ハローワークの相談窓口で、面接が苦手である、緊張して言いたいことがうまく言えず困っているという人の相談を数多く受けてきた。

 そもそも非日常的行為である面接が得意な人などいない。面接がうまくなるには、模擬面接などで多少は練習できるのでハローワークでも何度か実施してきたが、実際は場数をこなすのが一番効果的な方法である。ただ、場数をこなすというのはそれだけ不採用になっているということなので、いかんともしがたいところだ。

 面接は、応募する側は少しでも自分を盛ろうとするし、採用する側はその中で本質を見抜こうとする。まさに、30分1本勝負「きつねとタヌキのお見合い合戦」である。

 

 面接時の服装や立ち居振る舞い等の対処法についてはマニュアル本が数多く販売されているし、ネットでいろいろ掲載されているし、最近ではチャットGPTでもアドバイスしてもらえるのでそちらを参考にしてもらうとして、ここでは私の経験から、別の角度から面接対策についてアドバイスをしてみたい。

 

●面接で聞かれることは決まっている

 面接のスタイルは、大企業か、中小企業か、正社員か、パート・アルバイトか等でだいぶ違ってくる。

 大企業の正社員の場合などは、広い会議室に役員や人事担当者を交えた面接官が3~5名いて、応募者1人で対座してする面接もあれば、中小企業のパートやアルバイトなどの場合は、オープンな部屋で店長か現場責任者の席の横に丸椅子に座らされてする面接まで、いろいろある。

 正直、後者の場合はあまり固くならず自然体で臨んでも特に問題はない。想定された年齢層で、実務経験があったり、人柄がよければそれで採用されることが多い。

 ただ、正社員となると、採用する側も慎重にならざるをえないことから、応募する側も面接に臨むまでに十分な準備が必要なのだが、苦手とする人の多くは、ほとんどが準備不足が原因であることが多い。

 

新卒採用と異なり、キャリア採用の面接で聞かれることは概ね決まっている。

想定される質問としては・・・

①    簡単な自己紹介とこれまでやってきたことを簡単に説明してください

②    前職を退職した理由をおしえてください

③    当社の志望動機を教えてください

④    (長い空白の離職期間がある場合)この期間は何をされていたのですか

⑤    これまでに経験したことが、当社の仕事にどのように活かされると思いますか

⑥    あなたの長所と短所を教えてください

⑦    仕事をする上で大切にしていることはありますか?(ルール厳守、法令遵守、顧客重視、協調性・・・)

⑧    勤務する上で会社に配慮してほしいことはありますか?

⑨    最後に質問や言い残したことはありませんか?

 

 だいたいこんなことを聞かれることがあらかじめわかっているのに、面接が苦手という人は、明確な答えを用意しないまま面接に臨む人が多い。

 

●シナリオライターになれ

 なんとなくこんな風に答えようと思っているだけで、実際にその場になると、緊張でうまく言えないのである。

 こういう場合は、面倒だがドラマのシナリオのように、回答をすべて文字にして紙に書くことをお勧めしたい。

 

 もちろん、想定されたとおりの質問をされない場合もあり、シナリオ通り発言することはないかもしれないが、大切なのは実際に紙に書くことにより、自分で話したい内容が整理でき、紙にかいてあるので内容を随時ブラッシュアップすることもできるのが強みである。

 例として、第46話 圧迫面接の対応方法は? で実際に回答例をシナリオ形成で記載しているので参考にしてほしい。この回答例も、実は何度も校正して作成したものである。

 

 

 面接が苦手な人は、「履歴書」、「職務経歴書」に追加して「面接シナリオ」就活の三種の神器と思って面倒くさがらず準備してほしいところだ。

 

※次回 面接対策 後編「面接官の印象を良くするちょっとした話し方」 につづく