だから構造家は、楽しい -31ページ目

プロの試合

ふら~っと、サンダル履きで行って来ました。



下高井戸まで自転車で行き、そこから170円。



京王線は飛田給で降りました。






行ってきたのは、



味の素スタヂアム






そう、



サッカー観戦です。


プロサッカー




対戦カードは

ヴェルディ vs コンサドーレ 



って、別に大のサッカーファンというわけではありませんが、偶然チケットが手に入ったので。

昨日までの激務に対する福利厚生ということで、バイト君と一緒にサッカー観戦。






アメブロ→サイバーエージェント→ヴェルディ。


ということでヴェルディを応援してきましたが、結果は2対1で敗戦。。。






2点目の得点シーンは、中々のものでしたが、全般的には、停滞気味な試合。


知ってる選手は、廣山選手くらいだし。。。


どの選手よりも監督の方が断然有名、というところにこのチームの弱さが表れているような感じでした。





試合後のファンへの挨拶では、選手たちはサポータから大ブーイングを受けていました。


90分戦い、敗戦した直後の大ブーイング。。。


厳しい世界です。






さて、そんなサッカー観戦ミニツアーではありますが、バイト君は、スタヂアムや飛田給駅の構造体を見ながら、ブレースの接合部や梁端の下フランジにくっついている横座屈補剛用のアングルを見つけては、昨日まで自分がまさに計算していたものたちがそこに存在しているということを認識し、とてもよろこんでいました。




成長です。






僕にもそういう時期がありました。


というか、いまだにそうです。





全てのものには、本来、存在している理由があるべきなのだと僕は思っています。


その理由の発見に喜びを感じ、それを習慣づけられるといいですね。




そして、次のステップでは、


 その理由にどの程度の正当性があるか


 そのあり方としてどうであるか


ということを真面目に考える。




その二つをきちんと判断でき(さらに説明でき)るようになれれば、


それで十分に一人前になれるもんだと思っています。





今日の試合からは、あまりそういうものを感じさせてくれる選手、つまりは、



「何故にサッカーをやっているのですか?」



という至極単純な問いにプレーで答えてくれる選手がいなかったというのが、やや残念でした。



久しぶり

正午前にピンポイントで教授と打合せ。今日も吉田キャンパス。

教授の午前の打合せ終了次第、打合せスタートという時間設定だったため、

今出川通りにある進々堂 で待機。


久しぶりの来店ですが、変わらぬ姿でいてくれました。


進々堂

学生時代に、頭を休めによく来たものでした。

カフェ(ミルク入り、340円)を飲んでいると、教授から電話が入ったので、店を出て教授室へ。


助手の方を交えて軽く打合せをした後、助手の部屋へ移動し作業。

久しぶりに、学生時代に使っていた工学部7号館での作業でした。

助手から現行プログラムへのデータの変換についての説明を受け、簡単な例題を作ってみて、内容を確認。


17時半前に大学を出て、京都駅から新幹線に乗り込む。

車中、名古屋に到着まで先ほどのデータ変換作業を行う。


名古屋で待ち合わせの森田さんと合流。

新幹線車中で明日の木材技術センターでの打合せの作戦会議。


東京到着後、そのまま森田さんを連れてスープデザインへ。


森田さんと土井クンは、共に京大の布野修司研究室(当時)の出身者で、久しぶりの再会。

森田さんが左官職人になるきっかけを与えたのは実は土井クンであったことを知る。


スープデザインで軽くビールを一杯のんで、森田さんを駅まで送って解散。


ニューデザインパラダイス

昨夜、テレビでニューデザインパラダイス を見ていたら

いきなりスープデザイン(グラフィック)の尾原さんが出てきたのでビックラこきました。


アートディレクターの彼らしい魅力的なノートだったと思います。


めっきりスターですね。(^-^)


彼と初めて会ったのは6年前の5月ころだったかな。

土井クンや大成建設のワタナベ君とともにスープデザインを始めたばっかりのころだったと思う。



今はグラフィックと建築で別のオフィスになってしまったけれど、昨秋までは同じ部屋で仕事をしていたものだから、土井君との打合せの後、夜一緒に飲みに行ったりしたこともありました。

建築については門外漢の彼ですが、思考の手順がしっかりとしていて、人の言葉にしっかりと耳を傾け、その上で、決してピントを外さない鋭いコメントをくれるので、建築の話をしていてもハッとさせられることが多いのですね。



建築事務所しかしらなかった僕にとっては、スープで打合せをすると、プロの編集作業を傍らから感じることができたので、とても楽しかったです。

そこにある建築とは違ったスピード感や独特の活気に、いつも刺激を受けていました。



表参道・渋谷・原宿のトライアングルを転々としながら出世魚のように事務所が大きくなっていく姿は、とても羨ましく、また、こちらの励みにもなっています。


これからも頑張ってください。



池田巌漆芸展

池田巌漆芸展

親しくさせていただいている漆芸家の池田巌さんの個展の案内状が届いていましたので、

午前中、銀座の阿曾美術 さんまで家内と共に行ってきました。


前回の前衛芸術的な個展 とは違い、今回は茶器と花入れ。


用と美という関係は、建築にも通じるものがあります。


若竹のころに型にはめ、そのまま成長させることで得たという不思議な形をした竹を用いた花入れには、なんとも言えない力強さと美しさが共存しておりました。


作為的でありながらも自然のありよう(この場合は竹が自ら成育しようとする力)がそのまま形として現れるという意味では、作為的な造形美と重力に対し効率良く抵抗する形態が拮抗する瞑想の森の屋根にも同じことが言えます。


画廊内の茶室では、池田さんの見立てを堪能しながら薄茶を一服頂戴しました。


少シ変ワッタ形ノ茶碗ダナ・・・


と思えば、それは何とローマ時代の出土品ということで、池田さんの粋なはからいに感服。


ポーラ美術館

昨夜のサッカーは0-0の引き分けでしたね。

やっぱり点を取らないと。


オーストラリア戦もあまりスカッとした点の取り方ではなかったので、豪快なシュートでのゴールシーンが見たいところです。

ここはひとつ、中学の後輩であるFWの大黒選手に是非頑張ってもらいたいところです。



さて今日は、強羅からバスに揺られて、ポーラ美術館 へ行ってきました。

エントランス案内

設計は日建設計。


木立の間のブリッジを渡りエントランスへ。

エントランスブリッジ


エントランスへ入るといきなり整然と並んだガラスマリオンがお出迎え。

エントランス


きちんと軸方向にルーズが切られています。

ガラス端部ディテール


エスカレータで降りてB1Fのチケット売場へ


B1Fチケット受付


展示室内を含め、主な見える鉄骨柱は全て十字柱にしてありました。


美術品の転倒・落下に対する安全を確保するために、地中に埋め込まれたこの建物に対しあえて免震装置を導入したのだとは思いますが、それに伴い、内部空間に現れる柱は、支配軸力のみを負担させる明快な構造計画とすることができたのでしょう。


透過ガラス、PC板天井、光壁、トラバーチンの床と壁、そして、白の鉄骨十字柱。


内部空間は、そのほとんどがこれらだけで構成されているわけですが、ボリュームの変化の与え方がダイナミックで、しかしながら、同時に繊細さも感じられたわけでして、とても気持ちよく居心地の良い空間でした。

B1Fからホール越しの眺め

↑地下1階レベルからホール越しの眺めです。


地下3階までもぐるわけですが、息苦しさのようなものは全くありません。


鉄骨十字柱とホール吹抜

↑ホールは3階から全層吹き抜けです。


B3Fからトップライト見上

↑ガラスリブのトップライトが地下3階まで光をたっぷりと届けています。


展示室入口と光壁

↑光壁です。

ガラスを波型加工させて作られた光壁を、トップライトまで上昇させていくのは、上手いやり方ですね。


十字柱ブラケット

↑非常にシンプルに見えるこのディテールですが、梁のH鋼に対し、2面せん断で取合わせるというとてもエグイこともやってます。

(何故にエグイのかわかりますか?)


プランは明快でユーザーとして非常に使いやすかったですし、空間は迫力も上品さもありましたし、ディテールは繊細さも大胆さもあるし、空調は暑くも寒くもなく快適でしたし、外部の緑の取り込みかたもばっちりだし、それはまぁ素晴らしい建築だったと思います。


あえて気になる点を挙げるとすれば、展示室の空調音が少しウルサイかなと気になった事くらいでしょうか。


ただ、それで全てが台無しになるような類のモノでもありません。

他が良すぎて、悪い点が目立ちすぎているだけです。


本気の日建設計のレベルの高さを肌で感じることができました。


企画展示は、ピカソでした。


ピカソについては同じ箱根のピカソ美術館やバルセロナで何度となく触れてきてはいたのですが、今回は非常にわかりやすかったです。建築がよいと、鑑賞する側が受け入れ易くなるのでしょうかね。

って、こういう言い方は学芸員さんに失礼ですね。スイマセン。


所蔵品展示もよかったです。


黒田清輝や岸田劉生といった定番もさることながら、高校の大先輩である佐伯祐三の絵画を2つ見ることができたのも幸運でした。




最後は、気持ちのよいカフェで、お茶を楽しみました。

カフェから森を望む

透過ガラスによるマリオンのため、視線は全くさえぎられることはありません。

まるで一つの大きな絵画のような鮮やかな緑の木立の眺めを満喫することができました。


ロマンスカー&登山鉄道

朝から幼稚園で、参観。

長女と二女の2クラスを嫁さんと交代しながらハシゴ。


終了後、いったん家に戻り、あわただしく着替えて新宿へ。

小田急新宿駅員である知人に予約しておいてもらった切符を受け取り、ロマンスカーに乗り込む。


最後尾ではありますが、展望席を確保していただきました。


ロマンスカー展望席

7年ちょっとの東京暮らしで、嫌というほど乗ってきた小田急線ではありますが、いつもの側方の車窓とは全く異なる新鮮な風景として映りました。


はしゃぎすぎ・・・

↑子供たちもご機嫌です(^O^)。


ロマンスカーの終点の箱根湯本駅で箱根登山鉄道に乗り換えです。

箱根湯本駅

↑箱根湯本駅はアーチ構造でした。



箱根登山鉄道は、Maxで80/1000という急勾配を登っているそうです。


登山電車


途中、3度のスイッチバックをして、終点の強羅へ。

ここが今日の宿泊地。


箱根は紫陽花が綺麗でした。


紫陽花

建築構造設計と法規制

6月は京都でスタートです。


午後1時から、大学で(財)日本住宅木材技術センター理事の室田達郎先生の特別講義。

大学で講義を聴くのは7年半ぶり。


室田先生は京大から建築研究所を経て現在の職につかれている方。


以前は法を作る側に立っていた人物ではあるけれど、基本的には構造設計における法規制による悪弊に大いに懸念を抱いている人物でした。


けっこう過激な内容でもありながら、しかし、そこには僕がこのブログで書いている内容と非常に近い部分もあり、非常にうなずくことが多く、また、腑に落ちることが多い、大変に実のある講義でした。


1998年の建築基準法の改正における性能規定化によって、

建築基準法は構造安全性に関する要求性能を規定しました。

それは、建築基準法第20条により

「政令に定める基準に従った構造計算によって確かめられた安全性

と定義されています。


この性能についての法律上の概念には、


①法令に構造計算の基準を定める。

②その基準どおりに構造計算をして、建物全体あるいはその部分についての適法性を確かめる。

③その結果、その建物は全体としてあるいはその部分について「なんらかの適法な性能をもつことが証明される。

④それらの性能の総体が、法律の要求する構造安全性能である。


という手順を踏んでたどり着くことが出来ると室田先生は解説してくださいました。


法20条は構造安全性能とは何か?ということを実質上何も言及せず、代わりに適法性の証明方法について述べているに過ぎない、というわけです。


適法=安全、と思い込まされているだけの話だと。

そもそも安全とは何なのでしょう?

言われてみると当たり前のことですが、なかなか気づかないものです。



このあたりのことは

『科学』Vol.74、No.9、Sep.2004

にて述べられていますので、興味のある方はそちらをご覧ください。


人が死なない建物をどれだけ真剣に考えて作るか。

おきるかおきないかわからない何百年に一度といわれる地震にそなえ、膨大なコストをつぎ込んで、その人が死なない(であろう)建物を作った結果、その人が貧しい生き方をしなければいけないのであれば、それは果たして幸なのかそれとも不幸なのか?


そういうことを構造設計者はまじめに建築主と語らねばならない、とおっしゃっていました。


深いです。



さて、この講義のあと、研究室へ戻り、

室田先生・教授・助教授・助手・僕の5人で、現在研究室で行っている研究課題について意見交換会を行いました。


キーワードは木構造のめり込み。


さすがに木材技術センターの理事だけあって、木材の性質から産業構造についてまで詳しい方でした。


木造については、あまり経験もなく、知識も少ないので苦手意識も多いのですが、非常に分かりやすく解説をしてくださいます。


森田さんと設計中の木造建物についても少し相談をすることに。

明日の研究協議会のときに、森田さんを紹介するお願いをして、本日は終了。




代々木公園

休日ですが、週末締めの仕事があり、僕は仕事がしたかったのすが、子供がそれを許してくれません。


天気のいいGWの1日でもあり、仕事は夜に頑張ることにして、子供をつれて代々木公園までいってきました。


公園の中には気持ちのよい緑の広場があります。

キャッチボールやフリスビーなんかを楽しむひとがたくさんいらっしゃいました。


代々木公園


うちの子供がこの公園で好きなのはサイクリング。


幼稚園に入ったばかりの二女は、自転車に乗りたい年頃なのですが、まだ買い与えていません。

そういうこともあり、ここのレンタルサイクルに乗るのが大好きなのです。


子供向けの補助輪付き自転車専用のミニコースもあります。


子供コース


最初は、長女も一緒にそこで遊ばせていましたが、さすがに補助輪なしの自転車を乗り回しているだけあって、ミニコースでは長女が満足してくれません。


ということで、僕と長女で一般用サイクリングコースへ。


サイクリングコース


子供と一緒に木立の中をサイクリングするのはとても気持ちよかったです。


サイクリングコースの周囲では、

画家が絵を描いていたり、音楽家たちが演奏していたり、

森の演奏会


およそ都心とは思えない、気持ちのよい空間でした。


仕事に追われっぱなしだったので、精神的に随分リフレッシュてきました。




2004

まつもと市民芸術館の見学後、

中山英之さん設計の 2004 のオープンハウスへ。



2004正面

2004年のSDレビューの大賞受賞作。

構造は名和研二さん。


あのSDのスケッチがどこまで実現されているかを楽しみに家族連れで行ってきました。


とにかく楽しい家でした。


ひたすら写真で紹介します。


2004内観1


2004内観2


ベランダからの青空


2004内観3


2004内観4


2004内観5


子供たちは大はしゃぎでした。


家具もしっかりと、しかも洒落っ気たっぷりに作りこまれています。

階段下収納


階段下収納2

エントランスには、生コン工場から譲り受け自費運搬したというテストピースが埋め込まれていました。

エントランステストピース


クローバーはまだ成育途中のようですが、緑で覆われる日が楽しみです。

覗き込むムツロウさん


良い家かどうかは、お施主さんしか判断できないわけですが、僕は良い建築だと思いました。


僕が普段、部屋と呼んでいるものってイッタイナンダロウ?


と考えさせられてしまいました。


ちなみにうちの奥さん(建築素人主婦)は、

「楽しそうだけど、掃除しにくそうなのと、収納が少ないので私は住みたくない」

と極めて冷静で主婦的な反応。


って、施主の考え方が違えば、建築家の提案内容も変わるんだからさ。。。

あなたが施主ならこういう家にはならないもんよ。


さて、構造的に少し薀蓄をたれてさせていただくとすれば、


上の写真にもありますが、2階の床がものすごく薄くできています。

スチールの角パイプをぎっしりならべて、しかも力の集まるエッジは、ムク材を使用しているとのこと。


モノの使い方としては贅沢で、ある意味強引と指摘される方もいるかとは思いますが、僕は正解だと思いました


この床が100とか150の厚さをもっていたら、もったりしていて、あの一体感はなかったでしょうから。


また、基壇の1Fを持ち上げる柱には、150角ムクの柱(剛棒)が用いられていました。

これまた贅沢ではありますが、白い箱が浮いている感覚の実現に貢献しているのは事実です。


僕は、

コストを投入することで、それ以上の空間の質の向上が得られるならば、そのコストは積極的に投入すべきである

という価値判断をする人間なので、これらの使い方に対しては、賛成です。


乱暴すぎるのは嫌いですが、そのギリギリ手前で使われており、さすが名和さんであったりもします。


一方で、屋根については、床が激薄であるだけに、もう少し何とかならなかったものか、とも思いました。


外壁の壁に水平力を伝えるためか、屋根を切り取る枠までもが妙に分厚くなっています。


で、あるならば、全体を鉄骨造にしてしまうことはできなかったのか?

という疑問が最後に残りました。


これは、先日の所沢の住宅で、指摘されたことと同じ類の疑問なのかもしれませんが。。。

1階床の基壇までが鉄骨つくられ、その上に木の箱が乗るというのが最初の構造コンセプトであったのでしょう。しかし、2階の床にあれだけの鉄骨を投入し、また、屋根の切り取りによる偏心を防ぐために、建物中央には、屋根まで含む鉄骨ラーメンを持ちこんでいたわけで、それであれば、全部鉄骨造の方が、潔かったのではないかと感じました。


主要な耐震要素が木造壁であったが故に、

 木造(一部鉄骨造)

との説明がなされていましたが、もはや、

 鉄骨造(一部木造)

という物量の関係になっていたのも事実です。



構造的な感想は以上のようなものですが、建築全体が細部までしっかり作りこまれていましたし、それでいてとても楽しい建築でもあったので、僕は十分に良い建築の部類に入ると思いました。



さて、中山さんの次作「2006」は、幸いにも僕が構造設計させていただくことになっています。


そういうこともあり、「建築家中山英之のクオリティ」をしっかりとこの目に焼きつけるために、松本まで行ってきたわけですが、やはり非常にポテンシャルの高い人だと感じます。


まつもと市民芸術館の現場監理の時には、よく中山さんの下宿に泊めてもらっていた間柄でもあり、同い歳ということもあるので、ひょっとしたら贔屓目で見てしまっているのかもしれませんが、博学なだけではなく、モノを作りこんでいく真摯な姿勢など、多くの面でとても尊敬できる方です。


次作も多くの人に期待されることとなるでしょう。

構造がヘマをすれば駄作と呼ばれかねないので、僕も気を引き締めていかねばなりません。


(って、いつも引き締めて頑張ってますけれど。)


頑張ります。




御室仁和寺

忙しくてアップしてませんでしたが、前回、京都へ行った折に、仁和寺に寄ってきました。

御室の桜は、街中の桜より半月くらい遅い特徴があり、4月20日でもなんとか、散り始めの桜に間に合いました。

御室桜と五重塔


桜越しに見る五重塔はなかなかの景色です。


二王門は、非常に力強い構成でした。

二王門


金堂は国宝に指定されています。


金堂(国宝)


さて、平安記の物語にもたびたび登場する仁和寺は、多くの天皇が退位後に過ごす場所、つまり「御所」も併設されています。御室の地名もそこからきたのでしょう。

エクストラの拝観料を払って入るこの宸殿のゾーンには、
先ほどの二王門や五重塔とは異なり、ロイヤルで圧倒的に上質の日本美で満ちた世界がありました。

勅使門


勅使門です。

そして、この門の中央がうっすらと透けているのがわかるかと思うのですが、細工がすごいのです。


勅使門木細工


部分的に欠けちゃっていますが。。。


平唐門の透かしもたいしたものです。


平唐門の透かし目


最高級の職人による最上のパフォーマンスとでも言えばよいのでしょうか。

別に細工や装飾がすごいから良いというわけではありません。

廊下ひとつにしても、これですから。

廊下1

背筋がピンとしますね。


中へ進むと、気持ちのよい南庭が出迎えてくれます。

宸殿と南庭


白書院の襖絵はその名の通り壮観です。


白書院襖絵


続いて、宸殿へ向かう廊下。


廊下2


これまた一切の装飾がなくとも圧倒的な美しさで迫ってきます。

実は、この廊下を斜め後ろの建物側からみるとこんな感じです。

書院を結ぶ廊下

写真手前は書院の縁側なのですが、書院の縁側の場合と廊下の場合で、柱の頭のつなぎ方が違えてあったりもするのですね。

建物側では、鉛直と水平の線でバッサリなのですが、建物を結ぶ廊下となると、柔らかい曲線を混ぜたりしてさりげなく変化をあたえていたりもします。

宸殿の上段の間です。天皇クラスがここに座っていたわけですね。


宸殿上段の間


その天井です。


上段の間天井


何もかもが上質で、ものすごく気持ちが高揚してしまいました。


こうなると、植栽までもが、すばらしく良いものに思えます。


植栽



で、そんな興奮した状態でふと飛び込んできた景色がこれ。


何となく森山邸


宸殿や書院の屋根が折かさなる様子をみて、僕はすぐに立衛さんの森山邸を思い出しました。

高尚さを増すような難しめの言葉で語るのが不得手なので、安っぽい語り口になってしまうのが残念ではありますが、森山邸が上質の日本的な美を含んでいるのだと感じたわけです。
言い方を変えると、日本人の琴線に触れやすい空間構成をしているということでしょうか。。。


いやぁ、しかし、良かったです。


良いものを見た時特有の、ドキドキ感、高揚感、喜び、といったものがありました。

建築を見てこのドキドキ感を感じられる間は、僕は建築を自分のフィールドにし続けていくことができると思えました。

で、あらためて、自分は日本的な建築が好ということに気づくわけです。


歴史的な「日本建築」と現代の「日本的な建築」は違うといえば違うのですが、根本にあるものは同だと思っています。僕自身はそれを『ジャパン』と勝手に呼んでいるのですが。。。

どこがどうであれば『ジャパン』だ、などという定義みたいなものは、長い時間をかけて見つけていくべきものなのでしょうが、極めてシンプルで強いルールを背後にもちながら、密度の高いものを作り込んで行とこういう世界にたどり着けるのではないかと、少し感じることができました。

佐々木事務所での7年を振り返れば、SANAAの二人も、そして、佐々木さんも、そうしたジャパンな人なのだと気づきます。
だから僕は好きなのだと言ってしまってよいのかもしれません。

何も建築だけではないとも思います。
イチローにとっての密度というのが、バッティングの技術であったりすると、彼もまた、極めてジャパンな人なのだと思います。

僕が今後設計者として関わる建築の中から、ジャパンを感じることができるようになれれば、それはとても嬉しいことであり、いましばらくは、それを目指してみるのもいいんじゃないかと思っちゃったりします。

そして、まだまだ見なければいけない建築が京都にはたくさんあることがわかりました。

学生時代に見たものも、もう一度、見直したほうがよいかもしれません。

京都1往復につき、1つ建築探訪することを習慣化させていきたいところです。