●オープンとクローズ

 ハローワークで障害者が応募する場合はオープン応募クローズ応募の2通りがある。オープン応募とは、本人の了解を得て障害者手帳をもっていることを、応募先に事前に通知するのだが、クローズ応募とはそのことを通知せず一般の健常者として応募する方法である。

 ハローワークには障害者専門の職業相談窓口があり、そこで障害者専用の求人情報を提供しており、オープン応募の場合は原則ここで紹介状を発行し、採用になった場合は事業所に助成金が支給される仕組みである。

 クローズの場合は、事業所に障害者手帳を保有していることは通知せずに、一般の求人に応募することになり、選考基準も健常者と同じレベルとなるので、正直、厳しい結果が予想される。

 また、採用された場合でも、後で障害者手帳を保有していたことが発覚した場合、仕事ぶりに問題なければ特におとがめなしのことが多いが、仕事でミスが多かったり職場でトラブルを起こしていた場合は、業務に支障のあること(すなわち障害)を隠して入社したということになり、身分詐称で減俸されたり、配置転換されたり、最悪解雇される危険性もある。

 

 

●職業紹介の実態

 身体障害者や知的障害者は比較的障害受容性が高い人が多く、通常はオープンで応募することになるのだが精神障害者はクローズで応募する人が散見された。

 私が担当していた一般相談窓口に統合失調症の精神障害者保健福祉手帳をもっている応募者が食品製造業の正社員求人にクローズで応募したいと来窓してきた。話していると、やはりコミュニケーションでやや違和感があり、正直、このままクローズで応募しても採用はむずかしいだろうと予想できたので、

「オープンで応募しないのですか?」と尋ねると「別に言わなくても自分は働けると思う」、「賃金が安くなる」などの理由を挙げてクローズ応募を希望していた。

 本人の意志を尊重し、そのまま紹介状を発行するのだが、残念ながら採用になることは稀である。たとえ採用になっても人間関係や仕事が覚えられないという理由から短期間で退職してしまうことになることが多い。

(この他にもてんかんを持つ人や発達障害の人も、クローズで応募したいと来窓されたこともあった。)

 

●グレーゾーンの人たち

 また、精神障害者保健福祉手帳は持たないが、素人目に見ても明らかに精神疾患を抱えているだろうと想像できる人も来窓してきた。いわゆるグレーゾーンの人達である。

 情緒不安定で、話す内容が一貫しなかったり、急に攻撃的になったり大声を発したりして会話が成り立たないなど、窓口での応対に苦労したことも多かった。

 専門医に診てもらえばはっきりするし治療法もあると思うのだが、認めたくないなどの理由からか、病院に行きたがらないようである。

 こういう人は障害者手帳をもたないため余計に就職は難しくなる。そのままだといずれ生活困窮者となり最悪、生活保護になってしまうことになる。

 家族の協力があれば、時間をかけてサポートグループに参加したり、本人に医者に診てもらうよう粘り強く説得することも出来るのだが、家族が消極的だったり、家族と疎遠になっている場合は、誰からも強く医者に診てもらえとは言われないことから、本人が行き詰まりその気になるまで待つしかない。

 一応、地方自治体内や地方自治体から委託を受けたNPO法人等で相談窓口はあるが、本人がまず障害を個性と考え受容することが就労の第一歩といえる。

 

●障害者法定雇用率が改訂されると・・・

 障害者の法定雇用率が、移行期間を経て令和8年には2.7になるため、計算上は従業員37名(※)以上の企業には1名以上の雇用が義務付けられる計算だ。(※業種により除外率が設定されているので一律ではない)

 企業は法定雇用率を下回るとペナルティ(障害者雇用納付金:1人あたり月5万円)を国に支払わなくてならないことから、中小企業も障害者雇用に真剣に取り組むことが求められるようになった。

 国も障害者雇用のノウハウが不足している障害者雇用ゼロの中小企業に対して支援強化に取り組もうとしており、障害者の雇用枠も拡がる期待がある。

 

 コロナ禍では、我々に多大な経済的な損失と精神的負担を強いられたが、一方でテレワークでの就業形態を広め、世間での認知度と理解度が高まったのは、障害者の就労にとっては朗報だったような気がする。

 また、これからロボットやICTの普及により、障害者ではこれまで難しいと言われていた接客業やサービス業もリモート操作での就労が可能になってくる。徐々にではあるが働けるフィールドが拡がっていくはずだ。

 現状の障害者の就労現場では、様々な問題や課題があることは漏れ伝わってくるが、こうした問題や課題を乗り越え、健常者と障害者が共生し、お互いを尊重しながら、自然体で働ける職場が実現していくことを願ってやまない。

 高齢のため、自営していた鈑金塗装業を廃業。国民年金は保険料の未払期間があるため月4万円くらいしかもらえず。年金だけでは生活が苦しい。貯金も少ない上に、だんだん目減りしてきており、このままだと生活できなくなりそうなので少しでも働きたいと来窓。

 

●キリギリス人生の末路

 元気なころは年600万円以上の収入がありブイブイいわせていたらしいのだが、

「その間、老後のことを考えて、お金は貯めなかったのですか?」と聞くと、ニヤッと笑って

「まあ、そういうことや」と恥ずかしそうに返答。

 

 まさに「アリとキリギリス」のキリギリス人生である。

 この他にも、高齢のため飲食店や電気工事業などを廃業した元自営業の人が少ないが同じような理由で仕事探しに相談に来られていた。

(これらの人は個人事業主ですが、店舗を構えているのでフリーランスと呼ばず、ここでは自営業の人と呼ぶこととします)

 

 

●自営業廃業後の再就職は困難?

 現役世代の頃は自営業でそこそこ稼いでいたのだが、遊興費やギャンブルにお金を使ってしまい、国民年金の保険料もまともに支払わず、貯金や個人年金の積み立てもせず、「宵越しの金はもたないのが粋、明日は明日の風が吹く、何とかなるさ」という昭和の職人気質のおじいさん達に多いパターンである。

 

 残念ながら70歳に近い元自営業の人を雇用してくれる会社はほとんどない。特に雇う側は年齢以外にも、チームプレイが苦手、人に使われることに慣れていないことから使いづらいのではないかという懸念はぬぐい切れないところだ。

 この人は70歳を過ぎていることから、就労は難しいのでこのままいくと生活保護になる。持ち家や車は手放すことになり、預金残高の提示を求められたり、賃貸に住んでいる場合は、家賃の安い公営住宅などへの転居を求められたりする。子供や兄弟にも問い合わせが入るなど、本人にとっても不本意な対応を求められるので嫌がる人も多いが、本当に生活できなくなるのであれば、致し方ないところではある。

 

●生活保護へのやりきれない思い

 とはいえ、生活保護費の原資は税金である。若い頃から貧困でぎりぎりの生活を強いられた人や病気やけがで思うように働くことができず、障害年金ももらえない人達には、公助・共助の考え方で支援すればいいが、現役世代ではそこそこお金を稼いでいたのに、年金保険料を払わず遊びや贅沢をしてお金を使い切ってしまった人達まで、税金を使って生活保護費を支給するには正直、釈然とはしない。ただ、済んでしまったことなので今更どうしようもない。

 

 今でこそ、老後2千万円問題でマスコミにとりあげられ、老後に備えることについての具体的な数字を前に危機感を持つ人が増えてきたが、(ただし、あまりこの2千万円という数字には惑わされないほうがいい。実際にこの金額が全員必要になるわけでなく、マスコミや野党議員が政府批判に利用した側面があるので、冷静に自分なりの老後に必要な金額を算出して判断することをお勧めします)昭和から平成のころは、投資はバクチという考え方が主流で、ドル・コスト平均法による投資、積立てNISAやiDeCoなど安定して資産を増やすという仕組みもなく、安全性の高い継続した投資などの考え方が普及していない上に、なんとかなるだろうという安易な気持ちで、老後のためにお金を貯めておくという発想に乏しい自営業の人が多かったのは致し方ないのかもしれない。

 

今後の対策としては・・・

・年金は安心して老後を送るために、必要条件だが十分条件ではないこと。

・投資は一攫千金を目指すものではなく、安定した老後資金を確保するために長期にわたって継続的に実施するものであること。

・安易に生活保護に流れないように、厳しい生活実態と受給のための不本意なハードルがあること。

これらを中心に、時間はかかるかもしれないが、国を挙げて中学生や高校生などの若いうちからマネー教育を実施して、「キリギリス人生」を防いでほしいところだ。

 

●起業する時は老後に備えることを忘れずに

 今はフリーランスとしてパソコン1台あれば簡単に起業できる。うまく軌道に乗れば経済的に豊かな生活を送ることができる時代だ。

 ただ、どんなものには必ず賞味期限や寿命がある。フリーランスといえども、定年はないものの、いずれ「本当の人生」を終える前に「職業人生」を終える時が来る。加齢にともなう知力・体力の衰えや、病気などで仕事ができなくなるのが現実である。職業人生を終えてから本当の人生を終えるまでの期間の差が短ければ短いほどいいのだが、人生100年時代を迎え、これから益々広がる可能性が高い。自分だけは大丈夫、なんとかなるとは考えない方がいい。

 サラリーマンと違い、厚生年金が受給できない(あるいは少ない)フリーランスは(たっぷり稼いで資産形成ができた方を除いて)この期間に備える準備を現役世代のうちから着実に進めてほしいところだ。

(第59話:前編)からの続き

●採否の分かれ目は主観で決まる

 採否の決定は、面接官のちょっとした印象で左右されることがある。人事部で採用を担当していた頃、あまり大きな声では言えないが、役員面接後に社長に判断を求めると社長の主観的な印象から「まあ、いいんじゃないの」という鶴の一声で、採用を決めていたこともあった。

 そういう意味で、30分一本勝負の限られた時間で、元来その人をすべて理解するのは無理なことなので、少しでも好印象をもってもらうために、自分なりにできる限りの策を講じるべきである。

 

●話し方テクニック

 面接時の話し方についても、対策本やネットでいろいろ書かれてあるので参考にしてもらえればいいが、私が面接をしたとき、もう少しこんな話し方をすればもっと印象が良くなるのにもったいないなあ~ と感じたことを中心に、ちょっとした話し方テクニックをまとめてみた。

 

〇ゆっくりめに話す

 声はやや低めでゆっくり話すと落ち着いた印象になる。普段の話す速さの0.8~0.9倍速くらいがいいかと思う。早口だと話す内容の信憑性が低くなる印象を与えてしまう。緊張すると早口になる人が多いが、日頃から低めでゆっくり話すよう心がけながら、習慣になるまで練習してほしい。これなら一人でいつでもできるはずである。

 

〇クローズ質問にもオープンで答える

 クローズ質問というのは「はい」「いいえ」 だけで答えられる質問であり、オープン質問というのは、「はい」「いいえ」などの選択肢がなく、回答者が自由に考えて答える質問のことである。前編で述べた想定質問はすべてオープン質問になっている。

 熟練の面接官はできるだけオープン質問をするように心がけているが、未熟な面接官は平気でクローズ質問をしてくる。そんな時は、その未熟さにつけ込み、例えば・・・

「前職は派遣だったんですね?」「はい、そうです」だけで終わらず、「派遣という立場でしたが若手の正社員の教育係も任され、技術指導やメンタル面での相談役の役割も担っていました。」などと自分が聞いてほしいことを誘導するような事項を、短くことばで付加するのである。そこから話が拡がり自分のペースに持ち込めて自己アピールにつなげることができる。(ただし、あまり長くなると「そこまでは聞いていない」と思われるので注意が必要)

 

〇沈黙は厳禁

 回答に窮した質問をされた場合、絶対にしてはいけないことは「沈黙」である。テレビやラジオでは15秒以上沈黙が続くと「放送事故」扱いになる。面接でも(私の主観だが)7秒以上沈黙が続くと「面接事故」となり評価が大幅に下がる。こういう場合「ちょっと答えがでてきません」「難しい質問なのでどう答えたらいいかわかりません」とか言って会話をつなぐことが大事である。面接官も質問を変えてくれることが多い。

 

〇同じことはそのまま繰り返して言わない

 一度話したことと同じことを言わなければならない質問をされた時、答える前に、「前にも言いましたが」「繰り返すようですが」「履歴書に書いてある通りで恐縮ですが」などのことわり語」を必ず言うこと。

 これを言わないと、その話はもう聞いた、なんども同じ事を言う頭が悪そうな人と思われ、印象が悪くなる。この「ことわり語」を言うだけで、前に話したことを承知した上で話していると理解してもらえるし、自分の用意した回答パターンや言葉のボキャブラリーの不足をカバーできる。

 このほかにも聞かれたこと以外で自己アピールしたくなったら、「ご質問とは少し話がずれるかもしれませんが・・・」「答えになっていないかもしれませんが・・・」とか言ってから話すと、すんなり聞いてもらえることが多い。

 

〇締めが大事、終わり方で全体の印象が決まる。

 最後に質問はありませんか?と聞かれて本当に何もない場合、「ありません」で終わるのではなく、その場合は決意表明をするのである。「質問はありませんが、今日は緊張してしまい、うまく答えられなかったこともありましたが、もし縁あってこちらでお世話になることになりましたら、一生懸命働き貴社に貢献したいと思います。どうぞよろしくお願いします」と言って締めると印象が良くなる。

 

●面接官も緊張します

 実は、人事部で採用業務を担当していた経験から申し上げると、面接官も面接は大変なのである。30分くらいでその人の「人となり」を判断し採用するかしないかを決めなければならないのである。この人を採用しても、ちゃんと会社に貢献してくれるだろうか、もし採用しても「はずれ」で、現場から「何というやつを採用したんだ」と言われたらどうしよう・・・そんなことを考えると面接される側よりもプレッシャーがかかると言ってもいいくらいだ。面接官も緊張しているのだなと考えると少し心の余裕が生まれるはずである。

 ハローワークの相談窓口で、面接が苦手である、緊張して言いたいことがうまく言えず困っているという人の相談を数多く受けてきた。

 そもそも非日常的行為である面接が得意な人などいない。面接がうまくなるには、模擬面接などで多少は練習できるのでハローワークでも何度か実施してきたが、実際は場数をこなすのが一番効果的な方法である。ただ、場数をこなすというのはそれだけ不採用になっているということなので、いかんともしがたいところだ。

 面接は、応募する側は少しでも自分を盛ろうとするし、採用する側はその中で本質を見抜こうとする。まさに、30分1本勝負「きつねとタヌキのお見合い合戦」である。

 

 面接時の服装や立ち居振る舞い等の対処法についてはマニュアル本が数多く販売されているし、ネットでいろいろ掲載されているし、最近ではチャットGPTでもアドバイスしてもらえるのでそちらを参考にしてもらうとして、ここでは私の経験から、別の角度から面接対策についてアドバイスをしてみたい。

 

●面接で聞かれることは決まっている

 面接のスタイルは、大企業か、中小企業か、正社員か、パート・アルバイトか等でだいぶ違ってくる。

 大企業の正社員の場合などは、広い会議室に役員や人事担当者を交えた面接官が3~5名いて、応募者1人で対座してする面接もあれば、中小企業のパートやアルバイトなどの場合は、オープンな部屋で店長か現場責任者の席の横に丸椅子に座らされてする面接まで、いろいろある。

 正直、後者の場合はあまり固くならず自然体で臨んでも特に問題はない。想定された年齢層で、実務経験があったり、人柄がよければそれで採用されることが多い。

 ただ、正社員となると、採用する側も慎重にならざるをえないことから、応募する側も面接に臨むまでに十分な準備が必要なのだが、苦手とする人の多くは、ほとんどが準備不足が原因であることが多い。

 

新卒採用と異なり、キャリア採用の面接で聞かれることは概ね決まっている。

想定される質問としては・・・

①    簡単な自己紹介とこれまでやってきたことを簡単に説明してください

②    前職を退職した理由をおしえてください

③    当社の志望動機を教えてください

④    (長い空白の離職期間がある場合)この期間は何をされていたのですか

⑤    これまでに経験したことが、当社の仕事にどのように活かされると思いますか

⑥    あなたの長所と短所を教えてください

⑦    仕事をする上で大切にしていることはありますか?(ルール厳守、法令遵守、顧客重視、協調性・・・)

⑧    勤務する上で会社に配慮してほしいことはありますか?

⑨    最後に質問や言い残したことはありませんか?

 

 だいたいこんなことを聞かれることがあらかじめわかっているのに、面接が苦手という人は、明確な答えを用意しないまま面接に臨む人が多い。

 

●シナリオライターになれ

 なんとなくこんな風に答えようと思っているだけで、実際にその場になると、緊張でうまく言えないのである。

 こういう場合は、面倒だがドラマのシナリオのように、回答をすべて文字にして紙に書くことをお勧めしたい。

 

 もちろん、想定されたとおりの質問をされない場合もあり、シナリオ通り発言することはないかもしれないが、大切なのは実際に紙に書くことにより、自分で話したい内容が整理でき、紙にかいてあるので内容を随時ブラッシュアップすることもできるのが強みである。

 例として、第46話 圧迫面接の対応方法は? で実際に回答例をシナリオ形成で記載しているので参考にしてほしい。この回答例も、実は何度も校正して作成したものである。

 

 

 面接が苦手な人は、「履歴書」、「職務経歴書」に追加して「面接シナリオ」就活の三種の神器と思って面倒くさがらず準備してほしいところだ。

 

※次回 面接対策 後編「面接官の印象を良くするちょっとした話し方」 につづく

 

 

 ハローワークの求人票は、長年の職業あっせんのノウハウが蓄積され、何度か更新されてきておりわかりやすく、コンパクトにまとめられていて他の求人票より見やすいのではないか。

 雇用条件も労働基準法や雇用保険法などに基づいて記載されているし、ハローワークやハローワークインターネットサービスで公開・紹介している求人の内容が実際と違っていた場合には、「ハローワーク求人ホットライン」という通報窓口があり、担当のハローワークにおいて事実を確認の上、会社に対して是正指導を行ってくれるなど一定の安心感はあると思う。(とはいえ第26話 法律を知らない・守らない経営者たち(応募編)のようなこともあるので、全く安心ということはないが・・・。)

 

 

●求人票には必ず裏(求人者の本音)がある

 ただし、求職者は求人者側の本音を知るために、求人票に記載されている内容以外にも「裏」を読むことが求められる。

 職業紹介の経験から、求人票に記載されている内容で、気をつけるべきいくつかの「裏」をまとめてみた。
(なお、例外もたくさんあるので、あくまで参考程度と認識してください。いずれにせよ気になる求人があったら職業相談員を通じて応募先に確認することをお勧めします。)

 

〇「年齢不問」

⇒ 雇用対策法に則り、とりあえず記載しているが、採用担当者の頭の中には想定する年齢層があるので、応募する前に必ず職業相談員を通じて事業所に電話で確認してください という意味。

 なお、応募する側もだれもこの言葉を信用していないことから、ある意味、求人票における不文律ともいえる。

ただ、「年齢不問 60歳以上応募可」と書かれてあれば、さすがに概ね70歳未満なら応募はできるはずなのでシニア世代は積極的に応募して欲しい。

 

〇資格・経験 あれば尚よし

⇒ 20歳代、30歳代前半なら、経験や資格はなくてもいいが、30歳代後半から40歳以上は即戦力として働いてほしいので「必須」と考えてほしい という意味。ただし、賃金が若手社員くらい下がってもいいなら、未経験・無資格の40歳以上でも、応募の際にその熱意を申し入れると可能性あり。

 

〇週休2日

⇒ 毎週2日休めるわけではない。1ヶ月で一度でも週に2日休日があれば一応表記可能なので注意が必要。この場合、年間休日数を確認する事をお勧めする。

 120日以上あれば完全週休2日で間違いがない。サービス業では105日程度が多い。これなら一応週休2日は確保されていると考えてよい。

 

〇軽作業

⇒ 単純作業で責任が軽い仕事という意味であって、決して身体的に楽な仕事という意味ではない。重量物を取り扱う軽作業というものもあるので注意が必要。例えば、野菜のカット作業だが、ドンゴロス(大袋)に入った20~30kgのジャガイモの持ち運びがあったり、軽自動車での配送業務だが、物が箱詰めにされた自動車のバッテリーだったりすることがある。

 

〇採用人数が5名以上

⇒ なかなか応募がない、あるいは離職率が高く定着しない仕事 という意味。応募すると採用される確率が高く、とりあえず早く稼ぎたいという人には向いている。

 

〇一般事務職 受付、電話応対を含む

 ⇒ズバリ、女性を希望しています。男性は応募しないでください という意味。年齢はパート・非正規なら40歳代でも可能性はあるが、正社員は厳しいところ。

 

〇20代~40代の方が活躍されています

 ⇒50歳以上の人は応募してもらっても採用は難しいですよ という意味。履歴書を送っても、年齢欄だけ見て不採用にされる可能性がある。

 

〇明るくて風通しのいい職場です

 ⇒仕事内容欄や求人に関する特記事項欄の最後によく書かれてあるが、求人受付窓口の担当者から「なにかアピールポイントはありませんか」と聞かれ、なにも思い浮かばなかったのでとりあえず書きました という意味。文末によく書かれてある「以上」とか以下余白」と同じ意味と解釈してよい。

 

〇採用人数が1名で比較的条件のいい求人で長期間募集している

 ⇒今すぐ急いで採用したいわけではない。いい人材がいれば採用したいので、キャリアや能力に自信のある人だけ応募して欲しい という意味。気になる求人があれば、窓口でいつから募集が始まり何回更新を繰り返しているかを確認することができるので相談員に確認してみてほしい。

 

  以上 中には怒りを感じるものも含まれているかもしれないが、これが現実であり、受け入れて探すしかない。求職活動の一助になれば幸いである。

 42歳、男性。小規模の印刷会社の正社員のオペレータの求人票をもって応募したいと来窓。応募先の事業所の了解を得て面接日を調整し紹介状を発行した。

 その後、事業所から電話があり、面接をして人柄がよかったので採用しようと思うのだが、正社員で募集したが、一旦契約社員で採用し、3~6カ月後に正社員にしたいので問題はないかとの問合せがあった。

 求人票と異なる条件でも、当事者同士で合意すれば特に問題はないことを説明し、併せて必ずその旨を記載した雇用契約書を文書で締結するよう申し入れた。

 ところが、その後、その事業所の顧問社労士から直接電話があり、(このままだと助成金がおりないので)、契約社員としての紹介状を再発行してほしいとの依頼があった。

 この事業所からは正社員としての求人しか出ていないため、どうしても契約社員で採用したというエビデンスがほしいのなら、この人を一旦不採用にして、契約社員の求人を新たに起こし、改めてその求人に応募してもらい紹介状を発行するしかないのだが、ただ、ハローワークの決まりで、面接を受けた後に紹介状を発行することは認めていないことを説明したところ、憮然とした声で「検討する」と言って電話が切れた。

 

●助成金が欲しい  

 少し補足すると、今回の助成金はキャリアアップ助成金といって、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した事業主に対して助成されるもので、条件によっては1人あたり42万円~72万円ほど支給されるものである。

 この他にも、第36話でも触れたが、高年齢者や生活困窮者、シングルマザーを採用したり、生産性向上のための設備投資(情報化投資)をしたり、社員のスキルアップの訓練をしたりすると支給される助成金など、いろいろある。

 

 

 ただ、こうした助成金はあくまで、企業が成長するために、「雇用の安定、人材育成、生産性の向上、社員満足度向上」などの経営理念や経営方針がまずあり、その具体的な施策に合致したときに活用するのが望ましく、はじめから助成金目当てで、こうした姑息な手段を講じることは好ましいことではない。

 

●「人」を大切にする経営を  

 上記の場合は、正社員として雇用しても試用期間が設定できるので、技量不足と判断すれば試用期間後に解雇できる。わざわざ初めから、助成金目当てで正社員の求人をだしておきながら、契約社員として雇用し、一定期間後に正社員に切り替えることは応募者が同意しても道義的に許されることではない。

 

 社労士としても、助成金を活用することを事業主に勧める前にまず、その助成金がその経営者が目指す経営目標を実現するものかどうか、経営課題を解決できるものかどうか、しっかり見極めてから活用を勧め、その手続きを支援することが本当の役割だと思う。

 

 最近ニュースで、コロナ禍での雇用調整助成金の不正受給をめぐり、事業主と共謀したとして社労士が逮捕されていたが、決して許されることではない。

 

 「人」を資産でなくコストと考えて、助成金ばかりに目をとられ、目先の利益を得ることしか考えない企業は、絶対に成長しない。

「企業は人なり」という言葉があるが、まさに企業はそこで働く「人」によって発展し、企業価値を高めることができるといえる。

 少子化にともない、これから労動力不足が予想される。経営者(特に中小企業)には「人」を大切にする経営を目指さないと、社員が集まらず、人手不足で倒産に追い込まれるかもしれない危機感をもってほしいところだ。

 育児休業制度について第51話で雇用保険法に基づき社労士の立場で、いろいろ述べさせてもらったが、書いた後も正直、給付金を支給したり休業を付与する程度の目の前に「ニンジン」をぶら下げるような法改正を繰り返すだけでは、少子化対策の決め手にはならないような気がしていた。別に制度自体を批判しているのではないのだが、キャリコンとしての立場でいうと、もう少しマインドで子育てと仕事の両立に悩む女性に寄り添えるものが欲しいと感じていた。

 

●子育ては「キャリア」である

 そんな折、3人の子供を育てたベテランの女性キャリアコンサルタントの知り合いから、当時の岸田総理が国会で育児休業中のリスキリングを支援するような答弁があり、子育て期間を単なる休業期間と考えていることに失望したと手厳しい意見を聞かされた。

子育てはキャリアである

 このことを忘れないでほしい。確かに、子育てにより失うものもあるが、得るものもたくさんあるはずである。これを理解してもらえないのが残念でしかたがないとのことである。

 

 

 そういえば、昨年、東京都の小池都知事が「育業」いう考え方を提唱していた。この考え方には多くのところで共感できる。少子化の抜本的な解決策が秘められているような気がした。

 

●「休業」という言葉はやめよう

 そこで、自分なりに考えてみたのだが・・・

 子育て期間を育児休業期間ではなく各家庭に期間限定で在籍出向するイメージとして捉えることはできないだろうか。(あるいは育児業務を国が母親に委託するという考え方でもいいと思う)

 この期間、給付するものも、育児休業給付金ではなく、育業出向分担金または育児業務分担金という考え方で、一定期間雇用保険に加入しておれば、在職・離職に関わらず国が出向先または委託先(この場合は各家庭:通常は母親)にこの分担金を支払うという考え方である。児童手当もこれに含めればよい。

 

 子育てによって技術的な育児ノウハウや保育・乳幼児の医療の基本的な知識、さらには、社会や関係者・協力者とのかかわり方やコミュニケーション能力、忍耐力、調整力、不測の事態の対応能力などが培われるはずである。

 

 本来の仕事は一時期離れることになるが、それに代わる「育業」というキャリアが得られる。

子育て=キャリアという考え方が社会に認知されるようになり、女性も一時期、別の仕事に就くだけと考えられるようになれば、出産して子育てしてみようという気持ちが少しでも広まるかもしれない。

 当然ながら、一定の子育て(出向)期間が終われば、希望者は全員出向元へ帰任(復職)できる仕組みである。

 もちろん、帰任後の働き方など、この方法には課題も多々あるが、国民みんなでこういう考え方を醸成していくのはどうだろうか。

 

 もし、事情により出産・育児のために退職して、育業を終えて就職活動を始める場合にも、履歴書の職歴欄に

〇〇年〇月  国からの委託をうけ、育業に従事。2人の子供を育て上げる

〇〇年〇月  育業を終了(予定) あるいは育業とWワークする予定

 さらに、「自己PR欄」に

「子育て中に培った、コミュニケーション能力、忍耐力、調整力、不測の事態の対応能力などが貴社の業務に活かされると思います。」

 など、堂々と記述することが認められそれが採用基準として評価される。そんな時代が来れば、少しでも少子化問題の解決につながるかもしれない。

 30歳代男性、機械部品の卸業の営業職の求人票を持参し応募したいと来窓。

 若くて営業職を希望するくらい人は、元来、積極的で行動的な人が多く、第49話で述べたように、自分で民間の職業紹介会社や求人サイトを利用する人の方が多いため、ハローワークに来て探す人は少数である。思わず経緯や動機を知りたいと思い、いろいろ聞いてみた。

 

●営業職は「数字」がつきまといます

 前職は、携帯ショップで副店長をしていたが、勤務時間が不規則で残業も多く転勤もあり、結婚をして子供もできるので、家庭も大切にしたいことから土日が休める仕事をしたい。元来、人と話すのが好きなので、これまでの経験を活かしたいということで、地元で転勤のない法人営業職に転職しようと思い、応募しに来たとのこと。

 

 

 通常、営業職は「ノルマ」や事務所内に掲示される「棒グラフ」のイメージが強く、ハローワークでは、そのプレッシャーがいやで応募する人は極端に少なかった。賃金は他の職種よりやや高めで、会社によってはインセンティブもあり、成果が直接給与や賞与に反映されやすいというメリットがあって、やる気のある人には向いている職種だが、今の若い人は、報酬よりストレスをあまり感じないところで働くことを希望する場合が多い。

 

 企業側も、求人票に「ノルマ」という表現をつかうと応募者が少なくなるので、例えば「(目標数字はあるが)ノルマはありません」とか「チーム目標はありますが、個人ノルマはありません」とか、少しでもプレッシャーを緩和する表現に変えるなどして募集に工夫をこらしている。

 

●営業職に求められるもの

 営業職に求められる資質として、コミュニケーション能力が長けていないとできない、自分は人見知りで人と話すのが苦手なので無理と思っている人が多いようだが、少し勘違いをしているように思う。

 よく「コミュニケーション能力」とよく言われるが、単に話題が豊富、会話がうまい、プレゼンが上手というのではなく、営業職に求められるのはむしろ、「インタビュー能力」即ち、いかに顧客にしゃべらせるか、聞き上手な人が適していると言える。

 どの会社もいろいろな悩みや問題点を抱えている。顧客の担当者にもいろいろ仕事上で愚痴りたいことも多々あるはずである。そんな時、無理に売り込もうとせずに、うまく話しを引き出し、解決策を提示しなくても「苦労されているんですね、大変ですね」とうなずくだけで、顧客との信頼関係が得られ仕事に結びつくことがある。

 人と話すのが苦手という人も、人の話をじっくり聞くことができる聞き上手なら、そんなにストレスを感じずにできるのではないか。

 

 もう一つ、営業職が嫌がられる理由に「断られることがいや!」というのがある。顧客から断られると、自己否定されたような気持になり、自信喪失・自己嫌悪に陥ってしまうのがいやなのである。

しかし、トップセールスと言われる人は、売上もトップだが、断られる件数もトップである。

 この言葉を忘れてはいけない。氷山の一角と同じで、水面から上の成約した件数ばかりに目が行き、その水面下にはその何倍もの断られた件数があることを見過ごしてはいけない。

 なんなら、「今期は、断られる件数で1番を目指します」と周りに宣言するのも、おもしろいかもしれない。断られる件数なので、気が楽だし、自分のやる気と努力だけで実現できる数字である。

母数(顧客とのコンタクト件数)を増やせば、自ずと結果はついてくる。

 

 私が知る成果を残している営業マンは、ベラベラしゃべる人よりは「こんな寡黙な人が、いい営業成績を残しているのか・・・」と思う人のほうが圧倒的に多い。

やってみると以外とハマることもある。コミュニケーションが苦手というだけで、営業職を避けるのはもったいない気がする。

 

●誰にとっても不幸なこと 

 60歳 男性、大手鉄鋼メーカーを60歳で定年退職。受給資格者証(第28話参照)に求職活動印をもらうため来窓。

 「65歳までの再雇用(雇用延長)は希望しなかったのですか?」と尋ねると、「会社からはもちろん雇用延長を勧められたが、母一人・子一人で、高齢の母親を介護するのが自分しかいなくて、ちょうど定年を機に介護に専念しようと思い、再雇用(雇用延長)を辞退した。基本手当の受給があるので、受給終了まで4週間に2回求職活動はするが・・・(就職するつもりはない)」とのこと。

 

 おそらく退職金と年金の繰り上げ支給等で、一応生活はなんとかなると見通しがついた上での判断だったと思われる。

とはいえ、介護離職は、介護する側・される側双方にとって、ともに不幸なことである。

 国も、介護離職を防ぐために様々な施策を講じているが、いまいち目立った成果が見えてこない。

 

●もっと介護休業制度を知って欲しい

 育児休業制度については、第51話でも触れたが、育児休業給付は子供が原則1歳(最長2歳)になるまで受給できるし、少子化対策として、出生時に夫も育児休業を取得できるようになったり、随時改正されマスコミにも取り上げられたりして、徐々に浸透されるようになってきたが、この介護休業制度については、あまりマスコミ等もとりあげられないせいか、理解度も認知度も低いのが実情である。

 

 介護休業給付は、給付条件は育児休業給付とほぼ同じだが、支給期間は最大3か月、分割なら93日までという短期間しかない。

 介護は長期戦である。こんな短期間で介護が終了するわけがない、国は何を考えているんだ!と一人怒っていたら、実は大きな勘違いをしていたことがわかった。

 

 この「3か月」というのは、自分が介護するための期間ではなく、この3か月の間に、介護する側の雇用を継続できるための介護体制や環境を整備する期間という位置づけである。

 例えば、手すりやスロープを付けるなど介護しやすいように家を改築する、地元の地域包括支援センターにいるケアマネージャーと相談しながらケアプランを策定する作業などのための休業補償期間であって、自らが介護する期間ではないのである。

 これを知らずに、介護休業給付が3か月しかないなんて!と怒っていた自分を恥じ入るばかりであったが、一般の人はほとんど、この3か月の意味を知らないのではないだろうか?

 考えてみれば、介護する期間は予想できず、死亡するまでの無期限にすることもできないので、こうした期間を設定することくらいしかできないのかもしれない。

 

 介護は自分ひとりで抱え込まず、遠慮なく地元の公的な相談窓口にいって相談してほしいとよく言われている。冒頭の相談者も、もう少し公的な相談機関も含め、周りとよく相談しておけば介護離職は防げたではないかと考えると、惜しまれるところだ。

 国も、介護休業制度を、育児休業制度なみとは言わないが、制度の利用を促進するだけでなく周りの理解が得やすい環境づくりを企業に求めるような施策を講じてほしい。

 

●介護は「する人」を優先

 実は個人的に、90歳代の義父母2人を隣家で介護していたことがある(現在は介護施設に入居中)。耳も遠く認知症を患っており、介護する側にとっては身体的な負担よりも精神的な負担の方がつらい。正直何度も投げ出したくなることがあったが、地元の地域包括支援センターと相談し、デイサービスや訪問介護・看護サービスを利用し、関係者の支援を受けながら、なんとか踏みとどまっていたことがある。

 

 何年か前、認知症の親の介護で苦しんでいた知り合いが、親が亡くなったとき、ポツンと「ホッとしたわ」とつぶやいていたことは今でも心に残っている。当時はすごいことを言うなと思ったが、今では介護当事者として誰も責めることはできない重い言葉と感じるようになった。

 介護は 介護する人:51%、介護される人:49% で考えないと共倒れになってしまうと思っている。

 

 24歳 女性、事務職に応募したいと自選した求人票を持参。前職を確認すると、最近まで保育士として働いていたが退職していた。

 退職理由を聞くと、言いにくそうに、ぼそぼそと話してくれた。

 小さいころから、子供に関わる仕事にあこがれ、保育士をめざすようになり、学校にいって資格をとり、私立の保育園に勤めたのだが、保育士のする仕事が、入る前に想像していたイメージと、現実とはかなり乖離していることがわかって、子供と接する以外の仕事や人間関係で疲れてしまい、自分は保育士に向いていないということがわかった。せっかく保育士の学校に通い資格まで取得したが、別の職種に転職したいと思い来窓したとのこと。

 

(これ以外にも、若い男性保育士が、先輩の給与の額を知り、あまりに安く昇給も見込めないことがわかり、これでは結婚できないとショックをうけて転職したいと来窓したこともあった。保育士に男性が少ないのは、単に業務の性格からだけではないことがわかったような気がした。)

 

●なりたい仕事に就いたのに・・・ 

 子供のころからあこがれていた職業に就きたいと資格まで取り、希望通りその仕事に就いたのだが、思っていた内容と現実とのギャップに戸惑い、そのまま離職してしまう。

 よくある話である。保育士以外にも、理美容関係、動物を取り扱う仕事、介護・看護、教職などの職種の人がたまに来られていた。

 

 どんな仕事にも陽の当たる部分と陰の部分がある。

通常は、あこがれていた仕事に就くと、陰の部分に戸惑いながらも、陽の当たる部分にやりがいを見出し、陰の部分とうまく折り合いをつけながら仕事をこなしていくものだが、陰の部分がどうしても我慢できないレベルに達すると離職することになってしまうのである。

 

 こういう場合、この仕事が自分に向いていない仕事であるとわかっただけでもよかった、と前向きに考えるようにアドバイスしていた。そして、この経験は必ず、これからの人生に役立つことは間違いないと励ましていた。

 エジソンの言葉に「私はこれまで一度も失敗をしたことがない。ただ何万回もの、うまくいかない方法を見つけただけだ」というのがある。

 

 若いのでやり直しはきくし、引きずることなく新たな職種に挑戦してほしいところだ。

この相談者には、事務職に求められる資質や能力を説明し、パソコンのスキルアップの職業訓練も検討するよう勧めておいた。

 

●長期スパンで考えよう

 余談だが、保育士の場合は、歳を重ねて40代・50代になると、精神的にたくましくなり「大阪のおばちゃん化」して、人間関係等で若い頃なら耐えられなかったことも、平気になってくることが多い。

 歳を重ねて子離れする頃には、精神的にたくましくなって、地方の公共団体から学童保育など仕事は随時あるので、この保育士の資格を活かせる時がくるかもしれない。 

 資格を保有していると、キャリアを一旦休眠させて、機会をうかがいながら活用できるチャンスを待つこともできるのが強みである。10~20年スパンくらいで考えてみるといいかもしれない。無駄にはならないとはこういうことも含まれる。