ミホ) @ Flowers Loft
3/8 『少し前から、何かがずっと震えていた。スマホの振動なのかもしれないし、私の身体からだがぶるぶるしているだけなのかもしれなかった。』 @ 代田橋 CHUBBY
3/20 ZAZEN BOYS『MATSURI SESSION』 @ 日比谷野外大音楽堂
3/22 POLYSICS『2nd Anniversary of Top Beat Club ~トイス天国』 @ Top Beat Club
3/23 新しい地図『NAKAMA to MEETING Vol.4』 @ 国立代々木競技場第一体育館
3/23 エマーソン北村 @ BSE
3/28 『コーヒーハウス・モナレコーズ』(小西康陽、シークレット細野晴臣) @ 下北沢 mona records
3/29 『パンと音楽とアンティーク2025春』(向井秀徳アコースティック&エレクトリック、中村一義(Acoustic set with 伊東真一)他) @ 東京オーヴァル京王閣
3/30 『パンと音楽とアンティーク2025春』(KIRINJI(弾き語り)、パソコン音楽クラブ、片寄明人(GREAT3)ゲスト:ショコラ、他) @ 東京オーヴァル京王閣
4/13 WEST.『WEST. LIVE TOUR 2025 A.H.O. -Audio Hang Out』 @ セキスイハイムスーパーアリーナ
4/23 WEST.『虹会』 @ 配信
5/2 WEST.『WEST. LIVE TOUR 2025 A.H.O. -Audio Hang Out』 @ 横浜アリーナ
5/10 『TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2025』(WEST.、RIP SLYME、jo0ji、Kroi、離婚伝説、luv他) @ 海の森公園
5/18 GREAT3 @ Veats Shibuya
5/18 『Shibuya Slow Stream vol.22 越境挨拶』(エマーソン北村、他)@ 渋谷ストリーム 稲荷橋広場
5/24 ウンゲツィーファ演劇公演. 『湿ったインテリア』 @ 早稲田小劇場どらま館
5/25 『森、道、市場2025』(Buffalo Daughter、PUFFY、)@ 愛知県蒲郡市ラグーナビーチ|ラグナシア
5/31 香取慎吾『SHINGO KATORI 1st LIVE TOUR Circus Funk 2025』 @ 国立代々木競技場第一体育館
6/1 『Buffalo Ranch presents. Buffalo Daughter + 2BD Tour New BuD In The Mud.』(Buffalo Daughter/ 2BD DJ)Kaoru Inoue) @ 晴れたら空に豆まいて
6/14 横尾忠則『連画の河』@ 世田谷美術館
6/14 『ミュージカル「梨泰院クラス」』 @ 東京建物Brilliaホール
7/6 舞台『ビットワールド THE STAGE』 @ サンシャイン劇場
7/12 オフィスマウンテン 山縣太一 × 飴屋法水 『塹壕』 @ ワイキキSTUDIO
7/13 『歌喜劇/~蘇る市場三郎 冥土の恋』 @ 東京グローブ座
7/19 『神谷圭介と石山蓮華<偏愛>』 @ アプレ神楽坂スタジオ
7/20 香取慎吾『SHINGO KATORI 1st LIVE TOUR Circus Funk 2025』 @ Aichi Sky ExpoホールA
7/25 『アジアのユニークな国』 @ ポレポレ東中野
7/27 『泣くロミオと怒るジュリエット2025』 @ THEATER MILANO-Za
8/2 『ZERO-SITE Takanawa Gateway GRAND FINAL』(TOWA TEI、FPM、他) @ ZERO-SITE Takanawa Gateway
8/5 Two Buffalo Daughters × 2BD @ 440(four forty)
8/9 リア突 海の家プロジェクト @ 三浦海岸
8/10 『TACHI FES 2025』(PYRAMID/Kan Sano(Band Set)/Ovall/SOIL&”PIMP”SESSIONS) @ 立川ステージガーデン
8/16 DEPAPEPE『DEPAPEPE メジャーデビュー20周年 バンザイ!カンパイ!!大感謝祭!!!』 @ 日比谷野外大音楽堂
8/31 宝石のエメラルド座『ライバルは自分自身ANNEX』 @ ザ・スズナリ
8/31 『地獄のTHE MATSURI SESSION』(ZAZEN BOYS、かもめ児童合唱団、向井秀徳アコースティック&エレクトリック、松重豊) @ 日比谷野外大音楽堂
9/6 『ウンゲツィーファ旅公演「旅の支度」in東京』 @ ムリウイ
9/6 『震度3』 @ 本多劇場
9/7 どんぐりず / Buffalo Daughter @ 表参道WALL&WALL
9/20 『だれか、来る』 @ SCOOL
9/27 『パンと音楽とアンティーク2025秋』(小島麻由美、堀込泰行、次松大助(THE MICETEETH)他) @ 東京オーヴァル京王閣
9/28 『パンと音楽とアンティーク2025秋』(小西康陽-弾き語りLive-、天々高々、他) @ 東京オーヴァル京王閣
9/30 v『tricot 15周年記念ライブ 「マネキ倶楽部」』(お招きゲスト:斎藤ネコ / 新垣隆 / ハヤシ ヒロユキ(POLYSICS) / 平沢あくび(ニガミ17才) / Moto(Chilli Beans.) / Rachel(chelmico)) @ 東京キネマ倶楽部
10/4 RIP SLYME『RIP SLYME TOUR 2025「DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」』 @ KT Zepp Yokohama
10/11 『ほりぶん上映会』(一度しか、牛久沼、これしき、ナカゴー特別劇場 紙風船文様、かたとき) @ 北とぴあ カナリアホール
10/12 『WESSION FESTIVAL 2025』(WEST.、Lucky Kilimanjaro、アイナ・ジ・エンド、Saucy Dog、サンボマスター、横山裕、石原慎也(Saucy Dog)) @ 万博記念公園 東の広場
10/13 『WESSION FESTIVAL 2025』(WEST.、MONGOL800、eill、wacci、Little Glee Monster、ウルフルズ) @ 万博記念公園 東の広場
10/19 『LIVE AZUMA 2025』(WEST.、RIP SLYME、Dragon Ash、木村カエラ、湘南乃風、他) @ 福島県あづま総合運動公園
10/25 劇団アンパサンド『デンジャラス・ドア』 @ ザ・スズナリ
10/26 岡田利規『その場でなんか書く』 @ 東京芸術劇場
10/26 ZAZEN BOYS『TOUR MATSURI SESSION』 @ HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1
11/8 『ヴォイツェック』 @ 東京芸術劇場プレイハウス
11/9 北山雅和『MASAKAZU KiTAYAMA"TYPOGRAFFiTi 5"』 @ AL
11/15 松任谷由実『THE WORMHOLE TOUR 2025-2026』 @ 府中の森芸術劇場 どりーむホール
11/22 『シッダールタ』 @ 世田谷パブリックシアター
11/23 KAAT×城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』 @ KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
12/13 五反田怪団『五反田怪団 2025 年末』 @ アトリエ・ヘリコプター
12/20 音楽劇『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 @ SHINJUKU FACE
12/27 明日のアー10周年記念パーティー『ドーブツのパーティー』 @ 光婉
12/28 DEPAPEPE『今年も急でごめんね忘年会ライブ2025!!』 @ 原宿ストロボカフェ
12/29 GREAT3『2 nights, 30 years:GREAT3』 @ 渋谷クラブクアトロ
12/31 WEST.『WEST. SPECIAL LIVE 『WESTA!』 2025-2026』(14:30~/22:00~) @ 京セラドーム大阪
香取慎吾『Not Too Good Not Too Bad』という曲について考えたこと。

『Not too good Not too bad』という曲のことをずっと考えていた。
ツアーファイナルで、香取慎吾はこの曲をうたった。というとこの日だけ特別に歌ったみたいに聞こえるけどそんなことはなくて、昨年のフェスでもツアー初日でも同じ位置で披露されたし、もっと言えばアルバムでも同じ流れに配されている曲なので、このタイミング=ライブの最後に歌われる曲であることを俺は知っていたし、なので、あ、もうライブ終わりだし、ここでやるな、ってわかって、実際その通りに、予定通りに、イントロが鳴らされた。
で、そのイントロから、ラストの幕切れまで、おれはずっと、おおげさでなく本当にずっと、涙を、というか嗚咽しづつけながら、この曲を聴いた。
その日の朝から灼熱の名古屋の街を歩いて熱を帯びた半袖からあらわになる右腕に、俺の頬からぼたぼたぼたって涙が落ちて、びっくりした。いや知ってたじゃん、この曲さいごにやるって。なんで俺はこんなことになってるんだろう。わけもわからずだーだー泣きながら、眼の前の香取慎吾と彼とともに舞い踊るダンサーたちの姿、そして耳に飛び込んでくるバンドが鳴らす音や声たちにただただ身を委ねた。
*
俺は、『Not too good Not too bad』という曲のことをずっと考えていた。
『Circus Funk』というアルバムでこの曲を初めて聴いたときから、アルバムにおいて、そして香取慎吾のディスコグラフィにおいて重要な一曲だとすぐに思った。だけどその理由を言葉にして言い当てることがずっとできないでいた。『すいか』ってドラマ(ドドドド傑作なので全員観るように)に<何に引っかかってるんだか、私――(考えるが思いつかない )あー、解明されない事があるって、苦しいこと!>という台詞があるんだけど、それに似た気分だった。
きくたびに心を動かされるのは確かなのに、その理由がずっと、何度アルバムを聴いても何度ライブを観ても、判然としなかったのだ。
ライブが終わって、会場を出て、えげつない西日を浴びながらなんとかセントレアの中のフレッシュネスバーガーにたどり着いて、でも帰りの電車まであんま時間が無いことに気づいて、慌ただしくキンキンに冷えた生ビールで揚げたてのポテトを流し込みながら、なんできょうあの曲であんなに泣いたんだろうと反芻しながら、スマホのメモに思い浮かぶ言葉を打ち込んでいった。
ライブが終わってしまう寂しさがそうさせたのか? 違う。きょうも、これまでだって、あの曲を聞いているとき俺は、寂しさを感じたことなんて一度もなかった。
*
この曲のパフォーマンスでは、香取とダンサーたちのやり取りが印象的だ。
「SNGダンサーズ」と称される彼らは今や香取のライブには欠かせない存在で、そんな彼らひとりひとりと香取はこの曲で、とても親密にコミュニケーションを交わすようなアクティングをする。この日はファイナルということもあってかより熱っぽさを増していて、もうすぐ終わってしまうライブの時間を慈しんでいるようだった。
俺はこれまで(昨年のフェスや初日の代々木では)この香取とダンサーたちのやり取りを、ライブの最後に交わされる香取と彼らの別れの瞬間のスケッチだと思って観ていた。
でもこの日の彼らの姿はそれともちょっと違うようにみえた。ここまで、まさにいまこの瞬間まで互いに生きてこられたこと、そしていままさに生き合っていることを祝い合っているように見えたのだ。
「生き合う」って言葉は聞いたことがないので俺の作った適当な言い方かもしれないけど、でもそういう姿に見えた。ひとりきりで生きてるんじゃくて、いまこのときを一緒に生きていることを祝福しあっている、そういう姿に見えた。
思えば『Circus Funk』というアルバム=キャリアも出自もバラバラのアーティストとのコラボレーションによって生み出された11曲それ自体が、自分と異なる他者と互いの価値観を尊重しあい交わることでどんな新たな表現を生み出しうるか、というトライアルの結実にほかならない。
この日ゲストで登場したSHOW-GO、LEO(ALI)、乃紫、この3人同じステージを踏み互いに敬意を交換し合いながら自らの表現を爆発させる、そんな現場は他にはそうそうないだろう。
異なる人間同士が関わることで生まれる多面性こそを尊び、そこから生まれた新たな音楽を表現する。互いに違うこと、異なる存在であることをひっくるめて愛そうとするアティチュードがアルバムには通底しているし、特に『Not too good Not too bad』という曲にもそういうことが端的に表現されている。
その象徴とも言えるのがサビ前の<あの景色は僕の記憶の中にしか残っていない><その輝きは君の記憶の中にしか残っていない>というフレーズだろう。意味は反転しているけれどまったく同じことを繰り返し言っている。僕と君は違う。それぞれの日々を、共有し得ないかもしれない記憶を、輝きを抱えて生きている。僕と君は、違う。そういう異なるもの同士が生き合うということについての歌なのだと思う。
*
曲の終盤、彼は親密にやり取りしたダンサーたちから離れて、ひとりでセンターステージへと向かう。
ぐいぐいとグルーヴを増す演奏と、コーラス隊のNot too good Not too badというリフレインが耳に飛び込んでくる。
アウトロでこの日彼は、体を揺らし、顔をくっしゃくしゃにして、声を張り上げて叫んだ。
「ままならない人生! ヘイ!!!」
「最高でもないんだけれど!!!」
イントロからまったくおさまらない俺の嗚咽はこの香取の咆哮でピークを迎えて、ますますぼやけていく視界のなか、目に映る香取さんと、耳に聞こえる彼の声、その一瞬一瞬のすべてを受け止めた。いまこの瞬間のすべてを忘れたくないと思った。
ままならない人生。
最高でもないんだけれど。
ままならない人生。
最高でもないんだけれど。
最後に咆哮一発、高らかに吠えて、俺の視界から彼の姿はなくなった。
*
『Circus Funk』というアルバムには、全編通して曲間がほぼない。箇所によっては1秒もないくらいかなり詰められていて聴き心地としてはDJミックスを聴いてる感覚に近く、そのぶん没入感もかなり強くてアルバムの完成度に大きく貢献していると思う。
その感覚はライブにも受け継がれていて、過去曲をうまく散りばめながらアルバムの曲順通りに披露するセットリストは曲順にやることこそが最良のエンタメになり得るということの何よりの証左で、『Circus Funk』という作品の完成度を裏付けるものだったと思う。アルバムもライブもとにかく没入感が強くて、音楽家・香取慎吾の表現として間違いなく沸点を更新したと思う。
そんな作品を引っ提げたツアーの最終日のMCで、香取はこんなことを話した。
「あいつら(日常)、てごわいから!」
「でもさ、今日のライブで、しあさってくらいまではいけるでしょ?」
「しあさってまでは大丈夫だって!」
すごくないですかこれ。あんなに最っっっっっっっっっっっっっっ高なアルバムのツアーの“効き目”を、せいぜいしあさってまでくらいだよね、と見積もってるのだ、彼は。笑った。自己評価シビアすぎるだろ。おれがどんだけあなたのライブの“効き”によって生きる喜びを享受してると思ってんだ、あんたは。
そう言ってのけた彼は、『Circus Funk』というひたすら没入できる夢の時間を、きっちり、容赦なく、終わらせようとする。おれらの人生はままならないもんだって、最高でもないもんなんだって、このライブだってせいぜいしあさってくらいまでしか効かねーんだよって、そうやって、ちゃんと、満身創痍で作り上げた夢の世界を、おわらせようとする。
メインステージで笑顔で手を降るダンサーたちの姿が、閉じられていく巨大な真紅の幕の向こうに消えていく。
センターステージで、ついにほんとうにひとりになった香取が、ほんとうに、ほんとうに最後のフレーズをうたった。
<そんな君も愛してあげよう>
そううたったあと、咆哮、一発。瞬間、暗転。
おれの視界から彼の姿は消えて、ビートもコーラスもあらゆる音は止み、ライブは終わった。
おれは、自分でもよくわからない、うわああああああ”あ”あ”あ”!!!!というかんじの、なんかすごい声を上げた。彼に聴こえてほしい、届いてほしい、そう思って、大きな声をあげた。
そのあと、一般発売で取った、後ろから数えたほうが早い列の席のパイプ椅子にしずかに座り込んで、真っ暗になったステージを、ようやく落涙がおさまりつつある両目でぼんやりとながめた。
*
ステージから去った彼によくわからない大声を上げたときの自分のことをいま、思い出す。
あのとき俺は、たぶん、信じた、信じようとしたんだと思う。何を。端的に言えば、人の善性のようなものを、だ。
人は紛れもなく善いものである。と、今のおれはさすがに口がさけても言えない。この日は選挙の投票日だった。例えばおれは同性愛者なのだけど同性婚やLGBTQへの理解増進に明確に反対し外国籍の方へのデマと偏見を煽り核保有はコスパが良いと言う政党が大きく票を伸ばしたことをライブがおわったその日のうちに知った。例えばガザでは今も一般市民がありえない虐殺行為で命を落としている。まあひどいもんですよ。人間はもう終わりだ、って真心ブラザーズが歌ったのが2001年らしい。なにもかわってないんだな。
でも、少なくとも、人には善いところが少なからずある。人間、そこまで最低じゃないよな。人ってもっと善いもので有り得るよな。そういうことを信じたくなったのだ。<そんな君も愛してあげよう>とうたわれる、あの曲をきいているあいだ。
ままならない、最高でもない人生を生きるおれ(ら)の存在を、あの瞬間、香取慎吾はたしかに肯定(しようと)し、愛(そうと)した。すごくユニークな、彼にしかできない美しいやり方で。
で、それはあの瞬間だけじゃなくて、『Circus Funk』というアルバムを、そして『Not too good Not too bad』という曲を再生すればきっといつでも何度でも感じることができる、そういう強固な肯定のメッセージなのだ。
ソロ3作目でそういう音楽を鳴らした香取はこの日こういうことも言ってた。「このアルバムを作って、よしこれからも音楽やっていくぞってなったけど、多分これからきっと長い旅になるよ? みんな大丈夫?」
ふはははは、こんな愛の言葉、はじめてきいたなあ。のぞむところじゃんねえ、こんなこと言われたら。
この曲を聞いてあふれた涙の理由は、べつにもういい。それは大した問題じゃなくなった。
ままならない人生。
最高でもないんだけれど。
ままならない人生。
最高でもないんだけれど。
そんな俺自身のことを、そしてきっと俺と変わらず同じようにそんな日々を生きているんだろう香取慎吾のことを、そしてそんな俺らをひっくるめたこの世界のことを、俺ももういちど愛してあげようと思う。
できるよね、できるよな、おれにだって。
それが『Not too good Not too bad』という曲を受け取って、ぼたぼた涙を流して嗚咽した俺がいま、したいことなのだ。
2024年に観たもの聴いたもの

写真は本日2024年12月31日の空。建物に反射して太陽が2つあるみたい。とにかく天気がいい12月だった。雨がずっと降っていない。夏はああんなにわけわからん荒天だったのに。
今年は色々思うところがあり、行きたいと思ったものには行けるだけ行こうと決めてそのように行動したつもりだったし、実際ほぼほぼ満足できたし後悔はない1年だったけど、振り返ると去年と観た公演数はそこまで変わらずむしろちょっと減ってたくらいなので、まあこれくらいが時間的にも体力的にも経済的にもあとその他のキャパ的にも俺のマックスなのかもしれない。観てるもののラインナップもほとんど変わってないし。
チェルフィッチュを3回も、しかもすべて違った公演で観られてどれもよかった。というか岡田さんすごいな……。城山羊の会は小劇場B1の最前で、過去断トツの近さでディープなキスシーンを凝視。城山羊ってやっていることは毎回ほぼ同じ(絡んだ関係の男女が全員集合してしまう)なのに、なぜ毎回ここまで面白いのか。絶対立ち去ったほうがいいタイミングでそれに気づかずその場に留まろうとする様が毎回笑えてしょうがない。いつまでもあのキャパで観たい。鎌田さん亡き後ナカゴー作をリアレンジした画餅は、そのスピード感がまず素晴らしいと思ったし、出来もとってもよかった。コーネリアスファンとしては上演前BGMでファンタズマがかかっててお~と思ってたら、幕切れで鳥肌。配信でもちゃんと音源使っててよかった。大箱ものでは、デスホリは2日目に見たんだけど終演後、前にいた御婦人が「小瀧くん、侮れない…!」と話されててへ~と思ったのだが、その後あれよあれよと評判が広がっていく様はすごかったな。実際すごくよかったし。他にもテラヤマキャバレー、台風23号、ウンゲツィーファ、ああ書ききれない。いや、書けよ。ほんとだよな。今になって書きたくなってくる不思議。というかこれくらいゆるい感想ならいくらでも書けるのか。にゃーー(鳴)
音楽も無限に書けそうだが早く晩酌を始めたくてしょうがなくなってきたのでひとつだけ、やはり俺にとってBAYCAMPは特別だった。この歳(39)でまさか深夜24時回ってから豪雨に見舞われてなお、最高としか思えないフェスってやっぱすごいよ。しかも大半が初見のバンドで。全然また行きたいもん。青木さんひとつどうか。
兵庫の選挙の件とか、アメリカも大変だし、能登も、ガザも、エンタメ界は性犯罪だらけだし、多くの人が苦しんだり命を落として、俺が死なないでいることってなんなんだって何度も思った1年だった。まあいまもこうしてこれをタイプしているので、まだ生きているようだ俺は、ということらしいので、生きてるうちは少しでもマシな世界になるようしぶとくやっていかねば。やるよ。誰も読んでいないだろうこのリストを、どうか来年も書けますように。良いお年を(切実)
最後に今年よく聴いた2曲。
>モダンチョキチョキズ 自転車に乗って、
なにがこんなに好きなのか未だに判然としないまま、とにかくこのライブテイクを聴きまくった1年だった。イントロのシンセとホーンのリフ、振り付けを右端の方だけ逆に踊っれるところ、リズム隊のグルーヴ、歌、歌詞、すべてセンスの塊。締めのトランペットが鳴り出すところでいつもじんわり泣けてしまう。
>小島麻由美 面影
これもなぜいまなのか理由はないけど、あのクッソ暑い夏、家で冷房つけて早く涼しくなってくれ~~と唸りながら、この曲を聴いてた。最初の「んーと」から、鍵盤から手を離す瞬間まで、すべてがすばらしい。航空公園のモジョ周年イベントでバンド編成でだけどこの曲を生で聴けたの超うれしかった。めっちゃくちゃ蒸し暑くて汗がポタポタ地面に染みを作るなか聴くこじまゆさんの歌声、比喩ではなく全身が溶けそうだった。きっと今後これを聴くたびにあの日のことを思い出すと思う。
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1/24 Buffalo Daughter/LEO今井 @ FEVER
2/7 東葛スポーツ『相続税¥102006200』@ ミニシアター1010
2/10 『テラヤマキャバレー』 @ 日生劇場
2/12 POLYSICS『1st Anniversary of Top Beat Club~ポリシックスがやって来る トイス!トイス!トイス!~』 @ TOP BEAT CLUB
2/18 『プラザ・おへやライブVol.5 ~シュガー吉永 ソロライブ~』 @ 川崎市民プラザ 2階セミナールーム
2/28 ZAZEN BOYS『ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION』 @ TOKYO DOME CITY HALL
3/24 『骨と軽蔑』 @ シアタークリエ
4/13 WEST. 『WEST. 10th Anniversary LIVE TOUR AWARD』 @ 朱鷺メッセ
4/21 『DOT MEETING』(シュガー吉永、中尾憲太郎、松下敦) @ POLARIS
4/23 WEST. 『虹会』 @ 配信
4/25 BUMP OF CHICKEN『BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024』 @ 有明アリーナ
5/5 『OTODAMA'24~音泉魂~』(CORNELIUS、POLYSICS、清水ミチコ、くるり、SCOOBIE DO、奥田民生他) @ 泉大津フェニックス
5/18 『TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2024』(WEST.、betcover!!、吉澤嘉代子、GRIM SPANKY他) @ 海の森公園
5/25 KIRINJI『KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE』 @ LINE CUBE SHIBUYA
5/26 『THE MATSURI SESSION』(ZAZEN BOYS、KIMONOS、向井秀徳アコースティック&エレクトリック) @ 日比谷公園大音楽堂
6/6 POLYSIC『"CLUB Que 30th ANNIVERSARY ONEMAN SERIES [THANQUE 30] ~ヤノ誕~』 @ 下北沢CLUB Que
6/8 チェルフィッチュ×金氏徹平『消しゴム山』東京公演 @ 世田谷パブリックシアター
6/22 Buffalo Daughter x 原口沙輔 @ Wall&Wall
6/29 モダンスイマーズ『雨とベンツと国道と私』 @ 東京芸術劇場 シアターイースト
6/30 『MOJO 20th Anniversary “thanksgiving in the park”』(小島麻由美他) @ 所沢航空記念公園 野外音楽堂
7/6 範宙遊泳『心の声など聞こえるか』 @ 東京芸術劇場 シアターイースト
7/7 Cornelius『Cornelius 30th Anniversary Set』 @ 東京ガーデンシアター
7/13 『スキマフェス』(スキマスイッチ、小田和正、コブクロ、JUJU、SUPER BEAVER、マキシマム ザ ホルモン、ゆず) @ Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)多目的利用地A
7/14 『スキマフェス』(スキマスイッチ、いきものがかり、奥田民生、スピッツ、sumika、東京スカパラダイスオーケストラ、緑黄色社会) @ Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)多目的利用地A
7/19 MO'SOME TONEBENDER @ SHIBUYA CLUB QUATTRO
7/20 ナイロン100℃結成30周年記念公演 第二弾
ナイロン100℃ 49th SESSION 『江戸時代の思い出』 @ 下北沢 本多劇場
8/3 『伊藤潤二展』@ 世田谷文学館
8/10 劇団アンパサンド『伊歩かなくても棒に当たる』 @ 新宿シアタートップス
8/18 『SUMMER SONIC 2024』(WEST.、BRING ME THE HORIZON、NIA ARCHIVES、HOOBASTANK、柳家睦とラットボーンズ、Creepy Nuts他) @ ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
8/28 WEST.『WEST. DOME TOUR AWARD ~10th Anniversary~』 @ 東京ドーム
9/15-16 『ATF25th presents BAYCAMP 2024』(パソコン音楽クラブ、group_inou、xiangyu、Bearwear、クリトリック・リス他) @ ちどり公園
9/16 Buffalo Daughter @ 晴れたら空に豆まいて
9/21 『ブロードウェイ・ミュージカル「プリティ・ウーマン」』 @ TACHIKAWA STAGE GARDEN
9/23 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA
サザンオールスターズ ライブ・ビューイング』 @ グランドシネマサンシャイン 池袋
9/28 チェルフィッチュ × 藤倉大 with アンサンブル・ノマド 『リビングルームのメタモルフォーシス』 @ 東京芸術劇場 シアターイースト
9/28 画餅 特別公演『ホテル・アムール』 @ 浅草九劇
9/29 『ミュージカル「DEATH TAKES A HOLIDAY』 @ 東急シアターオーブ
10/5 東葛スポーツ『ドリームハウス』 @ シアター1010 稽古場1
10/12 『たちかわ妖怪盆踊り2024』(TOWWA TEI、柳家睦とラットボーンズ他) @ GREEN SPRINGS 2F 中央広場
10/13 POLYSICS『TOISU感謝祭!!!2024』 @ 下北沢 Shangri-La
10/14 『第50回 自由が丘女神まつり2024』(GREAT3他) @ 女神まつり野外ステージ
10/19 『Bunkamura Production 2024「台風23号」』 @ THEATER MILANO-Za
10/19 コンプソンズ#13『ビッグ虚無』 @ 下北沢駅前劇場
10/26 ウンゲツィーファ10周年記念公演『8hのメビウス』 @ スタジオ空洞
10/27 『鎌田順也 舞台作品上映会(ナカゴー作品を中心に)』(『牛久沼』『まだ出会っていないだけ』) @ ユーロライブ
11/2 明日のアー本公演vol.10『整理と整頓と』 @ SOOO dramatic!
11/9 『草彅剛ヴィンテージデニム展示会「STAY BRAVE」』 @ 6142 HARAJUKU
11/9 『ミュージカル プロデューサーズ』 @ 東急シアターオーブ
11/16 『Mirai Moriyama&Hitoshi One presents PARCO文化祭』([ダンス]森山未來・皆川まゆむ・笹本龍史・楽曲アレンジ:Hirotaka Shirotsubaki、[コント]ダウ90000、[アコースティックライブ] 優河、[トーク]小池栄子、[バンド]Cornelius) @ PARCO劇場
11/17 『DESTINATION DEFENDER TOKYO 2024』(堀込泰行、GRIM SPANKY、亀田誠治) @ 『DESTINATION DEFENDER TOKYO 2024』会場内特設ステージ
11/17 WEST.『WEST. 10周年記念展 関西七色男大祭り』 @ 寺田倉庫 E HALL
11/19 TRICERATOPS『無期活動休止 TOUR '24-'25"DEMOLITION&ELEVATION"』 @ CLUB CITTA'
11/20 『WEST.お兄さんのうんぴょこ発表会』 @ 配信
11/22 月見ル20周年記念公演 Buffalo Daughter One Man Show(Buffalo Daughter、Chihei Hatakeyama) @ 青山月見ル君想フ
11/27 『小西康陽・東京丸の内』 @ COTTON CLUB
11/30 『WEST. 10th Anniversary Live “W” -Film edition-』 @ グランドシネマサンシャイン 池袋
12/3 香取慎吾LIVE『“Circus Funk”Festival』(香取慎吾、SHOW-GO、LEO from ALI、Chevon、Night Tempo、村田陽一、在日ファンク、SOIL&"PIMP"SESSIONS、乃紫) @ 国立代々木競技場 第一体育館
12/7 城山羊の会『平和によるうしろめたさの為の』 @ 小劇場B1
12/14 舞台『ヴェニスの商人』 @ 日本青年館ホール
12/15 岡田利規ショーケース『瀕死の白鳥』『瀕死の白鳥 その死の真相』 @ 桜美林芸術文化ホール
12/22 スキマスイッチ『スキマスイッチ“POPMAN'S Year-end Party! 2024”』ライブビューイング @ 109シネマズ二子玉川
12/25 『WEST. 10th Anniversary 大阪松竹座公演 映画館生中継!!』 @ 109シネマズ二子玉川
12/29 青山 月見ル君想フ20周年記念『感電 vol.4』』(POLYSICS、the bercedes menz) @ 青山月見ル君想フ
12/30 TBSラジオ『こねくと』公開生放送 @ 東京タワー
ままならない世界を愛せるか。10周年のWEST.が歌う『まぁいっか!』に見た過酷と希望

『まぁいっか!』という曲には「超ポップでハイパーポジティブな自己肯定ソング!」というコピーがつけられていて、これは確かにこの曲のある側面を言い当てていると思う。
この曲を聴いてポップじゃない・ポジティブじゃないと感じる人はおそらくほとんどいないだろうし、自己肯定のメッセージも確かに込められている。メンバーが些細な失敗を繰り返しながらそれでもまぁいっかと笑って乗り越えていくMVも陽性のエネルギーに満ちていて、その姿を見て私たちは笑顔になる。それはとてもWEST.らしいコミュニケーションのやり方で、彼らの10周年に相応しい一曲だ。
一方で、俺はこの曲を聴いたりMVを観ると、毎回どうにも泣けて泣けてしょうがない。MVが公開された直後は毎回観るたびに、泣けるのレベルを超えて実際に落涙していた。MVのコメント欄を見ると同じような感想がいくつも投稿されているから、これは俺に限ったことではないのだろう。なんで『まぁいっか!』で俺は涙を流してしまうのか。そのことをずっと考えていた。
アイドルがポジティブを歌う理由
そもそも、アイドルはなぜポジティブを表現するのか。仮にこの世界が黙っていてもポジティブで明るくていいことばかりなら、そのことをわざわざ表現する人はいなくなるだろう。アイドルがポジティブを表現する理由。それはつまり、この世界にはそもそもポジティブがまったく足りていないからなのだ。
『まぁいっか!』という曲の根幹となるメッセージは「なんとなく過ぎる日々にこそ愛は隠れている」だと思うんだけど、曲中ではそれを受けて<そんなイメージ持ってりゃこんな世界もちょっと煌めくぜ!>と歌われる。ではここでいう<こんな世界>とはどんな世界のことなのか。
例えばそれは、他人に自分が見た理想や夢を笑われてしまうことではないか。
例えばそれは、やり切れないことばかり押し寄せてしまう日々のことではないか。
例えばそれは、みんな違ってみんな良いとすら思えなくなってしまうことではないか。
例えばそれは、僕が、僕自身のことを、愛していられなくなってしまうことではないか。
まぁいっかは日々の些細な失敗を癒やす言葉かもしれないが、当たり前だけど全てのネガティブを救う魔法の言葉ではない。例えば彼らの10年だってある側面に目を向けると、世界はまぁいっかでは済まないことだらけだったということを痛感した10年だったとすら言えるのではないか。その最たるものが彼らが名前を変えるに至った経緯で、そのことこそこの世界のままならなさを象徴してもいる。(念のため、俺は彼らの名称変更についてはその理由も含めそうすべきだったと考える立場です)
まぁいっかで済むことのほうがこの世界では圧倒的に少なくて、たくさんの抗いようのないネガティブに満ちている。少なくとも俺にとってはそれが目の前に広がる現実だ。MVで小さな失敗の連鎖を起こしてしまう7人の姿は、確かにコミカルではある。でも同時に、確かに小さいかもしれないけど、それぞれにやっぱりどこか傷ついてもいるんじゃないか、とも思う。他者の小さな痛みへの想像力の欠如がどんな歪みを生み社会を荒廃させていくか、そのことを痛感しつづけた2024年でもあった。
ままならない世界への、WEST.の抗い方
そんな2024年、10周年のWEST.は、とにかく歌って踊って、よく笑った。それこそがアイドルの本懐なのだと言わんばかりに。
そこには明確な根拠なんてない。そんなことは彼らも承知だろう。むしろ馬鹿馬鹿しいことをしているという自認すらあるだろう。根本的にはなんの解決にもならないこともきっと、わかっているはずだ。
でも、誰かの笑顔を見て、とりあえずでも、それとなくでも、笑えることがひとにはある。その尊さを彼らは信じている。根拠なき笑顔でひとは救われる、そのことを彼らは信じている。そんな瞬間を日常のなかに積み重ねていくことで、こんな世界をちょっと煌めかせることができる、そのことを彼らはきっとものすごい自負を持って、信じている。
そういうことをひたすらに続けてきた10年があるからこそ、彼らは歌う。彼らは踊る。彼らは笑う。それが最もビビッドに表現されたのが『まぁいっか!』だ。
まぁいっかで済まないままならない世界を、どういうやり方でまた信じることができるのか。いかにネガティブに飲み込まれず笑顔とともに抗っていけるのか。
アイドルが世界をポジティブに肯定し、世界をもう一度フレッシュに愛そうとするトライアル、その2024年の最新型が『まぁいっか!』なのだと俺は思う。
MVでは、彼ら自身による小さな失敗の積み重ねによって、居心地のよかった家はついに崩壊してしまう。その光景はまるで、さまざまな失敗をまぁいっかで済まそうとしてきたことへのツケがまわってきたようにすら見える。
剥き出しとなったがらんどうのスタジオで、肩に積もった埃を互いに振り払い、彼らはふたたび笑顔で歌い踊り出す。あれほど打ちのめされたのに、また笑ってまぁいっかと歌う。なぜ彼らにはそれができるのか。
その理由は、曲のいちばんはじめに歌われている。
自分自身=WEST.であることを引き受けた10周年
この物語の主人公は僕である。絶対そうなのだ。自らそう言い切ること。これってつまり、自分の人生を自分で引き受けるということだ。
その歴史のなかで唯一「ジャニーズ」という言葉を背負ったグループは、自らその言葉を剥ぎ取り、かわりにピリオドを打った。それはあくまで非道な性犯罪を起こした創業者やブランドと決別すべく成された行為であって、そこに過剰な物語性をもたせるべきではないと俺は考えている。
一方で、自らのエンタテインメントの根幹どころか存在理由そのものが揺らぐ出来事を経験してなお、アイドル、というかもはやWEST.という生業を続けるという決断をしたこと。そのうえでこの10周年を完遂したこと。その年に『まぁいっか!』という曲を届けてくれたこと。
これらはすべて、彼らがこの先もWEST.であり続けるということを改めて引き受けたということなのだと思う。
じゃあ翻って、俺はどうだ。俺はまだ信じられるのか、まだ諦めないでいられるのか、この世界が煌めくことを。どうだろう。正直、即答はできない。
だけど、彼らの歌を聴いていると、信じたくなる。朱鷺メッセで、メトロックで、サマソニで、東京ドームで、映画館で、今年さまざまな場所でおれはWEST.を観て、彼らの音楽を浴びて、そのたびに涙を流した。泣けるから良い表現だなんて言うつもりはない。でも、彼らの声に、7人の歌におれの心が動いたという事実が、この1年でもいくつもある。
凡庸な結論だけど、結局のところ表現に向き合うということは、自分の中の「ほんとう」を探すことなのだと思う。俺はWEST.のうたに、俺にとっての「ほんとう」を見出す。だから『まぁいっか!』を聴くたび、俺は涙を流すのだ。まぁいっかが通用しない世界で、それでもまぁいっかと笑って歌い踊ることの過酷と希望を、10周年の年に表現してくれたこと。俺はそのことをずっと忘れたくなくて、なのでずっと忘れないでいようと思ってこれを書いた。
「まぁいっか」はこの世界を救う魔法の言葉ではない。けれど、WEST.が歌えば、俺の目に映る世界は少しだけ煌めく。それは俺の目に貯まる涙のせいかもしれない。それってほとんど奇跡みたいなことだ。今年、この音楽が聴けてよかったよ。ありがとう。
*
以下は長くなるのと収集がつかなくなるので割愛しましたが、本当は全編語りまくりたいほどキラーフレーズの連打であるこの曲。特に<誰かの理想にイヤイヤ合わせるくらいならサイテーの上で歌って踊ってやる!>は10周年のWEST.による猛烈に感動的な咆哮で、これを普段から楽曲制作をしてるかみしげが歌っていることも含め冴え方が本当にすごい。
そもそもポップスとして言葉もメロディもまったく過不足なく、10年目のWEST.が歌うからこその説得力をあたえつつポップスとして普遍的な醍醐味もたっぷり感じさせてくれる、とんでもない名曲ですよこれ。詞曲を手掛けたmeiyo氏すごすぎる。WEST.にこれを書いてくれてありがとうございます。
あとMVの出来がとにかくすっごくよくて、泣けてくるもうひとつの大きな理由はあの多幸感あふれる振り付けに依るところもでかいので、パワーパフボーイズの精度の高い仕事にも称賛を贈りたい。もっと言えばmeiyo×パワーパフボーイズには『POP&POP』という超絶名曲があって――とやっぱりキリがない。しかし本来はこういうことを余談にせずもっとしっかり語るべきなんですよね……。なにか別のかたちでやりたいが、遅筆にもほどがあるので予定は未定。
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最後に。この記事を含めブログでもSNSでもエンタメに救われてきたことを書き続けてきた者として、そしてこの先もエンタメに生かされていくであろう者として、ジャニー喜多川氏と旧ジャニーズ事務所の件を含め、この国のエンタテインメント・シーンに蔓延している性加害、性犯罪、パワーハラスメントをはじめとする様々な問題、それらを行う人とそれらが生み出される構造を強く嫌悪し、それらすべての存在がこの先一切無くなることを強く望みます。
同時に、すでに起きてしまった事態の被害者の苦しみが少しでも消えること、そのために必要な補償や犯罪者の処罰が適切に成されることを強く望みます。
俺の中にはここ数年エンタメを享受することに対しての罪悪感のようなものがうっすらずっと漂っていて、最後にこれを書くことがなにかの免罪符になるとはまったく思っていないけど、少しでもマシになるよう、しぶとくつよくやっていくしかない。それは俺以外の誰かのためでもあるし、なにより俺がエンタメを、そして俺が俺自身を愛していたいから、自分のためにそれをしていく。やれよ>俺。自戒を込めて。
過去回:こんなものも書いてます↓
ジャニーズWEST・重岡大毅『to you』――音楽で世界を受け入れるということ
重岡大毅はなぜ「バナナうんち」と書いたか? ジャニーズWEST『おい仕事ッ!』を聴いて考えた
『ムーンライト』の真髄は“冒頭21秒”にあり。重岡大毅とジャニーズWESTが紡ぐ音楽の喜び
ジャニーズWEST『むちゃくちゃなフォーム』――真駒内で神山智洋の歌にぼろぼろ泣いた日のこと
2023年に観たもの聴いたもの

写真は、北とぴあの展望スペースから望む北区の町並み。
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いま振り返ると、エンタメ的にも私生活でも色々ありすぎて、率直に言ってなかなかしんどい1年だった。
本当は例年通り特によかったエンタメについて簡単に振り返ろうと思ってたけどそれすらも億劫になってる始末。リストもとりあえず作成するだけで疲れてしまって、表記ゆれを直す気力すらないのが情けない。話したいことは山ほどあるけど、なかなか言葉になっちゃくれないよ。藤原基央の言葉に今さら深く共感してしまう。
そんな年だったからこそ、2023年もエンタメにたくさん救われた。各所に足を運んで、さまざまな表現やエネルギーを浴びることで、なんとか息継ぎしながらやり過ごすことができた。
来年はやり過ごすだけじゃなく、自分にできること・自分がしたいことをもう少しちゃんと考えて、行動にうつしていきたい。さすがに認めるけど、俺には自分を信じる力がなさすぎる。きっと大丈夫だよ。そろそろがんばれ。
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最後にひとつだけ。鎌田さん、やっぱ早すぎです。舞台を観てあんなに笑い転げること、この先あるんだろうか。ナカゴーもほりぶんももう観られないの、いやだ。
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1/3 香取慎吾「WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-」@ 渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホール ホールA
1/7 THE GREATEST SHOW-NEN 舞台『ガチでネバーエンディングなストーリぃ!』東京グローブ座
1/15 『ザ・ビューティフル・ゲーム』 @ 日生劇場
1/21 香取慎吾LIVE『Black Rabbit』 @ 有明アリーナ
1/22 香取慎吾LIVE『Black Rabbit』 @ 有明アリーナ
1/29 絶対♡福井夏 vol.3 @ スタジオ空洞
2/4 大竹伸朗展 @ 東京国立近代美術館
2/7 JUNK20周年記念イベント①爆笑問題カーボーイ25周年ライブ~ついでに馬鹿力~ @ LINE CUBE SHIBUYA(出演:爆笑問題、ゲスト伊集院光)
2/9 Buffalo Daughter @ 晴れたら空に豆まいて
2/11 木ノ下歌舞伎『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』 @ あうるすぽっと
2/18 東葛スポーツ公演『ユキコ』 @ シアター1010/稽古場1
2/25 やっと会えるね!『NAKAMA to MEETING Vol.2』 @ 国立代々木競技場第一体育館
3/3 POLYSICS「POLYSICS 25th Anniversary Tour ~アタック25!!!~」 @ 渋谷CLUB QUATTRO
3/4 POLYSICS「POLYSICS 26th Anniversary Live ~P2P~」 @ 渋谷CLUB QUATTRO
3/5 『あなたが彼女にしてあげられることは何もない』 @ SO TABLE KOBE 0330(リモート)
3/11 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『掃除機』 @ KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
3/25 ミュージカル『おとこたち』 @ PARCO劇場
3/26 2022年度 ENBUゼミナール卒業公演『皮』 @ 『劇』小劇場
3/27 ジャニーズWEST『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2023 POWER』 @ 横浜アリーナ
4/1 吾妻光良『ブルース飲むバカ歌うバカ(新装版)』発売記念 サイン会+トークショー+ミニライブ @ タワーレコード渋谷
4/5 オノ セイゲン&晴豆 presents 11MHz DSD/Nu 1 試聴体験会 vol.6~feat.Buffalo Daughter @ 晴れたら空に豆まいて
4/8 香取慎吾LIVE『Black Rabbit』 @ NHKホール
4/12 ボブ・ディラン "ROUGH AND ROWDY WAYS"WORLD WIDE TOUR 2021 - 2024 @ 東京ガーデンシアター
4/22 明日のアーの新喜劇「親切な寿司屋が信じた『3000万あるんですけど会ってもらえますか?』」 @ 木馬亭
4/22 こまつ座『きらめく星座』@ 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
4/23 ジャニーズWEST「虹会」@ オンライン
5/3 ナカゴー 特別劇場『ひゅうちゃんほうろう(再演)』@ 北とぴあ 14階 カナリアホール
5/3 ナカゴー 特別劇場『もはや、もはやさん(再演)』@ 北とぴあ 15階 ペガサスホール
5/4 夜叉ヶ池 @ PARCO劇場
5/6 J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S CHRIS PEPPLER EDITION @ 六本木ヒルズアリーナ(ao、Ichika Nito & The Toys、君島大空、Cornelius、Bialystocks)
5/10 ドレスコーズ/小西康陽 @ 渋谷CLUB QUATTRO
5/13 ジャニーズWEST『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2023 POWER』 @ 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
6/3 日比谷音楽祭 2023 @ 日比谷公園(WONK、四家卯大ほか)
6/24 【未来につなぐもの】Ⅲ 楽園 The Blissful Land @ 新国立劇場 小劇場
6/25 伝説のファッション・イラストレーター 森本美由紀展 @ 弥生美術館
6/25 横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー
6/25 坂本慎太郎 LIVE2023 in HIBIYA @ 日比谷公園野外大音楽堂
7/8 Buffalo Daughter「Buffalo Daughter 30周年記念企画第三弾・京都編」 @ 京都メトロ(出演:Buffalo Daughter、空間現代 Guest:山本精一)
7/15 EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~「NODA・MAP番外公演「THE BEE」Japanese Version ジャパンツアー」(2012年上演/デジタルリマスター上映) @ PARCO劇場
7/16 EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~「笑の大学」(2023年上演/8K+立体音響上映) @ PARCO劇場
7/29 香取慎吾LIVE『Black Rabbit』 @ ぴあアリーナMM
7/29 範宙遊泳『バナナの花は食べられる』 @ KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
8/5 チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』 @ 吉祥寺シアター 劇場
8/6 MOTコレクション 被膜虚実 @ 東京都現代美術館
8/6 被膜虚実 特集展示 横尾忠則―水のように @ 東京都現代美術館
8/6 生誕100年 サム・フランシス @ 東京都現代美術館
8/6 ZAZEN BOYS「MATSURI SESSION」 @ 日比谷公園大音楽堂
8/9 SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. “NEW VIEW” ヒカシュー結成45周年記念ライブ ~ヒカシューの凸凹ヒストリー全方位LOVE日和~ @ 渋谷CLUB QUATTRO ヒカシュー 日比野克彦によるスペシャルインスタレーション 共演:纐纈雅代 / 大友良英 / マリアンヌ東雲 / 高木完 / 立花ハジメ
8/11 エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと @ 東京芸術劇場 シアターイースト
8/12 メルセデス・アイス MERCEDES ICE @ 世田谷パブリックシアター
8/20 SUMMER SONIC 2023 @ ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ(ジャニーズWEST、CIMAFUNK、ケンドリック・ラマー、リアム・ギャラガー、柳家睦とラットボーンズほか)
8/23 小西康陽「小西康陽・東京丸の内」 @ COTTON CLUB
9/10 The Condition Green vol.2 @ 晴れたら空に豆まいて(Buffalo Daughterほか)
9/30 Cornelius 夢中夢 Tour 2023 @ LIQUIDROOM
10/1 サザンオールスターズ「茅ヶ崎ライブ2023」ライブ・ビューイング @ TOHOシネマズ ららぽーと富士見
10/13 Cornelius 夢中夢 Tour 2023 @ KT Zepp Yokohama
10/14 LIVE AZUMA 2023 @ 福島県あづま総合運動公園(電気グルーヴ、思い出野郎Aチーム、YOUR SONG IS GOOD、きゃりーぱみゅぱみゅ、羊文学ほか)
10/22 アー「アーの9」 @ 東京都大田区西糀谷2丁目22−2
11/3 「横尾忠則 寒山百得」展 @ 東京国立博物館 表慶館
11/5 宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE @ 練馬区立美術館
11/5 「THE FINAL MEDIA DOMMUNE」~SPECIALライヴストリーミング11 <公開生収録!!>FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE audible Presents 「DOMMUNE RADIOPEDIA」【大百科109】〜 超文化大百科!! season 5-5 聴く文化融合!! 菊地成孔と大谷能生の「XXX et XXX」〜DOMMUNISM的接続【第5巻】「バート・バカラックと世界のデパート」 @ 練馬区立美術館
11/6 FRUE presents Tim Bernardes / 坂本慎太郎 @ WWWX
11/17 『POLYSICS,四星球 ツーマンライブ ~炸裂!秋の夜長にトイス&ブリーフ!~』 @ 下北沢CLUB Que
11/21 Buffalo Daughter 30th Anniversary Final x Essential Tremors Tokyo @ (Buffalo Daughter + ゲスト(小川千果、松下敦、茂木欣一、小松正宏)/tamanaramen/Party Dozen(from オーストラリア) DJ: 山本ムーグ VJ: onnacodomo)
11/25 『NOISES OFF』 @ EX THEATER ROPPONGI
12/9 城山羊の会『萎れた花の弁明』 @ 三鷹市芸術文化センター星のホール
12/22 スキマスイッチ 20th ANNIVERSARY "POPMAN’S WORLD 2023" & スキマスイッチ 20th ANNIVERSARY "POPMAN’S WORLD 2023 premium" @ 日本武道館
12/24 菊地成孔 3DAYS デュオ with 大友良英 @ 新宿ピットイン
12/28 DEPAPEPE「今年も急でごめんね忘年会ライブ2023!!」 @ 原宿ストロボカフェ
ジャニーズWEST『むちゃくちゃなフォーム』――真駒内で神山智洋の歌にぼろぼろ泣いた日のこと

<アルバム『POWER』における7人のボーカルの貢献>
アイドルという人たちは、そのキャリアの中で多種多様なジャンルの楽曲を歌う。ジャニーズWESTの現時点での最新アルバム『POWER』にも実にバラエティに富んだ楽曲たちが収録されている。そしてメンバーたちは当然のようにそれを歌いこなすことを要求される。
「歌いこなす」とはどういうことか。シンプルに言えば、その楽曲が要求するボーカルをボーカリストとして提供するということになるだろう。そしてそれは『POWER』のすべての楽曲において着実に達成されている。
ところでグループのメンバーであり優れたソングライターでもある重岡大毅さんは、自身が手掛けた楽曲のレコーディングに際してメンバーひとりひとりに楽曲に込めた想いや意図を手紙で伝えるのだそうだ。その詳しい内容は明かされてはいないけど、メンバーは重岡さんから受け取った言葉も重要な指針として、レコーディングに臨むはずだろう。
とは言え、どんな言葉を受け取ったとしても、最終的に歌うのは各メンバー自身である。楽曲に対して自分の持つスキルをどう使ってどう表現するか、その結果生まれたボーカルは、歌い手による楽曲に対する批評でもある。つまり各メンバーが「楽曲をどう解釈したか」、その回答が実際に録音されたボーカルに表出しているのだ。
今回重岡さんが作った『むちゃくちゃなフォーム』という楽曲において、7人の歌の貢献度はとても大きいのだけど、そもそもこの曲はメンバーにとって、決して簡単に歌いこなせるものではなかったのではないか。
例えば歌割りひとつとっても、冒頭で最年長の中間淳太さんに<いま 僕は大人になれますか>というある種の未熟なナイーブさを、その直後に最年少の小瀧望さんに<無茶をする歳じゃないし>という老成した焦燥をそれぞれ歌わせていて、ふたりに年齢的立場で言えば逆のメッセージを歌わせている。
またラストの大サビまでメンバー同士のユニゾンがなくソロパートのみで繋いでいく構成もこれまでにないもので、この曲は色々な面でメンバーにまた新たなフェーズのハードルを課した構成になっていると思う。
では結果的にどうなったか。完成した録音物を聴けば、この曲を成立させるうえで7人の歌の貢献度の大きさがよくわかる。この曲を血の通った音楽として成立させているのは、紛れもなく7人の歌の力である。
*
中でももっとも驚いたのは、神山智洋さんの歌だった。
「器用」「マルチ」「何でも出来る」という枕詞を与えられることの多い人だけど、グループでの歌唱や自身が作る楽曲、また『LUNGS』『幽霊はここにいる』といった舞台を通して彼の表現に触れるたびに、彼の中には強烈な表現の核のようなものがあって簡単なことでそれは揺るがない、本質的にはむしろそういう不器用な性をもった表現者であると俺は感じている。(その上で「何でもこなせる器用な才人」でもあり続けていることが実は凄いのだけど)
ジャニーズWESTの表現において、彼が担うものはとても大きい。特にボーカル面では、アルバム『POWER』においても「突出して」と言っていいほど、彼の歌のスキルがアルバムの完成度を何段階も押し上げている。
その上で、というかだからこそ、あえてこの言い方をする。彼ならもっと丁寧に、もっと巧く歌おうと思えば、いくらでもそのように『むちゃくちゃなフォーム』という曲を歌えたはずだ。
でも、彼はそれをしなかった。ハナから巧さを捨てたのではない。自身の巧さやスキルを総動員しつつ、同時にそれらを手放しているようでもあるのだ。
どこまでもシリアスで、どこまでも切実。あれほど正確なピッチを保って歌える人が臆面もなく曝け出す、生々しい声のゆらぎ(まあそれでもピッチは全然保っているんだけど)。端的に言って『むちゃくちゃなフォーム』における彼の歌は、神山智洋という人の不器用さが過去最高に表出したテイクだと俺は思う。少なくとも俺はこんな彼の歌を、この曲で初めて聴いた。そして彼の歌にこんなにも心を揺さぶられたのも、これが初めてだった。
<『POWER』ツアー横浜公演で聴いた『むちゃくちゃなフォーム』の変容>
今年の3月の終わり、アルバム『POWER』を引っ提げたツアー『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2023 POWER』を横浜アリーナで初めて観た。そのとき『むちゃくちゃなフォーム』はアンコールの3曲目、ライブの本当の終わりの終わりで歌われた。
以下、記憶を反芻しているので相違あるかもしれないけど、1番が終わったあたりで重岡さんが「おい、みんなあっちで座って歌おうぜ」というようにメンバーを促し、後方にせり上がったステージに全員で横一列に腰掛けて2番を歌いはじめた。
もちろん、そのあとに続く2番のサビは神山さんが歌った。で、その日のライブが終わって、スマホのメモに俺はこう書いた。
<むちゃくちゃの神ちゃんソロ、音源とまっっったく違った 笑顔、柔和、やさしいたくましさ 音源の切実さとはほんと違ったな>
そう、俺がこの日聴いた神山さんの歌う『むちゃくちゃなフォーム』は、音源のそれとは全くと言っていいほど違ったのだった。
実はこの日俺は制作開放席というステージ向かって上手のステージの真横、というかむしろ真横より微妙に後ろから観る席だったので、2番を歌う彼らの姿はほとんど見えず、この日2番を歌う神山さんの表情も俺にはほぼまったく見えなかったのだけど、その歌声は明らかに笑顔が思い浮かぶ、とても柔らかで朗らかとすら言っていいものだったのだ。
その歌を聴いて俺は、「そうか、ライブを経るとこの曲はこんなふうに柔和なものとして表現される曲となったのか」と、驚きとともに新鮮な納得をしたのだった。
後日ネット媒体のその日の公演のライブレポートに載った7人が横並びで座って歌う姿は、まさに神山さんの声を聴いて俺が思い浮かべた彼らの姿そのものだった。1列にならぶ、7人7様の笑顔。その光景は彼らを好きな人ならグッとこないわけにはいられない、ほんとうに素敵なワンシーンだった。
その朗らかさは俺が音源から受け取っていたものとは違ったのだけど、<ライブは生き物であり、ライブで曲は変化し成長する>ーーという使い古された定型文も、これはこれで揺るがぬ真理なのだということを痛感した瞬間でもあった。
<真駒内で神山さんの歌を聴いたときのこと>
それから2ヶ月足らず。陽光に恵まれた、5月の爽やかな風が吹く北海道・真駒内で行われたライブでも、『むちゃくちゃなフォーム』はやはりライブの最後に歌われた。
ただ、横浜で観たときと、明らかな違いがあった。2番に入っても重岡さんから特に呼びかけられることはなく、メンバーはステージ上で散り散りのまま歌い続けたのだ。
てっきりあの横並びで座るのは決まった流れというか演出だと思いこんでいたので(それだけグッとくる良いシーンでもあったのだ)、俺は「あれ? あのみんなで横並びに座る流れ、なくなったんだ?」と少し驚いた。そして曲の通り、神山さんが2番のサビを歌い出した。
彼が歌う、最初のワンセンテンス。それだけを聴いて、すぐに涙が滲み出た。そして、ああ、俺はこの声が聴きたかったんだ、と思った。
他の6人がステージ前方に並んで客席に向かって大きく手を振るなかで、神山さんは上手の端の端に置かれた岩を模した足場の上に胡座をかいて、ひとりで、歌っていた。
それはソロパートだからひとりで歌っているのだという意味ではなく、ステージ上では間違いなく7人でいるのだけど、不思議とあの時間だけは、神山さんは「ひとり」で歌っているように、俺には見えた。
時には前に屈んで、時には彼方を見つめ、時には顔をぐしゃぐしゃにしてぎゅっと目を瞑ったりしながら、彼は歌った。横浜で観たときの、笑顔が思い浮かぶ柔和さとは全く違う、音源で何度も何度も何度も何度も何度も聴いた、あの胸を掻きむしられる、どこまでも切実な歌声で。
俺はマスクの下で嗚咽を抑えるレベルでどんどん涙を涙を流しながら、彼のその声と姿を受け止めた。
横浜からこの日のあいだに、いつどのようにしてあの横並びで座って歌う演出でなくなったのか俺は知らないし、そもそもあの横並びが毎回の決め事だったのかどうかも知らない。けど、少なくとも俺が観た2回のライブでは確かに違った。そしてその違いは、とても大きいことだった。
これは優劣の話では全くないことを断った上で明言するが、横一列に並んで「みんな一緒」という見え方で歌われるのと、ステージの端の端でひとりで歌われるのとでは、シンプルにやっぱり全然違った。なんというか、楽曲そのもののちからに加えて、「その楽曲をどう歌うか」によってこんなに歌が変わることがあるのかというちょっと驚くほどの気づきがあった。
で、なぜ今回俺が落涙するほど心を揺さぶられたのかというと、このときの神山さんの歌を聴いて、『むちゃくちゃなフォーム』という曲はつまり「ひとりひとりが、それぞれひとりひとりのままでいてよい」という曲なんだと、初めて気づいたからなのだ。
<『むちゃくちゃなフォーム』が描く、ひとりがひとりでいることの尊さ>
そもそも彼らは「個性的」なんてひと言で表現するにはあまりに不十分なほどそれぞれに異なる魅力を放っていて、それこそ7人それぞれに全く違うフォームを持ち寄ってジャニーズWESTというひとつのチームとしての表現を作り上げている。
各々の違いを無闇に整えたり間引きするのではなくて、むしろ違いを最大限尊重しつつチームをやり続けるというなかなかにハードルの高いトライアルをし続けている。それが俺の目に映るジャニーズWESTの姿だ。
『むちゃくちゃなフォーム』のサビのフレーズは、最後の最後でだけ<むちゃくちゃなフォームで生きている>と現在進行形に、そして<僕らはやれるんだ>と複数形になる。これはジャニーズWESTというチームのことでもあり、俺やあなたを含むいま・ここに存在する全てのひとりひとりのことを指しているのだと思う。
それぞれがそれぞれのフォームで生きている、そのことこそを愛そうとすること。自分と違うフォームで生きる他者のことを尊重し、「いつか会えますか?」と呼びかける、そういう決して簡単じゃない、たからこそ掛け替えのないこと。
あの日真駒内のステージで、フロアに向かってめいっぱい手を振る6人と、ひとり顔をくしゃくしゃにして『むちゃくちゃなフォーム』を歌う神山さんの姿と歌声は、まさにそういうものの具現化に見えた。
ひとりでいることは、ひとりぼっちになってしまうことと同義ではない。むしろ、ひとはみんな根本はひとりである、そのことを認めるからこそ、自分でない誰かを尊重し愛することができる。7人で作るステージの上で神山さんがひとりで歌う歌声の切実さに、俺はそういうアティチュードを受け取った。もっと言えば、曲の大半をメンバーのソロ=ひとりひとりのパートで繋いで、最後にやっとユニゾンになるという構成も、この曲にとって必要不可欠なものだったのだなと今では思う。
“ひとりひとりがひとりひとりのまま7人で共にいる”、そういうジャニーズWESTがあのときステージのうえに立ち現れた。そのことにどうしようもなく泣けたのだ、俺は。
で、そのことは、神山さんにそういう歌を歌わせてしまう力が、『むちゃくちゃなフォーム』という曲にあった、ということでもある。
神山さんのこの曲のボーカルのアプローチは楽曲に対してすごくストレートで誠実で、そしてやっぱり不器用で。それこそが彼なりの「むちゃくちゃなフォーム」の表現であって、重岡さんから託された楽曲に対する彼なりの批評なのだと思う。
そして、その結果がこのすさまじい切実さであるということも含め、なんで俺は『むちゃくちゃなフォーム』の神山さんの歌声にこんなにも心を揺さぶられていたのか、その理由が真駒内のライブを観てやっとわかった気がしたのだった。
優れた楽曲とは何か? その条件はいくつもあるけれど、「歌い手の未知のポテンシャルを引き出す力」というのも紛れもなく楽曲の持つ力で、俺の中でソングライター・重岡大毅への信頼もまたひとつ深まることになった。これまで何度も思ってきたけど、つくづくすごい曲を書く人だ。
*
最後に。今回俺は『むちゃくちゃなフォーム』という曲と、そこでの神山さんのボーカルについて書いたわけだけど、実際はこれが×7同時並行で起きているのがジャニーズWESTというチームのすごさだ。去年初めて彼らのライブを観たときのツイートを引用する。
<初めて生でジャニーズWESTのライブを観て感じたのは、7人が各々異なるプロフェッショナリズムを持ってライブに臨んでいて、互いの違いを尊重&許容し合いながらひとつの表現を作り上げてるのだなということで、なんというか調和と歪さがいい塩梅で同居するのが魅力的なチームだなと思った>
https://twitter.com/oddcourage/status/1535958696873689089
この印象は今でも全く変わっていないどころか今回のツアーを経てより深まるばかりだ。実際、他の各メンバーに細かく言及しようとするとこの数倍の文字量になるので今回は割愛したけど、例えば『むちゃくちゃ~』で言えば、桐山さんの「この涙」のニュアンスは横浜と真駒内でまったく変わっていて驚愕したし、藤井さんと重岡さんの『ぼくらしく』も実は演出というか歌われ方がガラッと変わっていて、それにもとても驚かされたし、いくつもの発見があった。
だからつまり、俺がまだ気づけていない7人=チームジャニーズWESTの魅力というのはきっとまだまだ、たっっっっっっくさんあって、それは×7どころか今後も無限に生まれてくるはずだ。『POWER』のライブを経てそういう確信が俺にはある。
で、俺はその変化と進化を観続けていきたい。変わること、進むことを止めない歩みのその先にこそ、いまを超える刺激的で豊かなジャニーズWESTの表現がきっと待っているはずだから。
あの日真駒内でソロパートを歌い終えた神山さんは、それまでのシリアスな表情を崩して、やっと、ふわっと笑った。きっとあの笑顔も、神山さんなりの『むちゃくちゃなフォーム』という曲に対する批評だったのだと思う。ジャニーズWESTのライブにはこういう、「ああ、この場に立ち会えてよかったな」と心底思える瞬間が、いくつもあるのだ。
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ミュージカル『おとこたち』ーーそりゃ悲劇。だけど、俺は励まされました

PARCO劇場で「ミュージカル『おとこたち』」を観た。
2014年初演のハイバイの劇団公演『おとこたち』が、主宰の岩井秀人の手でミュージカル化された作品。俺は2016年の再演を観ていたが、その記憶は遠い彼方へ…。今回かなり新鮮な気持ちで観た。
演劇は大好きだけどミュージカルには疎い俺だけど、2023年はなぜか縁がありすでに今年2本目のミュージカル。とは言え、1月に観た『ザ・ビューティフル・ゲーム』も面白かったけど、同じミュージカル枠でも『おとこたち』はまた全然違った。本作は所謂ミュージカル然としたミュージカル(例えばシーンの最中にいきなり歌い出すというような感じ)をあえて茶化すというか皮肉るような演出もあって、それを確かな技術をもった俳優陣がやり切るのが面白い。逆に言うとミュージカル感はそんなになかった感じもする。
ただ、実は俺が今回いちばん心を動かされたのは、本作の中でも最もミュージカル度が高いシーンとも言ってもいいだろう、一幕のクライマックス大原櫻子のソロパートだった。
演劇的なモノローグに音階が加わり、やがて歌唱となっていくあの時間、おれはマスク越しでも床にこぼれるほどの涙を流した。すごかった。『おとこたち』と冠された舞台で大原櫻子演じるあのシーンがもっとも心を揺さぶったことは、7年前に再演を観たときと比べて俺のなかでもっとも大きい変化だったと思うし、それは間違いなく大原櫻子という人の表現とあの楽曲のパワーだった。ミュージカルの王道からするとかなりオルタナティブかつ歪な気もするけどそれでも、ミュージカルってすげーなあ…、そう痛感したシーンだった。こう言い切っておく、すごく感動した。
本作の稽古場レポートの記述によると、本作は「悲劇」なのだそうだ(少なくとも作者はそう言ってる)。確かに登場する4人の“おとこたち”が辿る人生は、決してというか全然ハッピーではない。本作を観て彼らのような人生を送りたいと思う人はまずいないだろう。それでも、というか、だからこそ、俺はまさにその悲劇の締めくくりであるラストシーンで歌われた楽曲に救われたし、励まされた。
というのも、本作を観た日はおれの誕生日だったんだけど、ここ最近おれは色々あってひどく落ち込んでいて、なんか、ここまで生きてきたけど、結局いまのところ俺って全然ひとりぼっちじゃん、孤独じゃん、明け透けもなく言うとめちゃくちゃ寂しいじゃん、おれなんか生き方間違えたかなあ……なんかそういう気持ちで迎えた誕生日だったんです。
先月くらいからけっこうずっとそういうメンタルだったので、この状態で観る作品として本作ってどうなんだろう…前観たときけっこうハードな印象もあったし…観て余計落ち込んだりしないかなあ…と若干心配だったんです。
でもラストナンバーを歌う彼ら・彼女らを観ていて、あーそうか、なるほどなるほど、やっぱそうだよな、そうだよね、そうだそうだ、結局ひとりなんだ、じゃあもう、どうでもいいのでは?どうせひとりぼっちになるんだったら、それまで好きにやればいいのでは?と、なぜか謎に元気が出たのだった。それが今の俺にとってよいことなのかはわからんけど、とにかくあのときの、そして今夜のおれの素直な気持ちはこれなのだった。
なんか、7年前の観劇時もけっこう衝撃を受けてたつもりだったけど、まだまだ全然他人事だったんだなあ。あのラストでやる気出るなんて俺の人生どんな人生だよ。まあただのヤケクソなのかもしれないけど。とりあえず2023年の俺にとって、とっっっってもでかい作品でした。観られてよかった。
最後に。1幕ではほぼ歌わなかったユースケ・サンタマリア、2幕での歌唱のすばらしさに驚いた。というかこんなにいい俳優だったんだ。今更ですがファンになりました。というか出てた人、知ってる人も初めましての人もみんなよかった。ステージ上の生演奏も至福。ミュージカルとしても舞台作品としてもかなり変わってるとは思うけど、多くの人が観て色々動揺するべき作品だと思います。東京は4/2まで、大阪・福岡にも回ります。ぜひに。