ハローワークの求人票は、長年の職業あっせんのノウハウが蓄積され、何度か更新されてきておりわかりやすく、コンパクトにまとめられていて他の求人票より見やすいのではないか。

 雇用条件も労働基準法や雇用保険法などに基づいて記載されているし、ハローワークやハローワークインターネットサービスで公開・紹介している求人の内容が実際と違っていた場合には、「ハローワーク求人ホットライン」という通報窓口があり、担当のハローワークにおいて事実を確認の上、会社に対して是正指導を行ってくれるなど一定の安心感はあると思う。(とはいえ第26話 法律を知らない・守らない経営者たち(応募編)のようなこともあるので、全く安心ということはないが・・・。)

 

 

●求人票には必ず裏(求人者の本音)がある

 ただし、求職者は求人者側の本音を知るために、求人票に記載されている内容以外にも「裏」を読むことが求められる。

 職業紹介の経験から、求人票に記載されている内容で、気をつけるべきいくつかの「裏」をまとめてみた。
(なお、例外もたくさんあるので、あくまで参考程度と認識してください。いずれにせよ気になる求人があったら職業相談員を通じて応募先に確認することをお勧めします。)

 

〇「年齢不問」

⇒ 雇用対策法に則り、とりあえず記載しているが、採用担当者の頭の中には想定する年齢層があるので、応募する前に必ず職業相談員を通じて事業所に電話で確認してください という意味。

 なお、応募する側もだれもこの言葉を信用していないことから、ある意味、求人票における不文律ともいえる。

ただ、「年齢不問 60歳以上応募可」と書かれてあれば、さすがに概ね70歳未満なら応募はできるはずなのでシニア世代は積極的に応募して欲しい。

 

〇資格・経験 あれば尚よし

⇒ 20歳代、30歳代前半なら、経験や資格はなくてもいいが、30歳代後半から40歳以上は即戦力として働いてほしいので「必須」と考えてほしい という意味。ただし、賃金が若手社員くらい下がってもいいなら、未経験・無資格の40歳以上でも、応募の際にその熱意を申し入れると可能性あり。

 

〇週休2日

⇒ 毎週2日休めるわけではない。1ヶ月で一度でも週に2日休日があれば一応表記可能なので注意が必要。この場合、年間休日数を確認する事をお勧めする。

 120日以上あれば完全週休2日で間違いがない。サービス業では105日程度が多い。これなら一応週休2日は確保されていると考えてよい。

 

〇軽作業

⇒ 単純作業で責任が軽い仕事という意味であって、決して身体的に楽な仕事という意味ではない。重量物を取り扱う軽作業というものもあるので注意が必要。例えば、野菜のカット作業だが、ドンゴロス(大袋)に入った20~30kgのジャガイモの持ち運びがあったり、軽自動車での配送業務だが、物が箱詰めにされた自動車のバッテリーだったりすることがある。

 

〇採用人数が5名以上

⇒ なかなか応募がない、あるいは離職率が高く定着しない仕事 という意味。応募すると採用される確率が高く、とりあえず早く稼ぎたいという人には向いている。

 

〇一般事務職 受付、電話応対を含む

 ⇒ズバリ、女性を希望しています。男性は応募しないでください という意味。年齢はパート・非正規なら40歳代でも可能性はあるが、正社員は厳しいところ。

 

〇20代~40代の方が活躍されています

 ⇒50歳以上の人は応募してもらっても採用は難しいですよ という意味。履歴書を送っても、年齢欄だけ見て不採用にされる可能性がある。

 

〇明るくて風通しのいい職場です

 ⇒仕事内容欄や求人に関する特記事項欄の最後によく書かれてあるが、求人受付窓口の担当者から「なにかアピールポイントはありませんか」と聞かれ、なにも思い浮かばなかったのでとりあえず書きました という意味。文末によく書かれてある「以上」とか以下余白」と同じ意味と解釈してよい。

 

〇採用人数が1名で比較的条件のいい求人で長期間募集している

 ⇒今すぐ急いで採用したいわけではない。いい人材がいれば採用したいので、キャリアや能力に自信のある人だけ応募して欲しい という意味。気になる求人があれば、窓口でいつから募集が始まり何回更新を繰り返しているかを確認することができるので相談員に確認してみてほしい。

 

  以上 中には怒りを感じるものも含まれているかもしれないが、これが現実であり、受け入れて探すしかない。求職活動の一助になれば幸いである。