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サウジアラビアの女子高で起きた

  火災事件の実話を元にした

    サスペンス映画です。

 

 

最初は、学園物かと思って観だしたのですが

  種明かしのサスペンス、どんでん返しに

    予想外の結末と、完全に裏切られました。

 

シナリオの妙技が輝いている作品です。

 

  (編集、演出もよく計算されています)

 

サウジアラビアの女子高が、

  日本の女子高とまったく同じなのに

    驚いた!

 

服装検査、化粧検査、持ち物検査と

     管理教育そのものでした。

 

  (マニキュアには

    アルコールが入っているので

     イスラム教では、原則禁止だそうです

 

   アルコールが無ければそれなりに

       のようですが・・・ややこしいです)

 

校則違反して、教師に反抗する

  ツッパリグループもいるのです。

 

授業でガムを噛んだり、居眠りしたりと

  日本の学校と全く同じです。

 

一方では、成績や、品行方正な

 真面目ちゃんを褒めて

  競争原理を持ち込んでいます。

 

イスラム国家のサウジアラビアの女子高が

  日本と同じなのです。

 

もちろん、校門の外では、

  女性はベール、チャドルで顔を隠しますが

    校門を入った校内は、女性だけなので

      ベールを取って、女性としての

       自由?を謳歌?しています。

 

そして、イジメがあり

  学校内の大きな問題となっています。

 

  (校長のイジメへの考え方など

    日本でもよくある思考パターン

       そのものでした)

 

このイジメが、火事と絡み、

  事件を複雑にしていきます。

 

火事の原因は何か?

 

真面目な女子高生を、倉庫に

  閉じ込めたのは誰か?

     そして、その理由は?

 

関係者の立場や人間関係、自己保身、

  立身出世、家族間の軋轢、宗教問題などが

    火事をきっかけにして

      炙り出されます。

 

生徒と教師間の不信感も

  大きく関わってきます。

 

このあたりの関係性が

  次々と明らかになっていき、

    ラストの火事の真相へ

     迫っていきます。

 

この映画は、犯人探しの面白さだけでなく

  イスラム社会の問題点を

     浮き彫りにしています。

 

イスラム社会での女性の地位の低さ

  家父長制の権限の強さ

    働く女性の生き辛さを

      しっかりと描いています。

 

  (妊娠、子育て、シングルマザーの大変さ、

    婚約、結婚問題など、女性が主役の

     フェミニズム映画かもしれません)

 

見方によっては、反イスラム映画とも

  言える作品です。

 

 (サウジアラビアには、検閲?が

   あると思うのですが、

     許可されたのが、不思議です)

 

サウジアラビアが、西洋化していることに

  驚かされます。

 

  (離婚裁判ができるのには

                驚きました)

  

女性のベールの下は、何ら、

  西側諸国と同じで変わりません。

 

女子高の火事で、犠牲者が出ます。

 

  (誰が、どのように、火事で亡くなるは

    このドラマの核心ですので

      映画を見て下さい)

 

消火、救出が遅れた理由に

  イスラム社会の歪があることが

     しっかりと描かれています。

 

火事で犠牲者出てしまう伏線が

  さりげない日常のシーンに

    あります。

 

謎解きの進行に伴って

   「そうだったのか」と

     驚かされます。

 

  (見事などんでん返しも

         タップリあります)

 

完成度の高い、

  上手いシナリオです。

 

ネタバレになるので

  多くは書くことはできませんが

     是非ご覧ください。

 

女子高が舞台なので

  女性ばかりの映画ですが

    演技力の高い女優を揃えています。

 

 

校長と副校長が、後半に向けて

  上手い演技を発揮していきます。

 

特に女子高生の女優陣が

    とてもうまい演技をします。

 

前半は、イジメなどの教育問題が描かれ

  火災発生後は、火事事件の謎を

    解き明かしていく、探偵物というか

      人間関係の心理劇の要素が

        強くなってきます。

 

  (舞台劇を観ているような

          錯覚に囚われます)

 

映画テクニック、演出としては

  拙いところがありますが、

     事件内容の面白さで

        どんどん映画の中へ

           没入させられます。

 

 (ハリウッドあたりで、リメイクすれば

    大ヒット間違いなしの

       映画にできるはずです)

 

何となくしか知らないサウジアラビアを

  初めて知りました。

 

イスラム教ガチガチの国かと思ったら

  西側と同じような世界があったのには

    驚かされました。

 

是非、ご覧ください。

 

サウジアラビアに、

   骨太の映画があったことを

      教えれました。

 

映画の元になった事件と思われるのは

  2002年、メッカ女子高火災事件かもしれません。

 

  生徒800人、死者15人、負傷者50人以上

 

  (死者15人のうち、サウジアラビア人9人

      6人は チャド、ギニアなどの外国出身

 

   この映画でも、外国人女子生徒が

      登場し、重要な役割を演じます。

 

  サウジアラビアも多様性というか

    多民族国家になりつつあることが

      この映画でも分かります)

 

  タバコの不始末から火事が発生

  

  消火器が無く、防火設備が不足していた。

 

     (映画でも描かれています)

 

  火事から避難しようと女生徒が

    イスラム教にそぐわない地味な服を

      着ていないために、

        宗教警察が女生徒の避難や、

          消化作業を妨害したため

            犠牲者が増えたと言われている。

 

      (ベールが無かったので、宗教警察に

        校舎に押し戻され、部屋に閉じ込めて

          鍵をしたという話もあります。

 

       この映画でも、それなりに、

         政府に気を使って

           表現されていましたが・・・)

 

たぶん、この事件が映画の元だと思います。

 

制作者は、検閲ギリギリの脚色をして

      この映画を製作できたのでしょう。

 

ゆえに、サウジアラビア国民は

  この映画の脚色表現が意味するところを

    理解しているのではと想像します。

 

  (イスラム社会を詳しく知らないので

     当てになりませんが・・・)

     

映画から、制作者たちの

   無残に亡くなった女子高生への憐れみと同情

      政府と宗教?への怒りと憤慨が

         伝わる映画でした。

 

学校火災が、学校教育の歪、

  人間の心の奥底を炙り出し

   イスラム教の不条理?を

       批判?した映画です。

 

90分余りの短い映画ですが

  社会問題を詰め込んだ

    深い内容のある

      テンコ盛りの映画でした。

 

良い映画です。

 

この映画で、サウジアラビア社会の一面を

  知ることができました。

 

是非ご覧ください。

 

イスラム、サウジアラビア社会の勉強になります。

 

  (本当は、イスラム解説を受けながら

     観た方が、俄然、この映画の良さや面白さ

       訴えたいことがよく分かると思います。

 

  サウジ専門家の解説付きで

     観るべき映画です)

 

ネットフリックスで観ました。

 

是非ご覧ください。

 

「映画は、訪れたことがない国を知る

      魔法の扉です」