韓国ドラマ「殺人のパラドックス」観る 法律で裁かれない殺人者を殺人するカタルシスを描く社会派作品
ランク Aの下~Bの上偶然?から殺人をしてしまった青年が 連続殺人に絡んでいってしまう サイコサスペンススリラー 犯罪アクションドラマです。「パラドックス(逆説)」とは、 一見、間違ったことのように見えるけれど、 本当は真実だということです。韓国原題は「殺人の玩具」になるようですが 正確ではありません。この原題の方が、ドラマの内容そのものです。このドラマを観だした時、 「殺人」のパラドックスは何かと 考えながら観ました。アクション系犯罪刑事韓国ドラマの 集大成のようなドラマです。過去と現在、妄想と現実、偶然と必然を シナリオ演出の妙を発揮して 錯綜させながらストーリーは 展開していきます。主人公が背負ってしまったという 一つのアイデアを 広げていく韓国シナリオライターの 上手さが際立っている作品です。韓国に未解決殺人事件が 多いのかどうかは知りませんが、 「必殺仕事人」の様な 世直しドラマでもあります。韓国の出生率が0.72という低い理由には 競争社会でいくら働いても、立身出世、 上級国民になれないという 絶望、諦めがあるようですが このドラマに出て来る登場人物たちも 夢を持てず、その日の生活に追われる 生きがいを見いだせない 庶民が多く登場します。主人公の青年は、殺人事件をきっかけに 自分探しが始まるドラマとなっています。また、反抗していた父親の敵を 討とうとする一匹狼の刑事が存在します。そして、主要な登場人物たちを 狂言回しにしてしまうオタクが登場します。三人ともが、韓国社会の本流から 外れてしまったアウトローとなっています。一方、殺される人間たちには 成功者もいれば、社会悪の被害者や 犯罪者など、韓国社会が抱えている 問題を象徴させています。この意味では、このドラマは 社会派ドラマの性格を多分に持っています。優れた映画ドラマは、 社会問題を描いています。全8話のドラマです。最初の3話までと、その後の話では 残念ながら、ドラマの性格が 変わってしまいます。前半は、主人公の青年のキャラが生み出す 偶然の面白さが、抜きんでていて 一気にドラマの世界に 引きずり込まれました。 (掴みとしては、最高に面白かったです)この面白さが、後半では薄まり 定番のサスペンス映画によくある どんでん返しが中心となります。 (ラストの刑事の 大ドンデン返しには、 恐れ入りました)ズバリ、前半の面白さが、 後半では、減速します。前半では、有り得ない偶然の面白さが あったのですが、 後半では、有り得ないことが、 多くなるからです。スタートからラストまで、 ドラマに緊迫感を持たせ続けることは 至難の業です。この意味では、このドラマは、若干、 失敗?しているかもしれません。しかし、ラストまで観てしまうのは シナリオ、演出の素晴らしさ、 俳優陣の演技力の高さ、 映像の迫力などが 大きいからです。韓国ドラマが面白いのは アイデアを大きく生かすことができる 制作者たちの能力、技術の高さです。 (日本は、完璧に負けています。 「VIVANT」と比較したら 一目瞭然です・・・トホホ、嗚呼)このドラマは、ドラマ制作の 教科書になる作品です。過去と現在の交錯や 幻想と現実の混乱などを 如何に表現するかを 学ぶことができます。上手い演出の標本集です。是非、映画ドラマ関係者は 必見のドラマです。オタク役のように、キャスティングも バッチリ決まっています。面白いシナリオに キャラ立ちできる上手い役者 スピーディーな演出に 切れ味のある画面 誤魔化しのない派手なアクションと ロケ地の妙 完成度の高いドラマです。是非、ご覧ください。日本映画ドラマ界は 韓国芸能界に太刀打ちは 不可能です。このことを思い知らされる ドラマでした。最後の「パラドックス」の意味ですが 正当な殺人があるという ことなのでしょうか?また、殺人は、絶対悪とは 言い切れないことかも・・・。法律で裁くことができない殺人者の殺人は 許される殺人であるということかも しれません。復讐によって、人間は カタルシスを得るのかもしれません。是非、ご覧ください。なお、残酷なシーンがありますので 気の弱い方は、ご注意ください。